つわり対策を徹底解説!つらいつわりの対処法を種類別にご紹介
つわりは妊娠とともに訪れる生理現象のひとつで、症状はいくつかの種類にわかれます。つわりの種類にあわせた対策で、少しでも症状を軽くたいものですね。どのようなつわりの症状があるのか、それにあわせた対策にはどのようなものがあるのかを詳しく解説していきます。はたらくママが気になる職場での対策も一緒にみていきましょう。
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目次
つわりがつらい!いつまで続く?
つわりは、妊婦さんの50~80%以上が経験している代表的な妊娠症状のひとつです。妊娠5~6週くらいに症状が出始め、12~16週を過ぎるころには軽減するのが一般的です。
つわりの症状が消失する時期は妊娠ごとに異なり、経産婦さんでは以前の妊娠と比べても違いがみられます。社団法人日本産科婦人科学会が発行する産科婦人科用語集・用語解説集では、50%の人が妊娠14週までにつわりが消え、妊娠22週までには90%の人が治癒しているという記述がみられます。残りの10%は、23週以降もつわり症状が続くと報告されています。
つわりの主な症状は、食欲不振や吐き気といった胃腸症状です。それ以外にも眠気やだるさ、食べ物に対する好みの変化などの全身症状が起こります。軽い吐き気や頭が重いといった軽度のものから、1日に何度も嘔吐したり、強いだるさを感じたりする重症のものまで症状の出方も人それぞれです。つわりが悪化して脱水や栄養失調などが起こるケースは、妊娠悪阻(にんしんおそ)と呼びます。
つわりの種類と症状
吐きつわり
吐きつわりは、悪心(おしん)や嘔吐の症状が顕著にあらわれる状態を指します。妊娠した女性の約半数が悪心や嘔吐の症状を訴えるといわれており、吐きつわりはつわり症状のもっとも代表的なものだと言えます。
吐きつわりでは、実際に吐くことがなくても常に胃がムカムカしたり、胸焼けが続いたりします。気持ちが悪いのに、吐けなくてつらく感じたという体験談も聞かれます。1日に何度も嘔吐し、毎日船に乗っているような感覚と表現されるなど、症状のあらわれ方は千差万別です。
つわりの原因は特定されていませんが、妊娠にともなってヒト絨毛性ゴナドトロピンの分泌量が増加したり、ビタミンB6や葉酸の不足が関係したりするのではないかと考えられています。またホルモンの影響で食道の筋肉がゆるみやすくなっていることも、吐き気や嘔吐が起こる一因であるといわれています。
食べつわり
食べつわりは、食べたい気持ちが強く出るつわりです。空腹になると気持ちが悪くなり、吐き気を感じやすくなります。食べ続けないと落ち着かない一方で、満腹になるまで食べることも、つわり症状を悪化させる原因となります。
また、つわりの時期は、妊娠していないときと比べて、食べたいものや食べられるものの好みに変化があらわれます。味覚の変化もみられ、甘味、苦味、塩味への感度が低下することがわかっています。
酸味に対する感度は変わらないという報告があり、妊娠するとすっぱいものを食べたくなるのにはこの辺りに理由がありそうです。
よだれつわり
よだれつわりは近年認知されてきたつわり症状のひとつで、唾液の分泌が多くなり、飲み込めないほどのよだれが口の中にたまってしまうという症状がでます。よだれの味やねばねばとした口あたりを不快に感じ、吐き気をもよおしてしまうことも少なくありません。
妊婦さんの体験談では、吐き気や嘔吐、だるさがなくなってもよだれつわりだけが残ったという体験談や、マイナーな症状のため理解されにくかったという話が見受けられます。寝ているときや外出時などもよだれが出るため、自分にあった対処法を見つけることが大切です。
眠りつわり
眠りつわりは、日中でも眠気を感じるつわりです。なんとなくボーっとしてしまうという軽いものから、全身的なだるさで身体を動かしたくても動かせない、強い眠気に勝てないという重いものまで、症状には程度の差があります。
十分な睡眠時間をとっていても、眠りが浅く感じたり眠り足りなく感じたりします。判断力や注意力が低下しやすいため、仕事や車の運転など、危険な作業をするときには特に注意が必要です。
眠りつわりは、医学的な用語ではなく一般的にあらわれやすい症状を表現したものです。眠りつわりが起こる原因は明確にはわかっていませんが、妊娠初期に増えるプロゲステロンの影響が指摘されています。
においつわり
においつわりは、においに敏感になることを指します。これまで好きだった石けんの香りやアロマの香り、おいしい食べ物の香りを苦手に感じるようになったり、水や湯気、部屋の空気、夫や周囲の人の体臭など、これまで感じなかったにおいを強く意識するようになったりします。
不快に感じるにおいが増える一方で、特定のにおいが好ましく感じるようになるというケースもあります。紙やティッシュ、土のにおいが落ち着くなど、妊娠前とは一風変わった好みになる体験談は興味深いところです。
吐きつわり対策・対処法
栄養よりも食べられるもの優先で
食べ物をあまり受け付けられず、食べたものも吐いてしまう状態だと、赤ちゃんに栄養が届いているか気になるところですね。でも、この時期の食事は栄養面よりも食べられるものを食べるだけで十分です。
うどんや野菜スープは消化に良く、水分も一緒にとれるため水分補給にもつながります。食事が喉を通らないときは、脱水症状にならないように経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ口にして水分補給を心がけましょう。
少量ずつ複数回に分ける
一度にたくさん食べると、吐き気が強くなってしまうことがあります。朝・昼・晩の食事時間と関係なく、一回の食事量を控えめに、1日複数回に食事を分けることで吐き気が抑えられることがありますよ。
体調の良い時間を使う
体調が悪くなる時間には波があり、朝だけ吐く、夜だけ気持ち悪いというように1日のうちで調子の良い時間と悪い時間が出てきます。体調の悪いときはできるだけ休息し、体調の良いときに食事をとるようにすると食べられるものが増えるかもしれません。
食べつわり対策・対処法
夜中や起床時にすぐつまめるものを用意する
就寝中や起きがけは、空腹で吐き気が強くなる傾向があります。目が覚めたとき、口に入れられる食べ物を枕元に用意しておくと、気持ち悪くなる前に対処できますよ。起き上がると気分が悪くなることがあるので、横になった状態でもつまめるものが良いでしょう。
個装されたクッキーや一口大のおにぎり、スティックパンはお腹が満たされやすい食べ物です。ミント系のラムネや酸味がある梅干しは、口の中がネバついて気持ち悪いときにスッキリしますよ。飲むタイプのゼリーも横になったまま手軽にお腹に入れることができます。
すぐに食べられるものがあるという安心感だけで、気持ちの悪さは軽減されるものです。自分の好みに合った食べ物を用意して、寝起きの不安を解消していきましょう。
外出時にも軽食を携帯する
常に何かを食べていたい食べつわりでは、外出先でも手軽に口にすることができる軽食を用意しておくと安心です。おしゃぶり昆布や梅干しシートは酸味があり、口の中のネバつき感が抑えられます。
仕事中や電車など食べ物を口にするのに人目がはばかられるときは、飴玉やガムが重宝します。袋がチャックで密閉されるタイプのグミや、一口サイズの袋で個装されたゼリーは、持ち運びしやすく手軽に食べられるのでおすすめです。
調子の良いときに作り置きする
お腹がすいたと感じてから食べるものの準備を始めると、気持ちの悪さが勝ってしまいなかなか準備がはかどりません。そこでおすすめしたいのが、調子の良いときに作り置き食材を用意して冷凍しておくことです。
根菜たっぷりの野菜スープは、そのままスープとして飲むのはもちろん、肉類を加えてポトフにしたりカレーにしたりとアレンジが効いて便利です。鶏のささみを下ゆでしたものや、ハンバーグも作り置き食材として活躍する一品。市販のトマトソースやポン酢でさっぱりいただけますよ。
冷凍したおかゆやレンジで解凍が可能なうどんも、常備しておきたい食材のひとつです。
よだれつわり対策・対処法
こまめによだれを吐き出す
よだれつわりのよだれは、ネバつきや苦味を感じて不快に感じる方も多いようです。口の中にためてしまうと気持ち悪さが増してしまうため、こまめに吐き出すようにしましょう。
よだれが大量に出るときは、そのつどトイレや洗面所に立つのも大変です。ティッシュを敷いたゴミ箱やエチケット袋を手元に置いておくと、何度も立ち歩かずに済みます。袋は消臭袋やジップ付きの密閉バッグが役立ちます。
外出時は中身が見えない蓋つきの空き缶、空のペットボトルをケースに入れたものなどがあると、飲み物を飲んだフリをしながらよだれの処理ができます。外からの視線が気になるときは、口元にタオルをあてて、そこに直接しみこませるという方法もあります。濡れたタオルを入れる密閉袋や、替えのタオルを持ち歩くようにしましょう。
飴やガム、飲み物でごまかす
飴やガムの味が口の中に広がっていると、よだれを飲みこむ辛さが軽減できます。飲み物でごまかす方法もあります。冷たい飲み物は身体を冷やし、よだれが多く出てしまう傾向があります。また砂糖が多く入っている強い飲み物は、飲んだ後に口の中がネバついてしまうことがあるので注意しましょう。
自律神経を整える
自律神経は、唾液の分泌を調整するはたらきを持っています。ストレスや不規則な生活で自律神経が乱れると、唾液の分泌をコントロールする機能が低下するともいわれています。妊娠中は睡眠や休息をしっかりととり、身体を冷やさないようにすると自律神経は整いやすくなると考えられていますよ。
規則正しい生活リズムを心がけ、疲れ・ストレスをためないようにゆったりとした気分で過ごせると良いですね。とはいえ、つらいつわりがあると寝不足になったり疲れがたまりやすくなったりするかもしれません。無理のない範囲で取り組むと良いでしょう。
においつわり対策・対処法
嫌なにおいに近づかない
においつわりでは、苦手なにおいと好ましいと思うにおいがはっきり分かれます。においの記憶は根強いもので、その対象を思い浮かべるだけでもにおいがよみがえってくるほどです。苦手だなと感じるにおいの元には、できるだけ近づかないようにしましょう。
においのもとを断つ努力で、生活の質が保たれることもあります。石けんや洗剤のにおいが苦手なら無臭のものに替える、体臭が気になるならこまめに洗濯をする、体臭予防効果のある石けんを使う、部屋のこもった空気を換気するといった工夫が、つわりの軽減につながるかもしれませんよ。
マスクやハンカチを常備
気になるにおいとの接触を避けるには、マスクやハンカチで鼻を覆うのも効果が期待できる方法です。マスクやハンカチについた口臭が気になって、においつわりの症状を強くしてしまうこともあるので、替えのセットを常に用意しておきたいですね。
好きなにおいを見つける
においつわりでは、においの好みが変わったり、妊娠前には思いもよらなかったにおいが好きなになったりという変化が起こることがあります。苦手なにおいを遠ざける一方で、好きなにおいがある場合にはそれを手元に置いて、気持ちを落ち着かせてみてはいかがでしょうか。
眠りつわり対策・対処法
眠いときに寝る
妊娠中はホルモンの影響で、眠気やだるさといった体調の変化があらわれます。夜にぐっすり眠れず、常に寝不足を感じてしまうのもめずらしいことではありません。
日中に眠気が出たときは、無理をせず休息をとることが大切です。横になるときはお腹周りに負担がかからないシムスの体位で横になると、血液が全身に行きわたりリラックスした状態になります。
できれば横になって休みたいものですが、仕事中や外出先などで横になるのが難しければ、椅子に座って15分~30分ほど目を閉じて休息してみましょう。
適度に身体を動かす
妊娠中は運動不足となりやすく、血流が滞りがちです。血行不順になると肩こりや内臓のはたらきが低下し、だるさや疲れを感じる原因となります。散歩や家事など、できる範囲で身体を動かすようにしましょう。声を出して歌ったり、誰かと話したりするだけでも脳が活性化され目が覚めてきますよ。
身体を動かすというと運動するようなイメージがわきますが、つわりがひどくなる妊娠初期は、激しい動きのある運動は控えたほうが良い時期です。気分転換に運動を始めるとしたら、安定期に入る16週以降を目安にしましょう。運動を始める際は妊娠経過が順調なことを医師に確認し、医師から許可を得るようにしてくださいね。
冷たい水で顔を洗う
夜の睡眠に影響が出そうだったり、用事があったりするときは、冷たい水で顔を洗ってみましょう。洗顔をすることで脳の血流が変化し、一時的に目が冴える効果が期待できます。
一部の化粧品メーカーからは、脳を刺激する洗顔方法として、たっぷりのきめ細かい泡で顔を洗う方法や、初めにぬるめのお湯で洗顔してから冷たい水で顔を洗う方法が紹介されていますよ。
ガムやタブレットを噛む
ミント系のガムやタブレットを食べるのも、眠気覚ましの効果が期待できます。ミントの清涼感が刺激となり、気持ちをリフレッシュすることができますよ。
眠気覚ましをうたったガムの中には、カフェインが含まれているものがあり、多いもので1粒当たり12㎎程度のカフェインが検出されたデータがあります。
妊娠中のカフェインの摂取は研究途上の分野で、海外では少量のカフェインを許容しているケースがありますが、流産や新生児の低体重の可能性が指摘されているため、1日の摂取量は100mgを超えないように注意しましょう。
その他の対策・対処法
ゆったりした服装をする
つわりを強く感じる妊娠初期では、まだお腹が目立たないことも多く、妊娠前と同じ服装をすることもあるかもしれません。しかし、身体にフィットする服装は胃腸のはたらきをにぶらせ、つわり症状を強くしてしまう可能性があります。
また、吐き気をもよおしたときに首回りや袖口が窮屈だと、それすら不快に感じることもあります。つわりの時期はゆったりとしたデザインやストレッチの効く素材の洋服を選び、窮屈に感じないファッションを心がけましょう。
好きなことに没頭する
つわりの症状はいつ、なにをきっかけに、どこで起こるかわからないことが多いですよね。外出したり、生活をこなしたりすることが不安になることもあるのではないでしょうか。
しかし、つわりに敏感になりすぎると、考えることがストレスにつながり、吐き癖の原因となることもあります。好きな趣味や仕事に集中することが、つわり症状から遠ざけてくれるかもしれません。好きなこと、楽しいことをみつけて気持ち良い時間を過ごすようにしたいですね。
無理せず休む
妊娠初期は妊娠前と比べて、ホルモンのバランスが大きく変化します。身体はダイナミックに変化を続けており、思うように動くことができないかもしれません。そんなときには無理は禁物です。生活に必要な最低限のこと以外には目をつぶり、身体を休められると良いですね。
つわりがつらいとき仕事は?職場での対策・対処法
職場の人の理解を得る
つわりの症状は個人差があり、一人ひとり状況が異なるものです。また職場で設けられている就業規則の内容や、子育て経験のある女性が多いかどうかなど、職場の環境によってつわりに対する理解や対応は変わってくることが予想されます。
妊娠時の心情的には安定期に入ってから職場に報告したいものですが、サポートの体制を作ってもらうことにも考慮して、早めに上司や先輩に相談すると良いでしょう。
また妊娠中の通勤緩和や休息については、法律により事業主側に対応することが義務づけられていますが、簡単には理解を得られないケースもあるかもしれません。そうしたときは「迷惑をかけて申し訳ない気持ち」や「体調が良いときはできる限り通常業務でがんばる気持ち」を伝えることが、理解を得るポイントとなりそうです。
つまめるものを用意する
勤務中に少しでもつわりの症状をやわらげられるよう、つわりの状況に応じた対策をしておくことが大切です。食べづわりなら軽くつまめる食べ物を準備しておく、よだれつわりはよだれを捨てる場所を確保しておくなど、自分なりの工夫をしておくと安心して勤務することができるかもしれませんよ。
休憩時間はしっかり休む
勤務時間にメリハリをつけ、休憩時間はしっかりと休むようにしましょう。横になれる場所があることが望ましく、可能であればパーテーションで区切ったスペースを確保してもらうなど、職場で相談をしてみるのも良いかもしれません。
適度な休憩は、健全な妊娠生活の継続に加え、業務の効率を高めることにもつながりますよ。
通勤時間や勤務時間を調整する
つわりの時期はにおいや気温差に敏感になり、満員電車がつらいと感じることもあるのではないでしょうか。必要があれば、満員電車の時間を避けた時差通勤やフレックス制度の利用、1日30~60分ほどの労働時間の短縮といった申請を考慮してみましょう。
通勤時間や労働時間は、住んでいる場所や職場で定められた就業時間などさまざまな事情が絡んでいるものです。状況に応じた対応が許されるよう、話し合ってみましょう。
医師の診断書をもらって休む
厚生労働省ホームページや、厚労省の委託を受け運用されている母性健康管理サイトでは、医師からの指導内容を職場へ伝えるためのツールが配布されています。診断書と同じ役割を果たすもので「母性健康管理指導事項連絡カード」と言います。
母性健康管理指導事項連絡カードは医師の署名や指導内容を記すもので、自身の署名を記入する欄もあり、職場への申請書類の機能も持ちます。産科に備え付けられていたり、母子手帳に綴じ込みされていたりするので、活用してみてはいかがでしょうか。
自分にあった対策をみつけてリラックスを
つわりの対策はいくつもあるものの、そのどれが自分に当てはまるのかは試してみないとわからないものです。つわり対策に取り組むときには、まったく症状がなくなることに期待するのではなく、軽くなると良いなという気持ちで行うと良さそうです。
気持ちが悪くなるかもしれないと思うことが、気持ち悪さを呼び起こしてしまうこともあるので、つわりの時期はできる限りリラックスすることを心がけて過ごせると良いですね。