産後の不正出血で鮮血が続く!腹痛があると病気?生理や悪露との違いは…?

産後しばらくは生理が来ませんが、出産後に身体に残った胎盤などの組織が身体外に出る「悪露(おろ)」という出血があります。しかし、産後にはホルモンバランスの乱れや病気のサインとなる「不正出血」が起こることもあり、生理や悪露と間違えて放っておくと健康を損ねてしまうかもしれません。産後の不正出血の見分けかたについて解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 不正出血とは?
  2. 産後に鮮血が出るのはなぜ?悪露とは?
  3. 産後の不正出血の原因は?
  4. 産後の不正出血と悪露の見分け方
  5. 産後の不正出血と生理の見分け方
  6. 産後の不正出血を引き起こしうる病気
  7. 産後に鮮血が続くときは無理せず病院へ
  8. あわせて読みたい

不正出血とは?

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生理でないのに性器から出血してしまうことを「不正出血」といいます。不正出血はホルモンバランスの変化や婦人科系の病気、妊娠・出産の兆候を教えてくれる女性にとって非常に大切なバロメーターで、不正出血に注目することで身体のさまざまな変化や不調に気づきやすくなります。

不正出血の量や期間といったことは場合によるため一概にはいえませんが、産後の悪露や生理の特徴、不正出血が起こりうる病気の症状について確認し、身体の不調に早めに気づけるようにしておきましょう。

産後に鮮血が出るのはなぜ?悪露とは?

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産後に鮮血が大量に出ると、「もう出産が終わったのにどうして出血があるのだろう」、「どこかから出血しているのでは」と驚いてしまう人もいるのではないでしょうか。実は、産後に鮮血が出るのはまれなことではありません。産後には「悪露」と呼ばれるものが出てくるからです。

悪露とは

出産後にも子宮の中に残った胎盤などの組織のことを「悪露」と呼び、出産後2~3週間かけて少しずつ身体の外に流れ出ます。

最初の2~3日間は赤い鮮血が混ざった悪露が大量に出ますが、産後1週間も経てば量が少なくなり、鮮血でなく茶色い悪露が出てきます。その後はほとんど血が混ざらなくなり、黄色っぽくなります。産後2~3週間後には白や透明の、いつも通りのおりものが出るようになるでしょう。

細菌感染に注意

悪露が出るのは自然なことですが、悪露が長く続くとき、悪露の量がなかなか減らないときには注意が必要です。出産後には子宮が収縮してもとの状態に戻ろうとしますが、子宮の大きさがなかなか戻らずに回復が遅れてしまう「子宮復古不全」という状態になると、悪露の量が多くなるとともに悪露に鮮血が混ざる期間が長くなる傾向があります。

悪露は細菌が繁殖しやすい環境なので、悪露が止まらないことによって子宮内膜炎や子宮筋層炎といった子宮の炎症を併発してしまう可能性が考えられます。悪露の量がなかなか減らないときや鮮血が混じる期間が長いとき、1ヶ月経っても悪露が収まらないときには病院を受診してみましょう。産後健診の際に相談してみるのも良いでしょう。

産後の不正出血の原因は?

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出産時についた傷

産後しばらくは、出産時にできた子宮や腟の傷から出血することがあります。時間が経って傷が治癒すれば出血はなくなりますが、傷から細菌が侵入すると子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)、細菌性腟症といった子宮や腟の病気の原因となる可能性があるため、出血が続くときや出血以外にも症状があるときには1度病院で診てもらうと良いでしょう。

ホルモンバランスの変化

通常は生理が起こるまでは女性ホルモンの働きによって子宮内膜が厚く保たれ、女性ホルモンが減少すると子宮内膜が剥がれ落ち、経血となって体外に排出されます。そのため女性ホルモンのバランスが崩れると、生理でないのに出血が起こってしまうことがあるのです。産後は授乳などの影響もあり女性ホルモンのバランスが安定するまでに時間がかかるため、ホルモンバランスの変化によって不正出血が起こる可能性が十分に考えられるでしょう。

ホルモンバランスはストレスや疲れ、生活習慣の影響を大きく受けます。赤ちゃんが生まれたばかりで慣れない育児が大変な人も多いでしょうが、自分の身体をいたわりながら無理しすぎずに過ごしてくださいね。

婦人科系の病気、性感染症

子宮がんや腟の炎症といった女性特有の器官に発症する婦人科系の病気や性感染症が原因で、不正出血が起こる可能性もあります。病気によっては不正出血以外にもさまざまな症状を伴うため、不正出血が起こったときはこれまでと変わったところがないかを身体全体についてチェックしてみてください。

下腹部痛や腰痛、性交時痛、排尿時痛、排尿困難、性器のかゆみ、発熱、おりものの色・状態・においの異常といった変化があるときには病気の可能性が高いため、婦人科を受診して症状に合った専門的な治療を受けましょう。

産後の不正出血と悪露の見分け方

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産後の不正出血と正常な悪露は、どのようにして見分けることができるのでしょうか。以下のような症状がある場合には、ホルモンバランスや病気を原因とする不正出血、あるいは子宮の回復の遅れによる異常な悪露の可能性があります。確認しておきましょう。

産後1~2週間以上鮮血が出る

正常な悪露であれば、産後2~3日が鮮血の量のピークで、その後は徐々に量が減り、出なくなる場合がほとんどです。1~2週間経っても鮮血が続き、量が減らないときには悪露以外の不正出血や子宮の回復不全の可能性を疑うと良いでしょう。

産後1ヶ月以上経った後に鮮血が出る

通常は産後2~3週間経てば悪露がなくなり、普段と変わらないおりものが出るようになります。産後1ヶ月以上経過した後に鮮血が出る場合には不正出血が原因となっているかもしれません。ただし産後の回復が早い人だと産後1ヶ月程度で生理が再開することも考えられるため、生理の症状があるかどうかをチェックしましょう。

鮮血の量が多い

産後の悪露は、最初の2~3日は鮮血が大量に混ざっていても不思議ではありませんが、その後も鮮血の量が減らないときには不正出血や子宮の回復が遅れていることが考えられます。鮮血がどのくらい混ざっているかを毎日確認し、量が多いと感じたら念のため病院を受診すると良いでしょう。

腹痛や腰痛を伴う

産後の出血に加えて腹痛や腰痛、骨盤周辺の痛み、性交時痛(一般には産後1ヶ月健診までは入浴や性交は禁止されています)排尿痛・排尿困難、性器のかゆみ・刺激感、発熱、おりものの異常といった症状があるときは、子宮や腟の病気や性感染症が原因で不正出血が起こっている可能性があります。不正出血とともに身体全体の症状を把握し、隠れた病気を放っておかないようにしましょう。

産後の不正出血と生理の見分け方

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生理による出血も、産後の不正出血と見間違いやすい出血です。妊娠中は排卵が起こらず、生理がありませんが、出産後しばらくすると再び生理がはじまります。出産してから生理がはじまるまでの期間は女性ホルモンの働きに左右され、人によって異なります。産後の不正出血と生理はどのようにして見分ければよいのでしょうか。

出血が起こる時期

産後は最低でも1ヶ月程度は生理が来ないのが一般的です。産後1ヶ月~1ヶ月半後以降に鮮血が出た場合には、生理が原因かもしれません。時期だけで生理であると判断することは困難なため、期間や出血の仕方、出血以外の症状についても確認する必要があります。、母乳育児をしている場合にはホルモンの影響で生理再開が遅くなる傾向がありますので、授乳回数が多い時期に鮮血が出る場合には受診した方が良い場合があります。

出血が続く期間

生理は通常4日~7日程度で終わります。2日目~3日目に経血量がもっとも多くなり、その後減少していく傾向があります。出血が突発的に起こるだけ、あるいは1週間以上だらだらと続いて止まらない場合には、不正出血の可能性があるでしょう。

出血以外の症状

生理の場合には、出血が起こる前に乳房の張り・痛み、頭痛、腰痛、肌荒れ、イライラ、眠気、抑うつ、便秘、下痢、微熱といった生理前特有の症状がある場合があります。また、生理中には下腹部がチクチクしたり鈍痛がしたりすることがあるでしょう(生理痛)。妊娠前に経験した生理と同様の身体の症状があるときは、生理による出血かもしれません。

ただ不正出血の場合にも、腹痛や腰痛、性交時痛、排尿時痛、発熱といった出血以外の症状を伴う場合があり、病気によっては生理のときと同じような症状が出ることも考えられます。不正出血が起こったときには出血の時期・期間・出血以外の症状を全体的に確認し、病気のサインを見逃さないようにしたいですね。

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産後の不正出血を引き起こしうる病気

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産後の不正出血には病気が隠れていることがあります。不正出血はどのような病気の兆候となるのでしょうか。

女性ホルモンの分泌異常

女性ホルモンが正常に分泌されなくなる病気になると、不正出血が起こることがあります。代表的な病気には「無排卵月経」や「黄体機能不全」があり、どちらも生理不順になったり、不正出血がだらだら続いたりする点が特徴です。

「無排卵月経」とは排卵されずに出血する状態のことを指し、生理周期が極端に短くなったり長くなったり、ずっと低温期が続いたりする傾向があります。

女性ホルモンを分泌する黄体の機能が働かなくなってしまう「黄体機能不全」になると、高温期が10日未満と短くなるとともに、生理周期が短くなり生理前から少量の出血が続くことがあります。これらの病気に早く気づけるよう、基礎体温をつける習慣をつけると良いでしょう。

子宮がん

不正出血を伴う病気で特に気をつけたいもののひとつが、子宮がんです。子宮がんには、子宮の入り口部分にできる「子宮頸がん(しきゅうけいがん)」と子宮内膜にできる「子宮体がん」があります。

どちらも病状が悪化すると身体のほかの部位にがんが転移する可能性があり、末期になると治療が難しくなります。早期に発見できるよう、兆候を見逃さないこと、定期的に検査を受けることが大切です。

子宮頸がんは初期には症状がない場合が多いですが、不正出血が起こる場合があるとともに、経血量が増えたり、生理の期間が長くなったりする傾向があります。子宮体がんでは不正出血のほかに排尿痛・排尿困難、性交時痛、骨盤周辺の痛みといった症状があらわれます。これらの症状がある人は早めに検査を受けましょう。

子宮にできる良性の腫瘍

子宮に良性の腫瘍ができた場合にも、不正出血が起こる可能性があります。子宮にできる良性の腫瘍として代表的なものは子宮頸管ポリープと子宮筋腫で、子宮頸管ポリープの場合には内診時に簡単な処置でポリープを取り除いてもらうことができます。

子宮筋腫は症状がなければ治療を行わないことがありますが、生理痛が重くなる、経血量が増えて貧血になる、筋腫が大きく下腹部が圧迫されて苦しくなる、といった症状があり治療が必要だと判断されたときには、薬の投与や手術を行います。

子宮の炎症

子宮内膜炎や子宮頸管炎といった子宮の炎症も、不正出血の原因となりうる病気です。抗生物質や抗菌薬を用いた治療を行うのが一般的で、下腹部痛や腰痛、発熱、性交時痛・排尿痛といった症状を伴うことがあります。不正出血とともにこれらの症状についても確認しましょう。

腟の病気

腟がんや細菌性腟症、萎縮性腟炎になると、不正出血が起こることが考えられます。腟がんは比較的発症頻度が低いがんですが、60歳以上の人は注意すべき病気です。細菌性腟症や萎縮性腟炎は、女性ホルモンが減少する更年期以降や免疫力が低下している時期にかかりやすいといわれています。

女性ホルモンの分泌量が減るとおりものの分泌量も減り、腟の中が乾きやすくなったり細菌が侵入しやすくなったりする傾向があります。腟から細菌に感染して卵管炎や骨盤腹膜炎といった病気につながったり、早産の原因となったりすることもありえるため、体調をしっかり整えて免疫力を高めましょう。

性感染症

不正出血は、主に性行為によって感染する病気(性感染症)の症状でもあります。代表的な性感染症には、淋菌感染症(淋病)や性器クラミジア感染症、トリコモナス腟炎があげられ、病気によって発熱や下腹部痛、性器のかゆみといった症状を伴います。

おりものの変化が病気の兆候になる場合が多く、おりものが増える、明るい黄色や黄緑になる、膿や泡のような状態になる、といった変化があらわれた場合には性感染症が原因となっている可能性が高いといえるでしょう。

性感染症を予防するためには、性行為をするときにコンドームをつけるとともに、感染している疑いのある人との性行為を控えることがもっとも効果的です。

産後に鮮血が続くときは無理せず病院へ

産後には悪露があり、鮮血が出ることはめずらしくありません。しかし不正出血には思いもよらぬ病気が隠れている可能性があるため、鮮血が続く期間や時期、腹痛などの症状を注意深く確認し、身体の異常を伝えるサインを見逃さないようにしましょう。鮮血が長期間続く場合には、すぐに病院に相談してください。

赤ちゃんが生まれたばかりで大変なことが多い時期ですが、赤ちゃんだけでなく自分の身体も大切にして、ずっと元気なママでありたいですね。

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