陣痛から出産までの時間と流れは?痛みはどれくらい?|産婦人科医監修
産婦人科医監修|臨月に入ると、長かったようで短かかった妊娠生活もあと少しですね。心の準備をするためにも、出産の流れを改めて確認しておきましょう。陣痛が始まってから赤ちゃんが産まれるまでには予想外の展開がつきものです。ここでは、陣痛から出産までの流れと時間、痛みについて解説します。
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目次
陣痛とは?
陣痛を大きくふたつに分けると「前駆陣痛」と「本陣痛」があります。「前駆陣痛」とは、おしるしと同様、お産がくる兆候のひとつです。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
前駆陣痛
前駆陣痛とは、出産前に起こる子宮収縮のことで、お産の準備に必要な過程です。本陣痛が起こる前に子宮収縮を起こすことで、子宮の下の部分や子宮頸管を柔らかくしているのです。前駆陣痛には「生理痛のような痛み」「下痢のような痛み」など、さまざまな痛みの感じ方があります。
前駆陣痛は一般的に妊娠36〜40週に起こるといわれています。しかし、前駆陣痛の時期や痛みの感じ方には個人差があり、初産婦か経産婦かによっても変わります。
前駆陣痛は本陣痛のような一定間隔の痛みではなく、強さ・長さ・間隔が不規則です。痛みが強くなったり弱くなったり、しばらくすると遠のいてしまったりする場合は、基本的に前駆陣痛と考えて良いでしょう。なかには胎動と勘違いするママもいるようなので、前駆陣痛との違いを頭に入れておきたいですね
本陣痛
本陣痛とは、出産時に赤ちゃんを外へ押し出すために、子宮が収縮するときの痛みのことで、正式には分娩陣痛と言います。子宮口が広がり、強く収縮するため、規則的に激しい痛みに襲われます。
本陣痛は、前駆陣痛と違って痛みの間隔が規則的で、徐々に短くなっていきます。陣痛がきたと感じたら、まずは安静になれる場所に移動して、痛みのピークから次の痛みピークまでの時間の間隔を計測しましょう。最近では陣痛の間隔を測定するアプリもあるので、事前にダウンロードしておくと安心ですね。
陣痛にも細かい段階があり、大きく分けると3段階に分けられます。陣痛開始から子宮口が赤ちゃんの頭が通れるほどに広がる「第1期(開口期)」、赤ちゃんが産まれるまでの「第2期(分娩期)」、赤ちゃんが出たあと胎盤がでるまでの「第3期(後産期)」と出産が進んでいきます。
前駆陣痛から本陣痛までの期間
前駆陣痛から本陣痛までの期間は、一般的に2週間~1ヶ月といわれていますが、前駆陣痛後すぐに本陣痛が始まったという人や、前駆陣痛を胎動と勘違いして気づかなかったという人もいます。
どのタイミングでどのように陣痛がくるかには個人差があります。前駆陣痛だけでなく、おしるしが来たり、胎動が減ったりといった出産の兆候はほかにもあるので、あわせて日頃の体調の変化を確認できると良いですね。
陣痛が起こったときの対策は?
陣痛の痛みの間隔が規則的になった場合、いよいよ本陣痛に突入したことがわかります。陣痛がきたと感じたら、まずは安静になれる場所に移動して、痛みのピークから次の痛みピークまでの時間の間隔を計測しましょう。
陣痛の間隔が、初産婦は10分、経産婦は15分になったら病院に連絡するように指示されることが一般的です。破水をした場合は入浴やシャワーをせずに清潔な下着に着替え、大きめのナプキンなどをあてて、いち早く病院に向かいましょう。車のシートが汚れないように、バスタオルを持っておくと安心ですよ。
陣痛や破水があった場合、すぐに出産となるわけではないので、基本的に救急車を呼ぶ必要はありません。身体に余計な負担をかけないよう、産婦人科にはタクシーか家族の運転で向かうようにしましょう。一般のタクシーの場合、何かあったときの責任が取れないといった理由から断られることがあるので、陣痛タクシーを利用することをおすすめします。陣痛タクシーは登録が必要なので、事前に登録しておくと安心ですね。
陣痛や破水が来るタイミングは予測ができません。突然の対応に慌てないためにも、臨月に入る前には入院準備を済ませておきましょう。事前にタクシーの連絡先を把握し、パパやおたがいの親などとの連絡の段取りを決めておきましょう。また、外出時には常に母子手帳、健康保険証、診察券だけでなく、破水した場合に備えて大きめのナプキンと替えの下着を持ち歩くようにしてくださいね。
陣痛開始から出産までの流れとは?
分娩第1期(開口期)
陣痛の間隔が10分になってから子宮口が全開(約10cm)になるまでの期間が第1期です。
最初のうちは動けないほどではなく、会話をすることもできますが、子宮口が4cm程開き始めてくると陣痛の時間が長くなっていき、下腹部や腰に激しい痛みを感じるようになります。助産師から許可が降りるまでは「いきみ逃し」をしながら乗り切りましょう。
分娩第2期(娩出期)
子宮口が全開になり、赤ちゃんが出てくるまでの時期のことを第2期と言います。赤ちゃんが肩まで骨盤にはまって、ようやく出産できます。多くの場合、子宮口が全開大になったタイミングで破水も起こります。
第2期に入ると、助産師の指示にしたがっていきみ始めます。ママがいきむことによって赤ちゃんが産道に押し出され、全身が出てきます。このときに身体が裂けるような激しい痛みを感じ、耐えられないような思いをするかもしれません。出産の山場ではありますが、赤ちゃんともうすぐ会えると考えて、乗り越えていきましょう。
分娩第3期(後産期)
第3期とは、赤ちゃんが出てきたあと、へその緒でつながれている胎盤が出るまでの期間です。赤ちゃんが産まれた後は、「後産陣痛」という陣痛と同じような痛みと収縮により胎盤が身体の外に押し出されます。胎盤が出た後は、出血や損傷のケアを行います。
出産後は出血が落ち着いてくるまで、分娩室で安静にして経過をみます。
陣痛から出産までの時間はどれくらい?
分娩の開始時間は、日本産婦人科学会では「分娩開始の時期は、規則正しく発来し胎児娩出まで続く陣痛で周期 が約10分以内または1時間に6回の頻度になった時点」と定義づけています。
お産にかかる時間は、初産婦か経産婦かでもまったく違います。基本的に初産婦よりも経産婦のほうが時間はかからない傾向があるといわれますが、二人目以降でもいわゆる難産になることもあるようです。一般的に初産婦は11〜15時間、経産婦は5〜8時間かかるといわれています。
分娩の中で、陣痛開始から子宮口が全開大になるまでの第1期にかかる時間が最も長く、全体の約8割を占めるようです。特に子宮口が8cm〜9cmほど開いてくる極期に入ると激しい痛みに襲われますが、子宮口が全開大になれば、赤ちゃんに出会えるまで本当にあと少しですね。それぞれの段階にかかる想定時間は以下の通りです。
分娩第1期 初産婦:10〜12時間 、 経産婦:4〜6時間
分娩第2期 初産婦:2〜3時間 、経産婦:1〜1.5時間
分娩第3期 初産婦:15〜30分、経産婦:10〜20分
全体 初産婦:11〜15時間、経産婦:5〜8時間
分娩にかかる時間は人それぞれで、長丁場になる人もいます。思っていたより時間がかかったとしても、焦る必要はないでしょう。
陣痛・出産の痛みってどれくらい?
陣痛・出産の痛み
出産の痛みには大きく分けて、陣痛の痛みと分娩時の痛みの2種類があります。
陣痛の痛みは、子宮が収縮するときの痛みで、「ひどい生理痛のような痛み」とたとえられることが多いです。分娩時には、赤ちゃんが骨盤を通るときの腰回りの痛みや、子宮収縮の痛み、産まれるときの腟の痛みがあります。「鼻からスイカが出るような痛み」とたとえられているのを聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
文章だけを読むと、陣痛よりも分娩時の痛みの方が強いという印象を持つ人もいるでしょう。しかし、陣痛は激しい痛みの波に長時間耐えなければいけない上に、医師の許可が降りるまではいきむことができないので、分娩時よりも陣痛時の傷みの方がつらいと感じるママも多いようです。
痛みの対処法
多くのママが不安を感じるという陣痛の痛みについては、対処法を知っているだけでも心構えが変わるかもしれません。陣痛の痛みを和らげる方法は、アロマや呼吸法、テニスボールなどさまざまなので、自分の中でしっくりくるものを探してみましょう。
和らげる方法をいくつか事前に準備しておいて、いざ陣痛がきたら試してみると良いですね。陣痛の痛みに自分がパニック状態になってしまうかもしれないと想定し、パパや家族と、和らげ方を事前に共有しておくと安心ですね。
陣痛・出産の体験談
出産のタイミングや流れ、痛みの感じ方などは人それぞれ。ママによって違った出産のストーリーがあるようです。ここでは先輩ママの出産の体験談を紹介します。
鼻にスイカがずっとある痛み...?
出産前日の夜に、寝ようとしたら生理痛よりも強い痛みが突然やってきました。私はそれまで前駆陣痛のようなものをあまり感じていなかったので、前駆陣痛なのか、本陣痛なのかがわからないまま朝を迎えてしまいました。なかなか痛みが一定間隔になりませんでしたが、あまりの痛みに病院に連絡したところ、そのまま入院に。
入院になって夕方にご飯が出ましたが、食べようとしたら次の痛みがやってきてあまり食べられず、ベッドの上でクッションにもたれていました。子宮口が最大になるまで待つときが一番痛くて、あまりの痛さにずっと無になろうとしていました。「鼻からスイカが出る痛み」といわれていますが、「鼻にスイカがずっとある痛み」の方が私的にはしっくりきます。
第1期の長さがとてもつらかった!
出産する2日前から前駆陣痛を感じていました。陣痛の間隔が短くなり入院した時点でも痛みは強いものの耐えられる程度で、「私いけるかも.....!」と高をくくっていました。けれど、そこから約3時間後にいきなり痛みが激しくなりました。
私の場合は子宮口が6cmくらいから、全開大になるまで長くかかり、その時間が1番辛かったです。何度か気を失いかけて、心電図で子どもの様子がわかることだけが励みでした。第1期の長さと激しい痛みで自然といきみ出してしまって、助産師さんに子どもが無事かどうかを何度も確認した記憶があります。
妊娠35週まで逆子で帝王切開をする予定だったのが、急に正常位に戻り普通分娩が決まったという経緯もあり、出産前はよく考えず陣痛促進剤も会陰切開もなしの分娩を望んでいました。当時は神経質になっていて、医師のアドバイスが聞けなくなっていましたが、自然分娩にこだわりすぎて無理をしすぎたなと思います。
対面して初めて、心から喜び安心できました
子どもが産まれてきた瞬間には「やった!出てきた!」という嬉しさで、今まで耐えた痛みなんてどうでもよくなりますよ。ずっとエコーとかでみてきましたが、対面して初めて、心から喜び安心することができました。
確かに出産の痛みはつらいけれど、一瞬の痛みだから大丈夫。私の場合は助産師さんがずっと背中をさすってくれたから、とても心強かったです。出産中は不安に感じてしまうかもしれませんが、周りにプロがいてくれてるので安心してくださいね。
ママとしてなんだってできる、と強い自信がわいてきました
前駆陣痛とあわせて40時間以上もかかった長い出産。身体が裂けるような痛みに苦しみましたが、子どもが生まれた瞬間、今まで味わったこともないような幸福感で胸がいっぱいになり、号泣しました。言葉にするなら「地球ありがとう!」。夫は渋々出産に立ち会ってくれましたが、普段あまり感情的にならない人なのに涙を流していました。
出産前は自信がなく立派なママになれると思えずに、自分を責めたり、お腹の赤ちゃんに謝ったりしてばかりいました。しかし、生まれてきてくれた赤ちゃんを抱いた途端、そんな弱気は吹き飛びました。無事出産を乗り越えた自分は、立派でなくてもいい、この子のママとしてなんだってできる、と強い自信がわいてきました。
出産はママと赤ちゃんの最初の達成経験
いざ出産が近づくと、出産の痛みが怖くなって色々と調べてしまったり、本当に自分は出産を乗り越えられるのか、ママになれるのか不安に感じてしまったりすることも多いのではないでしょうか。ときには、自分の恐怖心や不安な気持ちが余計にママになる自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。しかし、心配になってしまうことはママであれば誰でもあるので、ひとりで抱え込まずに周りを頼ってくださいね。
出産は赤ちゃんとママとの最初の挑戦経験であり、達成経験です。出産のつらい痛みを乗り越えて出会った赤ちゃんを見たときは、たとえられないほど幸せな気持ちになれるそうですよ。そんな赤ちゃんと一緒に大変なときを乗り越えた経験は、これから子どもと一緒に過ごしていくなかで大きな励みになるのではないでしょうか。
自分はどんな出産体験ができるだろうと、そのときを前向きな気持ちで待ちながら、出産に臨めると良いですね。