更新日:2018年09月10日

フリースタイル分娩やアクティブバースとは?出産体勢・体位ごとのメリットについて助産師が解説

フリースタイル分娩やアクティブバースといった言葉を聞いたことはありませんか。これらの分娩では、ママが自由な姿勢や体勢で陣痛から出産までを過ごすことができます。ここでは助産師が、フリースタイル分娩やアクティブバースの方法、分娩体位ごとのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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記事の監修

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助産師・保育士
河井 恵美先生

フリースタイル分娩とアクティブバースとは?違いはある?

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フリースタイル分娩とは名前の通り、妊婦さんが自由な姿勢、楽な体勢で出産できる方法のことです。分娩台上だけではなく、ママが希望すれば畳や布団の上などでも出産することができます。

アクティブバースは、ママや赤ちゃんへの医療介入を最小限にし、ママや生まれてくる赤ちゃんが主体となる分娩のことをいいます。妊婦さんの本能的な産む力を使いながら、それぞれに合った分娩方法を見つけていきます。

フリースタイル分娩とアクティブバースという言葉は、同じ意味で使われている場合がありますが、厳密には意味が異なります。アクティブバースのひとつとして、フリースタイル分娩があるのです。

フリースタイル分娩・アクティブバースの方法は?

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フリースタイル分娩・アクティブバースでは、陣痛や出産時の痛みと上手に付き合うために、ママ自身が呼吸の仕方や体勢を選んでいきます。フリースタイル分娩ではさまざまな体勢をとることができ、体勢をとるときにパパに支えてもらうことも可能です。

フリースタイル分娩やアクティブバースは、どのように出産したいかというママの希望が反映される分娩方法です。妊娠中から陣痛・出産時の過ごし方を考えておきましょう。

フリースタイル分娩・アクティブバースのメリットは?

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ママの楽な姿勢・好きな体勢で出産することができる

ママが楽な姿勢や好きな体勢で出産を迎えられると、陣痛の痛みやいきみ(排便のときのように肛門に力を入れること)を逃しやすくなります。痛みやいきみが軽減されることで、ママの身体の緊張は緩和され、出産にかかる時間が短縮される場合があります。

さらに出産時の姿勢や体勢を選択できることは、自分で出産しているという気持ちが強くなることにつながるため、ママは出産を前向きにとらえやすくなります。

精神的にリラックスできる

ママが精神的に緊張すると、痛みに対する不安感や恐怖感が大きくなり、陣痛による痛みを感じやすくなります。フリースタイル分娩では、ママが陣痛から出産まで自由なスタイルで過ごせるためリラックスでき、痛みと上手に付き合うことができるでしょう。

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家族みんなでお産にのぞみやすい

フリースタイル分娩では、陣痛から出産まで自由な姿勢や体勢をとり、分娩台以外でも過ごすことができるため、パパや家族との距離が近くなります。ママの体勢によってはパパや家族の介助が必要です。ママのサポートをしながら、新たな家族を迎え入れる喜びをみんなで分かち合うことができる分娩方法といえるでしょう。

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フリースタイル分娩・アクティブバースのデメリットは?

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フリースタイルで分娩できる病院が少ない

現状、フリースタイルで分娩ができる病院は少なく、多くの病院では分娩台上で仰向けの体勢のまま出産を迎えます。病院によっては分娩台上であっても、横向きの出産が許可されていることもありますが、分娩体位は決められていることが多いです。

産科クリニックや助産所、院内助産がある病院ではフリースタイル分娩ができる施設もあります。しかし、すべての妊婦さんがフリースタイル分娩を選べるわけではありません。条件は出産施設によって異なりますが、妊娠経過に異常がなく、ママや赤ちゃんにリスクが少ないことが前提となります。

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母体と赤ちゃんの状態によっては行うことができない

フリースタイル分娩やアクティブバースは、ママと赤ちゃんの状態によっては行うことができません。フリースタイル分娩やアクティブバースを選択できない条件は出産施設によって異なりますが、主に以下のようなものがあげられます。

・赤ちゃんが骨盤位
・ママが双子を妊娠している
・赤ちゃんの体重が小さい
・今回の妊娠で合併症がある
・前回の出産が帝王切開だった
・前回の出産で異常があった

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赤ちゃんの異変にすぐに対処しづらい

陣痛中に赤ちゃんに異変が起こると、すぐに出産しなければならない場合があります。分娩が進行していてすぐに出産できる状態であれば、吸引分娩などの医療処置を行います。そのときには、仰向けになります。帝王切開が必要な場合は、すぐに手術の準備を始めます。

このような赤ちゃんの異常に対する対処は、分娩台で仰向きになっているとすぐにできるのですが、ママが自由な姿勢や体勢で過ごしていると早急な対処がしづらくなってしまうのです。

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分娩体位ごとのメリット・デメリット

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仰向け

仰向けは、ママと医師や助産師といった分娩介助者がお互いの表情を確認しやすく、コミュニケーションがとりやすい姿勢です。また、ママや赤ちゃんの具合が悪くなって出産を急がなければならない場合に、会陰切開などの医療処置がしやすいというメリットもあります。

一方で、仰向けでの出産は重力に逆らう姿勢となるため、子宮から赤ちゃんを押し出す力が弱くなり、出産に時間がかかる場合があります。

横向き

横向きでの出産は会陰裂傷(腟の入り口と肛門のあいだの部分に傷ができること)が生じにくく、陣痛の合間のママが休息をとりやすいというメリットがあります。さらに左向きか右向き、どちらの姿勢にするかを選択でき、ママが腰のマッサージを受けやすい姿勢でもあります。

出産のときには、赤ちゃんが生まれやすいように、足を持ち上げる介助者が必要になります。

坐位

坐位での出産は、赤ちゃんが生まれる方向と重力の方向が同じであること、骨盤が開きやすくなることから、分娩体位をとってから赤ちゃんが生まれるまでの時間が短くなることが多いです。また会陰裂傷が生じにくく、赤ちゃんが生まれてからの対面がスムーズにできる体位でもあります。

一方で坐位での出産では、同じ姿勢を長い時間続けていると外陰部にむくみができたり、痔ができたりしやすくなってしまいます。ママはいきむときの力加減のコントロールがしづらくなり、赤ちゃんが急に生まれてしまう可能性があります。

蹲踞位(そんきょい)・しゃがむ

蹲踞位での出産は坐位と同じように、赤ちゃんが生まれる方向と重力の方向が同じになり、骨盤が開きやすくなります。よって分娩体位をとってから赤ちゃんが生まれるまでの時間が短くなることがメリットです。

デメリットとしてはママの足が疲れやすくなること、会陰裂傷や痔ができやすいこと、出産が急激に進んでしまうことがあげられます。ママがしゃがむ姿勢をとるときは介助する人が必要になります。

四つん這い

四つん這いでの出産はママが下半身を自由に動かすことができるため、腰痛を軽減させることができます。赤ちゃんは出産のときにママの骨盤の中を回転しながら生まれますが、赤ちゃんの回転が悪い場合にママが四つん這いの姿勢をとると、赤ちゃんの回り方がスムーズになる場合があります。

デメリットは、四つん這いの姿勢を続けることで手や膝に痛みが生じやすくなること、ママと医師や助産師といった分娩介助者がお互いの表情を確認できないため、コミュニケーションがとりづらいことです。

立位

立位での出産では赤ちゃんが生まれる方向と重力の方向が同じであるため、赤ちゃんが骨盤の中を下降しやすくなり、ママがいきみやすい姿勢です。

しかし、ママがいきみやすいことからお産が急激に進んでしまうことや、ママが疲れやすくなることがデメリットとして考えられます。また、ママの姿勢を支える介助者が必要です。

フリースタイル分娩・アクティブバースの体験談

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Comment icon横向きで自然分娩した初産のママの体験談

私が通院していた病院では、必ず分娩台で出産することになっていました。しかし出産の経過に異常がなければ、分娩台で横向きになって出産する方法も認められていました。妊娠中に受けた母親学級で、助産師さんが分娩台で仰向きになって出産する方法を教えてくれたので、私も仰向きで出産しようと思っていました。

しかし実際に陣痛が始まってみるとお腹や腰の痛みがつらくて、とても仰向きでは過ごすことができず、横向きで過ごしたり、座ったりして過ごしていました。出産が近づいて分娩体位をとることになり、仰向きになったのですが、痛みのせいでうまくいきむことができなかったのです。

担当していた助産師さんの提案で横向きに体勢を変えてみると、腰の痛みが少し楽になっていきむことに集中できるようになりました。そのまま赤ちゃんは順調に産道を進んできてくれたようで、無事に自然分娩することができました。

赤ちゃんが生まれるときは別の助産師さんが足を上げて支えてくれたのですが、短い時間だったので特に負担ではありませんでした。自分に合った分娩体位は、痛みとうまく付き合うことで出産をスムーズにしてくれるものだと気づかされました。

ママと赤ちゃんの健康を大切に、ベストな出産方法を選択する

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フリースタイル分娩やアクティブバースは、ママが陣痛から出産まで楽な姿勢や体勢で過ごせる分娩方法です。こうした分娩方法を選択することで、お産の痛みを軽減したり、分娩にかかる時間が短縮されたりするメリットがあります。しかし、フリースタイル分娩を取り入れている出産施設は少なく、フリースタイル分娩が可能なママの条件もさまざまです。

大切なのはママと赤ちゃんの健康を維持しながら、無事に安全に出産することです。医師や助産師と相談し、ママと赤ちゃんにとってベストな方法で出産を迎えることができるように準備しましょう。

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参考文献
  1. 分娩体位の種類とそのメリット
  2. 助産診断・技術学Ⅱ [2]分娩期・産褥期 医学書院 第4版第3刷
  3. 周産期ケアマニュアル 医学芸術社 第2版第1刷

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