【助産師監修】「マタニティハイ」とは?原因や対処法はあるの?ならない人もいる?

女性にとって人生のビッグイベントともいえる妊娠・出産は、大変喜ばしいものですね。しかし、高揚感に包まれた行動は、ときにマタニティハイに映ることがあるようです。マタニティハイとはどのような状態を指すのでしょうか。マタニティハイの特徴や周囲の人への影響、マタニティハイの場合に注意したい点について助産師監修で解説します。

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目次

  1. さまざまな感情が入り混じる妊婦の「心」
  2. マタニティハイとは?
  3. マタニティハイの特徴は?
  4. マタニティハイとマタニティブルーの違いは?
  5. 友人・職場、マタニティハイの影響は誰におよぶ?
  6. マタニティハイになる原因は?
  7. 名前・写真・報告など「マタニティハイ」といわれる例
  8. マタニティハイは何が問題?
  9. マタニティハイの自分、相手への対処法
  10. ひと息ついて周囲を見渡すことも
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さまざまな感情が入り混じる妊婦の「心」

約10ヶ月もの妊娠期間の中で、妊婦はさまざまな感情の変化を経験するかもしれません。妊娠検査薬が陽性だったとき、初めて心拍確認できたとき、つらいつわりで眠れない日が続いたとき、少しずつお腹が目立つようになってきたとき、初めて胎動を感じたとき、ついに臨月が近づいてきたとき、一つひとつの瞬間に特別な感情が入り混じることもあるでしょう。

妊娠・出産という貴重な経験を家族や親しい友人、職場の人や近所の人と分かちあいたいという気持ちを持つ人もいるでしょう。お腹の中でわが子が育つ嬉しさ、将来についての不安、いろいろな話をしたいこともあるでしょう。大切な人生の1ページを共有してもらえることは喜ばしいことではありますが、「聞く側の気持ち」を考えないと相手を不愉快にさせてしまうこともあるかもしれません。

マタニティハイとは?

「マタニティハイ」という言葉をご存知でしょうか。マタニティハイとは、妊娠中・産後の抑うつな気分を示す「マタニティブルー」の逆を意味する言葉として生まれました。医学的に解明された言葉・英語圏で主流な現象といったものではなく、マタニティブルーとは真逆の状態の人を指す際に用いられる俗称です。

医学用語ではないため、明確な定義はないようですが、「妊娠によって高揚感が続く・活動的になる」といった状態を意味する言葉として用いられることが多いかもしれません。一般的にマタニティハイになるのは妊婦自身のみのイメージが強いかもしれませんが、妊婦の夫・両親・義両親など家族がマタニティハイのような状態になるケースも少なくないといわれています。

マタニティハイの特徴は?

マタニティハイは俗称のため、明確な定義は定められていないようです。一般的には、妊娠によってテンションが高い状態が続き活動的になることを意味して用いられることが多いでしょう。病気ではないため症状はありませんが、特徴としては「ポジティブに用いられることが少ない言葉」という点があげられるかもしれません。

妊娠・出産は女性にさまざまな変化を生じさせるため、妊婦の感情が揺れ動く機会は多いでしょう。妊娠中は不安が強くなる人が多いといわれていますが、なかには喜び・楽しみといった方向に感情が強く揺れ動く人もいます。妊娠の喜びや将来への希望を分かちあうことで幸せになる人もいます。一方で、「素直に喜ぶことができない状態の人もいる」、「伝え方によっては快く思わない人がいる」という点には注意が必要でしょう。

妊娠に関連したマタニティハイ、産後に関連した産後ハイ、結婚に関連したウェディングハイなどさまざまな俗語があります。いずれも妊娠・産後・結婚といった人生の節目を迎えた人すべてを対象にした言葉ではなく、あくまでも高揚感が続いている人を示す際に使用されることが多い言葉です。

人生の節目で高揚感が続く状態を経験する人は少なくありません。大切なのは「自分の話や行動をどのように感じる人がいるのか」を想像してみることなのかもしれませんね。

マタニティハイとマタニティブルーの違いは?

マタニティハイによく似た言葉に「マタニティブルー」があります。妊娠中・産後に、一定期間のみ現れることがある抑うつのような精神状態を指す言葉です。医学的には産後のみを対象として、「マタニティブルーズ」と呼ばれます。心の健康の分野で医学的にも用いられる言葉であることが、マタニティハイとは異なる点のひとつでしょう。

それぞれ「マタニティ」とついているものの、当てはまる時期も異なります。マタニティハイは主に妊娠中の状態を指し、出産後にハイテンションが続き活動的になる人のことは「産後ハイ」として区別することがあります。一方でマタニティブルーは妊娠中のみのイメージが強い言葉ですが、実際は産後の方が重い症状が現れることが多いという意見もあるようです。

マタニティブルーは妊娠中・産後にあらわれる抑うつに似た症状であるのに対し、マタニティハイは俗語であり、「妊娠中のみを対象としたテンションが高く活発的な状態」を表現する際に用いられる言葉となります。

言葉自体は似ていますが、言葉の定義・対象期間が大きく異なります。このためマタニティハイになれない・マタニティハイにならないからマタニティブルーである、ということにはならないでしょう。

友人・職場、マタニティハイの影響は誰におよぶ?

マタニティハイは、周囲の人が妊婦に対して抱くひとつの評価としてとらえることができるでしょう。妊娠が喜ばしいこと、赤ちゃんに会えるのが楽しみであることは誰にでも理解できるものです。ただし、人によっては素直に喜ぶことができなかったり、不快な気分になったりするケースがあることを忘れないようにしたいですね。

妊娠や家族が増える喜び、産後への期待などの話を聞く機会があり、それを快く思わない可能性がある人たちは、マタニティハイである本人と親しい人の中にもいるかもしれません。例えば友人や職場の同僚・家族・ママ友・近所の人など、普段から親しい間柄でも、妊娠や出産に関する話題は、相手の気持ちを考えることが大切です。

妊婦だけでなく妊婦の家族や両親・義両親にもマタニティハイが現れる可能性もあります。そうなると、親戚や妊婦本人にとって近しい関係ではない人にも不快感を与えるケースがあります。

タイミングや状況によっては、友達をなくすことになったり、会社の同僚や近所の人から煙たがれたり、修羅場になったりすることも無きにしもあらずです。こうした事態を避けるために、そして何より周囲の人を不快にしないように、相手の状況や立場に気を配り、自分自身の言動を一度振り返ってみると良いかもしれませんね。

マタニティハイになる原因は?

家族や友人、職場の人、近所の人など自分に近しい人との関係に影響を与える可能性があるマタニティハイですが、なぜマタニティハイになる人・ならない人がいるのでしょうか。

マタニティハイは俗称で正確な定義はないため、原因やいつまでこの状態が続くのかといった指標はありませんが、マタニティハイになる原因としていくつかの可能性が考えられます。

妊娠中の女性ホルモン分泌バランスの変化の影響、妊娠初期のつわりが終わり比較的体調が落ち着く安定期以降にできた気持ちの余裕、二人目以降の出産で比較的心の余裕がある、高齢出産、不妊治療の末にやっと授かった妊娠であるといったものなどです。

ただし妊娠による気分の高揚自体は多くの人が経験するものです。必ずしもマタニティハイが悪いわけではなく、周囲の人間関係が崩れるような言動が続くと、悪い意味でのマタニティハイになるため言動には注意していきたいですね。

名前・写真・報告など「マタニティハイ」といわれる例

妊婦と喜びを共有し、「これはきっと、マタニティハイだね」と笑いあうような使い方や、妊娠をきっかけに前向きでテンションが高い状態が続いたり活動的になったりすることは悪いことではありません。ただしネガティブな意味で「マタニティハイだ」と周囲を不快な気持ちにさせてしまうパターンはいくつかあるようです。

SNS・メールなどでの妊娠報告

昨今ではLINEやFacebook、InstagramといったSNSなどでの「妊娠報告」は定番のひとつになっているかもしれません。直接の報告やメールなどでの報告もあるでしょう。いずれも報告の手段に問題があるわけではありませんが、さまざまな受け取り方をする人はいるでしょう。

SNSなどで全員に伝えるのではなく個別で直接連絡が欲しいという人、不妊治療中もしくは流産直後などの理由で今は人の妊娠事情を聞きたくないという人もいるかもしれません。それぞれ個別の事情があり、すべての事情を把握するのは難しく正解はないかもしれませんが、把握している限りの事情を考慮して、報告を行うと良いかもしれませんね。

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エコー・大きなお腹などの写真

貴重なマタニティフォトを残したり、日々大きくなるお腹を記録したりする人もいるでしょう。病院でもらえる胎児のエコー写真を残す人もいるでしょう。大切な瞬間を保存しておくのは、子どもが大きくなってから振り返ることもできて素敵ですよね。約10ヶ月という長い期間を乗り切るモチベーションにもなるかもしれません。

自分にとっては幸せの象徴ともいえる写真でも、他の人とっては受け取り方が違う可能性があります。不妊治療中や流産をしたばかりの人の中には、不快になったり悲しくなったりする人もいるでしょう。大量にSNSに写真を投稿する、求められていないのに何度も写真を見せるといったことは控えると良いかもしれません。

不要な買い物

赤ちゃんとの今後の生活を考えると、何を用意しよう、どんなものを用意しようとわくわくすることもあるでしょう。赤ちゃんの洋服やベッド、おもちゃなどは見るだけでも楽しくなることもあるかもしれません。ただし、性別が判明する前に大量の洋服・グッズを購入するのは注意が必要かもしれません。女の子だといわれていたのに男の子だったといったケースは珍しくなく、産後に後悔してしまうかもしれません。

子どもの名前

赤ちゃんの名付けはとても難しいものです。両親や義両親の意見がある場合、夫婦間で意見が一致しない場合もあるでしょう。一方で、どんな子どもになるのかを想像しながら名前を考えるのはとても楽しいものですが、テンションが高い状態で考えた名前に、後悔したという人がいるようです。

気に入らないからとすぐに改名できるものでもないため、名前選びは慎重に行い、複数の候補を最後まで残す、決定前に他人の意見を聞いておくのも良いかもしれません。ただし、キラキラネームと周囲から呼ばれても、常識の範囲内であり両親が納得しているのであれば気にすることはないかもしれません。ある程度、個人の好みはあるものでしょう。

マタニティハイは何が問題?

妊娠中に気分が高揚し活発になるマタニティハイ。それ自体は決して悪いことではありませんが、なぜ周囲が不快な気分になったときに用いられる言葉なのでしょうか。

マタニティハイの印象

マタニティハイの印象としては、うざい(気に障る)・迷惑・つらい・疲れる・むかつく・嫌・イライラする・うんざりする・うらやましい・気持ち悪い・怖いなどさまざまな声があるようですが、傾向としてはマイナスのものが多いようです。

それぞれ相手の事情がある

妊娠自体を素直に喜ぶことができなかったり、悲しいと感じたりする事情がある人もいるでしょう。2021年には不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合は22.7%、また生殖補助医療で生まれた赤ちゃんの割合はその年に生まれた赤ちゃんの約12人に1人というデータがあるように、不妊治療を行なっている人は以前よりも増加傾向にあります(※1)。

プライベートな問題のため周囲には不妊治療について知らせていない人も多いでしょう。不妊だけでなく、流産や現在妊娠について悩んでいる場合など、さまざまな事情があることを考慮する必要があるかもしれません。

人によって受け取り方が違うものもある

マタニティハイと呼ばれる原因になる行動・言動は、妊娠報告やエコー写真・マタニティ写真、妊娠の経過についての話、子どもについての話などさまざまなものがあります。

すべての人が不快に思うような行動・言動はもちろん注意が必要ですが、「人によって受け取り方が違う」という点を意識することも大切かもしれません。相手の背景や事情もありますが、余裕がないときにはささいなことでもイライラしてしまうこともあるでしょう。

ハイテンションならではの問題も

妊娠中でも妊娠以外でも、ハイテンションな状態の際には「自分のことしか見えてない」「周囲と温度差ができている」「自分は特別な存在だと思っている」といった指摘を受けることが多い人もいるかもしれません。気分が高揚している際には、意識せずに自分中心の発言をしてしまったり、周りの反応が見えなったりすることがあります。親しい間柄であったとしても発言する前に一度考える余裕をもって臨むことが大切かもしれませんね。

マタニティハイの自分、相手への対処法

自分がマタニティハイかもしれない場合

妊娠をきっかけにテンションが高い状態が続き、活発的になること自体には問題はないかもしれません。マタニティハイのみならず、「自分の発言や行動に対して快く思わない人がいるかもしれない」という考えはいつも頭の片隅に置いておくことが大切です。昨今ではSNSなどで気軽に自分の気持ちを共有することができますが、投稿する前に一度見直すだけでも効果が期待できるかもしれません。

周囲にマタニティハイの人がいる場合

マタニティハイの人が周囲にいる場合、喜ばしいことであるのはわかっていても状況によっては素直に喜ぶことができないこともありますよね。SNSなどの直接的な関わりが多くない場合であれば、ある程度の距離を置くという方法もあるでしょう。SNS自体から離れてみる、該当のSNS投稿を見ないようにするだけでも心が落ち着くかもしれません。

ママ友や職場の人など直接的に関わることが多い場合には少々大変なこともあるでしょう。極限まで我慢することはありませんが、言動や行動を不快に感じたりイライラしたりしたら、話を聞きながら自分の呼吸に意識を集中してみるのも良いかもしれません。「ひと息を置く」という表現の通り、呼吸に集中することで少し冷静になることに期待ができるかもしれません。

ひと息ついて周囲を見渡すことも

マタニティハイ自体が悪いことではなく、マタニティハイの状態での行動・言動に注意が必要なのかもしれません。マタニティハイ自体が病気などではなくひとつの俗称であるため、定義が難しい部分はあるでしょう。ただ、マタニティハイに限らず、自分の言動や行動が周囲に与える印象を一度考えてみても良いのかもしれません。

無理に意識しすぎることはありませんが、意識しておくだけでも変わるかもしれませんね。マタニティハイを指摘できる仲なのかといったこともあるため、非常に難しい問題でもあるでしょう。友人など今まで築いてきた関係を意識せず壊して後悔してしまうことのないよう、自分にあった妊娠中の付き合い方を考えても良いのかもしれません。自分にあった方法を見つけてみてくださいね。

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※この記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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