妊娠12週|つわりの症状や赤ちゃんの成長、流産の壁とは【エコー写真付き】

【医師監修】妊娠12週(12w)はお腹の大きさが目立ってきて、妊娠の実感が湧いてくる時期です。エコーで性別がわかるかもしれません。腹部エコーでの健診が始まり成長が楽しみな一方、ダウン症などの先天異常も気にかかる時期。赤ちゃんの大きさ、健診内容や「12週の壁」、ママの身体の変化や主な症状、過ごし方や注意点を解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠12週の赤ちゃんの成長の様子
  2. 妊娠12週の妊婦の身体の変化と症状
  3. 妊娠12週はダウン症や二分脊椎などの出生前診断が受けられる時期
  4. 妊娠12週の過ごし方と注意点
  5. 妊娠12週からの妊婦健診の様子
  6. 妊娠12週以降も後期流産のリスクはあるの?「12週の壁」とは
  7. 妊娠12週のママへ
  8. あわせて読みたい

妊娠12週の赤ちゃんの成長の様子

妊娠12週の赤ちゃんの基礎情報 CRL、BPD、体重、発達

CRL(頭殿長)
BPD(児頭大横径)
体重
発達
4~7cm1.4~2.4cm8~30g・呼吸の練習を始める ・体毛が生え皮膚が厚くなる ・永久歯のもとが作られる ・内耳の形成が進む

妊娠12週から妊娠4ヶ月に入ります。赤ちゃんはレモンの大きさほどに成長し、頭殿長(CRL)は4~7cmほどになっています。このころになるとCRLよりも児頭大横径(BPD)で成長を見ていきます。妊娠12週の平均的なBPDは1.4~2.4cmほどです。

妊娠12週になると胎盤も完成に近づき、体重は1日に約5gずつ増えて、成長が加速していきますよ。へその緒の中に飛び出していた腸も体内に吸収され、羊水を飲み込んで呼吸の練習を始めるのもこの時期です。

透明だった皮膚は身体を保護するために厚くなり、半透明になります。歯の石灰化が進み、12~14週にかけて永久歯が形成されていきます。耳のなかでも蝸牛(かぎゅう)が渦巻きを形作り、ママの声を聞く準備を進めています。

赤ちゃんの性別はわかる?

妊娠10週くらいからはじまった性の分化が進み、エコーで性別がわかることもあるかもしれません。さらに妊娠16週ころになると身体の細部も完成し、性別がはっきりしてきますよ。

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妊娠12週の赤ちゃんのエコー画像

12週4日のエコー写真です。正面に向けた顔には、目と口がはっきりと確認できます。上にあげた手の先には、指がうっすらと確認できます。まるで頭を抱えているような仕草が愛らしいですね。このころの頭部は頭蓋内が透けてみえます。

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妊娠12週の妊婦の身体の変化と症状

妊娠12週の妊婦の身体の変化と子宮やお腹の大きさ

妊娠12週になると、赤ちゃんはレモンほどの大きさに成長し、子宮は新生児の頭の大きさになります。下腹部のふくらみが少しずつ目立ってきますよ。子宮の中には羊水も増えてきます。

大きくなってきたお腹を締め付けないように、ゆったりとしたワンピースやマタニティウェアを準備しておきましょう。ブラジャーやショーツといったインナーも、マタニティ用がおすすめです。

子宮の大きさ
お腹の大きさ
身体の変化
新生児の頭の大きさお腹のふくらみがわかるようになる・おっぱいが大きくなる ・普段の洋服がきつくなる ・体重の増加に注意

妊娠12週にあらわれやすい症状 おりもの、腰痛、貧血……

妊娠12週はつわりが落ち着く人が増えてきます。つわりが治まると食欲が増してくるため、体重の増加に注意が必要です。BMI値から適正な体重を割り出し、しっかり管理していきましょう。つわりのときは食べたいものを食べることが第一でしたが、この時期では食事のバランスにも気を配りたいですね。とくに摂取したいのは、貧血予防のための鉄分と葉酸です。

妊娠中はホルモンバランスが大きく変化し、腰痛や恥骨痛が引き起こされたり、便秘となったりしやすくなります。大きくなった子宮に膀胱が圧迫され、頻尿にも悩まされます。腟からの感染を防ぐため、白いおりものも増えるかもしれません。黄色や茶褐色のときは、早めに医師へ相談してください。

マイナートラブルはあるものの、妊娠12週にはプロゲステロンの分泌が安定し、高温を保っていた基礎体温が下がり始めます。体調が安定する日が増えてきますよ。安定期までもう少し。リラックスして過ごしてくださいね。

症状
対策
白いおりものおりものシートで清潔に
つわり治まってきたらバランスの良い食事をとる
食欲が増す体重管理をしっかりと
腰痛・恥骨痛医師に確認し骨盤ベルトなどを活用
基礎体温が下がる適度な運動と生活リズムを整える
出血安静にして病院に確認をとる
貧血ひどい場合は医師に相談する
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妊娠12週はダウン症や二分脊椎などの出生前診断が受けられる時期

出生前診断とは、赤ちゃんが生まれる前にダウン症や二分脊椎などの先天性異常がないか検査することをいいます。出生前診断には母体血清マーカー検査、羊水検査などいくつかの方法がありますが、妊娠12週では超音波検査や絨毛検査が受けられます。

出生前診断を受けるには、年齢や出産歴、病歴、妊娠の経過などを考慮し、慎重な判断が求められます。検査結果によっては重い判断が迫られることもあること、検査方法によっては流産や感染のリスクがあることを理解して、家族や医師としっかり相談することが大切です。

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妊娠12週の過ごし方と注意点

飲酒や喫煙はやめよう

妊娠中の飲酒は、赤ちゃんに中枢神経系の異常や発育の遅れといった先天性異常をもたらす可能性が指摘されています。こうした症状はFAS(胎児性アルコール症候群)と呼ばれます。また、妊娠中の飲酒が妊娠高血圧症候群の発症リスクを高めるという報告がなされました(※1)。

喫煙も赤ちゃんやママに大きな影響を及ぼします。妊娠初期の喫煙は先天性心奇形、口唇口蓋裂などを引き起こすかもしれません。発育不全や流産、早産、死産のリスクも高めます。また、妊娠前の喫煙は男女ともに妊娠のしやすさに関わることがわかっています。受動喫煙の影響も深刻なため、夫婦で禁煙に取り組んでいきましょう。

絨毛膜下血腫に注意!出血や腹痛があるときは医師に相談を

「絨毛膜下血腫」は、絨毛膜と子宮壁のあいだに血の塊が生じた状態です。自然に消失することもありますが、性器からの出血や腹痛が起こったときは早期の対策が求められます。通常、妊娠12週までの出血には進行を止めるような薬や治療はないとされています。しかし、「絨毛膜下血腫」のある出血では、安静が有効という報告があるため、医師の指示を受けましょう。

絨毛膜下血腫が生じるのは、絨毛膜羊膜炎が関係していると考えられています。そのため絨毛膜下血腫が認められた場合は感染の有無を確認し、感染が疑われる場合には抗生物質などでの治療が必要です。

妊娠高血圧症候群を予防しよう

妊娠高血圧症候群はママや赤ちゃんに重篤な合併症を引き起こすことがある病気で、妊娠34週未満で発症すると重症化しやすいといわれています。重症化するとママには肝臓や腎臓の機能障害、脳出血などの症状が見られます。赤ちゃんは発育不全に陥ったり、常位胎盤早期剝離になったりすることもあるので注意が必要です。

もともと高血圧や糖尿病がある、40歳以上、多胎妊娠、前回の妊娠で高血圧症候群を発症しているという場合は、妊娠高血圧症候群にかからないよう医師の指導のもと血圧をしっかり管理してくださいね。

また、肥満も高血圧の発症リスクを高める要因となります。肥満傾向にある人は急激な体重増加に注意し、バランスの良い食事と適度な運動で体重管理をすすめましょう。

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シムスの体位で寝てみよう

お腹に負担をかけない楽な寝姿勢を「シムスの体位」といいます。身体の左側を下にして横になり、左足は伸ばしたまま右足を深く曲げます。お腹が大きくなると仰向けやうつ伏せで寝るのがつらくなるため、妊娠初期のうちからシムスの体位に慣れておきましょう。

シムスの体位は、抱き枕があると楽な姿勢が保ちやすくなります。左側を下にするのがつらいときは、右側を下にするなどして、気持ち良いポジションをみつけてくださいね。

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■素材:クッション/側地:ポリエステル100%、詰め物/ポリエステル100%、
■カバー素材:綿100%、もしくは綿80%・ポリエステル20%(柄により異なる)
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妊娠中の寝苦しさを軽くするために開発された抱き枕は、産後も授乳枕として使えます。洗濯機で丸洗いできるので、衛生面も安心です。クッション性にすぐれた綿を詰め込み、へたりにくさも実現しました。質の高い日本製の抱き枕が、快適な眠りをサポートしてくれますよ。カバーは10種類以上ある柄から選べます。

【助産師・保育士監修】妊婦さんに人気のおすすめ抱き枕9選!使い方は?授…

職場では母健連絡カードを活用しよう

つわりなどの症状があり混雑する通勤時間を避けたり、勤務時間を短くしたりする際に、職場へ主治医の指導内容を伝えるためのツールが「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」です。主治医が発行した母健連絡カードを会社に提出することで、必要な措置が受けられます。

母健連絡カードは診断書と同等に扱われるもので、職場は医師の指導事項が守れるようにしなければなりません。妊娠初期のつわりなどで仕事に支障があるときは、母健連絡カードを活用すると職場への報告がスムーズに行なえます。母健連絡カードはほとんどの母子健康手帳に記載されているので確認してみましょう。

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葉酸を摂ろう

葉酸は赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」の発症を抑えるために、妊娠前から妊娠初期にかけての摂取が推奨されている栄養素です。妊娠4ヶ月以降も貧血を予防するために、1日480μg(非妊娠時の2倍)の葉酸の摂取が望ましいとされています(※2)。

葉酸を豊富に含む食材を積極的に食べるようにするとともに、上手にサプリメントを活用して、葉酸を摂るようにしてくださいね。

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妊娠12週からの妊婦健診の様子

妊婦健診が4週に1回に

妊娠12週になると胎盤も完成に近づき、流産のリスクが減ってきます。2週に1回だった妊婦健診も、4週に1回と間隔が伸びますよ。健診までのあいだに心配なことがあれば、メモを取っておくと次の健診でスムーズに質問できます。出血や腹痛があるときは、無理をせず産院に連絡をして相談してくださいね。

腹部エコーと子宮底長の測定が始まる

経腟エコーでは赤ちゃんの全身がとらえづらくなるため、妊娠12~16週ころに経腟エコーから腹部エコーに切り替わることが多くなります。エコー写真にはCRL(頭殿長)に加え、BPD(児頭大横径)が印字されるかもしれません。

産院や妊娠の経過によっては、子宮底長の測定が始まることもあります。子宮底長は恥骨から子宮の上の端までの距離で測り、胎児の大きさや羊水量の目安となります。

腹部エコーや子宮底長の測定ではスカートやワンピースよりも上下が分かれた服装が適しています。マタニティウエアやマタニティインナーの準備が済んでいなければ、次の健診までに用意しておくと良いかもしれません。

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妊娠12週以降も後期流産のリスクはあるの?「12週の壁」とは

妊娠8~12週で早期流産となる頻度は全体の34~48%と高く、妊娠12週を超えるとその割合は6~9%に減少します。妊娠12週が境となることから、「12週の壁」を超えることが妊娠経過をみるひとつの目安です。しかし、数値からもわかるように妊娠12週を超えても流産のリスクは残ります。

妊娠12週以降の後期流産は、子宮筋腫や子宮奇形、クラミジア頸管炎や絨毛膜羊膜炎といった感染症、子宮頸管無力症などの問題が原因としてみとめられます。このような問題があっても、必ずしも流産が進行するとは限りませんが、出血など流産の兆候があるときはすみやかに受診しましょう。

切迫流産と診断されても、心拍確認ができて適切な治療を施せば、妊娠が継続される可能性は高くなります。安定期に入っても無理をせず、激しい運動や過度なストレスを避けるように心がけ、心配しすぎないようにすることが大切です。

妊娠12週のママへ

妊娠12週になるとつわりが治まるといわれています。しかし実際につわりが軽くなったと感じる人もいれば、まだまだつらい時期を抜け出せないという人もいることでしょう。妊娠中の症状は個人差が大きいため、必ずしも同じ経過をたどるとは限りません。焦らず気持ちをリラックスして過ごしてくださいね。

これまで2週に1回だった健診が4週に1回になることで、なんとなくそわそわした気持ちになることもあるかもしれません。そのようなときは、安定期に入ったらなにをするか、計画してみてはいかがでしょうか。マタニティヨガやマタニティスイミングの情報をあたってみたり、マタニティフォトの計画を立ててみたりするのも良いですね。

安定期までもう少し。楽しいことに目を向けて、これからの準備をすすめていきましょう。

※この記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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