【助産師監修】つわり中の飲み物、何がおすすめ?飲めないときはどうする?
においや食感に敏感になるつわり時期、のどごしが良くつわり対策にもなるような飲み物にはどのようなものがあるのでしょうか。妊娠中にも安全とされるハーブティーの種類や、飲み物に含まれるカフェインなどの成分も気になります。飲み物すら受け付けられなくなったときの水分補給法も含め、つわりにおすすめの飲み物について解説します。
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目次
つわりとは?飲み物が飲めないこともある?
妊娠が判明する5~6週頃からあらわれるのがつわりです。主に吐き気や嘔吐といった胃腸症状があらわれ、12~16週頃までに終わるのが一般的です。7~11週頃につわりのピークを迎え、その期間は食べ物や飲み物が気持ち悪さで受け付けられないことが増えてきます。つわりの症状には個人差が大きく、全くつわりがない妊婦さんもいれば、お産まで気持ち悪さが続く妊婦さんもいます。
つわりの時期は栄養のバランスを考えるよりも、食べたいもの、飲みたいものを口にすることが大切です。吐き気や嘔吐があっても、多少は飲食ができていれば問題ありません。自分の食べやすいものをみつけて、栄養失調や脱水にならないように気を配っていきましょう。
つわりが重症化すると、食べ物や飲み物を口にしなくても嘔吐が続き、身体の電解質のバランスが崩れたり、脱水症状があらわれたりします。そうなると食べ物はもちろん、飲み物も受け付けられません。医師による治療が必要となる場合もあるので、つらいときは早めに医師に相談するようにしてくださいね。
つわり中におすすめの飲み物
炭酸水・コーラ
炭酸水やコーラはシュワシュワとした刺激が口の中の爽快感を生み、気持ちをリフレッシュしてくれる飲み物です。炭酸には血流を促進する効果や、乳酸を中和し疲労回復につながる作用、胃腸を刺激し消化活動を活性化するはたらきがあるといわれていることから、つわり症状を和らげることが期待されます。
気を付けたいのは飲料に含まれる糖分です。甘味がついた炭酸ジュースは砂糖を多く含みます。また、種類によってはカフェインを含有しているものもあります。炭酸の刺激が欲しいときは、味が付いていない炭酸水にレモン果汁をしぼったり、梅酢を入れたりすると糖分やカフェインの摂取を抑えることができますよ。
炭酸は、胃の中でふくらみやすく不快感につながることもあります。げっぷをすることで胃の不快症状が緩和されたという話がある一方で、げっぷが嘔吐を引き起こしたという体験談も見受けられます。まずは少量から試してみると良さそうです。
ハーブティー
ハーブティーの香りは、ホルモンバランスの影響で沈んだ気持ちになりやすい女性の心を穏やかにしてくれますね。カフェインを含まないため、妊娠中も安心していただけるお茶として支持を得ています。
とはいえ、ハーブは女性ホルモンと似た薬理作用をもつものが多く、ハーブの種類や飲用量によっては妊娠の維持に良くない影響をおよぼすものもあります。ラズベリーやゴボウ、カモミール、アロエなどは子宮を刺激する作用を持つため、妊娠初期の飲用は避けましょう。
つわり対策としてよく用いられているのはルイボスティーです。南アフリカのミネラル豊富な土壌で育ったルイボスには、亜鉛や鉄分、カルシウム、リンなどのミネラルがバランスよく含まれています。ビタミンCが豊富なローズヒップティーもさっぱり飲みやすいハーブティーです。タンポポ茶はコーヒー代わりに飲んでいる人もいますよ。
果実・野菜ジュース
果実や野菜ジュースはさまざまな種類が手に入ることから、自分にあうタイプを見つけやすい飲み物です。どの果実や野菜でつわりが楽になるのか試しながら、いくつか用意してみてはいかがでしょうか。
柑橘系のレモンやミカン、オレンジジュースは口の中がさっぱりして飲みやすいジュースです。味に癖のないリンゴジュースものど越しがやわらかでお腹が落ち着きます。ジュースには、絞ったままの果汁100%のものもあれば濃縮ジュースや還元ジュース、砂糖などを加えた果汁入り飲料があります。糖分をとりすぎないよう、成分表示を確認するようにしたいですね。
つわり前はトマトが嫌いだったという妊婦さんからも評価が高いのが、100%のトマトジュースです。つわり中は酸味以外の味覚に鈍感になるため、酸味の強いトマトはおいしく感じられるのかもしれませんね。トマトが苦手だったとしても、一度試してみてはいかがでしょうか。
乳酸菌飲料
乳酸菌飲料が飲みやすかったという声も聞かれます。カルピスやヤクルト、ピルクルといった乳酸菌飲料は酸味があるため飲みやすく、カルシウムやビタミンなどの栄養成分が、食事を思うようにとれないときの栄養補給に一役買ってくれそうです。
また、乳酸菌が腸内環境を整えるようにはたらくので、妊娠初期の便秘対策としても効果が期待できますよ。糖分が気になる場合は、糖分をカットしたタイプの飲料を選ぶと良いでしょう。飲むタイプのヨーグルトもおすすめです。ヨーグルトに牛乳を加え、ジャムやきな粉を混ぜてお手製ドリンクを作れば、砂糖の量を調節できますね。
スポーツドリンク
ミネラル分を補給しながら水分が摂取できるスポーツドリンクも、つわり時期に好まれる飲み物です。ペットボトルで準備しても良いですが、市販の飲料では味が濃いと感じるときもあります。そのようなときは粉末を水で溶かして作るタイプがおすすめです。粉の量を加減して、好みの薄さに調整することができますよ。
ただし、スポーツドリンクも乳酸菌飲料やジュースと同じように糖分が多く含まれています。飲みすぎには注意をしてくださいね。
生姜湯
生姜に含まれるジンゲロールやショウガオールは、つわりの症状を和らげる成分として期待されています。つわりの症状を緩和するだけではなく、身体を温めたり消化吸収を助けたりするはたらきもあるため、妊娠中は積極的に摂取すると良いでしょう。
生姜をすりおろして蜂蜜や黒砂糖と一緒にお湯に溶かしたり、蜂蜜につけた生姜を蜜ごとお湯で割ったりして作る方法があります。お湯ではなく温めた豆乳や炭酸水で割って飲んでもおいしくいただけますよ。
つわり中に注意すべき飲み物
アルコール
つわり中を含め、妊娠中に飲用を避けたいのはアルコール飲料です。妊娠中にアルコールを摂取すると、胎児の低体重や奇形、脳障害などを引き起こす「胎児性アルコール症候群」を発症する可能性があります。
甘酒やノンアルコール飲料であっても、数%のアルコールが含まれていることがあるので、成分表示をしっかりと確認するようにしましょう。
コーヒー
コーヒーはカフェインが含まれている飲み物のひとつです。カフェインの過剰摂取は胎児の低体重や成長遅延のリスクが指摘されていますが、奇形や流産に対する影響は意見が分かれるところです。
そのため、カフェインは妊娠中に必ずしも摂取してはいけないものではなく、控えたほうが良い成分に分類されます。摂取目安としては一日200~300mgが上限です。コーヒーを飲む場合はマグカップで一日2杯~3杯程度を目安とすると良いでしょう。
ただし、カフェインに対する感受性は人によって異なります。不安な場合はノンカフェインのコーヒーにするか、カフェイン量の少ないコーヒー飲料やココアで代用するようにしてはいかがでしょうか。
紅茶
紅茶にもカフェインが含まれます。茶葉5gを90℃の熱湯360mLで1.5~4分浸出したときに、100mL中に含まれるカフェイン含有量は30mgと、コーヒーの半分量になります。カフェインの一日の摂取目安量を考慮すると、マグカップで4~6杯程度が目安となります。
紅茶は緑茶を発酵して作られたもので、茶葉に含まれる「カテキン」の抗菌・抗炎症作用が認められています。風邪を予防するために紅茶うがいは感染防止に役立つという研究結果があることから、飲用だけではない利用法を検討してみるのも良いかもしれません。
緑茶
日本人が古くから引用している緑茶も、カフェインを含む飲み物です。茶葉10gを90℃の熱湯430mLで1分間浸出させると、100mLにつき20mgのカフェインが含まれることがわかっています。一日1Lであれば問題ないカフェイン量となりますが、飲みすぎには注意しましょう。
緑茶に含まれるアミノ酸の一種「テアニン」は、リラックス効果があるという研究結果があることから、摂取量に注意しながら香りを楽しんでくださいね。
栄養ドリンク・エナジードリンク
肉体疲労時や病中・病後の栄養補給を目的に作られた栄養ドリンクやエナジードリンクは、元気がないときに身体をシャキッとさせてくれる飲み物です。妊娠中に必要なビタミンBやビタミンCを含む商品が多く、つわりの吐き気を抑えるという体験談も寄せられています。
しかし、商品によっては1本あたり120mgのカフェインが含まれているものもあります。手軽な栄養補給の方法ではありますが、安易な利用は避け、飲用するときには成分表示を確認するか医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
つわりで飲み物が飲めないときはどうする?
つわりで飲んだものを吐いてしまうときや、口に入れただけで違和感を覚えてしまうときは、飲み物の温度を調節してみましょう。温かい飲み物よりも冷たいものの方が、吐き気を抑えることができるかもしれません。液体でもつらいときは氷にしてみると水分を補給することができる場合もありますよ。
水分の多い果物や野菜で水分を摂取することも試してみましょう。野菜を煮込んで、塩とコンソメで味付けをした野菜スープは水分摂取におすすめのレシピです。
これらの方法を試してみても水分がとれず、めまいや動悸といった症状が出てきたら、脱水症状を引き起こしている可能性があります。我慢せずに医師の診察を受けるようにしましょう。
つわりで吐いたあとに飲みやすい飲み物は?
つわりで吐いてしまったあとは塩水で口をゆすぎ、30分前後は飲食をしないで、できるだけ胃を休めてあげましょう。吐き気が治まり胃が落ち着いてきたら、常温の麦茶や白湯(さゆ)など胃に負担をかけない飲み物で失った水分を補給してください。いきなりごくごく飲むのではなく、少量ずつゆっくりと飲むことを心がけましょう。
医療現場で脱水症状の処置に使われている経口補水液も、スムーズに水分補給ができる飲み物です。体力が落ちている身体でも吸収しやすいように電解質と糖質をバランス良く配合しているため、嘔吐後はスポーツドリンクよりも飲みやすく感じます。ただし、一日摂取目安量は500〜1,000mLなので、適正な利用を心がけてくださいね。
飲み物を工夫してつわりを乗り越えよう
飲み物にはたくさんの種類があり、温度や舌触りによっても飲めるか飲めないかが変わることがあります。1回目はまずいと感じたものでも次は飲めたということがあるため、楽しみながら自分にあった飲み物を探せると良いですね。
つわり時期に飲みやすいと感じる炭酸飲料やジュース類、乳酸菌飲料は酸性の性質を持ち、長くダラダラ飲み続けると歯のエナメル質が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」となる危険性があります。酸蝕歯を防ぐには、飲み物を飲んだ後にガムを噛んだり柔らかい歯ブラシを使ったりして歯に負担をかけすぎないようにケアすることがポイントです。
嘔吐があると気分がめいってしまうものですが、食事が食べられないときでも、ある程度飲み物が摂取できるようであればつわりを乗り切るための希望となります。飲み物を工夫して、少しずつ栄養や水分を摂取していきましょう。