【産婦人科医監修】妊娠8週の流産の症状や確率は?心拍確認後はリスクが下がる?
妊娠8週は心拍が確認でき、正常妊娠が確定する時期です。妊娠8週にまだ心拍確認ができないと、その後の経過が心配になりますよね。一方、心拍確認ができた妊婦さんも、心拍確認後に流産のリスクがあるのか気になるかもしれません。ここでは、妊娠8週の流産の確率や症状、流産を防ぐ方法はあるのかという点について解説します。
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目次
妊娠8週はどんな状態?
妊娠8週:赤ちゃんの状態
妊娠8週は、赤ちゃんの手足や顔の器官が整い始める時期です。脳や筋肉、神経系の発達が進み、手足を動かすようになります。
赤ちゃんの大きさは約1.3~2.0cm程度で、子宮の大きさは握りこぶしくらいです。
赤ちゃんの心臓は妊娠の早い段階で作られ、妊娠6週頃になると心拍が確認できる妊婦さんが増えてきます。ただし、排卵日が大幅に遅れると、最後の生理開始日から計算した妊娠週数と実際の妊娠週数がずれてしまいます。そうした影響を受け、心拍確認が妊娠8週を過ぎてしまったというケースはたくさんあるようですよ。
妊娠8週:ママの状態
赤ちゃんが急激に成長するのに伴い、妊婦さんの身体にもさまざまな変化があらわれます。つわりは一般的に妊娠5~6週頃に始まり、妊娠8週頃にピークになるといわれています。吐き気や嘔吐のほか、においに敏感になる、食べ物の好みが変わる、ひどい眠気など、つわりの症状は個人差があります。なかには、つわりがまったくあらわれないという人もいます。
また、子宮が大きくなったり、ホルモン分泌のバランスが変わったりすることで、腹痛や頻尿、便秘といったトラブルも増えてきます。
妊娠8週は流産しやすい?妊娠8週の流産率は?
流産とは、妊娠22週未満に妊娠が中断されることです。自然流産は全妊娠の8~15%の確率で発生するとされていますが、その8割以上が妊娠8週を含む妊娠12週までの初期段階に起こります(※1)。
妊娠週数別の流産率は妊娠5~7週が22~44%、8~12週が34~48%、13~16週で6~9%となっており、妊娠初期の段階では8~12週の流産する確率がもっとも高くなります(※2)。妊娠期間を通してみても、妊娠8週は流産率が高い時期といえるでしょう。
妊娠8週に心拍確認できないと流産?
一般的に、赤ちゃんの心拍が確認できれば、順調に成長していると考えられ、流産の確率も低くなるといわれています。
心拍確認は早ければ妊娠5週頃にできるため、妊娠6週・7週と過ぎ、妊娠8週になってもまだ心拍確認ができないと、流産しているのではないかと不安になるかもしれません。しかし、妊娠週数の計算がずれるなどすると、妊娠8週を過ぎて心拍確認できるケースも少なくありません。
心拍確認の時期が遅かったものの、無事に元気な赤ちゃんを出産した先輩ママもいるので、妊娠8週に心拍なしでも、赤ちゃんの生きる力を信じて待ってみてくださいね。
心拍確認後の流産の確率は?
心拍確認後は流産率が下がるものの、リスクは依然としてあります。検査機器の向上により、早期に心拍確認ができるようになりましたが、心拍確認の時点で元気だった赤ちゃんが、その後、成長できなくなることがあるのです。経腟エコーによる心拍確認後の流産率は16~36%とされており、油断はできません(※3)。
妊娠8週の流産の原因は?防げないの?
妊娠12週未満に起こる流産は「早期流産」といわれています。早期流産の原因の多くは受精卵の染色体異常で、確実な予防法はありません。残念ながら、もともと赤ちゃんに成長する力が備わっていなかったといえます。
流産にはいたっていないものの、流産しかけている「切迫流産」の場合も、妊娠初期では有効な対処法はなく、切迫流産の症状が改善されるまで安静に過ごすよう指示されます。何も治療できないのはもどかしいかもしれませんが、切迫流産では妊娠を継続できる可能性もあるため、身体を休めることを第一に優先してください。
流産は誰にでも起こる可能性があり、防げないものです。ただし、喫煙が流産のリスクを高めることがわかっています。妊娠中は禁煙するのはもちろん、受動喫煙も避けるようにしましょう。
妊娠8週の流産の症状
流産の危険性がある切迫流産の場合、少量の出血や軽い下腹部痛が兆候としてあらわれます。こうした症状は、特に妊娠初期には正常妊娠であってもよく起こるため、切迫流産かどうか自分で判断できません。出血や腹痛がみられたら、産婦人科に連絡して、医師の指示を仰いでください。
一方、すでに流産してしまった場合、切迫流産に比べて多量の出血がみられます。出血とともに、お腹の張りや痛み、腰痛が長時間続くこともあるようです。また、つわりの症状が急になくなる場合も流産の可能性があります。
ただし、胎芽(たいが)と呼ばれる赤ちゃんが死亡し、排出されずに子宮内にそのままとどまっている「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」の場合、自覚症状があらわれず、流産していることに気付かないことも考えられます。
流産してしまったらどうなる?
流産の処置の方法
エコー検査で心拍などが確認できない、または、子宮内に赤ちゃんを包む胎嚢(たいのう)しか見えない「枯死卵(こしらん)」という状態だと判断されると、流産と診断されます。
流産の処置の方法は、流産の進行の程度によって異なります。
胎芽などの子宮内容物が体外に完全に排出された「完全流産」の場合、特に治療は必要としません。自然に子宮の収縮が起こり、妊娠前の状態に子宮が回復するのを待ちます。
一方、子宮内容物の一部が子宮内に残ったままの「不全流産」や稽留流産では、一般的に「子宮内容除去術」という手術を行います。子宮内容除去術の方法は、器具を使って子宮内容物をかき出す「掻爬(そうは)法」と吸い出す「吸引法」を併用するのが主流です。
医師の方針や患者の希望によっては、子宮内容物が自然に排出されるのを待つ「待機療法」が選択されることもあります。ただし、いつ排出されるかわからず、長期間待ったものの結局手術が必要になる可能性もあるようです。
流産後の妊活
流産が起こると、身体も心も消耗してしまいます。流産の処置後、しばらくは安静に過ごし、ゆっくりと元気を取り戻してください。
少し気持ちが落ち着いてくると、また赤ちゃんを授かりたいという思いが芽生えてくるかもしれません。流産後の生理は、流産してから3~6週間後に来るのが目安ですが、妊活については、生理を1~2回見送ってから再開するよう医師に指導されることが多いようです。生理が再開しても、妊娠に向けて体調が万全になっているとは限らないからです。
なお、一度流産を経験すると、再び流産してしまうのではないかと不安になる方もいらっしゃるでしょう。流産を2回繰り返す「反復流産」は4.2%、3回以上繰り返す「習慣流産」は0.88%の頻度で起こるとされています(※4)。流産の経験後、正常に妊娠して無事に出産にいたった先輩ママはたくさんいますが、その一方で、流産を繰り返してしまうケースもあるということです。
反復流産や習慣流産では、もともと何らかの原因があって流産してしまうのではないかと疑い、不育症の観点から原因を探ることが必要になります。
妊娠8週はできる限り心と身体を休めて
妊娠8週は体調変化が激しい時期で、お腹の赤ちゃんが無事に成長してくれるか心配になることも多いでしょう。心身ともに不安定になってしまうのは当然のことなので、くれぐれも無理はしないよう、周りの人をどんどん頼ってくださいね。
流産のリスクがぐっと低くなる安定期まで、赤ちゃんの成長を信じながら、できる限り心と身体を休めることがママの仕事です。赤ちゃんもママに会うために、お腹の中で一生懸命頑張ってくれていますよ。
※この記事は2023年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。