【産婦人科医監修】妊婦のおたふく風邪は危険?胎児への影響、予防、対処法とは
おたふく風邪は一般的な感染症ですが、妊娠すると流行が気になりますよね。一度かかっていたり、予防接種をしたりしていれば安心ですが、念のため確認しておきたいことです。ここでは妊娠中のおたふく風邪について、胎児への影響、予防、対処法を詳しく見ていきましょう。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
おたふく風邪とは
ムンプスウイルスの感染
おたふく風邪は医学的には流行性耳下腺炎と呼ばれ、原因はムンプスウイルスというウイルスです。症状としては、耳たぶの上下(いわゆる耳下腺)が腫れたり痛んだり、発熱したりします。
潜伏期間は約2週間
おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスの潜伏期間は、約2~3週間です。潜伏期間には個人差があり、1週間の場合もあれば4週間近く潜伏していることもあります。初期症状は風邪のような症状で、2~3日後に後耳下腺が腫れる症状が出てきます。
全体の3分の1は感染に気付かない
おたふく風邪の特徴的な症状である耳下腺の腫れには個人差があり、風邪と間違われることもあります。また発熱や頭痛がない場合もあるので、感染に気付かないことも多いようです。
おたふく風邪の症状
おたふく風邪の初期症状は風邪と類似しており、発熱、食欲不振、倦怠感、寒気などの症状が出ます。その後2~3日で耳下腺の腫れや痛みが現れますが、耳下腺の腫れのピークは2日程度です。耳下腺は両側が腫れることが多く、その後腫れはひいていきます。症状が緩和したとしても、5日程度は感染力が強いため、外には出歩かないようにしましょう。
おたふく風邪による妊婦への影響
大人は重症化しやすい
おたふく風邪に感染するのは子どもが多いですが、抗体がない場合、大人でも発症することがあります。大人が発症すると重症化しやすく、治るのにも時間がかかることが多いようです。また合併症にも注意が必要です。
合併症を引き起こすことも
おたふく風邪の合併症では、無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎、卵巣炎などがあげられます。特に卵巣炎は5%程度が発症するといわれていますが、不妊になることはごくまれです。それに対して、男性が感染すると、精巣炎により不妊症になることがあります。
おたふく風邪による胎児への影響
妊娠初期は流産の危険
妊娠中におたふく風邪を発症する確率は、0.1%~0.01%といわれています。しかし、妊娠初期にかかると流産の危険性があるので、人ごみに出歩かない、感染している人に近づかないなどの注意が必要です。
先天性異常などの影響はない
基本的には妊娠中におたふく風邪に感染しても、赤ちゃんが先天性異常になるなどの影響はないといわれています。しかし、近年では低体重児となる可能性が報告されており、心臓や免疫にかかわる病気を発症する可能性もあるようです。
出産時におたふく風邪を発症していると、赤ちゃんにも感染する恐れがあります。新生児が感染すると、深刻な合併症を引き起こす危険性もあるため、注意が必要です。
妊娠中のおたふく風邪の予防法
妊娠中はワクチン接種ができない
おたふく風邪に対する最も効果的な予防方法は「予防接種」です。しかし、妊娠中は接種が不可となっています。その他のワクチンに関しても、基本的にインフルエンザ以外は妊娠中の接種ができません。妊娠を考える前におたふく風邪の抗体を確認し、抗体がない場合は予防接種を受けておきましょう。
マスク、手洗い、うがい
おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスの感染経路は、飛沫感染や接触感染です。飛沫感染の予防には、マスクが効果的です。妊娠中に人の多い場所に外出する場合は、マスクをつけていくようにしましょう。また、風邪予防などと同様に手洗いとうがいをしっかりと行い、手についたウイルスを体内に持ち込まないようにしましょう。
家族が感染したときも予防対策を
家族に子どもがいる場合、子どもが感染する可能性が高いため、妊娠中に感染する可能性も高くなります。保育園や幼稚園、小学校などでおたふく風邪にかかっている人がいる場合は、手洗いとうがいを徹底しましょう。また家族に感染者がいる場合には、タオルなどは別々に用意し、家庭内でもマスクをすると安心です。
便などを介した接触感染もあります。おむつをしている子どもがいる場合、おむつ交換のときには手袋をするか、交換後には必ず手をよく洗いましょう。
抗体があっても感染することがある
過去におたふく風邪に感染したことがある人や、予防接種を受けている人は、抗体を持っていることが多いです。しかし抗体を持っていたとしても、量が少ない場合、おたふく風邪を発症することがまれにあります。たとえ抗体を持っていたとしても、感染しないように予防しておくことが大切です。
妊娠中おたふく風邪に感染したら
基本は対処療法
おたふく風邪の原因であるムンプウイルスに効果がある薬は、今のところありません。治療は対症療法のみとなり、解熱剤や痛み止め、脱水を起こしている場合は輸液などの対応になります。妊娠していても基本的に治療方法は同じです。薬は赤ちゃんに影響の少ないものを検討してもらえるので、治療の際には必ず妊娠を申告しましょう。
刺激物は避け、柔らかい食べ物を
耳下腺が腫れているときの食事は、腫れや痛みが悪化する可能性のある、固いものや刺激物を避けましょう。ゼリーやおかゆ、スープやアイスなど、柔らかく刺激の少ないものを食べるのがおすすめです。
入浴はNG
入浴は体力を消耗するのに加え、湯冷めをすることもあります。症状の悪化を防ぐためにも、入浴は避けたほうが無難です。
保冷剤などで冷やして痛みを緩和
耳下腺が腫れると、痛みが出てきます。痛みを和らげるには、冷やすことが効果的です。保冷剤や氷などで腫れている部分を冷やし、痛みを緩和しましょう。
水分をしっかりとろう
発熱すると水分が不足しがちです。脱水症状になってしまうと、おたふく風邪の症状も悪化してしまいます。発熱している場合は、水分補給をしっかりと行いましょう。
妊娠中のおたふく風邪の治療
自己判断で薬の服用をしない
妊娠中は胎児への影響を避けるため、安易に薬を服用することは避けましょう。自己判断で市販薬を飲むことはせず、まずは医師に相談し、胎児に影響の少ない薬を処方してもらうようにしましょう。
病院で妊婦が飲める薬が処方される
妊娠中におたふく風邪が疑われる場合は、すぐに医師に相談しましょう。鎮痛剤や解熱剤など、赤ちゃんに影響の少ない薬を処方してもらえます。
妊娠中のおたふく風邪は医師に相談を
妊娠中はどのような病気でも怖いものです。まずはおたふく風邪の抗体があるかどうか、確認の血液検査を受けてみましょう。妊婦健診で行ってくれる病院もあるので、確認してみると良いですよ。それに加えて予防も心がけていきたいものですね。もし発症が疑われる場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。