【体験談】妊娠中に息苦しくなる原因と対処法|産婦人科医監修
産婦人科医監修|妊娠中に「息苦しい」と感じたことがある妊婦さんは、少なくないでしょう。特に妊娠7ヶ月から臨月ごろには、息苦しさや動悸・めまいを感じる人が増えるようです。妊娠中に息苦しいと感じる原因と対処法について体験談を交えながら解説します。パニックにならず、落ち着いて対処していきましょう。
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目次
妊娠中に息苦しさを感じるのはいつからいつまで?
息苦しさを感じ始める時期は?
妊娠中の息苦しさは、お腹が大きい妊婦さんであればよくある症状だと考える人もいますが、決してそうではありません。妊娠後期(妊娠8ヶ月・9ヶ月・10ヶ月)だけでなく、早い人では妊娠初期(2ヶ月・3ヶ月・4ヶ月)から息苦しいと感じ始める人もいます。
一般的には、妊娠中期(妊娠5ヶ月・6ヶ月・7ヶ月)ごろから息苦しさを感じ始めるケースが多いといわれています。息苦しいだけでなく、動悸・めまい・汗をかく・過呼吸になる・パニックになるといった症状が同時に現れる人もいます。
息苦しさを感じなくなる時期は?
妊娠中の息苦しさや動悸には、さまざまな原因が考えられます。このため原因によって、対処法が異なる場合があります。同様に息苦しさを感じなくなる時期も、原因によって異なります。
息苦しさの主な原因としては、貧血や高血圧、不安・ストレス、風邪や花粉症による咳といったものがあげられます。風呂上がりや寝起き、夜中、食後などに息苦しいと感じる妊婦さんが多いようです。
妊娠7ヶ月ごろから階段を登ったときや仕事をしているときなど、ふとしたときに動悸やめまいを感じるようになりました。妊娠後期に入ると、動悸などに加えて息苦しいと感じることも増えて、少し心配でした。
妊婦健診のときに病院に相談したところ、貧血や病気の可能性は低いが原因の特定ができないと言われました。しかしお腹の赤ちゃんに影響はなく、元気に育っているので大丈夫ですよと言われて安心しました。それ以降は、息苦しいときには無理せず少しでも休むようにしました。
【原因1】血液の変化による貧血
鉄欠乏性貧血に要注意
妊娠をすると女性の身体にはさまざまな変化が現れます。血液量が妊娠前の最大1.5倍にまで増えることで、心臓のドキドキ(動悸)を感じやすくなります。また、血液量の増加に比べて血球成分はさほど増加しないため、妊娠前と比べて血液が薄まって酸欠状態になったり、お腹の赤ちゃんを育てるために鉄分が不足し鉄欠乏性貧血になったりすることがあります。これらの要因により妊婦の方は「貧血」になりやすいといわれています。
妊娠中に妊婦さんが貧血気味になるのは決して珍しいことではありません。なかでも妊婦さんの貧血の多くが「鉄欠乏性貧血」です。めまい・動悸・息苦しいといった症状が代表的です。妊婦さんの貧血は、分娩時の出血増加や微弱陣痛、流産・早産の原因になる恐れがあります。ひどい貧血を感じたり貧血が続いていたりする場合には、病院に相談しましょう。
貧血は早めに治療を
母子ともに健康を保つため、妊娠中のひどい貧血症状は早めに治療をしていくことが大切です。病院によって実施の時期は異なりますが、妊婦健診では妊娠初期・中期・後期に血液検査があり、貧血の検査も行われるため、医師に特に何も言われなければ問題ないでしょう。貧血は主にヘモグロビン(Hb)という成分の値から判断します。妊娠前には貧血になることはあまりなかった人でも、Hbが11.0mg/dl未満になる妊娠性貧血になる可能性があります。ひどい貧血は医師に相談し、食事指導を受けたり、鉄剤の処方を受けたりすると良いでしょう。
妊娠5ヶ月ごろに妊婦健診で貧血の検査をしたとき、問題になるほどではないが貧血気味であると指摘されました。検査の後に病院内にいる管理栄養士との面談では、食事の改善をすすめられました。
できる限り自炊で鉄分の多い食材を使用するようにしていましたが、手軽に鉄分が補給できる飲み物などもたまに利用していました。
【原因2】子宮による肺の圧迫
妊娠が進むにつれて、赤ちゃんが育つ子宮はどんどん大きくなります。はじめは卵ほどの大きさだった子宮が、臨月にはスイカほどの大きさにまで成長します。妊婦さんの身体の臓器は、大きくなる子宮によって徐々に圧迫され、胃・腸・肺は妊娠前よりも狭いスペースに押し込まれる形になります。なかでも子宮の上部は赤ちゃんの成長とともに横隔膜を押し上げ、肺が圧迫されることで息苦しさを感じやすくなります。
妊娠9ヶ月・10ヶ月頃には子宮底が最も高くなり、息苦しさを感じる妊婦さんが多くなるようです。出産が近づけば赤ちゃんは骨盤内に下降してくるため、徐々に子宮による肺や胃の圧迫がとれ、呼吸が楽になります。
【原因3】切迫流早産の薬の副作用
子宮の収縮を抑制するウテメリンとは
妊娠22週未満で痛み・出血・お腹の張りなどの症状があり流産の可能性を考えて治療にあたる必要がある状況を「切迫流産」、妊娠22週以降で早産になりかかっている状況を「切迫早産」と呼びます。
切迫流産の診断を受けたすべての妊婦さんが流産の可能性が高いというわけではなく、自然と正常妊娠に戻るケースもあります。切迫流産・切迫早産ともに基本は安静になりますが、医師の指示により子宮収縮抑制剤などの薬が処方される場合があります。
妊娠中に主に使用される子宮収縮抑制剤に「ウテメリン」という薬があります。ウテメリンは人によって普段よりも熱っぽく感じる、心臓がドキドキするといった副作用が出ることがあります。
ウテメリンの副作用
ウテメリンの副作用のひとつに動悸があります。いつもより鼓動が早い・強い、脈が乱れるといった症状が現れる「動悸」ですが、人によってはウテメリンの副作用による動悸がつらく、薬の服用を辞めたいと感じる人もいるようです。
しかし副作用がつらいからといって薬をやめると、妊婦さん・赤ちゃんに危険な状態を引き起こす可能性があります。症状がつらい場合には必ず医師に相談をし、自己判断で薬を減らさないようにしましょう。薬の量を調整してもらうなど、薬の継続ができるような方法を医師と探しましょう。
筆者は妊娠中に切迫流産の診断を受け、ウテメリンを飲んでいました。薬を飲んでしばらくすると心臓がドキドキし、少し動いただけでもすぐに疲れ、1日中身体がだるかった記憶があります。
【原因4】高血圧・低血圧
妊娠中に息苦しいと感じる原因には血圧が関係する場合や不安・ストレスといった心理的なものが関係している場合もあります。妊娠中には、女性ホルモンの影響で妊娠初期から中期にかけては血圧が低く、妊娠後期には血圧が高くなる場合があります。血圧の変化によって起こる症状のひとつである動悸によって息苦しいと感じる人もいます。
妊娠は身体だけでなく心にも変化を引き起こす場合があります。第一子の場合には親になるという新たな社会的役割に直面したり、出産後のお金・仕事・家族関係に悩んだり、程度に差はあれど妊婦は不安になることが多いといわれています。出産や妊娠における変化に対する強い不安やストレスが「不安障害」に発展し、息苦しいと感じたり、過呼吸になったりする妊婦も少なくありません。
他にも風邪や花粉症などで鼻づまりになって息苦しさを感じるといった人や双子を妊娠しているため身体に負担がかかり息苦しいといった人もいるようです。息苦しいという症状だけで原因を特定するのは難しいかもしれません。
【原因5】不安やストレス
妊娠は身体だけでなく、心にも変化を引き起こす場合があります。特に第一子の妊娠の場合には親になるという新たな社会的役割に直面したり、出産後のお金・仕事・家族関係に悩んだりするのは珍しくありません。
程度に差はあれども、妊婦さんはストレスや不安を抱えることが多いといわれています。なかには「不安障害」に発展し、息苦しいと感じるだけでなく、パニックや過呼吸になる妊婦さんもいます。
妊娠中の不安は、ひとりで抱え込まずに誰かに相談することが大切です。夫やパートナー、家族、友人、地域や企業の専門窓口への相談でも良いでしょう。パニックや過呼吸といった強い症状が出ている場合には、かかりつけの産婦人科医にも対処法を相談しましょう。
【原因6】花粉症などその他のケース
風邪や花粉症などで鼻づまりになって息苦しさを感じるといった人もいます。双子以上の妊娠(多胎妊娠)で、身体に負担がかかって息苦しいと感じる人もいるようです。他にもさまざまな原因が考えられることから、息苦しいという症状だけで原因を特定するのは難しいかもしれません。
「食後など特定のときに動悸を感じることが多い」「薬を飲んでいる」など、プラスアルファの情報を添えて医師に相談すると良いかもしれません。息苦しいと感じるタイミングや気になることを普段からメモしておくと良いでしょう。
妊娠中に息苦しいときの基本の対処法
妊婦さんが息苦しいと感じる原因は貧血や肺の圧迫などさまざまです。原因により改善法は異なりますが、どの原因であったとしても共通している基本の対処法を覚えておくと良いでしょう。
がんばりすぎず、疲れたら休む
妊娠中はお腹の大きさに関わらず、苦しい・身体がしんどいと感じるときには、無理せず休みましょう。仕事をしている方にとっては、身体がつらくてもすぐに休むことはできない人もいますが、苦しい・つらいと感じるのは、「ママに身体を休めてほしい」という赤ちゃんからのサインかもしれませんよ。可能な限り横になる・座る・立ち止まるといった安静にする時間を作りましょう。
水分補給を忘れずに
妊娠中は身体の血流量が増えるために、妊娠前よりも水分が必要となります。頻尿や足のむくみを気にして、妊娠中に水分をなるべくとらないようにする妊婦さんもいますが、妊娠貧血や血栓症などの予防のためにも水分は積極的にとることが推奨されています。吐き気などを引き起こすつわりの治療としても水分補給は重要な役目を果たすため、意識的に水分摂取を行うようにしましょう。
赤ちゃんに影響をおよぼす飲み物もあるため、妊娠中にとれる水分は限られています。カフェインは妊娠中も禁止はされていませんが、大量に摂取するのはやめましょう。カフェインはコーヒー以外にも、緑茶や紅茶、チョコなどにも含まれているため注意が必要です。夏の暑い日には冷たいものが飲みたくなってしまいますが、なるべく常温の水分を摂取し、身体を冷やさないように気をつけてくださいね。
寝るときの姿勢を工夫する
息苦しくて眠れないという妊婦さんは少なくありません。妊娠中期以降にはお腹が大きくなるにつれてお腹の圧迫感で睡眠不足になる人もいます。寝ているときに息苦しいと感じることがあれば、寝方を工夫してみましょう。仰向けではなく、横向きになってやや身体を起こすと重力で子宮が少し下がり、胃や肺の圧迫がとれていくらか呼吸が楽になる人もいます。
慣れない姿勢で寝ていると、腰や背中、胸の筋肉に負担がかかり、痛みを訴える人もいます。片膝もしくは両膝を軽く曲げて左を下にして横向きに寝る「シムス位(シムス体位)」を試してみても良いかもしれません。寝るときの息苦しさがシムス位によって解消される人もいます。
足のあいだにクッションを挟めば、より身体の力が抜けて楽になります。妊娠後期の息苦しさは多くの人が経験しますが、赤ちゃんが生まれればこの症状は必ずなくなります。自分なりの楽な姿勢を見つけられると良いですね。
妊娠中の息苦しさに関する体験談
筆者は妊娠9ヶ月から急に息苦しさを感じるようなりました。常に喉の奥がつまっているような「のどづわり」になり、仰向きでも横向きでも寝られず、ウトウトして寝落ちしそうになると息が苦しくなりハッと起きるといった、とにかく夜がつらい毎日でした。胃酸の逆流もあったため、身体を少し起こした状態で休むようにするといくらか楽になりました。
筆者は毎晩布団を折り重ねて高さをつけ、その上に枕をおいて自分が楽になるポジションをセッティングしてから寝ていました。何度も何度も位置を変えては苦しくないポジションを探していたので、夫からは「毎晩せわしないね」と同情されていました。
妊娠中の睡眠時の息苦しさには抱き枕がおすすめ
睡眠中に息苦しいときがある妊婦さんにおすすめしたいのが抱き枕です。抱き枕を活用することで、楽にシムス位になることができます。妊娠後期にお腹が大きくなり、仰向けに寝られないときにも活躍します。また、抱き枕によっては出産後に授乳クッション、赤ちゃんのお座りクッションとして活用することができるものもありお得です。
無理せず適度に休むことが大切
妊娠中に息苦しいと感じたことがある妊婦さんは多いといわれています。息苦しさは日常生活に大きな影響を与えるものなので、大変な日々を過ごしている方もいるかもしれません。原因によっては妊娠初期から息苦しいと感じる場合があり、妊娠後期には子宮による肺の圧迫があるため、妊娠中からいつからいつまで影響が出やすいと断言することができない症状である点もつらいと感じる人が多い理由のひとつなのかもしれません。
仕事や家庭の忙しさにより、携帯用の酸素吸入器(酸素ボンベ)などを使用して息苦しさに対処する方もいるようですが、酸素中毒になる可能性もあるため、使用する際には必ず医師に相談しましょう。息苦しさにより胸焼けを感じたり冷や汗が出たりする人もいるため、可能な限りは異常を感じたら無理せず安静にしましょう。自分なりの対処法を見つけられると良いですね。
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