更新日:2017年01月05日

仰向けだけじゃない!!産む前に知りたいフリースタイル分娩の事☆

最近ではアクティブバースやフリースタイル分娩といった言葉が広まってきていますが、本来産む時の姿勢は自由であっていいのだと私は思います。今回は一般の方にはまだ馴染みの少ないフリースタイル分娩についてご紹介します☆

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60年前までは自宅で産むのが当たり前だった!!

Image引用元:www.e-susano.net

今ではお産というと病院で産むのが当たり前になっていますが、つい60年程前までは自宅で産む事が当たり前の世の中でした。戦後GHQの政策の影響によって、日本のお産は自宅や助産院でのお産から徐々に病院へのお産に移行し、今では病院で妊婦健診や出産・産後入院をする事が当たり前になっています。

自宅出産が主だった時代は、「産婆さん」と呼ばれる現在の助産師の役割を果たしていた人達がお産の経過をみていましたが、病院でのお産が増えるにつれ妊娠・出産は医師が主体のものとなっていきました。現在も出産場所として自宅や助産院を希望される方はいますが、その割合は全体のわずか1割程度です。

Image引用元:osan-kojo.com

<出生の場所別にみた年次別出生数百分率>
戦後から一気にお産の場所が変化しているのが分かりますね。(お産子育て向上委員会のHPより)

分娩台は医療者の為のもの。仰向けは産みづらい!?

Image引用元:www.med.nagoya-u.ac.jp

現在の分娩台が日本に普及し始めたのは戦後GHQの政策の頃と言われていますが、この分娩台の歴史を語るにあたってとても有名なのが「ルイ14世」という人です。

彼は1700年頃ヨーロッパに実在した人物。それまではヨーロッパでもお産は座ったりしゃがんだりして産む「垂直分娩」が一般的でした。しかしルイ14世の少し変わった性癖から、お産の状況が良く見えるような仰臥位分娩が広まるようになりました。女性が主体であったお産の現場に男性が介入するようになった事で、お産の状況がより見える仰向けの姿勢が好まれたのです。

また同時期に鉗子分娩が普及した事で、医療者がより処置をしやすいようなお産スタイルとして仰臥位分娩が注目されるようになりました。ここまで聞いて、何かおかしいと思いませんか?

本来お産はママと赤ちゃんが安心・安全になされるべきもの。それが、今では一般的となっている分娩台でのお産が、ママと赤ちゃんの為ではなく医療者の為だったなんて。助産師としてもちょっとショックな歴史です。

もちろん、仰臥位分娩には緊急時に対応しやすいといったような利点もあるので、一概に良くない!とは言い切れませんが、必ずしも当たり前のように選択される良いスタイルではないという事を、これから赤ちゃんを産むママ達には知っておいてもらいたいですね。

仰臥位は医療側にとっては極めて都合のよい分娩体位であるが,産婦側からみれば極めて自由度の低い姿勢であり,努責もかけにくい.そこで1954年Howardetal.によって仰臥位分娩が分娩中の母児に対して生理学的にも精神心理学的にも不利な体位であることが指摘され,出産時に産婦の上体を起こす必要性が注目され始めた。

引用元:www.jsog.or.jp

フリースタイル分娩はとくにこれといった姿勢の決まりはなく、産婦さんが産みたいように、一番楽な姿勢で自由にお産をしてもらいます。いくつかある姿勢の中で実際によく現場で見られる姿勢についてご紹介しますね。

フリースタイル分娩①側臥位

Image引用元:www.sagawa-clinic.com

「側臥位」とは横向きの事です。右向き左向きどちらでもかまいませんが、妊婦の場合右向きに寝ると、大きくなった子宮によって下大静脈が圧迫され低血圧や貧血などの症状がでる事があります。その為赤ちゃんへの血流を維持する為にも妊娠期はできるだけ左向きになる事をおすすめします。

側臥位はフリースタイル分娩の中で最もよく見られるスタイルで、産婦さんが最も休息しやすく楽な姿勢と言われています。腰が痛い人も後ろからさすってもらう事で痛みがやわらぎます。実際赤ちゃんを産む時は片足をスタッフや付き添いの方が軽くもちあげ、足裏を支える事でいきみやすくします。会陰部も介助者に見やすいので比較的介助しやすいスタイルです。ただ、胎児の重力が効率よく働かない為お産の時間が長くなる事があります。

フリースタイル分娩②四つん這い

Image引用元:d.hatena.ne.jp

四つん這いのお産と聞くと、「どうやって!?」と驚かれる方もいるかもしれませんね。あまり馴染みがないかもしれませんが、四つん這いの姿勢は腰への負担が最も少なく、腰痛のある産婦さんには効果的なスタイルです。

実際にお産の時にはクッションやバランスボールをお腹に抱えたり、旦那さんが付き添いの場合は旦那さんの肩をかりて腰をさすってもらう事ができます。会陰ものびやすくいきみやすいのがメリットです。四つん這いの場合、赤ちゃんはお母さんのお腹をくぐるようにして出てくるので、下の方をのぞきこんでいると赤ちゃんが出てくる様子が見られるかもしれません。

胎盤を出す時や何か緊急時の場合には仰向けになる必要がありますが、私の経験上四つん這いの姿勢が長いと足への負担がかかってスムーズに動けない方がいます。

Image引用元:www.mamaterrace.com

ヨガのポーズとして有名なネコのポーズは、安産を促すポーズともいわれています。まずはお臍を覗きこむように息を吐き背中を丸め、今度は息を吸いながら背中を反らし天井を見上げるようにします。このポーズを妊娠中から行っていくと腰痛緩和にもなりますし、四つん這いのお産もイメージしやすくなります。私も毎日のストレッチの中に猫のポーズは必ず取り入れています。目指せ、安産!!ですね☆

フリースタイル分娩③座位・立位

Image引用元:www.shonankamakura.or.jp

座位分娩は昔から最も一般的にみられていた分娩スタイルです。足を広げてしゃがむ事で骨盤が広がりやすく、また赤ちゃんの重力が一番効果的にかかるため、お産の進行が最も早いと言われています。産婦さんもいきみやすいといったメリットもあります。逆に重力が全て会陰部にかかる為、お産の時間が長くなってくると会陰部がむくみやすくなったり、出血が増えたりといったデメリットもあります。

座位・立位分娩には産婦さんがつかまるサポート役の人が必要になる為、旦那さんが立ち会いの場合は一緒にお産をした!という一体感が得られるかもしれません。

Image引用元:keika020.blog.fc2.com

施設によっては「産み綱」がある所も。昔はこのように天井からつるした綱につかまってお産をしたと言われています。

フリースタイル分娩はどこでもできる訳ではありません。

Image引用元:lips-graphy.seesaa.net

フリースタイル分娩がいいなと思っても、今の日本ではフリースタイル分娩ができる産科施設はまだそう多くありません。助産院では多くの施設が取り入れていますが、大きな病院となるとより難しいかと思います。

病院では医療者側が緊急時に対応しやすい事を優先する為、どうしても分娩台でのお産が主流となりますし、何より介助する側もフリースタイル分娩と出会う経験が乏しい為、介助手技に関して知識不足のスタッフが多いのです。

私が学生の頃は、助産師実習では仰臥位分娩での介助方法だけを学び、フリースタイル分娩に関しては全くの無知でした。おそらく多くの助産師が同じような経験をしているかと思います。フリースタイル分娩に興味のある方は、お近くの施設でできる所があるのか事前に調べてみて下さいね。

Image引用元:www12.plala.or.jp

フリースタイル分娩にこうじゃなくてはいけない!といった明確な定義はありません。左図のようにどんな姿勢でもいいのです。フリースタイル分娩は、とにかく産婦さんが心身共にリラックスし、本来自分に備わっている本能のままに自由に動いてお産をしてもらうという事が大切になってきます。

まとめ

女性にとってお産は人生の一大イベントです。どんな人達に囲まれてどんなお産を経験したかというのは、女性のその後の人生にも影響してくるのではないかと私は思います。これから妊娠・出産を迎える女性にはぜひ、お産に関して色んな選択肢を知ってもらい、赤ちゃんと幸せなお産を迎えてほしいなと思います。

<参考>
分娩体位の種類とそのメリット http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5103-67.pdf

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ソラらん

好きなもの→旅、キャンプ、山、赤ちゃん。 助産師として働…

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