【産婦人科医監修】妊娠中に飲むのはどんなお茶が良い?おすすめのお茶と注意点、便秘・むくみへの効果について
普段何気なく飲んでいるお茶。カフェイン以外にも、妊娠中に注意しなければならない成分はあるのでしょうか。妊娠後期に気づいて後悔しないためにも、妊娠中に安心して飲めるお茶について産婦人科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
つわり時の水分補給、むくみ、便秘にお茶を活用
妊娠中は食べ物、飲み物で気になることが多く、何を選べば良いのか悩んでしまう妊婦さんは多いかもしれません。体重管理でさまざまなカロリーが気になる人もいれば、カフェインや塩分・糖分といった成分が母体や胎児にどのように影響があるのか気になる人もいるでしょう。つわりや胸焼けで水が飲めないという妊婦さんも珍しくありません。
脱水予防や熱中症予防など、夏には水分補給を強く意識することが多いかもしれません。しかし冬でも春でも、水分補給は一年を通して重要です。健康維持のためには、適度な水分補給を心がける必要があります。
つわりで吐いてしまうことが多い妊婦さんは、一気に大量に飲もうとせず、こまめに少しずつ水分補給する方法を試してみましょう。つわりなどで水が飲めない場合には、種類によっては便秘やむくみへの効果が期待できるお茶を活用する方法を検討してみましょう。比較的なじみ深い飲み物である「お茶」であれば、抵抗なく飲める妊婦さんも多いかもしれません。
妊娠中はどんなお茶を飲めばいいの?
カフェインが多いお茶には注意
カフェインといえば、コーヒーを思い浮かべる人が多いでしょう。コーヒーだけでなくお茶類にも、カフェインが多く含まれている点には注意が必要です。お茶の種類によってカフェイン含有量は異なります。
なるべくカフェインレスのお茶を選ぼう
妊婦さんは、なるべくカフェインレスのお茶やカフェインが少ないお茶を飲むようにしましょう。最近では、妊婦さんや授乳中のママのために作られた、カフェインが含まれていない商品が増えてきています。ぜひ好みに合うカフェインレスのお茶を探してみてくださいね。
カフェインを含むものは一切ダメ?
妊娠中は、カフェインを含むものは一切ダメというわけではありません。妊婦さんがコーヒーを飲む場合であれば、WHOは1日3杯から4杯程度、イギリスとカナダ政府は1日2杯程度を上限としています。日本では、妊娠中の明確なカフェイン摂取量の基準は定義されていません。
ただしコーヒー以外でも、お茶やチョコレートといった食べ物・飲み物にカフェインが含まれているため、1日のカフェイン摂取量の合計に注意する必要があります。
なぜ妊娠中はお茶に含まれるカフェインに注意が必要?
母体への影響
カフェインを大量に摂取すると、中枢神経が刺激され、不眠や震え、吐き気、頭痛、めまいなどを引き起こす場合があります。妊娠中の母体はカフェインをなかなか分解できないことから、流産や早産、死産のリスクとカフェインの関連性も指摘されています。
赤ちゃんへの影響
妊娠中にママがカフェインを大量に摂取することで、お腹の胎児にもカフェインが影響を与える可能性もあるでしょう。流産や早産だけでなく、低出生体重児や成長遅延の原因となる可能性も示唆されているようです。
お茶に含まれるカフェインの目安
お茶にもカフェインが含まれています。日本でよく飲まれている緑茶や紅茶、ウーロン茶といったお茶の100mLあたりのカフェイン量には、以下のように大きく差があります。(※1)(※2)
妊娠中のカフェイン摂取は一切禁止なのではなく、適正な範囲内で楽しむことが大切です。神経質になることはありませんが、カフェイン量の多い飲み物や食べ物をある程度は知っておくと安心でしょう。
カフェインが多く含まれるその他の飲み物、食べ物
カフェインは、コーヒーやココア、玉露のほかに、栄養ドリンク(エナジードリンク)や眠気覚まし用飲料に特に多く含まれています。食べ物では、コーヒーや抹茶を使用した料理、高カカオチョコレートにも注意が必要でしょう。特に他にも、市販の医薬品や鎮痛剤、サプリメントにもカフェインが含まれている場合があります。
代表的なカフェインが多い飲み物、食べ物はなるべく避けると良いでしょう。また妊産婦向けのカフェインレス商品も最近では増えてきています。カフェインレス商品も上手に活用してみてくださいね。
妊娠中におすすめのお茶の種類
妊娠中におすすめのノンカフェイン、カフェインレスのお茶を紹介します。どのお茶も妊婦さんには嬉しい効果に期待ができますが、特定のお茶のみを過剰に摂取するといった極端な飲み方は控えましょう。いくつか気になるものを常備し、その日の気分に合わせて選べると良いですね。
タンポポ茶
美容効果に期待ができるタンポポ茶は、年齢を問わず女性からの人気が高いお茶のひとつです。タンポポの根には、体内の余分なナトリウムを排泄するする「カリウム」が多く含まれていることから、妊娠中のむくみや便秘の解消効果、血圧低下に期待できるようです。
ただしタンポポの葉には、妊娠中の過剰摂取に注意が必要なビタミンAが豊富に含まれます。このため、タンポポの根をお茶にした商品が妊婦さんにはおすすめです。
麦茶
幼いころから飲む機会が多い麦茶は、なじみ深いノンカフェインの飲み物といえるでしょう。赤ちゃんからお年寄りまで、家族全員で飲むことができる点が良いですよね。原料の大麦はカリウムを多く含み、ノンカロリーのため、つわりなどで水が飲めない妊婦さんや体重管理に悩む妊婦さんにもおすすめです。
そば茶
特有の香ばしいにおいが特徴的なそば茶も、カフェインを含んでいません。原材料のそばに含まれるルチンは、ポリフェノールの一種で、高血圧予防としての効果に期待ができます。また、食物繊維が含まれていることから、便秘に悩む妊婦さんにもおすすめです。
ローズヒップティー
爽やかな酸味と可愛らしいピンク色が特徴的なローズヒップティーは、妊娠の有無を問わず、女性からの人気が高いハーブティーです。原材料はバラの果実でビタミンCを多く含みます。コラーゲン生成を助けるビタミンCの働きから、美容効果に期待ができ、肌荒れに悩む妊婦さんにおすすめです。
杜仲茶
杜仲茶はもともと健康茶として人気のお茶です。そんな杜仲茶はカフェインレスで、鉄分、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル、ビタミン類も含まれているので、人気のお茶といえるでしょう。さらにはメタボにも効果があるので、妊娠中の体重管理が気になる人は食事と一緒に杜仲茶を飲むことをおすすめします。
妊娠中におすすめのお茶(商品)
ママセレクト たんぽぽ茶
韃靼そば茶
ローズヒップティー
ふくちゃの杜仲茶
妊娠前から臨月まで、時期別におすすめのお茶
カフェイン量には注意が必要なものの、過度に神経質になることはありません。許容範囲内で、さまざまなお茶を楽しんでくださいね。
妊娠前から妊娠初期
妊娠前から妊娠初期のあいだに重要になる栄養素のひとつに「葉酸」があります。葉酸が比較的多く含まれているお茶としては、「ほうじ茶」があげられます。
また、つわりに悩む人が多いのも妊娠初期の特徴です。つわりで嘔吐が続いて口の中がさっぱりしない場合には、いつものお茶をアレンジしてみてはいかがでしょう。レモンティーやしょうが紅茶といったアレンジであれば、いつもと違う飲み方が気軽にできるのでおすすめです。
妊娠中期
安定期に入る妊娠中期以降になると、さまざまな悩みを抱える妊婦さんが多くなります。肌荒れが気になる妊婦さんには、ビタミンCが多く含まれるローズヒップティーがおすすめです。体重管理に苦戦している妊婦さんであれば、糖類を含むジュースの代わりに、自然の甘さが楽しめるコーン茶を試してみるのも良いでしょう。
妊娠後期から臨月
妊娠後期に入ると、大きくなった子宮による圧迫などで便秘やむくみが気になる妊婦さんもいるかもしれません。食物繊維が豊富なこんぶ茶、梅こんぶ茶はいかがでしょうか。ただし塩分や糖分が含まれている場合もあるため、飲み過ぎには注意が必要です。
いよいよ出産が近づく臨月には、「妊婦のハーブティー」とも呼ばれるラズベリーリーフティーも飲めるようになります。ラズベリーリーフティーは、陣痛を促進する可能性があるため、医師に確認してから飲み始めるのが安心でしょう。
無印良品、生活の木、妊婦さんに人気のお茶ブランド
妊婦さんに人気のノンカフェインのお茶、カフェインレスのお茶はどこで買えるのでしょうか。最近ではスーパーにもノンカフェインの紅茶やお茶が並んでおり、以前に比べれば、妊婦さんが飲めるお茶は比較的手に入れやすくはなっています。
一方で、豊富な種類の中からノンカフェインのお茶、カフェインレスのお茶を選びたいという妊婦さんもいますよね。妊娠中にお茶を買う際には、「生活の木」や「無印良品」のお茶が欲しいと考える妊婦さんは多いかもしれません。生活の木は、1980年代からハーブティーを販売しています。その実績と歴史から商品を手にする妊婦さんが多いのでしょう。
また、無印良品のお茶も品数が豊富です。ノンカフェインのお茶や赤ちゃんから飲むことができるお茶も販売されているため、無印良品の飲料もチェックしてみても良いですね。
妊娠中に飲んではいけないお茶はある?
妊娠中は、飲み物に含まれているカフェイン量だけでなく、飲み物に用いられている原料や成分にも注意が必要です。
たとえばブレンド茶は、妊娠中に避けるべき成分が含まれている可能性があるため、飲む前に成分や原材料を確認しておくと安心です。ブレンド茶に含まれていることも多い「ハトムギ」は、利尿作用から肌荒れやむくみの改善に期待ができるといわれています。一方で身体を冷やす作用があるため、妊娠中の大量摂取は避けたほうが良いという意見もあるようです。
ハーブティーの中には、妊娠中は飲まないほうが良いとされているお茶、妊娠後期に入るまで飲んではいけないお茶もあります。妊娠中に飲んではいけないお茶は、それぞれの妊婦さんの体調や妊娠の経過によっても異なります。心配であれば「マタニティ用のお茶」「妊婦さんでも飲めるお茶」とされる商品を選ぶようにするのが良いでしょう。また、気になることがあれば、必ず医師に確認してくださいね。
お茶は妊婦さんのむくみ・便秘を解消に期待できる?
お茶の中には、妊娠中の悩みとしてあげられることが多い「むくみ」や「便秘」といった症状の緩和に期待ができる成分を含んでいるものもあります。たとえば「むくみ」との関連性が指摘されるナトリウムの排泄を促す「カリウム」を含むお茶は、むくみ対策として紹介されることが多いかもしれません。
「便秘」の場合には、整腸作用があり、便量を増やす「食物繊維」が含まれたお茶が紹介されることが多いでしょう。
妊娠中は気軽に薬を使用できないことから、できれば薬以外の方法で症状を解消したいと考える妊婦さんは多いですよね。お茶によってはさまざまな症状の緩和に期待できるものもあるため、自分に合ったものであれば試してみても問題ないでしょう。
ただし、お茶だけで必ず解消できるとは限らず、あくまでも補助的なものである点には注意しましょう。特定の成分や素材のみを大量に摂取するのは控え、気になることがあれば医師や専門家に相談してくださいね。
妊婦さんのつらい花粉症、お茶で緩和できる?
花粉症に悩む妊婦さんも少なくないですよね。妊娠前までは薬で花粉症を乗り切っていた妊婦さんは、対処方法に悩んでしまうかもしれません。花粉症に効くとされる、甜茶(てんちゃ)などを試してみたいと考えている妊婦さんもいるでしょう。
花粉症に対するお茶の効果は、研究が進められている段階のため、まだ確証はないものも多いようです。妊婦さんでも飲めるお茶であれば、少しだけ試してみるのは問題ないでしょう。ただし確実に花粉症が解消できるものではないため、必要であれば医師に妊婦さんでも飲める薬を処方してもらうのが安全です。
妊婦さんが気になる他の症状にもお茶を活用してみよう
妊娠中は、つわりをはじめとした不快な症状に悩む機会が多いかもしれません。すべての妊婦さんが同じ症状に悩むとは限らず、妊婦さんでも人によって悩みが異なる部分も難しいですよね。ひどい症状が続いている場合や生活に支障が出ている場合には、妊婦健診の際にかかりつけの医師に相談してくださいね。
一方で軽い症状であれば、安全な範囲内で、それぞれの症状の緩和に期待ができるお茶を飲むといった方法を試してみるのも良いかもしれません。副鼻腔炎で鼻水・鼻づまりが気になる場合には、エルダーフラワーはいかがでしょう。冷え症が気になる場合には、しょうが茶やしょうが紅茶を試してみるのも良いかもしれませんね。
妊婦健診の際に毎回行う尿蛋白(尿たんぱく)が気になる場合には、お茶などを試す前に少し様子を見てみましょう。妊娠中の尿蛋白の検査は、高血圧や糖尿病といった病気の早期発見のために用いられている方法です。不安であれば医師に確認し、食事はどのように気をつけるべきかを相談してみましょう。
妊婦さんの体重管理、血糖値・高血圧対策に特保は?
「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」といった表示がある商品を「特保(特定保健用食品)」と呼びます。多くの妊婦さんが悩む体重増加、高血糖、高血圧対策として、特保を活用することは可能なのでしょうか。
特保は、消費者庁の審査を受けて許可された商品のみを対象としています。体調維持を目的とした一定の効果が、きちんとした検査により証明されている商品です。血糖値を下げる、血圧を下げる、痩せるといった具体的な症状の解消を目的とした商品ではなく、あくまでも健康増進を目的としている点には注意が必要です。
妊婦さんが特保の商品を利用すること自体は禁止されていませんが、妊婦さん向けに作られた商品でもありません。血糖値や血圧について医師から指摘を受けている場合には、医師の許可を得てから利用するようにしましょう。特に指摘は受けていない場合でも、心配であれば一度医師に相談してみてくださいね。
妊娠中はバランス良い水分補給を意識しよう
妊娠中の水分摂取は重要ですが、過度に行う必要はありません。また、何かの効果に期待ができる場合でも、特定の飲み物ばかりを飲むのは、栄養バランスの観点からおすすめできません。神経質になることはありませんが、適度な量でお茶を楽しみましょう。
この記事は2021年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。