流産後に腹痛や出血が続く原因は?症状や対処法、腰痛・下痢など同時に起こる不快症状について解説

流産後に、生理のときのような腹痛や出血が続くことがあります。人によっては、流産後の腹痛・出血にともなって下痢、腰痛、発熱の症状が出る人もいます。こうした症状はいつまで続くのでしょうか。また、どう対処すれば良いのでしょうか。ここでは気になる流産後の腹痛・出血の、原因や対処法について解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 流産後は腹痛・出血などの症状に不安を感じる人が多い
  2. 流産手術後の腹痛や出血の症状は?いつまで続く?
  3. 流産後の腹痛の原因は?
  4. 流産後の出血の原因は?止まらないのはなぜ?
  5. 流産後の腹痛・出血にともなう不快症状
  6. 流産後の腹痛や出血の対処法
  7. 流産後の過ごし方で気をつけること
  8. 身体の不調が続くときは病院へ
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流産後は腹痛・出血などの症状に不安を感じる人が多い

自然流産は症状によって処置や経過が変わってきます。胎児が死亡していても、腹痛や出血など自覚症状がないものを「稽留(けいりゅう)流産」と言います。病院で稽留流産と診断されると、手術で子宮の内容物を除去することが一般的です。

腹痛や出血などの自覚症状が伴うものは「進行流産」と言います。進行流産は子宮の中身が完全に排出された状態である完全流産と、一部が子宮内に残留している不完全流産に分かれます。完全流産の場合は、出血や腹痛などの症状はすでに治まっていることも多く、安静にして経過観察するのがほとんどです。

不完全流産の場合は流産手術によって残っている胎盤などを取り出すか、自然に排出されるのを待つかを検討することになります。待機中に強い腹痛や出血が起こると、緊急手術に切り替わることもあります。また、流産手術後にも、腹痛や出血などの症状が続くことがあるでしょう。

流産後に腹痛や出血が続くと、次の妊娠が可能なのかどうか、自分の子宮の状態が戻っているのかどうか心配になる人が多いようです。流産後の症状の原因や対処法を知っておけば、余計なストレスをためずに済むかもしれません。それでも身体の不調や不安が続くようなら、担当の医師に相談してみましょう。

流産手術後の腹痛や出血の症状は?いつまで続く?

腹痛

流産の手術後は経過観察となります。術後2週間ほどは安静期間と考え、激しい運動は控えて、無理をしないことが大切です。術後は、生理痛に似たチクチクとした腹痛や、腰痛、お腹の張りを感じることがあります。1週間ほどで徐々に痛みがなくなることが多いようですが、個人差があります。

術後1ヶ月近く生理痛のような痛みがあったり、最初は痛くなかったのに数日経ってから急に痛くなったりすることもあるようです。感染症などが原因の場合もあるので、いつもと違う激痛を感じたときや、痛みがずっと続くときは担当の医師に相談しましょう。

出血

出血の量や続く期間は、個人差があります。一般的には流産手術後、1週間ほど出血が続くといわれています。人によっては1ヶ月以上出血が止まらないこともあるようです。

子宮の中の血や妊娠組織が子宮収縮によって押し出されるため、胎盤のような血の塊が出たり、大量の鮮血が出たりすることもあります。術後の経過に問題なければ、少しずつ血の量が減って、おりもの程度になっていきます。2週間以上大量の出血が続いたり、激しい痛みが伴ったりしているときは、医師に診てもらったほうが良いでしょう。

流産後の腹痛の原因は?

流産後の腹痛やお腹の張りは、繰り返される子宮収縮がひとつの原因といわれています。子宮は何度も収縮することで、子宮内にたまった血を押し出し、元の状態に戻っていきます。子宮収縮が不良の場合は子宮収縮薬を投与されることがあります。この薬によって子宮収縮が激しくなり、腹痛が強まることもあるようです。

排卵期にだけ腹痛が起こるのであれば、排卵痛の可能性もあります。排卵する前は卵胞が成熟して卵巣が腫れたような状態になり、痛みを感じることがあります。排卵期は生理後1週間~10日過ぎてから訪れるのが一般的です。気になるようであれば、基礎体温表や排卵検査薬などでチェックしてみましょう。

感染症や子宮内膜症が腹痛の原因となることもあります。医師の許可が出るまでは、感染を防ぐために性行為は控えたほうが良いでしょう。強い腹痛や発熱があるときは、すぐに病院で診てもらいましょう。

流産後の出血の原因は?止まらないのはなぜ?

流産後の出血は、子宮にたまっている血や残存物が押し出されることが原因となっています。子宮収縮が正常に起こらないと、子宮内の血はうまく排出されず、子宮も元の状態に戻ることができません。

出血が数週間経っても止まらない場合、子宮内に妊娠組織が残っている可能性があります。子宮収縮薬を使って経過観察になることもあれば、再手術が必要になることもあります。

その他にも、排卵日前後や、ホルモンバランスの乱れによって不正出血が起こることもあります。子宮内膜炎や子宮筋腫、子宮外妊娠などの疾患が原因の場合もあるので、気になるときは医師に相談してみましょう。

流産後の腹痛・出血にともなう不快症状

流産後は腹痛や出血以外にも、身体の不調が続くことがあります。どういう症状がみられるのでしょうか。

下痢

妊娠初期の下痢は流産につながるというジンクスがありますが、医学的な根拠はありません。しかし、流産後に下痢に悩まされる人は多いようです。下痢の原因はさまざまですが以下のようなものが考えられます。

・ストレス
・ホルモンバランスの乱れ
・薬の副作用

子宮収縮剤の影響で下痢が起こることもあるようです。腸の働きを正常にするため、お腹を温めて消化に良いものを食べましょう。下痢が続くときは脱水状態にならないように、水分補給も心がけると良いですね。

腰痛

流産後は、腹痛に腰痛を伴う人も多いようです。腰痛の原因は以下のようなものが考えられます。

・子宮収縮
・骨盤の緩み
・子宮や卵巣の炎症
・排卵痛

妊娠中のホルモンの影響で骨盤周りの筋肉が緩んだままだと、流産後に腰痛につながることがあります。ストレッチなどで改善する場合もありますが、流産後は無理に身体を動かすことは控えたほうが良いでしょう。

発熱

流産後、熱があるときは注意が必要です。疲れやストレスなどから微熱が出ることもありますが、感染症などが原因で発熱することもあります。とくに流産手術後すぐに熱が出た場合は、産婦人科に早めに連絡しましょう。

吐き気

ストレスやホルモンバランスの乱れで、吐き気が起こることがあります。つわりが続いているような感覚で、気分も落ち込んでしまうかもしれません。また吐き気で食欲がなくなると、栄養バランスの良い食事をとることが難しくなるケースもあります。

吐き気があるときは、窓を開けて空気を入れかえたり、冷たい水でうがいをしたりすることで、気持ち悪さがまぎれることがあります。ご飯は食べられるときに食べられる量を食べるようにし、無理はしないようにしてくださいね。リラックスすることも大切なので、呼吸法やアロマテラピーを試してみるのも良いでしょう。

頭痛

流産後に頭痛に悩まされるママもいます。寝不足や疲労、女性ホルモンの変動などが原因となる「片頭痛」と、精神的・身体的ストレスなどが原因となる「緊張型頭痛」があります。

片頭痛の場合は部位を冷やし、静かな暗い場所で休むと良いでしょう。緊張型頭痛の場合は首や肩を温めて、気分転換をしてみましょう。発熱を伴う激しい頭痛があるときは、すぐに病院で診てもらってくださいね。

流産後の腹痛や出血の対処法

薬の使用は、医師に相談したうえで

腹痛がひどいときは、薬を使って軽減させるのも良いでしょう。妊娠中ではないので市販薬を使うこともできますが、やはり医師に相談してからのほうが安心です。

ロキソニンなどの鎮痛剤は腹痛や腰痛に効果がありますが、子宮収縮までも抑えてしまう可能性があります。また、強い鎮痛剤は胃を荒らすこともあるので、体調や経過をよく知る医師に薬を処方してもらったほうが良いですよ。

性交は控える

出血や腹痛が続いているあいだは、なるべく性交は避けたほうが良いでしょう。感染症になる可能性はゼロではありませんし、腹痛や出血が悪化する可能性もあります。出血が落ち着いて、医師の許可があればOKですが、しばらく妊娠を予定しないのであれば、避妊はしておきましょう。生理再開前でも、排卵が起こっている可能性があります。

症状がひどいときは病院へ

流産後の腹痛や出血は、子宮がリセットされた後に軽減することが多いといわれています。あまり神経質になることはありませんが、激痛を感じたり、ナプキンから漏れるほどの大量の出血が続いたりするときは、担当の医師に診てもらったほうが良いでしょう。

他の疾患が原因となっていることもありますし、身体の不調が続くと次の妊娠に影響することがあります。しっかり検査をしてもらえば、不安な気持ちも落ち着くかもしれませんよ。

流産後の過ごし方で気をつけること

無理せず安静に

流産の後は、身体も心も疲労している状態です。家事や仕事はなるべく休んで、ゆっくりと休みましょう。気持ちをまぎらわせるために身体を動かす人もいますが、激しい運動は避けたほうが安心です。手術を受けた人は、感染症を避けるために、水泳や入浴、タンポンの使用などは控えましょう。

流産後の出血・腹痛が治まり、体調に問題がなければ無理に横になっている必要はありません。身体が疲れない範囲でお散歩をしたり、友人とおしゃべりしたりするのも良いでしょう。出血や腹痛がおさまったら、少しずつ元の生活に戻していくと良いですね。

睡眠や食事をしっかりとろう

ホルモンバランスは規則正しい生活によって整っていきます。流産後はストレスや不安で眠れなくなることもありますが、なるべく7時間は睡眠時間を確保したいところです。眠りは時間だけではなく質も大切です。できるだけ夜ふかしをせずに、起きたら朝日を浴びるようにしましょう。

栄養バランスの良い食事も健康に欠かせません。主食を中心に、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物などを偏りなく食べるようにしたいですね。身体を温める根菜類や、鉄分が豊富なレバー類も食べましょう。次の妊娠に備えて、葉酸が多い海藻類や青菜類を取り入れても良いですね。

心のケアもしっかりと

流産を経験すると、次の妊娠への不安、赤ちゃんに対する罪悪感や自責の念、脱力感や無力感などを覚えることがあります。早期流産のほとんどは染色体の異常が原因であり、ママの日常生活に起因するものではありません。

自然流産は全妊娠の8~15%の確率で起こるため、誰にでも可能性はあるのです。流産や死産を経験した人は、うつや外傷後ストレス障害を引き起こすリスクが高くなるといわれています。つらい気持ちは簡単には和らぐものではないかもしれませんが、ママはできるだけ考え過ぎずに、ストレス解消に努めましょう。

夫や家族、親友など、信頼できる人とのコミュニケーションも心のケアになるといわれています。病院によってはカウンセリングルームを設けていることもありますから、利用するのも良いでしょう。

身体の不調が続くときは病院へ

流産後に、子宮収縮による出血や腹痛が続くことがあります。一週間程度でおさまることが多いですが、ずっと続くケースもあります。出血が止まらない場合や、ひどい腹痛を感じたときは病院で診てもらいましょう。流産後は安静に、リラックスして過ごすことが大切です。自分なりのストレス緩和法を見つけられると良いですね。

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