【小児科医監修】手首が痛い!育児中のママがなりやすい腱鞘炎の原因・対処法
授乳や抱っこなど育児中のママは手を休める時間がありません。朝起きたときやふとしたときに「手首が痛い!」という症状に悩まされる方も多いでしょう。その痛みは育児中のママがなりやすい腱鞘炎(けんしょうえん)かもしれません。ここでは、育児中のママの悩みのひとつである腱鞘炎について、原因や対処法を解説します。
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目次
産後に手首や指の付け根が痛いという症状
腱鞘炎(けんしょうえん)とは、手首や指の付け根などに痛みや腫れが起こることをいいます。腱鞘炎になると手首や指に痛みが走り、曲げ伸ばしが困難になることが多いでしょう。
育児中は抱っこや授乳、沐浴などで赤ちゃんをしっかりと支えておかなければならず、ママの手には相当な負担がかかります。そのため、産後に手首が腱鞘炎になってしまうママは珍しくありません。手首の痛みは仕方がないと思って放っておくと、悪化してしまう可能性もあります。
腱鞘炎(けんしょうえん)とは
腱鞘炎の原因
腱鞘炎とは、筋肉と骨をつないでいる腱や腱鞘が炎症を起こしてしまうことです。手首を常に使うようなスポーツをしている人やピアニスト、パソコンをよく使う職種の人などは、特定の腱と腱鞘がすれて手や腕に大きな負担がかかり腱鞘炎になってしまうケースが多く見られます。
腱鞘炎の症状
腱鞘炎の初期は、炎症を起こしている部位に痛みを感じたり慢性的なダルさを感じたりするようになります。手がきしむような違和感が出てくると、本格的な腱鞘炎になってしまう可能性が出てきます。
さらに、違和感を感じる部位が熱をもったようにじわじわ痛みだしたら一気に腱鞘炎が悪化することもあるので、その前に気づいて対処することが望ましいといえるでしょう。
産後どうして腱鞘炎になるの?
育児中は手首に力が入りやすい
出産を終え育児が始まると、3kg前後の赤ちゃんを毎日何度も何度も抱っこする生活が始まります。また、初産の場合は、沐浴や授乳など初めてのことだらけです。赤ちゃんを落とさないようにと肩や手首に力が入り、その結果手首を酷使することになります。
産後のホルモンの影響
出産後に腱鞘炎になる原因には、炎症を修復する作用のエストロゲンの減少が影響しているといわれています。エストロゲンとは卵巣で分泌される女性らしい身体作りを助けるホルモンとされています。一般的にエストロゲンが低下すると関節や腱の周りにある滑膜(かつまく)という組織が腫れやすくなります。
また腱鞘炎になりやすい原因のひとつに、出産時に緩んだ子宮や骨盤を元に戻そうとするプロゲステロンというホルモンの影響もあるといいわれています。プロゲステロンが授乳中に分泌されることにより、出産とは関わりのない腱鞘までも狭くしてしまうので、炎症が起こりやすくなるといわれています。
腱鞘炎になったときの対処法
抱っこ紐を活用する
腱鞘炎になってしまったら、痛い部位をなるべく使わずに安静にさせることが大切ですが、育児中のママには無理な話です。しかし、できるだけ使わないようにすることで悪化は避けられます。まず、抱っこをするときはなるべく抱っこ紐を使用しましょう。
抱っこ紐を使えば赤ちゃんの体重を手で支える必要がなくなるため、手首への負担も減ります。長時間抱っこしなければならないときは、抱っこ紐やベビーカーを使って手首を休める時間を作りましょう。
冷やす
腱鞘炎によって痛む部位が熱を持ったような症状がある場合は、アイスノンや氷で冷やしてみましょう。熱をもっている症状があるときに手首を酷使すると、腱鞘炎が悪化することがあるので注意が必要です。
軽いストレッチやマッサージ
軽いストレッチやマッサージに腱鞘炎の根本的な治療効果はありません。しかし、血液の循環が良くなるので、凝り固まった筋肉をほぐし、酷使している手のダルさを軽減することができます。ただし、炎症部位を直接マッサージすることは、悪化の原因となるため避けましょう。
授乳時には授乳クッションを
授乳は、同じ体勢で赤ちゃんの頭を支えて行うことから、思った以上に手に力が入るものです。授乳時には授乳クッションを使い、赤ちゃんの頭をずっと支えていなくても済むような工夫をしてみましょう。
サポーターやテーピングを利用しよう
腱鞘炎から解放されるためには、手をなるべく使わず安静にすることが大切ですが育児中では難しいことなので、サポーターやテーピングを利用してみましょう。サポーターやテーピングを利用することにより、なるべく動かさないように手を固定することができます。
再度腱鞘炎にならないための予防法は?
もし腱鞘炎の初期の段階で適切な処置ができて痛みが和らいだら、再度腱鞘炎にならないために予防することが大切です。腱鞘炎の予防法のひとつは、普段から軽いストレッチやマッサージをし、腕や手首の筋肉のこりをほぐすことです。
肩こりが腱鞘炎の原因になることもあるので、肩こりにも注意しましょう。また、赤ちゃんを抱っこするときは腕全体で支えるようにし、手首に負担がかからないようにすると良いですね。パパや祖父母の手助けなどに甘えられるときは極力甘え、手首に負担がかからないような生活を心がけてみてください。
腱鞘炎のときは無理をしないで
産後の腱鞘炎は、慣れない育児で「赤ちゃんを落っことさないように」「赤ちゃんが心地良い姿勢で過ごせるように」と力が入りすぎてしまっていることで起こります。ほとんどの初産のママは、赤ちゃんが生後6ヶ月を迎えるころに腱鞘炎の痛みとさよならできるようです。
生後6ヶ月を迎えるころには抱っこの仕方にも慣れ、お風呂や授乳も上手になってきます。産後の腱鞘炎とは「赤ちゃんを大切に守って育てている証」なのです。痛みがあるのはつらいですが、手首を酷使しない生活を心がけ、肩や腕の力を抜きながら軽く優しくお世話をしてあげましょう。