産後の頭痛の原因と対処法7選!授乳中だけど薬を飲んで大丈夫?

つらい産後の頭痛はどうして起こるのでしょうか。産後は身体が大きく変化している時期で、肩こり、寝不足、高血圧などの原因で頭痛が発症します。帝王切開や無痛分娩の麻酔が関わっていることもあります。原因により片側、両側、後頭部、頭頂部と痛む部位や程度はさまざまに変化します。ここでは原因と対策、飲んで良い薬など詳しく解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 産後の頭痛の種類と主な症状
  2. 産後の頭痛の原因
  3. 産後の頭痛の対処法7選
  4. 産後の頭痛で薬を飲んでも大丈夫?
  5. 産後の頭痛が治らない!病院に行くなら何科?
  6. 産後の頭痛はいつまで続いた?先輩ママの体験談
  7. 産後の頭痛はあせらず治そう
  8. あわせて読みたい

産後の頭痛の種類と主な症状

片頭痛

片頭痛は発作的に生じる頭痛を繰り返す病気です。20~40歳で発症し、日本人全体の約8.4%の患者数が報告されています(※1)。妊娠中は発作がおさまる傾向にありますが、産後に再発する人は半数以上にのぼります。片頭痛がなぜ起こるのかはまだ解明されていません。過度なストレス、疲れ、睡眠不足などが発作の引き金になっていることが多いようです。

片頭痛は前兆がない片頭痛と前兆がある片頭痛に分かれます。前兆がない片頭痛は頭の片側が拍動に合わせて強く痛むのが特徴です。痛みは4~72時間続き、日常的な動作で痛みが増します。吐き気や嘔吐を訴えることもあり、光や音に敏感になるといった症状もみられます。

前兆がある片頭痛は、頭痛発作が起こる前に、稲妻のようにギザギザした光や線が見えたあとに視界の一部が欠ける症状が一時的にあらわれます。この症状を閃輝暗点(せんきあんてん)といいます。また、感覚が過敏になったり言語障害が起こったりすることもあります。前兆症状は5~20分で徐々に強まり、60分以内で治まります(※2)。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭を締め付けられるように感じたり、ぎゅっと圧迫されるような頭重感があったりする頭痛をいいます。痛みは頭の両側から全体にあらわれ、30分~7日続きます。片頭痛と違い、動いても痛みが増すことはありません。首や肩のこり、目の疲れなどをともなうことが多いのも特徴です。

症状は比較的軽めですが、吐き気や食欲不振を感じることもあります。ひと月のうちに何回も繰り返し頭痛が起こったり、15日以上頭痛が続いたりするようであれば、生活の質を保つためにも一度医療機関で相談すると良いかもしれません。

PMS

PMS(月経前症候群)は、月経開始5日前ころからあらわれる精神的症状や身体症状を指します。訴えとして多いのは頭痛のほか、生理前のイライラ、身体のだるさ、下腹部痛などがあります。

生理前は片頭痛の発作が出やすく、頭の片側が拍動にあわせてズキズキ痛んだり、目がチカチカしたりする症状が強くなる傾向があります。しかし、片頭痛の発作と関係なく、頭が全体的に痛んだり、頭が重い感じがしたりすることもめずらしくありません。

PMSは排卵後にホルモン分泌のバランスが急激に変化することが原因で起こると考えられています。なかでも女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下すると、神経伝達物質のセロトニンが減少し、血管の収縮や痛みを緩和する作用がはたらきにくくなるのという説が有力です。

帝王切開や無痛分娩の麻酔の合併症の可能性も

帝王切開や無痛分娩では全身麻酔と局所麻酔が用いられます。局所麻酔は脊髄(せきずい)に近いところに薬剤を投与する「脊髄くも膜下麻酔(せきずいくもまっかますい)」もしくは「硬膜外麻酔(こうまくがいますい)」のどちらかが選択されます。

脊髄の周りはくも膜、硬膜、硬膜外腔(こうまくがいくう)に覆われており、脊髄くも膜下麻酔でくも膜に、硬膜外麻酔では硬膜外腔に薬剤を投与するため背骨のあいだから針を差し込みます。硬膜外麻酔で針の先端が硬膜に触れて傷がついた場合や、脊髄くも膜下麻酔で硬膜にできた孔(あな)が関係して、頭痛を発症することがあります。

この頭痛を硬膜穿刺後頭痛(こうまくせんしごずつう:PDPH)といいます。硬膜穿刺後頭痛は術後5日以内に発症し、起き上がって15分以内に後頭部が鈍く痛み、横になると15分以内に改善します。目のかすみや耳鳴りなどがともなうこともあります。通常は2週間以内に自然に軽快しますが、頭痛が強くなるようであれば医師の診察を受けましょう。

産後の頭痛の原因

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骨盤の歪み

産後数ヶ月は、靭帯や関節を緩めるリラキシンの分泌が続きます。そのため、産後は骨盤が不安定な状態です。骨盤からは頸椎、胸椎、腰椎からなる脊椎(せきつい)がつながっており、頭部を支えていますが、骨盤が歪んだり、長時間の抱っこ、授乳、スマホの見過ぎなどで姿勢が悪くなったりすると、脊椎のバランスが崩れ、周囲の筋肉が緊張します。

特に、頸椎の周囲にある後頭下筋群(こうとうかきんぐん)や胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)などの筋肉が緊張すると、筋肉のあいだから頭部に向かって走る神経が押されたり引っ張られたりして頭痛が生じることがあります。

肩こり

抱っこや授乳といった赤ちゃんのお世話で長時間無理な姿勢を続けていると、後頭下筋群などの脊椎を支える筋肉が緊張し、その表面を覆う僧帽筋(そうぼうきん)もこわばります。首から肩、背中にかけてこり固まった筋肉は、周囲の血管を圧迫し、血行不良を招く原因になります。

筋肉が緊張しているときに起こる頭痛のメカニズムは解明されていませんが、血行が悪くなると疲労物質が蓄積され、中枢神経が過敏になったり痛みを誘発する物質が発生したりするのではないかと考えられています。

ホルモンバランスの変化

妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が増加しますが、分娩を終えるとその量は急激に低下します。特にエストロゲンの低下は片頭痛やPMSと大きく関係しているといわれています。

ホルモンバランスの変化は、不眠やイライラといった症状にもつながります。こうしたストレスは自律神経の乱れも招くため、よけいに頭痛が起こりやすい状態といえます。

貧血

妊娠中は血漿(けっしょう)の増加により鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。また、授乳でも鉄分が失われるため、母乳育児の場合は産後も貧血の傾向が続きます。分娩時に大量に出血した場合や子宮の回復が遅れて出血が続く場合も、貧血になる可能性があります。

貧血があると、十分な酸素が身体に行き渡らず頭痛や身体のだるさといった症状があらわれます。ほかに、めまいや立ちくらみも貧血で起こりやすい症状のひとつです。

水分不足

赤ちゃんのお世話をしていると、忙しくてついつい水分補給を忘れてしまいがちです。身体の水分が不足してくると、血液の粘度が上がり体内の血液循環量が低下します。老廃物がたまりやすくなったり、酸素量が不足したりするため、頭痛が発症しやすくなります。

睡眠不足

睡眠と頭痛は大きく関係しています。夜中の授乳やおむつ替え、夜泣きなどで寝不足が続くと、自律神経のバランスが崩れたり、疲労が蓄積されたりして神経が過敏な状態となり、頭痛が発生しやすくなるといわれています。

一方で、片頭痛は過剰な睡眠で引き起こされる可能性があることがわかってきました。赤ちゃんと一緒に不規則な時間に寝てしまった、休日に寝すぎてしまったというときも頭痛が悪化する場合があるので注意が必要です。

産後高血圧

妊娠中から産後にかけては高血圧を発症するリスクが高く、妊娠20週から産後12週までに新たに高血圧が発症する、もしくはもともと高血圧だった人の症状が悪化すると妊娠高血圧症候群と診断されます。血圧が「140/90mmHg」以上になると、高血圧とみなされます。頭痛は高血圧症状が重症化した場合にみられる症状です。

妊娠中から産後にかけての高血圧症状は、産後12週頃までに自然と回復します。35歳以上の高齢出産、もともと肥満だったり妊娠中に体重が大幅に増加したりした人、もともと糖尿病の人などは妊娠高血圧症候群にかかりやすい傾向がみられます。

高血圧になる原因は解明されていませんが、塩分の多い食事、運動不足、加齢、遺伝などが関係していると考えられています。

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産後の頭痛の対処法7選

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片頭痛なら冷やし、緊張型頭痛なら温める

片頭痛はなんらかの原因で拡張した血管が、周囲の神経を刺激することで起こると考えられています。そのため、血管の拡張を抑えるために患部を冷やすと痛みが和らぎます。痛みを誘発するのは、においや音、光などの刺激と考えられます。そのため、暗く静かな部屋でゆっくりと休息することが回復につながります。

頭が締め付けられるような痛みの緊張型頭痛なら、首から肩にかけてを温めましょう。入浴や温浴枕などがおすすめです。

マッサージ

筋肉のこりは、神経を圧迫したり血行不良を起こしたりして痛みを発症する原因となります。肩や頭の筋肉をマッサージでほぐし、血流を促してあげましょう。こめかみ、うなじ、肩の付け根を軽く押したり、指でゆっくり円を描くようにさすったりするとこりがほぐれますよ。力いっぱい揉む必要はありません。筋肉の余計な緊張を生み逆効果ですよ。

整体やカイロプラクティック

整体やカイロプラクティックで施術を受け、骨盤や脊椎の歪みがとれると、筋肉の緊張がとけて頭痛が改善することもあります。頭痛に加え、腰痛や肩こりなどの自覚症状があるときは相談してみてはいかがでしょうか。

適度な体操やストレッチ

筋肉の緊張は、抱っこや授乳で長時間同じ姿勢を続けていることでも起こります。赤ちゃんのお世話が一段落したら、お部屋の中でできるストレッチをしてこりをほぐしましょう。

肩から前に両手を突き出すようにして背中の筋肉を伸ばしたり、両肩を回したりするだけでも血行が良くなり、筋肉はしなやかさを取り戻します。ストレッチをするときは骨盤が前傾したり猫背になったりしないように気をつけてくださいね。外出ができる時期になったら、赤ちゃんとお散歩するのも良いですね。

子育ての息抜きタイムをつくる

ストレスがたまると、知らず知らずのうちに歯を食いしばっていたり、肩に力が入っていたりと、筋肉が緊張した状態になっていることがあります。赤ちゃんのお世話をしていると、ママと赤ちゃんだけの時間が続き、精神的にも肉体的にも疲れがたまりやすいものです。

夫や家族に頼んで自分だけの時間を作る、家事を頑張りすぎないなど、じょうずに息抜きしていきたいですね。

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できるだけ睡眠時間を確保する

睡眠不足が続くと、自律神経の乱れや神経伝達物質であるセロトニンの減少をまねきやすくなります。赤ちゃんが寝ているあいだに一緒に休息をとる、赤ちゃんの生活リズムを整えるなどの工夫をして、できるだけ睡眠をとるようにしましょう。

食生活に気をつける

産後すぐは身体を回復させるため、バランスの良い食事をとりたいですね。高血圧症状があるときは、塩分や動物性脂肪は控えめにして、野菜や果物、魚を中心にした食生活を心がけましょう。チーズやチョコレートは血管を拡張するため、片頭痛が悪化することもあります。

また、鉄分不足を補うため、レバーや赤身肉、緑黄色野菜を摂取することも大切です。適度な水分摂取も忘れないようにしてください。

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産後の頭痛で薬を飲んでも大丈夫?

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授乳中は母乳を介して赤ちゃんに薬の影響が出ないか気になりますね。授乳中にママが服用した薬の成分はおっぱいを介して赤ちゃんにも移行しますが、その量はごくわずかです。そのため、授乳中に薬を服用しても影響はほとんどないと考えられています。

ただし、その成分が赤ちゃんの体内に蓄積されることを考えると、まったく影響がないとは言い切れません。そのため、授乳中に薬を服用するときは医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

授乳中に痛み止めとして医師から処方される薬としては、カロナール(一般名:アセトアミノフェン)、ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)などが一般的です。

産後の頭痛が治らない!病院に行くなら何科?

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ひとことで頭痛といっても原因はさまざまで、痛みが何に由来するものなのか、重症度、頭痛が起こる頻度、頭痛以外の症状を総合して判断しなければなりません。どの科目を受診したら良いか迷ったときは、内科を受診して医師の判断を仰ぎましょう。めまいが強いときは耳鼻科、頭痛が3ヶ月以上続いているときは脳神経外科や頭痛外来も有効です。

帝王切開、無痛分娩、出血が多いなどの経過があり、退院後1ヶ月以内に頭痛が発症したときは、お産をした産婦人科に問い合わせてみるのも良いでしょう。

受診するときは、頭痛が起こった日、痛みの程度、痛む場所、ほかの症状の有無、生理開始日などをメモしておくと、より的確な診断につながります。また今までにない症状や嘔吐、発疹、脱力などがあるときは危険な頭痛の可能性があります。すみやかに救急外来を受診してください。

産後の頭痛はいつまで続いた?先輩ママの体験談

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1ヶ月ほどずっと頭痛

夜中の授乳など不規則な睡眠のせいか、産後はつねに頭痛でした。1ヶ月ほど続いたと思います。特に薬は飲みませんでした。

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産後1週間で乳腺炎になり、頭痛に襲われた

産後1週間くらいで乳腺炎になり、発熱と同時に頭痛に襲われました。あまりにつらかったので、産院から処方された弱めの鎮痛剤(カロナール)でなんとか乗り切りました。

産後の頭痛はあせらず治そう

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産後の赤ちゃんのお世話に加え、頭痛などの不調があると「早く治したい」、「どうして治らないのだろう」と気が滅入ることもあるのではないでしょうか。しかし、産後は身体と生活の両面で大きな変化が起こっている時期です。多くの頭痛は時期がくれば自然と回復していくものなので、あせらずに根気よく向き合うことが大切です。

また、冷やす、温める、ストレッチをするなどの対策で症状が軽くなれば良いのですが、つらいときは鎮痛剤を使うのも悪いことではありません。一時的に痛みが治まることで気持ちが安定し、回復に向かうこともありますよ。痛みや不安をひとりで抱え込まず、夫や家族と協力しながら頭痛と付き合っていきたいですね。

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