後陣痛はいつまで?痛みを和らげる方法5選&体験談【助産師監修】
産後数日のあいだママを悩ませる「後陣痛」。子宮が元の状態に戻っているサインで、多くのママが経験するものですが、つらい痛みに耐えきれないママも多いようです。痛みが続く期間や経産婦などケース別の特徴、痛みを和らげる5つの方法、痛み止めの使用についてなど、後陣痛にまつわる疑問に先輩ママの実例・体験談を交えつつお答えします。
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この記事の監修
目次
後陣痛とは?
妊娠すると、胎児の成長にともなって子宮がどんどん大きくなり、出産直前には妊娠前の5倍程度の大きさ、10倍以上の重さになります。また分娩後は、子宮内の胎盤がはがれた部分から出血します。このように、妊娠・出産によって子宮は大きく変化します。
大きくなった子宮が産後に妊娠前の状態に戻ることを「子宮復古」といい、子宮を復古させるために子宮が収縮するときに感じる下腹部の痛みを「後陣痛(こうじんつう)」と呼びます。子宮が収縮すると血液が悪露として体外に排出されるとともに、子宮内の血管の断面が圧迫されることで止血が進みます。
・子宮復古を促すための子宮収縮による不規則な痛みを「後陣痛(こうじんつう)」と呼ぶ。
・後陣痛は胎盤がはがれた部分からの出血を止めるとともに、子宮の大きさを戻す効果がある。
後陣痛はいつまで?ピークは?
後陣痛は一般的には産後2~3日で和らぎます。出産直後はとくに子宮が大きく疲労度も大きいため、収縮の程度も大きくなり、後陣痛も強く感じられる傾向があります。しかし、後陣痛の症状が続く期間やピークの時期、痛みの間隔には個人差があり、必ずしも一般的な傾向のとおりになるとは限りません。産後2~3日を過ぎても痛みが続いた人や、出産直後は強い痛みを感じなかったものの、あとから痛みが気になるようになったという人もいます。多少の違いは気にしないようにしましょう。
・後陣痛は産後2~3日で終わることが多い。
・出産直後がピークとなるケースが多い。
・期間やピーク時期、間隔には個人差がある。
後陣痛はどんな痛み?ママの実例
例1.生理の痛みと似ていました
後陣痛の痛みは「生理の痛みに似ている」とよくいわれます。これは、生理痛も後陣痛も子宮の収縮が痛みの原因となっているためです。
産後1〜2日目かなり重い生理痛くらいの痛みでしたが、出産で陣痛という最大の痛みを味わった後だったので、それほど辛いとは感じませんでした。
例2.歩くと痛いし、眠れないこともありました
足の付け根や腰回りが痛いと感じる人もいます。歩けないくらいにつらい痛みを感じるケースもまれではありません。
例3.陣痛くらいに強い痛みを感じました
出産時の陣痛と同じくらい、あるいは陣痛よりも痛みが強く感じられたという人もいます。強い痛みでよく眠れない日が続いたという体験談もあります。子宮の収縮の度合いも痛みの感じ方も人それぞれなので、痛みの強さには個人差があります。あまりの激痛で耐えられない場合を除いては、問題ない場合がほとんどといえるでしょう。
強い生理痛、もしくは初期の陣痛のような、子宮がキューッと締め付けられる痛みでした。いたたたた…とお腹を押さえたくなるような感じで、産後は他にも身体のあちこちが痛かったこともあり、つらかったです。医師に「後陣痛は子宮の戻りが良い証拠だよ」と励まされ、安心できました。
例4.便秘や下痢、排尿痛の痛みとの区別がつきにくかったです
便秘や下痢の痛みや排尿痛、排便痛などと後陣痛の区別がつかないケースもめずらしくありません。産後はホルモンバランスが大きく変化し、後陣痛に限らず身体にはさまざまな諸症状があらわれるためです。痛みがよくわからなかったという人はしばしばいるため、心配しすぎる必要はないでしょう。
産後すぐはお腹に大きな保冷剤をのせられていたので、痛さより冷たさのほうが勝ってましたね。下腹部よりも会陰切開された場所と、出産数日後の産後の健診で判明した痔が痛かったです。下腹部も産後2~3日は痛かったと思うのですが、極度の貧血を起こしていて意識朦朧としていたというのが正直なところです。
例5.ほとんど痛みを感じなかったので逆に心配になりました
後陣痛の痛みをほとんど感じない人や、痛みはあるものの軽くてあまり気にならない人もいます。後陣痛は痛いと聞いていたにもかかわらず、産後に痛みがあまり感じられないために心配になるママもいるようです。痛みの感じ方には個人差がありますし、痛みがなくてもとくに問題なく産後を過ごしている方がほとんどです。気にしすぎないようにしてくださいね。ただし、数週間経過しても悪露が大量にみられたり、塊が出たりする場合には、子宮復古が上手く進んでいない可能性があります。産婦人科医に相談してみましょう。
経産婦・帝王切開など、ケース別の後陣痛の特徴
経産婦(二人目)のケース
経産婦は初産婦よりも後陣痛が強くなる傾向があります。経産婦は初産婦よりも子宮が大きくなりやすく、疲労度も大きいため、もとの状態に戻すための収縮の度合いも大きくなるためです。
帝王切開のケース
帝王切開のケースでも、後陣痛は起こります。帝王切開後はさまざまな合併症をともなう可能性があり、また手術した部分の傷の痛みもあるため、さまざまな痛みに悩まされる方が少なくありません。後陣痛か傷の痛みか区別がつかないということもあります。身体が回復するまではつらい状態が続くかもしれませんが、自分をいたわりながらつらくないように過ごしましょう。
双子出産(多胎妊娠)のケース
双子の出産ではひとりだけを出産するときよりも子宮が大きくなるため、経産婦のケースと同様に子宮収縮の度合いが大きくなります。そのため痛みも強くなるのが一般的です。双子でなくても、赤ちゃんの身体が比較的大きい場合や巨大児の場合など、子宮が大きくなるケースほど後陣痛が強い傾向があります。
授乳中のケース
授乳時は後陣痛が強くなる傾向があります。母乳を出するために分泌される「オキシトシン」というホルモンが、後陣痛を促進するためです。授乳が終わると後陣痛もなくなっていきます。
無痛分娩のケース
無痛分娩だった人は分娩時に痛みをほとんど感じないため、分娩の強い痛みを経験している人と比べると後陣痛がつらく感じられるケースがみられます。同じくらいの痛みであっても、より強く感じられるかもしれません。
後陣痛の痛みを和らげる方法5選
後陣痛の痛みによって歩くことや眠ることなど、日常生活の中で避けることができない動作までつらくなってしまう人もいます。できるものなら痛みを緩和したいですよね。後陣痛を軽減する方法はあるのでしょうか。具体的な対策を5つ紹介します。
楽な姿勢を心がける
産後は後陣痛があってもなくても、身体が大きなダメージを受けています。起きているときも寝ているときも、無理せずできるだけ楽に感じる姿勢で過ごしましょう。寝るときは仰向けに寝てひざを曲げてみたり、腰の下にクッションを入れて骨盤を持ち上げてみたり、いろいろ試してどのような姿勢が楽か探ってみてください。うつぶせ寝もしてはいけないわけではありませんが、帝王切開で傷が痛む場合など、状況によっては好ましくないケースもあるため注意が必要です。
ツボ押しをやってみる
痛みの緩和に効果があるとされるツボ押しに挑戦してみるのもおすすめです。自分で押すのが難しい場合は、家族に手伝ってもらったり、助産師、理学療法士などにお願いしたりすると良いでしょう。腰痛の緩和するツボの代表格である「腎兪(じんゆ)」、月経痛など女性特有の悩みに効果的とされる「三陰交(さんいんこう)」や「次髎(じりょう)」などを指圧するのがおすすめです。これらのツボを温めながら押してみても良いでしょう。
アロマでリラックスする
心身をリラックスさせることも、痛みの緩和につながることがあります。寝る前などの好きなタイミングで、アロマの香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。アロマオイルを使って身体をマッサージするのも良いリフレッシュになりますよ。ただし、皮膚への刺激が強いものや原液のままでなく薄めて使用するものなど、アロマにはさまざまな商品があります。また、アロマの中にはホルモン作用があるために妊娠中や産後は避けたほうが良いとされるものも存在します。専門家に相談してから使用すると安心です。
身体を温めて血行を促進する
身体を温めると血行が促進され、痛みが和らぐ場合があります。痛みを感じている下腹部付近をやさしくさするだけでも、じんわりと温かくなってなんとなく楽になったという人もいますよ。身体を温めると筋肉の緊張がほぐれ、リラックス効果にも期待できます。カイロやハーブティーを活用したり、足湯など気軽にできることから試したりと、自分の好きな方法で取り組んでみてください。
さらしやクッションなどのグッズを活用する
腰の周りにさらしを巻いたり、座っているときや睡眠中に枕やクッションの使い方を工夫したりしたことで、痛みが和らいで楽になったというママもいます。グッズを上手に活用していきましょう。産褥ニッパーや骨盤ベルトを使用している方でも、自分に合わない商品を使用していたり、締め付けが強すぎたりすると後陣痛の痛みが助長されてしまうことがあります。助産師さんや経験者のママに相談しながら、自分が一番心地良く使えるアイテムを探してみましょう。
後陣痛で痛み止め薬は使用できる?効かないことも?
後陣痛を和らげるといっても、自分でできる範囲には限界がありますよね。つらいときは、我慢しすぎず医師に相談しましょう。病院で授乳中でも使用可能な痛み止め薬を処方してもらえば、楽になるかもしれません。
鎮痛剤にはおなじみのロキソニンやボルタレンなどいろいろな種類があり、薬の強さや効き方はそれぞれ異なります。ある人には効いた薬が別の人には効かない、ということもめずらしくありません。
効き目が弱い場合は、再度相談すれば薬を変えてもらえることもあります。また子宮収縮剤を使っているために後陣痛が強くなっている場合には、子宮の収縮状態が良ければ、子宮収縮剤を中止するケースもみられます。自然の痛みである後陣痛は、薬を飲んでもあまり効かないこともあります。「子宮が元に戻っている」と前向きに捉えられると良いですね。でも、あまりにも痛くて困ったときには医師や助産師、看護師などの専門家に頼りながら、痛みに対処していきたいですね。
産院から3日分鎮痛剤(ロキソニン)が出されていました。痛みを感じたときに飲むと、すぐに症状が和らぎました。産後3日目頃には薬を飲まなくても耐えられるくらいの痛みに治まっていきました。
病院にもらった鎮痛剤(母乳に影響がないもの)を毎日飲んでいました。薬を飲むと痛みは気にならなかったです。
つらい後陣痛への特効薬は自分にやさしくすること
後陣痛は出産後にはだれでも経験しうる痛みですが、続く期間や痛みの強さ・感じ方には個人差があります。他の人と比較して不安になりすぎたり、他の人が耐えているからといって我慢しすぎたりしないようにしてくださいね。つらいときには医師に薬を処方してもらうとともに、自分にやさしくすることから始めてみましょう。身体が休まらないほどの痛みは、我慢する必要がありません。
初めての育児や産後の不調でいっぱいいっぱいになってしまうこともあるかもしれませんが、誰もがそうなのです。完璧を求めすぎず、上手く手を抜いたり人に頼ったりしていけると良いですね。
・後陣痛は子宮復古のために2~3日続く
・生理痛のような痛みと感じる人が多い
・経産婦、双子出産、授乳中の場合は痛みが強くなりやすい
・薬は必ず医師に処方してもらおう
・一番の痛み対策は自分が楽に過ごせるように工夫すること