【助産師監修】つわりはツボで軽減する?3つのツボでつわり対策&夫婦のスキンシップ
つわりで吐き気や嘔吐が続いていても、妊娠中は薬が飲めないこともあります。手軽なつわり対策のひとつに、ツボを刺激する方法があります。胃腸の働きを良くするツボや、リラックス効果のあるツボを押すことで、つわりが楽になったという妊婦さんもいるようです。ここではつわりが楽になるツボの位置や、どのような効果があるのかを解説します。
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目次
つわりとは?ツボ押しで和らぐ?
つわりとは
つわりとは、妊娠中一時的に嘔吐や吐き気、食欲不振などの症状が起こることを言います。妊娠が判明する妊娠5~6週頃から始まり、胎盤が完成する妊娠12~16週頃には落ち着くことが多いといわれています。つわりのメカニズムは詳しくわかってはいませんが、ホルモンバランスの変化や疲れなどが要因となっていることもあります。
吐き気だけではなく、食欲がコントロールできなくなる「食べつわり」、強い眠気がおそう「眠りつわり」、唾液があふれそうなほど出る「よだれつわり」などの症状がみられる人もいます。つわり自体は病気とはみなされませんが、つらい症状が続くと倦怠感や疲労感も増し、日常生活が困難になる可能性もあるためつらさを我慢しすぎないことが大切です。
ツボ押しのつわりへの効果
つわりで吐き気や嘔吐が続くと「どうにかして楽になりたい」と感じることもあります。しかし妊娠中に気軽に薬を飲むのはためらうこともありますよね。そんなときの対策として、ツボ押しを試す妊婦さんもいます。ツボ押しにはどのような効果があるのでしょうか。
ツボ押しとは、針、お灸、マッサージによってツボ(経穴)を刺激することによって「気」と「血」の循環を良くし、身体の不調を取り除く東洋医学治療のひとつです。身体には無数にツボが存在し、押し方にもさまざまな方法があります。
特定のツボを正しい方法で刺激することで、身体の不調が改善する人もいます。つわり中の全ての妊婦さんに効果があるわけではありませんが、胃のむかむかや吐き気、嘔吐が軽減されたり、精神的にリラックスできたりする可能性があります。
ツボ押しをするときの注意点
ツボ押しは、脳や内臓に働きかけて全身の機能を活性化したり、不調を改善したりすることもあります。しかし、身体の状態によっては刺激が強すぎて、悪い影響を与えることもあるかもしれません。普段からツボ押しを試しているという人でも、妊娠中の身体は特別な状態にあります。ツボ押しを始める前に、まずは担当の医師に相談してみましょう。
ツボを押すときは、体調が良いときにしましょう。力は普段のツボ押しの半分以下で、優しく押し揉むように心がけると良いかもしれません。ツボを強く押すほど効果が出るわけではないので、身体がリラックスできる範囲で試してみると良いでしょう。
ツボ押しに無理な体勢は禁物です。転倒しない場所や体勢で行いましょう。ツボが足など見えにくい場所にあるときは、パートナーに手伝ってもらうのもひとつの手です。気持ちの良い触れあいは、さらなる信頼感や愛情につながるかもしれません。つわりが軽減しないときは素人だけで判断せず、鍼灸師などプロに任せることも大切です。
つわりが楽になるツボ【その1】:内関
つわりを軽減するといわれているツボのひとつが「内関(ないかん)」です。リラックス、痛みの沈静、胃の不快な症状の緩和に有効とされます。吐きつわりだけではなく、車酔いや二日酔いにも試されるツボのひとつです。
場所
手のひらを上に向けた状態で腕を伸ばしてみましょう。ツボは左右対称であることがほとんどなので、右手でも左手でも構いません。手のひら側の手首のしわがある場所に、反対側の手の薬指、中指、人指し指を順番に当てます。その人指し指の側面で、手首の中央にあるふたつの筋の間、つまり、手首のしわの中央部分から指三本分下に内関があるということになります。探すのが難しいときは画像も参考にしてみてください。
押し方
ツボを見つけたら、わかりやすいように印をつけても良いでしょう。押すときはツボとは反対側の手で、皮膚に対して垂直になるように意識します。ゆっくり息を吐きながら、5秒ほど押し力を緩めます。気持ち良いと感じる程度の力にしましょう。これを数回、5分間ほど繰り返します。
つわりが楽になるツボ【その2】:裏内庭
「裏内庭(うらないてい)」は足の裏側にあるツボです。足の甲側に「内庭」というツボがあり、その裏側なので裏内庭という名前になっています。食中毒や食あたり、腹痛に効果があるとされるツボです。つわり中の嘔吐や腹痛に効果がある可能性もあります。
場所
足の人差し指を足裏側にギュッと手で折り曲げます。右左、どちらでも構いません。折りまげたときに、足の人差し指の一番高い部分が足裏にふれる場所が裏内庭です。折り曲げると足の指がいたい場合は無理をせず、ふれそうな場所を予測しましょう。足の人差し指の付け根に近い部分、少しふくらみがある場所です。ひとりで見つけるのは難しい場合はパートナーにお願いしてみましょう。
押し方
裏内定は押すだけではあまり効果がないようです。足の裏は厚い皮膚に覆われているので強い力が必要になりますが、強すぎると痛みを感じてしまいます。裏内庭は、マッサージよりお灸が有効といわれています。市販のお灸なども販売されていますが、妊娠中はプロの鍼灸師にお願いしましょう。
つわりが楽になるツボ【その3】:足三里
足三里は、膝の近くにあるツボです。松尾芭蕉の「奥の細道」にも書かれているツボで、足の疲れやむくみだけではなく、胃腸の症状にも効くといわれています。肘の近くには、胃腸の働きを整えるといわれる「手三里」というツボもあります。
場所
まずはお尻を床につけて、足をまげて座ります。椅子に座った状態でも良いでしょう。ひざの皿のすぐ下、外側のくぼみに人さし指をおき、指幅4本そろえて小指があたっている場所が足三里です。すねの骨の外側で、左右対称で同じツボが存在しています。右足は右手で、左足は左手で、くぼみに人差し指の先を置いてみましょう。場所がわかりにくいときは動画を参考にしてみてください。
押し方
左右の親指を重ねて足千里に当て、ゆっくり圧力をかけていきます。5秒くらい続けて圧力をかけた後、ゆっくり力を抜きます。これを数回繰り返します。深呼吸をしながらゆっくりと押しましょう。強く押しすぎるとあざになることもあるので、気持ち良い程度にしておきましょうね。
足三里はマッサージよりもお灸のほうが効果が高いといわれていますが、自分で判断せず鍼灸師に相談のうえ、施術してもらいましょう。
つわり中の鍼灸やピップエレキバンはOK?
ピップエレキバンをツボに張って、つわり軽減を試す妊婦さんもいます。こりを改善する商品ですが、磁気で血行を改善するため、血の流れをよくするツボマッサージと似た効果があるかもしれません。
ピップエレキバンには、胎児に影響を与える可能性のあるインドメタシンなどは配合されていませんが、妊婦さんの身体に影響を与える可能性もあります。妊娠初期の妊婦さんは必ず医師に相談してから試しましょう。また、首から上は使うことができないので注意しましょう。
ツボのなかにはマッサージよりも、鍼やお灸のほうが効果があるとされるものもあります。市販の鍼やお灸も販売されていますが、妊娠中は普段とちがった身体の変化が現れる可能性もあるので、自分の判断で鍼灸を試すのは避けましょう。まずは担当の医師に鍼灸が可能かどうかを相談した上で、信頼できる鍼灸師に施術してもらうと良いでしょう。
ツボ以外のつわり対策
ツボ押しでも結果が出ない場合は、他のつわり対策を試してみても良いでしょう。たとえば、食事です。食事の回数を増やし、一度の量を減らすことで胃腸の負担を減らすことができるかもしれません。また、うどんやおかゆなど消化の良い食事を摂ると、胃の不快感がおさまることもあります。
身体を締め付ける服装を避け、休めるときはゆっくり横になりましょう。また、仕事や家庭内でできるだけ無理のない過ごし方を心がけることも大切です。職場につわりの状況を伝えて理解を得たり、パートナーとじっくり話しあう時間を取ったりしてみるのも良いかもしれません。自分のつらい状況や試してみたいつわり対策を率直に伝え、支えあえると良いですね。
つわりが改善されず、体調がすぐれない日が続くときは医師に相談してみましょう。休暇申請に必要な書類や薬の処方など、自分の体調にあった方法を考えてもらえるかもしれませんよ。
また、水分がとれない、体重が減少するなど重いつわりの症状がみられる場合は、点滴治療にて改善がみられる事があります。遠慮せず、健診の際に医師に相談しましょう。
ツボ押しでつわり軽減&夫婦のスキンシップ
ツボ押しは、吐き気や嘔吐などのつらい症状をやわらげてくれる可能性があります。あまり強い力で押そうとせず、気持ちの良い範囲で試してみましょう。
自分で押すのが大変なツボはパートナーの力を借りてみると良いでしょう。おしゃべりしながらツボを押すことでコミュニケーション不足が解消されますし、心地良いスキンシップで愛情や信頼が増すかもしれません。
ツボ押しは手軽なつわり改善策ですが、位置や押し方によっては体調が悪化する可能性もあります。ツボ押しを始めるときや不安なとき、改善が見られないときは、医師や鍼灸師に相談してみましょう。
※この記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。