【産婦人科医監修】産後の排卵痛がひどい原因と対処法!産後の排卵はいつから?

出産前は排卵痛がなくても、産後に排卵痛で悩むママは少なくないようです。なぜ、産後に排卵痛がひどくなるのでしょう。ただの排卵痛と感じていたものが、別の病気がひそんでいる可能性もあります。ここでは、排卵痛のメカニズムと産後に排卵痛を感じる原因、排卵痛の対処法、その他に考えられる病気についてご紹介します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 排卵痛とは
  2. 産後の排卵痛がひどくなる原因
  3. 排卵痛の対処法
  4. 病気のサインの場合も
  5. 産後の排卵はいつから?
  6. 排卵痛がつらい!我慢せず病院を受診しましょう
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排卵痛とは

排卵痛には個人差があり、ひどく痛みを感じる方もいれば全く感じない方もいます。ここでは排卵痛について説明します。

排卵痛の原因

排卵痛の原因として「排卵前の卵巣の腫れ」「女性ホルモンの変化」「排卵による出血」があげられます。

女性の身体は、排卵を起こすために卵巣が大きく膨らみます。そのため、排卵時には、卵巣の腫れに似た症状が出て、痛みを感じる場合があります。その後、卵子は卵胞を突き破って排出されるので、そのときに痛みを感じる方もいるでしょう。

また、毎月排卵を行っている卵巣は非常にデリケートになっているので、傷がついて出血をする場合があります。これも痛みの原因のひとつです。卵巣からの出血が、痛みに敏感な組織である腹膜を刺激するため、少量の出血でも痛みを感じやすいのです。

排卵痛は排卵による身体の変化が引き起こす痛みであり、排卵が終われば自然と痛みは治まっていくものです。排卵痛が起こること自体は異常なことではないので、心配する必要はありませんよ。

排卵痛が起こる時期

排卵痛の場合は、排卵日の何日前からか下腹部のあたりが痛み始めます。また、その痛みを感じる時期には3つのパターンがあり、「排卵前」「排卵の瞬間」「排卵後」で痛みの原因が異なります。

■排卵前
卵巣が成熟して大きくなるため、腫れを伴う痛みを感じる場合があります。

■排卵の瞬間
排卵する際に、卵子は卵胞を突き破って排出されるため、痛みを感じやすい瞬間です。

■排卵後
排卵によって卵巣が腫れる場合があり、それが痛みの原因となります。また、排卵後は少量の出血を伴うので、痛みを感じやすくなる時期です。

排卵痛はどんな痛み?

排卵痛には個人差があり、少し違和感を覚える程度の痛みや、生活に支障が出るくらいひどい痛みを感じる方もいます。排卵日の数日前に、下腹部にひきつれるような痛みを感じる人が多いようです。

腰痛、骨盤痛が起こる場合もあります。初めは軽くズキズキと痛む程度ですが、時間が経つにつれてひどい痛みに変わり、同時に腰痛もひどくなります。まれに頭痛が起こる人もいるようです。

排卵が終わった後も数日じんじんと痛むという人もいますし、1ヶ月の約半分は排卵痛と生理痛に悩まされる人もいます。排卵痛の症状や痛みの程度は、人によってさまざまです。

排卵出血

排卵のときに、排卵痛だけでなく排卵出血を引き起こすことがあります。排卵出血は、生理と次の生理の間に出血することから、中間期出血とも呼ばれています。

排卵の時期になると、卵胞期に増加していた卵胞ホルモンの分泌が一時的に減少します。排卵に伴って子宮内膜から出血することがあり、この症状を排卵出血といいます。

また、排卵により卵巣の壁に傷ができたことで、卵管から子宮をつたって出血することがあります。排卵出血の場合は、出血量が少なく2~3日程度で止まるでしょう。排卵出血は、排卵痛と同様に生理的現象であって病気ではないので、心配はいりません。

排卵痛と生理痛の違い

排卵痛と生理痛、痛みの症状は似ていますが、メカニズムは全く違ったものとなります。生理痛は、子宮内膜を排出するために、経血を押し出そうと子宮が収縮して起こる痛みや、ホルモンバランスの崩れにより、骨盤内がうっ血することで起こる痛みなどが原因です。

排卵痛は、排卵期に卵子が卵胞を破って排出されるときに起こります。また、生理時には子宮収縮を起こすために、「プロスタグランジン」というホルモンが分泌されますが、排卵時にはプロスタグランジンは分泌されません。

■筆者の体験談
筆者も出産後に「排卵痛」を感じています。産前は「排卵痛」を感じることはまったくありませんでしたが、産後ははっきりとわかるようになりました。急に下腹部がキリキリと痛み、びっくりしました。登録していた生理日予測のアプリで調べてみると、まさに「排卵日」でした。

産後に感じるようになったのでとても不思議でしたね。この痛みは、個人差があるようで、立てないくらい痛むという人もいるようです。

産後の排卵痛がひどくなる原因

出産前は排卵痛を感じなかったのに、出産後、急に排卵痛を感じるようになったというママは少なくないようです。なぜ産後に排卵痛が起こりやすくなるのでしょうか。

排卵痛や排卵時の腰痛の原因は、出産による骨盤のゆがみや、ホルモンバランスの乱れが原因として考えられます。骨盤がゆがむことで卵巣機能が低下し、ホルモンバランスが崩れているともいえます。ホルモンバランスの乱れを改善していくことで、排卵痛も軽減されるでしょう。

出産によって骨盤を広げたり縮めたりした産後の女性は、骨盤のゆがみから卵巣の働きに影響が出て、排卵痛を感じやすくなっています。

排卵痛の対処法

適度な運動をする

排卵痛を感じやすくなる原因のひとつに、身体の冷えがあげられます。身体を冷やさないためには、適度な運動が重要です。ハードな運動は必要ないので、日頃からストレッチやウォーキングをとり入れると良いでしょう。また、排卵痛を感じるときは身体が冷えているサインでもあるので、なるべく身体を温める服装を選ぶことも大切ですよ。

食生活に気を付ける

排卵痛を緩和させるには、食生活にも気を付ける必要があります。身体の冷えが排卵痛を感じる原因にもなるので、できるだけ身体を冷やさない食べ物を積極的にとり入れましょう。生姜や根菜、ねぎなどは、身体を温める効果があるのでおすすめです。

また、大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンによく似た働きをするため、ホルモンバランスの改善が期待できます。おからや豆腐、納豆なども積極的に摂取すると良いでしょう。

半身浴で身体を温める

排卵痛を感じやすくする身体の冷えを改善するためには、半身浴がおすすめです。38~40℃のぬるめのお湯に20分以上ゆっくりと浸かりましょう。身体を温める効果があるアロマや入浴剤を入れてみるのも良いですね。身体を温めるだけでなく、リラックスした空間がホルモンバランスを崩す原因となるストレスも改善してくれるでしょう。

婦人科を受診する

生活に支障がでるくらいひどい排卵痛を感じるようであれば、婦人科を受診しましょう。病院での治療や対処法は、低用量ピルや漢方、ホルモン剤、鎮痛剤といった薬を処方してもらえます。出産後、家事と育児で忙しいママは、無理は禁物です。つらい症状があるときは、迷わず受診してくださいね。

整体で骨盤のゆがみを矯正

産後の排卵痛の原因には、骨盤のゆがみがあげられます。そのため、骨盤のゆがみを整体で矯正することで、痛みを解消することができます。

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病気のサインの場合も

排卵痛が強い場合、その痛みは何らかの病気のサインかもしれません。腹痛を感じる場合に考えられる病気には、卵管炎があげられます。卵管炎が酷くなると、卵管の働きを傷つけ、不妊症の原因にもなりかねません。

■排卵痛と病気に関する体験談
筆者の友人から、出産後の排卵痛がひどくて婦人科を受診したところ、検査で「卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)」が発見されたという話を聞きました。排卵痛の痛みがあまりに強かったり、不正出血がみられたりする場合は、すぐに婦人科を受診しましょう。

卵巣出血

排卵から出血がある時期に、性交渉が原因で激しい腹痛をともなう卵巣出血を引き起こすことがあります。卵巣出血はいつでも起こる可能性がありますが、ほぼ90%が排卵の終わった後から生理が開始するまでの黄体期に起こりやすいといわれています。

卵巣出血になると、出血性黄体のう胞という血液が黄体の中に溜まって黄体が膨れることで、腹痛を感じることがあります。さらに、性交渉で黄体が破れるとお腹に血液が溜まり、激しい腹痛を感じます。血液がお腹の腹膜を刺激するため、激痛となるのです。出血の量により痛みの感じ方は違いますが、腹痛以外にも吐き気や下痢、嘔吐などの症状が出る場合があります。

子宮内膜症

子宮内膜症は、20代~40代に多くみられる頻度の高い病気です。子宮内膜症とは、本来子宮内腔になければならない子宮内膜が、子宮筋層や卵巣、腹膜といった別の場所にできてしまうことです。

生理時に子宮内膜は剥がれ落ちて排出されますが、出口のない別の場所にある子宮内膜は排出できず、出血を繰り返します。本来なら出血しない場所に子宮内膜があるため、炎症反応を引き起こし、本来別々にわけられていなければならない臓器同士が癒着してしまうのです。この臓器の癒着が排卵痛や腰痛を引き起こしていると考えられます。

卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)

卵巣は、子宮の両側に左右ひとつずつあり、どちらかの卵巣の中に分泌物などの液体が溜まる病気を卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)といいます。卵巣嚢腫の場合、ほとんど自覚症状がありません。そのため、別の病気で受診しているときに偶然見つかるケースも少なくないようです。

卵巣嚢腫がこぶし大くらいの大きさになって、初めて下腹部に違和感を覚えるようになりますが、まだこの段階でも自覚症状がないこともあります。卵巣が大きくなると、腹部を引っ張られるような痛みや腰痛を引き起こします。

卵巣嚢腫が5~6cm以上の大きさになると重みで捻じれる危険があります。これを卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)といいます。卵巣嚢腫茎捻転を引き起こすと、急激な腹痛や吐き気をともない、手術が必要となるでしょう。

骨盤腹膜炎

骨盤腹膜炎は、性行為感染症の一種といわれています。子宮や卵管、またはその周りの組織が炎症を起こしているときに、クラミジアなどの性行為で感染する菌が原因で起こる症状と考えられています。骨盤腹膜炎を発症すると、下腹部痛や発熱、おりものが増えるといった症状があらわれます。

骨盤腹膜炎の発症を繰り返すと、不妊となる可能性が高いため、予防対策が必要でしょう。もちろん女性だけでなくパートナーから再感染する可能性もあるため、パートナーの治療も大切です。

産後の排卵はいつから?

産後の排卵はいつから始まるのでしょう。一般的に、授乳中は卵巣機能が低下しているため、無排卵無月経の状態となります。授乳期間が短いほど生理が開始される時期が早まり、授乳をしていない場合で産後2~4ヶ月で生理が開始するといわれています。授乳している場合でも、産後6~10ヶ月ほどで生理が開始するようです。

また、産後初めての生理の場合、約30%は無排卵といわれています。その後、2回目の生理では80%、3回目の生理では95%と、ほとんどの産後の女性の生理で排卵されています。

排卵痛がつらい!我慢せず病院を受診しましょう

出産は命がけのため、産後の排卵痛の原因ともなる骨盤のゆがみやホルモンバランスが崩れることは仕方がないものです。冷えや骨盤など、身体のメンテナンスも大切にして自分の身体もいたわっていきたいですね。

あまりに排卵痛の痛みがひどい場合は、病気がひそんでいる可能性があります。病気によって不妊症になることもあるので、早期発見・早期治療のためにも、病院を受診するようにしてください。出産後は育児でいっぱいかもしれませんが、ママのためにも、家族のためにも、自分の身体の不調には耳をかたむけてくださいね。

※この記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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