つわり中の胃痛の原因と対処法!薬は飲める?ツボ押しの効果は?

つわりの吐き気や嘔吐に伴って、胃痛を経験するママも多いといわれています。胃痛がひどいと食事も満足に摂れず、夜眠れない状態になることも。この胃痛は何が原因で起こるのでしょうか。食事内容で軽減させることは可能なのでしょうか。ここでは、つわり中の胃痛の原因と対策を解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. つわり中の胃痛の症状は?眠れないことも?
  2. つわり中の胃痛の原因は?
  3. つわり中の胃痛の対処法 
  4. つわり中の胃痛対策になる胃に優しい食べ物は?
  5. 妊娠中に胃薬は飲める?
  6. つわり以外の胃痛の原因は?
  7. つわり中の胃痛対策は食事がポイント
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つわり中の胃痛の症状は?眠れないことも?

つわりは、吐き気や嘔吐、食欲不振、味の好みの変化などの症状が妊娠中一時的にあらわれることを言います。妊娠に気づく妊娠5~6週頃から始まり、胎盤が完成する妊娠12~16週頃には症状が治まるママが多いようです。胃の不快感や胃痛も、つわりの時期には起こりやすいといわれています。

胃痛の程度や症状の出方は人それぞれで、たとえば以下のような種類があげられます。

・吐き気を伴うキリキリとした胃痛
・胃をぎゅーっとしぼられたような痛み
・胃が痛いだけではなく、下痢や便秘などの腹痛も伴う
・胃の膨満感と鈍い痛み
・胃がムカついてげっぷがよく出る

夜に胃痛がひどくなる場合もあり、ゆっくり眠れないこともあります。つわりで体調が悪いうえに、体力を回復できないとなるとつらいですよね。なかにはストレスや疲れがたまり、つわりの諸症状が悪化する悪循環に陥る人もいるようです。

つわり中の胃痛の原因は?

妊娠初期

つわりのメカニズムは明らかではありませんが、妊娠初期のつわりに伴って胃痛が起こる原因は、いくつか考えられます。ひとつは、ホルモンバランスの変化です。妊娠すると、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」というホルモンが多く分泌されます。このプロゲステロンによって子宮の筋肉は緩み、出産の準備をします。

しかし、プロゲステロンには他の筋肉を緩める作用もあります。胃酸の逆流を防いでいる「弁」も緩みやすくなり、胃酸が食道まで逆流する可能性があります。また、プロゲステロンは消化器官の働きを鈍くする作用もあるので、消化不良による胃痛を引き起こすこともあります。

考えられる原因の二つ目は、ストレスです。妊娠初期は生活環境が変わり、ストレスがたまりやすい時期ともいえます。ストレスは脳に負担をかけ、脳からの指令でバランスを取っている自律神経にも影響する可能性があります。自律神経が乱れると、胃酸から胃を守っている粘液が減ったり、胃酸が過剰に分泌されたりすることもあります。胃が傷つけられ、消化不良が続くことで、胃痛を感じる人もいるでしょう。

妊娠中期~後期

安定期に入るとつわりも落ち着くことが多いのですが、妊娠中期から後期にかけて胃痛を経験するママもいるようです。これは胎児の成長とともに、子宮が大きくなっていることが一因と考えられています。

子宮が大きくなると、胃が圧迫されて、胃痛や吐き気といった症状がでるママもいます。胃以外にも膀胱や腸などが圧迫され、頻尿や便秘といった症状が起こることもあります。妊娠後期では子宮の大きさは妊娠前の6倍近くにもなるため、さらに胃への圧迫感が増えるかもしれません。

胃が圧迫されると、胃酸が逆流しやすくなったり、胃痛や胸やけ、げっぷが出やすくなったりします。妊娠後期に消化器に症状があらわれることを「後期つわり」とよぶこともあります。妊娠35週頃を過ぎれば、出産に備えて赤ちゃんが少しずつ下がっていくため、後期つわりの症状も落ち着いてくることが多いようです。

妊娠後期の胃痛の原因は後期つわり?病気の可能性も?対処法は?

つわり中の胃痛の対処法 

胃痛が起こると何も食べたくないと思うこともあります。しかし、つわりは空腹時にひどくなることも。どうすればつわりと胃痛、どちらも和らげることができるでしょうか。胃に負担がかからない食事法や、胃痛が起こってしまったときの対処法を解説します。

胃にやさしい食べ物を食べる

妊娠時は、胃腸の消化機能が落ちていることもあります。胃にやさしいものを普段の食事に摂り入れることで消化不良を防ぎ、つわりや胃痛が軽減する可能性があります。一般的に、スパイスなどを大量に使った味付けが濃いもの、脂質が多いもの、食物繊維が多いものは消化しにくいといわれています。

主食がパンやお米なら、お粥や煮込みうどんに変えてみるのもひとつの手です。同じ食材でも調理次第で消化しやすくなるので、できるだけ自炊にしたほうが良いかもしれませんね。

食事はこまめに少量ずつとる

満腹になるまで食べると消化に時間がかかり、胃に負担がかかる可能性があります。また、つわり中のママは、空腹時間ができると急に吐き気がすることもあるようです。一度の食事量を減らし、食事回数を増やせば、消化吸収の流れを良くすることができるかもしれません。

一日中だらだらと食べ続けるのは逆に胃腸が疲れてしまうので、おすすめは1日5~6回に分ける方法です。主食の量を半分くらいにして、副菜も少なめにしましょう。間食は甘いお菓子よりも、小さなおにぎりやサンドイッチなど、食事の代わりになるものがおすすめです。

空腹な時間をできるだけ作らない

空腹になると、胸焼けや胃痛、吐き気に悩まされるママもいます。ずっと食べていないと気持ち悪くなる症状を「食べつわり」とよぶことがあります。原因は明らかではありませんが、妊娠中は胎盤や子宮に今までとは違うエネルギーが使われ、お腹が空くと低血糖のような状態になるともいわれています。

食べつわりで気をつけたいポイントはふたつです。体重が増えすぎないようにカロリーをコントロールすること、消化不良を起こさないように一気に食べ過ぎないようにすることです。空腹時のつわりや胃痛の対策には以下のようなものがあります。

・食事の量を減らしてこまめに取る
・すぐにつまめるものを用意しておく
・温かい水分を持ち歩く

食べるものはカロリーが少なく、口がさっぱりするものがおすすめです。ガムやキャンディ、ラムネなどを外出時も持ち歩くと安心ですね。小さなおにぎりやゼリーを用意しておくとすぐに食べられて便利ですよ。

ツボ押し

胃痛やつわりに効果的といわれているツボを自分で刺激する方法もあります。道具はいらないので、仕事中や隙間時間に手軽にできますね。

素人でも探しやすく、万能なツボのひとつが「合谷(ゴウコク)」です。手の甲を上にした状態で、親指と人差し指の間にあります。押すと痛みがあり、気持ち良いと感じるくぼみです。血行促進と自律神経を整える効果があるとされており、ストレスからくる胃痛を緩和してくれるかもしれません。

他にも腹痛や下痢、吐き気など胃腸の不調に効くといわれている「足三里(アシサンリ)」というツボがあります。膝の皿の下で、じん帯の外側にあるくぼみから指四本さがった位置にあります。このツボは、吐きたいのに吐けなくて苦しいというときにも役に立つといわれています。

ツボ押しは気軽に行うことができますが、妊娠中は普段とは体調が異なることもあります。自己判断によるマッサージや指圧などは避けたほうが良い場合もあるので、気になるママは鍼灸師や整体師に相談してみても良いでしょう。念のためかかりつけの産婦人科医にも確認すると安心ですよ。

医師に相談する

いろいろ試しても胃痛が改善されず、つらい状態が続く場合は、担当の医師に相談してみましょう。市販の胃薬は、胎児への影響がないとされるものもありますが、医師の診断を受けて処方をしてもらった薬を飲んだほうが安心です。自己判断で薬を服用するのはやめましょう。

胃痛が継続する場合は、つわりの一症状ではなく逆流性食道炎などの病気の可能性もあります。我慢や無理はせず、早めに医師に診てもらうようにしましょう。

つわり中の胃痛対策になる胃に優しい食べ物は?

胃痛が消化不良で起こっている場合は、消化に良い食事を摂ることで痛みが和らぐ可能性があります。スパイスが大量に使われていない薄味の食べ物、柔らかく煮た料理、食物繊維や脂質が少ない食材が消化に良いといわれています。たとえば野菜であれば、蓮根やごぼうより煮込んだ大根や人参、かぶがおすすめです。柔らかい温野菜を中心にすれば、身体も温まりますね。

お肉であれば、豚バラよりも鶏のささみが消化しやすいとされます。鶏肉は高タンパク質、低カロリーなので栄養面や体重管理にも優れていますね。豆乳や豆腐も栄養価が高く消化しやすい食材です。主食がお米やパンという人は、うどんやお粥に変えてみるのも良いかもしれません。果物では、バナナが消化に良いだけではなく、つわりを軽減するといわれることもあるビタミンB6を多く含んでいます。

飲み物は温かいものがおすすめです。乳製品は胃壁を胃酸から守ってくれますし、プレママ用のハーブティーもいろいろ発売されています。また、何かを食べるときには最初に白湯で胃を温めからにすると、胃痛を感じにくいというママもいるようです。

つわり中は吐き気があったり、食べたいものが限られたりと、なかなか普通の食事がしにくいこともありますよね。胃痛がおこるとさらに食欲が落ちて、赤ちゃんへの栄養が心配になりますが、妊娠初期ではあまり気にする必要はないといわれています。食べたいものをゆっくり噛んで飲み込み、ストレスをためずに過ごしましょう。

妊娠中に胃薬は飲める?

市販の胃薬の一部には、妊娠中でも飲めるものも存在します。たとえば、「第一三共胃腸薬プラス細粒・錠剤」や「太田胃散」などは胎児に影響のある成分は配合していないと説明されています。「ガスター10」や「キャベジンコーワa」なども医師がメリットが大きいと判断した場合は服用できます。ただし、安全性が検証されている薬はないので、胎児への影響をとても心配される方の場合はおすすめできません。

逆に飲んではいけない胃薬には「ミソプロストール」があります。子宮を収縮させ流産を起こす可能性があるため、妊娠中は禁止されています。また、「ロートエキス」が成分に使われている薬も、胎児に頻脈などがあらわれる可能性があるので服用は避けたほうが良いとされています。

胃薬には多くの種類があります。胃痛をおさえる「鎮痛鎮痙剤」、胃の働きを高める「健胃剤」、消化を助ける「消化剤」、胃粘液の分泌を高める「整胃剤」などです。ひとえに胃痛といっても、どの薬を飲んで良いのか迷うところでしょう。そのため、やはり医師の指導のもとで薬を飲んだほうが効果的といえます。

また、一般的には安全な薬であっても妊娠中は身体が特別な状態にあります。妊娠状況や体調によってはおすすめできないこともあります。どのような薬でも、必ず医師や薬剤師に相談してから服用することを心がけましょう。

つわり以外の胃痛の原因は?

つわり中に胃が痛くなるとつわりの一症状として片付けがちですが、他に原因が潜んでいる可能性もあります。胃痛の他の原因として考えられるのは、胃炎です。胃粘膜に、突然の炎症が起こった状態であり、胃の痛みや不快感、むかつきなどが症状として現れます。ウイルスの感染や食中毒、ストレスや暴飲暴食でも起こります。

他にも消化性潰瘍があります。胃や十二指腸の粘膜が、胃液によって傷つけられた状態で胃の痛みや、みぞおちの痛みなどが出てきます。日本人に多い「ピロリ菌」が消化性潰瘍を引き起こすこともあります。

また、アニサキスによる食中毒も注意が必要です。アニサキスという虫が寄生している魚介類を生や加熱が不十分なまま食べることで起こり、激しい胃の痛みや嘔吐が症状となってあらわれます。妊娠中はできるだけ生ものは避けたほうが良いでしょう。

気になる症状があるときはすぐに医師に相談して診てもらいましょう。

つわり中の胃痛対策は食事がポイント

妊娠時のつわりには、胃痛や胃の不快感を伴うママも多いようです。ただでさえつわりで栄養が摂りにくいときに、胃痛が起こると心配になる人もいるかもしれません。しかし食事の内容や食事の仕方で、胃への負担を軽減できる可能性がありますよ。

胃痛に悩むママは、まずは食材や食事を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。いろいろ試してもどうしても胃がつらいときは、遠慮せずに医師に相談してみましょう。少しでも胃痛を緩和して、健やかなマタニティライフを目指したいものですね。

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