更新日:2018年10月30日

子宮復古不全とは?原因、悪露などの症状、治療法を解説!帝王切開手術後になりやすい?

「子宮復古不全」とは、妊娠中に大きくなった子宮が、産後にうまく収縮せず、妊娠前の状態になかなか戻らないことを指します。子宮復古不全になると、子宮内感染症のリスクが高まるため、病院で適切な処置を受けることが大切です。ここでは子宮復古不全の原因や症状、治療法、帝王切開後になりやすいといわれる理由について解説します。

監修 : ままのて 医師・専門家
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記事の監修

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産婦人科医
藤東 淳也

子宮復古不全とは?

妊娠中に、赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮が、産後に収縮しながら妊娠前と同じ大きさや硬さに戻ることを「子宮復古」と言います。「子宮復古不全」とは、この子宮復古がなんらかの原因でうまく進まない状態のことです。通常では、分娩後約1ヶ月で、妊娠前の大きさにまで戻るとされています。

子宮復古不全が良くないとされるのは、再び子宮内膜が正常に作られるのが遅れて、悪露(おろ)の量が増えるためです。悪露は細菌が増える原因になり、子宮内膜炎や子宮筋層炎などの病気のリスクが高まります。

子宮復古不全の原因は?

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子宮復古不全は、子宮の収縮をさまたげる明らかな病気がある「器質性」と、病気以外が原因の「機能性」に分けられます。具体的には、次のような原因があげられます。

胎盤遺残・卵膜遺残

一般的に、胎盤などは後産でママの身体の外に出されますが、まれに子宮内に胎盤や卵膜の一部が残ってしまうケースがあります。それにより、子宮の収縮がさまたげられ、子宮復古不全となることがあるのです。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉の一部にできる硬いこぶのような腫瘍です。腫瘍といっても基本的に良性のものが多く、子宮筋腫自体が生死にかかわることはありません。

しかし、子宮筋腫があることによって、産後の子宮収縮がさまたげられたり、悪露がうまく排出されなかったりするなど、子宮復古不全の原因となることがあります。

悪露が体外に排出されないまま、子宮復古不全によって悪露の量が増え、余計に悪露がたまりやすくなるという悪循環に陥ることがあります。

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子宮内膜炎

産後の場合、出産で傷ついた子宮や産道が細菌感染することで子宮内膜炎になることがあります。子宮内膜炎になると、子宮内に炎症がおこり、収縮がさまたげられることで子宮復古不全につながる場合があります。

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子宮筋の疲労

双子や三つ子を同時に妊娠する「多胎(たたい)妊娠」や、羊水が多すぎる状態の「羊水過多症」になると、子宮が無理に引き伸ばされます。そうすると、子宮筋が疲労して収縮しにくくなるといわれています。

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微弱陣痛

陣痛は一定の間隔でおこり、次第に間隔が短くなっていきます。しかし、微弱陣痛では陣痛の強さが弱く、間隔も長い状態が続きます。微弱陣痛は、多胎妊娠や羊水過多症などによる子宮筋の疲労が原因でおこることがあります。この微弱陣痛も子宮復古不全の原因となります。

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子宮収縮抑制薬の長期使用

子宮収縮抑制薬とは、切迫流産、切迫早産、過強陣痛などの場合に陣痛を弱めるために使用される薬です。出産にいたるまでに子宮収縮抑制薬を長期的に使用していたママは、子宮復古不全のリスクが高まるといわれています。

授乳をしていない

授乳することで、ママの身体にはオキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンには子宮の収縮を促す作用があるため、授乳をしていないと子宮が十分に収縮しなくなることがあるのです。

ママや赤ちゃんの体調や、母子別室などの病院の方針によっては、産後すぐに授乳ができない場合があるかもしれません。また、乳首に痛みをともなう傷があり、授乳をしたくてもできないケースもあるでしょう。

こうした場合は、搾乳器や乳頭保護器、授乳中のおっぱいトラブルに効果的とされるクリームなどを利用することを検討してみてはいかがでしょうか。

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母体疲労

出産によるエネルギーの消耗や慣れない育児への疲れ、ストレスなどが原因で子宮の収縮が悪くなる場合があります。子宮筋腫などの病気にかかっていない場合には、このように疲労が原因の可能性があるので、心配しすぎないようにして、まずは病院を受診しましょう。

便秘

便や尿がたまっている状態も、子宮収縮をさまたげ、子宮復古不全の原因になることがあります。排便や排尿を我慢しないことが大切です。

便秘になるということは、食物繊維や水分が足りていないと考えられます。食物繊維やビタミンを豊富に含む野菜や果物、水分を意識的にとるようにしましょう。

子宮復古不全の症状は?悪露はどうなる?

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子宮復古不全は子宮が十分に収縮していない状態なので、産後の日数に対して大きくてやわらかい子宮を確認できます。また、出血を止める仕組みがうまく働かないことで、血の塊が混ざった悪露が多量に出ます。それにともない、貧血になることもあります。

また、悪露が多いことによって細菌が増えやすくなり、子宮内感染症のリスクが高まるため、発熱をともなう場合には注意が必要です。子宮内感染症を放置すると進行し、入院治療が必要になる場合があります。生活への負担が大きくなるので、悪化する前に治療を開始することが大切です。

子宮復古不全の治療法・対策

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子宮復古不全そのものが生命に危険をおよぼすような心配はほとんどありませんが、正常に子宮が元に戻っていない状態は心配になりますよね。次のような方法を試すことで、子宮収縮を促せる可能性があります。

赤ちゃんに母乳をあげる

ママが赤ちゃんにおっぱいをあげることで、オキシトシンが分泌されて子宮の収縮が促されます。授乳することで子宮復古不全が改善に向かう可能性があるのです。

授乳に関する何らかのトラブルがある場合には、医師や助産師に相談しましょう。母乳外来を利用する方法もあります。授乳トラブルを解消するための、おっぱいマッサージやアドバイスなどをしてくれますよ。

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子宮底マッサージ

子宮底マッサージによって子宮収縮を促せると考えられています。自分で行うことは難しいので、病院で医師に相談しましょう。間違った方法でマッサージすることで、体調を崩す可能性があります。

患部を冷やす

子宮を冷やすことによっても子宮収縮を促進できるといわれています。冷やすことでお腹の調子が悪くなったり身体が冷えたりすることがあるので、医師の指導を受けて行うことが大切です。

排便・排尿を促す

排便と排尿を促すことで、子宮が収縮しやすくなるといわれています。便秘の場合には、食物繊維や水分をしっかり摂って便秘を解消させましょう。具体的には、1日3回の食事を習慣づけることが大切です。毎朝、食物繊維を豊富に含むバナナを食べたり、排便を促すために水分を摂ったりするのも良いですね。

また、便秘を早く解消させたいからといって、市販薬を自己判断で使うのは禁物です。母乳を通して赤ちゃんへと薬の成分が移行してしまう可能性があります。便秘がなかなか改善しない場合は、医師に相談することをおすすめします。

子宮収縮薬の使用

子宮収縮薬の使用を検討する場合があります。子宮収縮薬は妊娠期の処置の他、帝王切開後の子宮収縮を促す目的で使用することもあります。子宮復古不全の第一選択薬は麦角アルカロイド薬です。また、子宮内膜炎のように細菌感染がおこっている場合には、入院治療が必要になることもあります。

子宮復古不全は帝王切開術後になりやすい?

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帝王切開で出産した場合は、子宮復古不全になりやすいといわれています。これは、帝王切開によって子宮が疲労しているためだと考えられているからです。このように、帝王切開は子宮復古不全のリスク要因と考えられているため、赤ちゃんを娩出させた後に子宮収縮薬を投与することがガイドラインで定められています。

しかし、帝王切開で出産したからといって、必ず子宮復古不全になるわけではありません。子宮収縮薬を投与しても子宮収縮を促せないほどの状態であったり、別の原因があったりする場合に子宮復古不全になると考えられます。

子宮復古不全の影響は?二人目不妊になりやすい?

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子宮復古不全となったため、次の妊娠に影響がおよばないか心配なママもいるでしょう。子宮復古不全によって子宮が妊娠できる状態へ戻らないと、不妊になる可能性があります。しかし、原因を取り除いて子宮を妊娠前の状態に戻すことができれば、再び妊娠することは可能です。

ただし、子宮復古不全の原因が子宮筋腫の場合には、子宮筋腫を治療しても不妊になる可能性があります。子宮筋腫の手術にはリスクをともなうので、手術を受けるかどうか医師と相談して慎重に決めることが大切です。

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子宮がなかなか戻らない場合は、病院・クリニックを受診しよう

なかなか子宮が小さくならない場合、日常生活に注意するだけで改善されることもあれば、なんらかの病気が見つかり、治療が必要になる場合もあります。子宮復古不全によってリスクが高まる子宮内感染症は、進行すると敗血症のような生命に危険をおよぼす病気につながることもあります。思い当たることがあれば必ず病院やクリニックを受診しましょう。

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