不正出血が止まらない!続く原因は病気や更年期?子宮筋腫や子宮内膜症かも?
生理以外の出血である「不正出血」を経験したことがある人は、少なくないのではないでしょうか。不正出血が起こるのは必ずしも病気が原因というわけではありませんが、不正出血がずっと止まらない、何週間も続く、という人は専門医に診てもらう必要があるかもしれません。不正出血が止まらない原因について詳しく解説します。
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目次
不正出血とは?原因と症状は?
生理が来るはずでないのに出血があると驚いてしまいますよね。生理以外の出血のことをまとめて「不正出血」と呼び、女性ホルモンのバランスの乱れや婦人科系の病気、妊娠や出産など、さまざまな原因によって起こります。
ホルモンバランスの変化による不正出血(機能性出血)
生理が終わると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が少しずつ増え、妊娠の準備をするために子宮内膜がどんどん厚くなります。妊娠しなかった場合は女性ホルモンの分泌量が減少することで必要なくなった子宮内膜がはがれ落ち、体外に経血として排出されます(生理)。
このように、生理周期は女性ホルモンの分泌量の変化によって保たれているため、女性ホルモンの分泌量が少なかったりホルモンバランスが乱れていたりすると、生理でないのに出血が起こり、不正出血となってしまうかもしれません。ホルモンバランスは体調不良やストレス・疲労によって簡単に崩れてしまうことがあるため、基本的な生活習慣を整えて体調を良好に保つことが大切です。
婦人科系の病気による不正出血(器質性出血)
子宮の病気や腟の炎症、性感染症が原因で不正出血が起こる場合もあります。これらの病気になると不正出血以外にも腹痛や腰痛、発熱、生理の異常、おりものの変化、性器のかゆみといった症状を伴うことがあります。そのため身体の変化に敏感になり、あらゆる症状を見逃さないようにすることで病気を早期に発見できる可能性が高まるでしょう。
不正出血を伴いうる病気としては、子宮がんや子宮筋腫、子宮内膜症、腟がん、細菌性腟症、萎縮性腟炎、トリコモナス腟炎、淋菌感染症(淋病)、性器クラミジア感染症といった病気があげられます。それぞれの病気の特徴を知っておきましょう。
生理周期の中間に起こる「中間期出血」(排卵出血)
生理周期のちょうど中間あたりにある「排卵期」には、女性ホルモンの分泌量が大きく変化するため不正出血が起こることがあり、この出血を「中間期出血(排卵出血)」と呼んでいます。中間期出血は起こらない人のほうが多いといわれていますが、起こったとしても決して異常ではありません。
中間期出血では排卵後に一時的かつ少量の出血がありますが、しばらくして再び女性ホルモンのバランスが正常に戻れば出血しなくなります。
妊娠にかかわる不正出血
不正出血が妊娠や出産のサインになることもあります。具体的には、妊娠超初期に受精卵が着床するときに起こる子宮内膜からの出血(着床出血)や、妊娠後期~臨月に出産の兆候を教えてくれる「おしるし」と呼ばれる出血があげられるでしょう。
しかし妊娠中の不正出血は、流産や早産といった妊娠トラブルの兆候になる場合もあります。妊娠中の不正出血の量が多いときや出血がだらだらと続くときには、必ず病院を受診してください。
不正出血の量や期間はさまざま
不正出血の量や期間、色は場合によって異なるため、一概には言えません。突発的に大量の出血が起こることもあれば、少量の出血が何日も続くこともあるでしょう。鮮血が出る場合もあれば、茶色くなっておりものに混ざることもあります。そのため、どのような出血なら安心でどのような出血なら危険かということも断定することはできません。
しかし少なくとも言えるのは、明らかに大量の出血があったりいつまでも出血が止まらなかったり、腹痛や腰痛、性器の違和感、おりものの異常といった症状があったりするときには、必ず病院を受診すべきだということです。これらにあてはまる人は、身体のどこかに何らかの異常がある可能性が高いでしょう。
不正出血が止まらないのは病気?どんな症状がある?
子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)
不正出血を伴う可能性のある病気の中でも特に注意したい病気のひとつが子宮がんです。子宮がんには子宮頸がん(しきゅうけいがん)と子宮体がんの2種類があり、発症する場所が異なります。
子宮頸がんは子宮の出入り口付近にできるがんで、不正出血や経血量の増加、生理の長期化といった症状が出る可能性があります。ただ初期段階では症状がほとんどない場合が多いため、早期に発見するため定期的に検査を受けましょう。
子宮体がんは子宮内膜にできるがんで、「子宮内膜がん」と呼ばれることもあります。不正出血のほかに骨盤周辺の痛みや性交時痛、排尿痛、排尿困難といった症状が出ることが考えられますが、不正出血がもっともあらわれやすい症状であるといわれています。少量の不正出血が長期間続くときには、子宮体がんの検査を受けてみましょう。
子宮筋腫
子宮の内側や外側、子宮の筋肉の中にできる良性の腫瘍のことを「子宮筋腫」と呼びます。良性の腫瘍なので命を落とす危険性はありませんが、子宮筋腫だと思っていたものが「子宮肉腫」という悪性の腫瘍だったというケースもありえるため、まずは病院でしっかり診てもらうことが大切です。
子宮筋腫になると、不正出血が起こる可能性があるほか、経血量が増えたり生理痛がひどくなったり、腰痛や頻尿といった症状が出たりすることがあるでしょう。症状がない場合には治療を行わずに済むことがありますが、症状がひどかったり筋腫が大きかったりするときには薬を処方したり手術で筋腫を取り除いたりすることがあります。
子宮内膜症
卵管や卵巣、骨、腟、膀胱など、子宮以外の場所に子宮内膜の組織ができてしまうことを「子宮内膜症」と呼び、不正出血が起こることがあります。生理の時期になると通常の子宮内膜と同じようにはがれ落ち、体内にたまってほかの臓器にくっついたり(癒着)、卵巣内で出血したものが酸化して茶色になり、チョコレート嚢胞(のうほう)と呼ばれるものができたりします。
子宮内膜症は不妊につながりうることが指摘されており、重い生理痛や腰痛、性交痛、排便痛といった症状があらわれることがあるでしょう。もっとも特徴的な症状は重い生理痛で、生理痛がひどくて起き上がることすらも困難な状態が続く、鎮痛剤を飲んでも痛みがある、といったことが考えられます。あてはまる人は一度病院に行って検査を受けましょう。
子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)
子宮と腟をつなぐ子宮頸管に発症する「子宮頸管炎」も、不正出血を伴うことがある病気です。性行為などによる外的刺激が原因で子宮頸管が細菌に感染し、炎症が起こります。不正出血や性器のかゆみ、おりものが膿状になる、といった症状があらわれる可能性があります。子宮内膜炎や骨盤腹膜炎と併発するときには発熱や腹痛を伴うことも考えられるでしょう。
子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープは子宮頸管にできる良性の腫瘍で、充血していて傷つきやすい組織なので、運動や性交による刺激で簡単に出血してしまうことがあります。子宮頸管ポリープは子宮の入り口付近にあるため発見しやすく、病院に行くと内診時にすぐに切除してもらえる場合が多いですよ。
子宮腟部びらん
「子宮腟部びらん」とは、子宮の入り口付近の内側の粘膜が外側にめくれて広がっている状態を指し、不正出血やおりものの増加を伴うことがあります。女性ホルモンの分泌が活発な時期には誰にでも起こりうるもので、病気ではありませんが、症状がひどい場合には治療を行う可能性があるでしょう。
細菌性腟症
細菌性腟症は、腟が何らかの細菌に感染することによっておりものの変化や不正出血、腹痛といった症状が出る可能性がある病気です。若い世代ではホルモン分泌などが安定せず、膣内に住み着いている常在菌などのバランスが崩れて発症することがあります。特定の原因菌がないことから、「非特異性腟炎」と呼ばれることもあります。灰色がかった水っぽいおりものが出て強い悪臭を伴うときには、細菌性腟症の可能性が高いでしょう。
自覚症状が少なく気づきにくいこともある病気ですが、悪化すると卵管炎や骨盤腹膜炎、子宮内膜炎になり、不妊につながってしまうことも考えられます。早期に発見できるよう、不正出血やおりものの変化に注意しましょう。
萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)
更年期にかかりやすい腟の病気のひとつが「萎縮性腟炎」です。萎縮性腟炎とは、女性ホルモンが減少することによっておりものの分泌量が減り、腟の中が萎縮・乾燥して傷つきやすくなったり細菌の侵入を防ぐ力(自浄作用)が弱まったりして、細菌が繁殖しやすい状態になることを指します。
更年期になると女性ホルモンの分泌量が減って萎縮性腟炎にかかりやすくなるため、「老人性腟炎」と呼ばれることもあります。更年期に性交時出血があるときには、萎縮性腟炎が原因となっているかもしれません。
性感染症
性感染症になると不正出血を伴うことがあります。性感染症は性行為によって感染する場合がほとんどなので、コンドームをつけて性交を行うこと、性感染症にかかっている可能性のある人とは性交をしないことがもっとも効果的な予防法です。病気によってはタオルや下着、便器、浴槽などから感染することが考えられるため、身の回りを清潔に保ち、衛生的に良好な状態を保つことも大切です。
主な性感染症としては性器クラミジア感染症や淋菌感染症(淋病)、トリコモナス腟炎があげられ、これらの性感染症になるとおりものの異常や腹痛、発熱、性器のかゆみ・刺激感といった症状があらわれることがあります。特におりものが黄緑や明るい黄色になったり、膿や泡のような状態に変化したりしたときには性感染症の可能性が高いといえるでしょう。
女性ホルモンの分泌異常にかかわる病気
ホルモンバランスの乱れによって起こる不正出血(機能性出血)は、女性ホルモンの分泌異常にかかわる病気によって引き起こされている可能性もあります。代表的な病気としては、排卵が起こらずに月経のように出血する「無排卵月経」や女性ホルモンのひとつであるプロゲステロンを分泌する黄体の機能が低下する「黄体機能不全」があります。どちらの病気も生理不順や不正出血を伴うことが多く、不妊の原因になることもあるでしょう。
無排卵月経になると、生理周期において低温期と高温期の差がほとんどなくなりずっと低温状態が続くほか、生理周期が異常に短くなったり長くなったり、少量の不正出血がだらだらと続いたりします。
黄体機能不全のもっとも大きな特徴は、高温期が短くなる(10日未満)ことで、生理前には少量の不正出血が続くことがあるでしょう。これらの病気に気づくためには、基礎体温をつける習慣が効果的ですよ。
ピル服用中は不正出血が続く?
ピル服用中に不正出血が起こることがある
ピルの服用中に、生理が来ないはずなのに出血が起こり、不思議に思ったことがある人は少なくないのではないでしょうか。ピルには女性ホルモンが配合されているため、ピルを飲んだり飲むのをやめたりすることで体内の女性ホルモンのバランスが変化して不正出血が起こることが考えられます。
ピル服用中の不正出血の原因は?
ピルの飲みはじめには、生理を無理やり止めることによって子宮の中ではがれはじめていた子宮内膜が少しずつ体外に排出されることがあるほか、エストロゲンという女性ホルモンが一気に増えることで厚くなった子宮内膜を保つことができずに出血する可能性があります。
また、ピルを飲み忘れると女性ホルモンが減ることで子宮内膜が維持されにくくなり、はがれて不正出血につながることがあるでしょう。
不正出血が続くときは病院へ
ピルの服用中の不正出血は異常ではありませんが、ピルを数ヶ月間継続して服用しているのに不正出血がなくならない場合や、出血がいつまでも続いて止まらない場合、あまりにも出血量が多い場合には、病院に相談してみましょう。
更年期にはホルモンバランスが乱れて不正出血が続く?
更年期とは
閉経前後の約5年間は、女性ホルモンの分泌量が減って女性の身体にさまざまな変化があらわれる時期です。この時期を「更年期」と呼び、更年期に起こる身体的・精神的不調をまとめて「更年期障害」と呼びます。
更年期障害の主な症状には、のぼせ、ほてり、発汗、不眠、息切れ、動悸、抑うつ状態、恐怖感、疲労感、不安感、肩こり、腰痛、関節痛、手足のしびれなどがあります。
更年期には不正出血が起こりやすい?
更年期になると女性ホルモンの分泌量が減少してホルモンバランスが崩れやすくなることから、子宮内膜を維持するはたらきが低下して不正出血が起こりやすくなる傾向があります。
不正出血をはじめとする更年期の症状がひどい場合には、足りないホルモンを補充する治療を行うことも考えられるでしょう。更年期は誰にでもあるからといって、つらいのに無理をするのではなく、病院で適切な治療を受けて症状を和らげることも大切です。
婦人科系の病気にも注意
女性ホルモンのバランスが崩れやすい更年期ですが、加齢が進んで婦人科系の病気にかかるリスクも大きくなります。不正出血が起こったときにはホルモンのせいだとすぐに決めつけるのではなく、病気が原因の不正出血でないかどうかを確かめましょう。更年期以降はとくに子宮体がんの発症が増える年代です。
特に、不正出血以外で病気の兆候となる症状がある、不正出血がずっと続いている、不正出血の量が明らかに多いといった傾向があるときは、ためらわずに医師に相談してください。
不正出血が続くときはひとりで判断しないで!
不正出血を引き起こす原因はさまざまで、すぐに治療を要する病気のこともあれば、誰しもが経験しうる生理的な出血のこともあるでしょう。しかし、不正出血が止まらずだらだらと続くときは身体に何かしらの異常があると考えるのが一般的です。たいしたことはないだろうと放っておくと、病気が進行して治りにくくなってしまうことが考えられます。
自分の身体の異常にいち早く気づくためには、普段から自分自身が敏感になるしかありません。忙しくてなかなか病院に行けないという人もいるかもしれませんが、不正出血がなかなか止まらない場合、長期間続く場合には、必ず早めに病院で診てもらってくださいね。