妊婦の血圧の目安とは?低血圧・高血圧の症状、原因、対処法

妊婦健診に行くと、体重測定とともに毎回行われる「血圧測定」。それだけ妊娠中には「血圧」が重要視されているのです。ここでは、妊娠中の血圧の目安、低血圧・高血圧になる原因と対処法について解説します。ままのてユーザーへのアンケート結果や、体験談もご紹介します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠中の血圧の目安
  2. アンケート:妊娠中に血圧が高いと指摘されたことはありますか?
  3. 妊娠中の低血圧
  4. 妊娠中の高血圧
  5. 病院へ行く目安
  6. 妊娠中の血圧値を意識しよう
  7. あわせて読みたい

妊娠中の血圧の目安

妊娠中は、通常の血圧とは違う「妊娠中の血圧」というものがあります。妊娠中の血圧は、特に母体と赤ちゃんを守る上でとても大切なものです。しっかり、「妊娠中の血圧」について知っていきましょう。

至適血圧

至適血圧:120/80mmHg未満

至適血圧は、「妊娠中に望ましい血圧値」を指します。母体や赤ちゃんに負担をかけることがなく、脳梗塞や心臓病、肝臓病の病気リスクも低い血圧値です。この血圧であれば、とても健康で安心と言えます。

正常値

正常値:130/85mmHg未満

正常値とは、年齢にかかわらない、妊婦の血圧の正常値です。こちらも、この血圧であればひとまず安心と言えます。

正常高値

正常高値:140/90mmHg未満

正常高値とは、妊娠高血圧症候群手前の危ない数値のことです。日々の生活を見直し、血圧の改善につとめましょう。

「血圧が上がったのが後期からだったのですが、140位あったと思います。健診行くたびに何度も血圧を測りなおされ、どんどん脚が浮腫んできたので、健診のたびに薬の量が増えました。塩分はあまり取っていなかったのですが、それでも血圧が上がるので、何度も食事を注意され、何を食べたら良いかわからなかったです」
(花ちゃん/出産当時21歳)

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群:140/90mmHg以上

問題は、妊娠高血圧症候群であった場合です。妊娠20週以降、分娩後12週までに140/90mmHg以上の高血圧になると、妊娠高血圧症候群と診断されます。

「妊娠5ヶ月ぐらいから血圧が少し高いねと医師から言われ、適度な運動、食事管理をしていました。8ヶ月に入ったころには血圧も安定し安心していたのですが、里帰り出産のために早めに実家に帰り、出産する病院を探していました。その日にゾウのような足になり、靴も履けなくなりました。浮腫がひどく痛みもあったので近くの総合病院で診てもらったら、即入院、中毒症と言われました」
(バスクラ/出産当時28歳)

アンケート:妊娠中に血圧が高いと指摘されたことはありますか?

ままのてユーザーの先輩ママ123人にアンケートをとったところ、妊娠中に高血圧を指摘された人は86.1%でした。原因はさまざまですが、しっかり対処して高血圧が続かないようにしたいものです。高血圧になる時期によっては、母子ともに危険な状態になることもあるので注意が必要です。

妊娠中の低血圧

血圧が低いときの症状

妊娠中、高血圧がよく話題にでてきますが、低血圧も問題です。血圧が低いときには、「めまい」「疲れやすい」「むくみ」などのトラブルが起こりやすくなります。

「妊娠中の血圧は大体収縮期が120mmHg、拡張期が80mmHgくらいでした。大変だったのは、妊娠中にストレスで自律神経がおかしくなってしまい、めまいと吐き気を感じて病院に行ったところ、収縮期が75mmHgまで下がってしまっていたことです。出血や胎動がないなどの異常がなかったので、点滴だけで様子見になりました。」
(nao_10130/出産当時26歳)

血圧が低い原因

妊娠中、血圧が低い原因となるのは、「つわり」による水分量摂取の低下、「貧血」による血圧の低下があります。妊娠中期から後期には子宮が大きくなり、周辺の静脈が圧迫されることで、血液の循環が悪くなって低血圧を引き起こすことがあります。

血圧をあげるには?

血圧をあげるためには、「水分の摂取」と「貧血の予防」を心がけましょう。また、「睡眠をしっかりとる」ことも大事です。

「普段低めの90/60mmHgくらいで、妊娠中も90~100/60~70mmHgとほぼ変わらずだった。一度、病院まで徒歩(1時間半)で行き着いてから体調が悪くなり、回復してきたころに血圧を計ったら70/50mmHgだった。貧血が起きると血圧がぐんと下がって具合が悪くなるため、鉄剤を服用して貧血が起きないようにしていた。」
(そらまめ/出産当時28歳)

妊娠中の高血圧

高血圧のリスク

高血圧であれば、胎盤や子宮内の血流が悪くなり、十分な酸素が胎児に行かないので、赤ちゃんの育ちが悪くなります。また、酸素が行かない状態が続くと、赤ちゃんは低酸素状態となり、赤ちゃんの脳にも影響を与えてしまうのです。

最悪のケースでは赤ちゃんが死亡してしまうことも考えられます。また、ママは脳出血などをおこすリスクも上がってしまい、母子ともに命の危険にさらされる場合もあります。

血圧が高い時の症状

血圧が高いときの症状には、「尿たんぱく」「むくみ」「頭痛」「めまい」「倦怠感」などがあります。気になる症状があれば産婦人科で相談しましょう。

「臨月に一度、上が130mmHgをこえたことがあり「塩分は控えてね。薄味でね」と医師に言われて、短い間注意していました。頭痛があり、視界に度々変なものが写って(閃輝暗点)体調不良で悩まされたけれど、出産したら治りました。あのまま放っておいたら妊娠高血圧症候群になっていたのかなと、あとになってゾッとしています。」
(mrgray/出産当時35歳)

血圧が高い原因

妊娠高血圧症候群の原因は、まだよくわかっていません。何らかの原因で赤ちゃんにうまく血液がいかず、無理に母体から赤ちゃんに血液を流そうとして血管に圧力がかかるため、高血圧になってしまうのではないかといわれています。

「遺伝」もあるという意見も聞かれ、母親が妊娠高血圧症候群だった場合、その子こどもが高血圧症候群になる可能性は、他の人に比べて5倍高くなるといわれています。

血圧を下げるには?

緊急性のない軽症の場合、基本的には食事療法がとられます。食事療法は、塩分摂取量を1日7~8g、たんぱく質も「理想体重×1g」にし、それ以外はBMI値によってカロリーを決めた食事をします。

重症で緊急性のある場合は入院し、食事療法に加えて薬物療法も行われるでしょう。症状が落ち着かない場合は母体の安全を優先するので、赤ちゃんが大きくなっていなくても分娩となる場合があります。

症状が悪化して大変なことにならないように、日ごろから「食事のバランスをよくする」「できるだけ安静に過ごす」「体重増加に気を付ける」ということを意識して過ごしましょう。

「妊娠初期は上が90くらいで平常の血圧でしたが、妊娠後期になるにつれてどんどん血圧が上がっていって140を越えました。血圧が上がってくるとむくみや頭痛もして、ただでさえ妊娠中は体がだるいのでとてもしんどかったです。結局140を越えて入院になりました。入院中は味気ないご飯で塩分をコントロールし、血圧は一週間で120まで下がりました。」
(なお/出産当時32歳)

病院へ行く目安

気になることがあるとき

病院に行く目安としては、妊婦さん自身に気になることがあるときです。たとえば、「胎動が減った」「軽い出血があった」など、少しでも気になるときは、まず病院に行ってください。結果的に何もなかったとしても、何もないことを確認することも大事です。

身体の変化や不調があるとき

「だるい」「むくみ」「立ちくらみがする」「目がちかちかする」などの身体の変化や不調があるときも、病院に行きましょう。

血圧計での数値の異常があるとき

医師から血圧測定の指示を受けている場合、血圧計で測ったときに急激な低下や上昇があれば、できるだけ早く病院に行きましょう。

妊娠中の血圧値を意識しよう

毎回の妊婦健診はきちんと受ける

一番大事なことは、毎回の妊婦健診をきちんと受けることです。適切に検査を受けていれば、血圧の変化や尿の変化にも気づくことができます。ちょっとした気になることは、妊婦健診できちんと先生に聞いてみましょう。

自分の血圧値を把握しておく

自分の血圧値をきちんと把握しておくことも忘れないでください。母子手帳に記入してもらった血圧を確認してみましょう。妊娠中の血圧の数値は、妊娠前とは違う数字となっている人がほとんどなので、再度確認しておくと安心です。

血圧値に異常が出たときを意識する

どのような行動をしたときに血圧が高くなったのかをメモしておくのも良いですね。血圧が高くなりやすい行動がわかれば、その行動を減らすように心がけましょう。

母子手帳を持ち歩く

妊娠中の血圧値は、その妊婦さんを知る上でとても大事なことです。血圧が記載されている母子手帳はいつも持ち歩きましょう。事故や怪我があったときに必ず役に立ちます。

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