【産婦人科医監修】臨月にはいり出産間近になるとむくみがひどい!原因と解消法は?体重増加しても大丈夫?
臨月に入り、出産間近になると、多くの妊婦さんは手足や顔のむくみに悩まされる方が多いようです。ひどい場合、痛みやしびれを伴うこともあるため、できる限りむくみケアをしたいですね。ここでは、臨月のむくみの原因や解消法のほか、むくみで体重増加しても大丈夫なのか、産後どれくらいむくみが続くのか産婦人科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
むくみとは?
そもそもむくみとは、血液中から水分や老廃物がしみ出て、皮下組織にたまった状態で、「浮腫(ふしゅ)」ともいいます。何らかの原因で、静脈やリンパ管の流れが悪くなることで起こり、顔や手足に痛みを伴わない腫れがあらわれます。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんに栄養を届ける目的で血液量が増加するほか、身体に水分をため込む作用のある女性ホルモンの分泌量が増えるため、むくみが起こりやすいといわれています。
臨月のむくみがひどい原因
妊娠中は全期間を通して身体がむくみやすいのですが、特に臨月に入って出産間近になると、急にむくみがひどくなる妊婦さんが多いようです。
出産間近の臨月のむくみは、赤ちゃんの成長のために血液量がさらに増加することや、大きくなった子宮が下りてきて下半身の血管を圧迫して、血流が悪くなることが原因と考えられています。
また、お腹が大きくなると身体を動かしづらくなるため、血流が滞ってしまい、むくみが生じやすくなります。このほかにも、塩分を過剰に摂取したり、身体が冷えたりしたときも、むくみやすいといわれています。
臨月のむくみの症状
臨月にはいり出産間近になるとむくみは手足や顔などさまざまな部位にあらわれます。むくみがひどくなるとパンパンになり、指でむくんだ部分を押すと、へこんでなかなか元に戻らなくなります。また、痛みやしびれが出ることもあるようです。
足のむくみ
臨月にむくみが特にでやすいのは足です。子宮の圧迫により、下半身の血流が悪くなるからです。
先輩ママからは「足の甲が水風船のようにブヨブヨになった」「夕方になると、ふくらはぎから足首にかけてパンパンになり、まるでゾウの足のようになった」といった声をあげていました。今まで履いていた靴が入らなくなり、靴のサイズを1cm以上大きくしたという方もいますよ。
手のむくみ
足と同様、手も末端部分のため血液の循環が悪くなりやすく、むくみがちになります。臨月に手のむくみを感じやすい時間帯は起床時です。これは、お腹が大きい臨月は横向きに寝ることが多く、寝返りもあまり打てなくなるため、身体の下側の腕が長時間圧迫されやすいからです。
手がグローブのようになって指輪が抜けにくくなったり、指を曲げるのが痛くなったりすることもあります。ひどい場合には、指の痛みで牛乳パックやペットボトルを開けることも難しくなります。
顔のむくみ
顔にむくみが出ることもあります。顔のむくみは手と同様、朝起きたときにひどいことが多いようです。この原因としては、身体にたまっていた水分が寝ているあいだに顔に流れていくことが考えられます。まぶたが腫れぼったくなりやすく、目が開けにくくなることもあります。
臨月のむくみで体重増加しても大丈夫?
妊娠中の体重増加量の目安は、肥満の人を除いて1週間に300~500gとされています。特に臨月は出産を無事に終えるために、体重管理がより重要となりますが、むくみが原因で1週間に1kg以上増加することも珍しくありません。
むくみによる体重増加は生理現象ですが、体重が過度に増えると、陣痛が弱すぎてお産がスムーズに進まなくなる「微弱陣痛」の要因になることがあるため、気をつけなければいけません。むくみで体重が増え過ぎた場合、食事や運動でできる限りむくみを解消するようにしましょう。
妊娠高血圧症候群の可能性も
むくみと急激な体重増加が「妊娠高血圧症候群」の症状の可能性もあります。妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧になる、あるいは高血圧に蛋白尿を伴う病気のことで、母体が痙攣(けいれん)を起こす「子癇(しかん)」など、さまざまなリスクが発生します。症状が重い場合、緊急入院して分娩を促すことも考えられます。
臨月にはいり出産間近になると生理的にむくみやすいのですが、妊娠高血圧症候群の場合、むくみがなかなかとれなくなると言います。そのため、朝からずっとむくんでいたり、夕方のむくみが朝起きてもとれていなかったりすると、注意が必要です。また、むくみや急激な体重増加のほかに、頭痛やめまいを伴うこともあります。
妊娠糖尿病にも注意
体重増加の原因がむくみだと思い込んでしまうと、妊娠中特有のトラブルを招いてしまう場合もあります。急激な体重増加や肥満によって発症の可能性が高まる疾患としては、「妊娠糖尿病」があげられます。
妊娠糖尿病とは、妊娠の影響により糖尿病にはいたらない程度の糖代謝の異常が起こることです。妊娠糖尿病を発症すると、生まれた赤ちゃんが新生児低血糖になったり、将来糖尿病になる確率が母子ともに高まったりするなど、さまざまなリスクが生じます。
今は単なるむくみであっても、油断して偏食や過食をすると妊娠糖尿病のリスクが高まってしまいます。出産まで気を抜かず、栄養バランスのとれた規則正しい食事を心がけ、体重が増え過ぎないようにしましょう。
臨月のむくみを解消するには?
適度に運動する
むくみがひどい場合は安静にしたほうが良いのだろうかと悩むかもしれません。しかし、運動不足になることで、血流が悪くなり、むくみがますます悪化してしまいます。臨月のむくみ対策にはウォーキングやスクワットなど、無理のない範囲で身体を動かすようにしましょう。体重増加も防げますし、出産に向けて体力をつけたり、股関節を柔軟にしたりすることで、安産効果が期待できますよ。
臨月のむくみは大抵、出産後しばらくすると治ります。むくみに悩むのももう少しの辛抱と考え、適度に運動しながらお産に備えてくださいね。
マッサージ
ゆっくりとマッサージをして、体内にたまった老廃物の排出を促し、血液の循環を良くしましょう。むくみの解消はもちろん、リラックス効果やストレス解消にもつながります。
臨月のお腹はかなり大きく、特に足のマッサージは自分で行いづらいかもしれません。そんなときは、マタニティマッサージを行なっているサロンに通ってみたり、コミュニケーションもかねてパートナーにお願いしたりすると良いでしょう。
身体を温める
冷え性の人は、手や足などの末端まで血液が行き届かない、つまり身体の水分が一部分でせき止められており、むくみやすい状態になっています。妊娠中にむくみの症状が出やすい時期は臨月ですが、もともと冷え性の人が増えたためか、最近では妊娠中期頃から冷えによるむくみの症状を訴える妊婦さんが増えているようです。
身体を温めて血行を良くすることで、むくみを改善しましょう。特に足湯は、冷えによるむくみに効果が期待できます。洗面器などに約40℃のお湯を張り、足をつける方法が一般的ですよ。血行を促進する作用があるといわれるグレープフルーツのアロマオイルやバスソルトなどを活用するのもおすすめです。
着圧ソックスを履く
着圧ソックスは、足に適度な圧力を加えることで、足にたまった水分を押し上げて、むくみの症状を緩和する効果が期待できます。ひざ下用のソックスやレギンスなど、さまざまなタイプがあり、圧力の強さも製品によって異なるため、いくつか試してみると良いでしょう。
その際は製品の説明書をよく読み、正しく使用してくださいね。万が一、着圧ソックスを履いて、かゆみやかぶれの症状があらわれた場合、すぐに使用を中止して医師に相談しましょう。
●サイズ:足首/約20~24cm、ふくらはぎ/約32~38cm
助産師さんとママの声から生まれた、マタニティ専用の着圧ソックスです。静脈やリンパの流れを促進する効果があります。遠赤外線素材を使用しており、足をポカポカに保つ効果が期待できます。
ゆったりとした服を着る
身体を締め付ける衣服は血行障害を引き起こし、むくみにつながってしまう恐れがあるため、ゆったりとした服装を心がけましょう。臨月に入ってからもお腹は大きくなるため、それまで着ていたマタニティウェアがきつく感じられる場合もあります。
出産を間近に控えてマタニティウェアを買い足すのはもったいないと思うかもしれませんが、臨月のむくみ解消には、身体を締め付けないことが一番ですよ。価格がお手頃な商品を選んだり、自分でウエストのゴムを調節したりして、快適に過ごせるようにしましょう。
足の位置を高くする
寝るときは足首の下あたりにクッションや枕を置き、足を20cm程度高くするようにしましょう。足にたまった血液が心臓に戻りやすくなり、下半身のむくみを軽減する効果が期待できます。
塩分を控える
人間の身体は、塩分を摂り過ぎるとむくみやすいといわれています。これは、必要以上に塩分を摂取すると、塩分に含まれているナトリウムの濃度を薄めようとして、身体が余分な水分を取り込んでしまうからです。そのため、妊娠中は塩分を控えた食事を心がけましょう。
料理にだしや酸味を利かせると、少ない塩分でも風味豊かな味わいになります。また、肉や魚に塩で味付けする際は、下味ではなく仕上げに塩を使うと、より少ない塩分で満足感が得られますよ。
最近は減塩醤油や減塩味噌などもたくさんあるので、そういった減塩商品を上手に活用しながら減塩食を工夫してくださいね。
臨月になると、お腹の赤ちゃんが下がってきて胃への圧迫感が少なくなり、食欲が出てきます。「出産に向けて体力をつけよう」と味の濃いものを食べ過ぎないよう気を付けましょう。
カリウムが豊富な食べ物をとる
カリウムは体内にたまった余分な塩分を尿として排出してくれる働きがあります。食事の際に一品でも、カリウムを多く含む食材を取り入れるようにしましょう。カリウムが豊富な食材は納豆やほうれん草、アボカドなどです。このほか、リンゴやバナナにも多く含まれており、おやつやデザートとして取り入れるのも良いかもしれませんね。
また、杜仲茶やごぼう茶、たんぽぽ茶などをホットで飲むのもおすすめです。これらのお茶は、利尿作用があるだけでなく、腸内環境を整えたり、腸を活性化したりする働きがあり、多くの妊婦さんが悩む便秘の改善にも効果が期待できます。いずれもノンカフェインですので、妊婦さんにも安心です。
臨月のむくみは出産後にとれる?
臨月のむくみの多くは、出産に備えて身体が変化することで引き起こされます。そのため、赤ちゃんが生まれると、むくみも自然に解消されることがほとんどです。ただし、むくみがとれる時期については個人差があり、出産の翌日にむくみがなくなったという人もいれば、1ヶ月以上かかったという人もいます。
産後もしばらくむくみがとれない原因としては、出産によって体内の血液量が急激に減る影響により、身体が水分をためこもうとすることが考えられます。また、出産後はホルモンバランスが急変するため、自律神経が乱れて血流が悪くなり、むくみやすくなります。
産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、自分の身体のことは後回しになってしまいがちですが、無理のない範囲でマッサージなどのむくみケアを行なえると良いですね。
むくみケアで残り少ないマタニティライフを快適に
出産を間近に控えて、急にむくみがひどくなり、ナーバスになる妊婦さんも多いかもしれません。臨月のむくみは出産後しばらくすると治まるものなので、心配し過ぎないで大丈夫ですよ。残りわずかのマタニティライフを少しでも気持ち良く過ごせるよう、できる範囲でむくみケアを取り入れてみてくださいね。
※この記事は2024年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。