帝王切開での悪露は長引く?鮮血が出るのはいつまで?

赤ちゃんのお世話に忙しくなる産後には、悪露や子宮復古といった元の状態に戻ろうとする変化と母乳分泌などの母親として適応していこうとする変化が同時に起こります。帝王切開の場合の悪露はいつまで続くのか、悪露が出ない場合や再開した場合はどうすれば良いのか、悪露の色や量が変化するのは正常なのかについて解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 産後はさまざまな症状に悩む人が多い
  2. 産後の代表的な身体の変化「悪露」「子宮復古」
  3. 産後の悪露は退院後いつごろまで続く?
  4. 赤・茶色・淡黄色、変化する悪露の色
  5. 悪露の量が増えることはある?
  6. 清浄綿での悪露のケア!お風呂はどうする?
  7. 悪露と産後の生理、不正出血は見分けられる?
  8. 帝王切開の悪露は自然分娩と少し違うケースも
  9. あわせて読みたい

産後はさまざまな症状に悩む人が多い

自然分娩、帝王切開といった出産方法に関わらず、「産褥期」とも呼ばれる産後6週間から8週間のあいだには、さまざまな症状に悩まされる人が多いかもしれません。代表的なものとしては後陣痛や帝王切開の傷の痛み、会陰切開の傷の痛みなどがありますが、人によって症状の度合いや症状が続く期間には差があります。

産後は赤ちゃんのお世話で忙しい時期でもあるため、産後のさまざまな症状を放置してしまったり、無理してしまったりするケースも少なくありません。個人差が大きく判断しづらいため、気になる症状があれば緩和する方法を病院に相談し、産後の経過に問題はないかを確認すると良いでしょう。忙しい時期だからこそ、少しでも快適に過ごせる環境を整えることも大切かもしれません。

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産後の代表的な身体の変化「悪露」「子宮復古」

産後の症状として代表的なもののひとつに「悪露(おろ)」があります。悪露は、産後に子宮や腟から排出される分泌物のことです。産後すぐは血が多く混じっていることで赤い色をしていますが、次第に血液が減少して褐色(茶色)から透明に近い淡い黄色に変化していきます。悪露の色が変化していくのは何が混ざった分泌液なのかにより、産後すぐには血液がメインですが、時期によっては白血球や子宮内膜腺といったものの分泌が多くなります。悪露の排出には量や期間などに個人差があり、すぐに止まる人もいれば1ヶ月近く続く人もいます。

悪露は「子宮復古(しきゅうふっこ)」とともに語られることが多いかもしれません。子宮復古とは妊娠前の子宮の大きさに戻ることを指した言葉で、産後4週間から6週間ほどで元の大きさに戻るといわれています。子宮復古が遅れることを子宮復古不全(しきゅうふっこふぜん)と呼び、子宮内膜に感染があったり赤ちゃんを包んでいた卵膜の一部が子宮に残っていたりすることが原因となります。また産後2日程度のあいだは子宮の収縮に伴い、お腹に痛みを感じる「後陣痛」があります。

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産後の悪露は退院後いつごろまで続く?

一般的に、出産後4週間から6週間ほどで悪露と呼ばれる腟や子宮からの分泌の排出は完全になくなるといわれています。帝王切開の場合であれば、手術後から約1ヶ月間、悪露は分泌物や色を変えながら次第に減少していきます。子宮が元の大きさに戻っていく「子宮復古」に通常よりも時間がかかる「子宮復古不全」になると、悪露が多い状態が続き、子宮内感染を起こしやすくなり、治療が必要になることもあります。このため、悪露とともに子宮復古の様子にも注意が必要です。ただし、帝王切開の場合には自然分娩よりも子宮復古が遅いケースがあるようです。

悪露は、産後2日から3日ごろまでは赤色、産後3・4日から2週間ごろまでは褐色(茶色)、産後2週間から3週間ごろには薄い黄色から透明に近い色に変化していきます。個人差があるためあくまでも目安にはなりますが、産後2週間を過ぎても生理の多い日よりも出血が続いている・2ヶ月を過ぎても悪露が終わる気配がないといった場合には病院に相談しましょう。帝王切開は子宮復古と同様に長引く場合があります。悪露が終わったように見えてもお腹の中に一時的にたまっているケースもあり、再開したように見える場合もあります。

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赤・茶色・淡黄色、変化する悪露の色

産褥期と呼ばれる産後の約1ヶ月のあいだ、子宮や産道から悪露とよばれる分泌物が排出されます。悪露は少しずつ変化しながら排出され、徐々に量が少なくなり、最終的に分泌物の排出がなくなります。産後2日・3日のあいだは「赤色悪露」と呼ばれる赤い血を多く含んだ悪露が排出されます。産後3・4日から2週間ごろになると、血液の量が少なくなり白血球が多く含まれ、鮮血から褐色(茶色)になる「褐色悪露」が確認できるでしょう。産後2週間以降は透明、または淡い黄色の子宮内膜腺を多く含んだ分泌液が排出される「黄色悪露」に変化していきます。まれに緑に近い色になる人もいるようですが、カンジダなどの感染の可能性があるため病院に相談しましょう。

悪露の量が増えることはある?

悪露の量は500ccから1,000ccとされており、この範囲を見ても悪露の量には個人差があることが伺えるかもしれません。日本では500cc以下のケースが多いという調査例もあります。帝王切開の場合には、自然分娩に比べると悪露は少ないといわれています。帝王切開の場合には手術の際に子宮の内容物をきれいにすることができる点が影響しているでしょう。また経産婦に比べて初産婦は悪露が多いともいわれています。ただし産後に安静にせずに動き過ぎた場合などには出産方法に関わらず増える人もいるようです。

悪露が急に止まる・急に増えたように感じる場合でも、実際にはお腹の中に一時的に停滞している・たまっていたものが排出されたケースがあります。一時的なものであれば問題ありませんが、長いあいだ停滞してしまうと感染を引き起こす可能性があるため注意が必要です。ママの産後1ヶ月健診の際に悪露の排出具合や子宮復古の確認をするため、悪露がお腹に残り、なかなか出ない場合にはかき出す処置を行うこともあります。直径3cm以上の血の塊がある、悪露のにおいが気になるといった場合には、健診前でも念のため病院に相談すると良いでしょう。

清浄綿での悪露のケア!お風呂はどうする?

出産での入院の際に病院側から提供されるお産セットの中に「清浄綿」が含まれているケースは珍しくありません。清浄綿は産後の悪露の処理に用いられます。商品によって大きさや厚さなどが異なるため、自分が使いやすいものを選ぶと良いでしょう。会陰切開をしている場合は傷口を刺激しないように軽く押さえる形で拭くなど、状況に応じて処置方法の指導があるでしょう。血性の赤い悪露が終わるまで、できれば衛生面の観点から悪露が出なくなるまで清浄綿での処置を続けましょう。

悪露の処理には清浄綿以外でも濡れコットンで行う人もいるようですが、濡れコットンは水分を含んだコットンであり、清浄綿はきちんと滅菌された状態の医薬部外品です。悪露の処理であれば濡れコットンではなく、清浄綿の方が安心かもしれません。産後数日は悪露の量が多いため、専用の産褥パッドなどを用いますが、量が落ち着いてきたら生理用ナプキンを使用しても問題ないでしょう。清潔を保つために適度に交換することが大切です。量にもよりますが生理用のショーツや産褥パンツを併用することで漏れの心配は軽減するかもしれません。

悪露が出ている状態でも、産後の経過に問題がなければ、シャワーの許可は入院中に出るでしょう。帝王切開の場合には手術から数日後にシャワーの許可が出るケースが多いかもしれません。お風呂への入浴に関しては産後1ヶ月後の健診で異常がなければ許可される人が多いです。

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悪露と産後の生理、不正出血は見分けられる?

産後すぐの出血であれば、悪露の可能性が高いかもしれません。ただし産後1ヶ月以上経ってからの出血は悪露なのか、産後の生理(月経)なのか、不正出血なのかを迷う人は多いようです。褐色や薄い黄色の悪露に関しては生理などの出血との違いが比較的わかりやすいですが、赤い血に関しては見た目で判断するのは難しいといわれています。出血が続く、ある程度の量の出血を確認した場合には、念のため病院に相談すると良いでしょう。

産後の生理に関しては個人差が大きいです。母乳育児をしている人は2ヶ月から1年半ほど、母乳を飲ませていない場合には6週間から8週間程度で生理が再開するといわれています。生理であれば、人によっては生理痛がある点も特徴的でしょう。生理が来る前には排卵があるため、妊娠を希望しない場合には避妊が必要です。まれではありますが、産後1度も生理が来ないままで妊娠をするケースもあるようです。衛生面では、性生活は悪露が終了してからが良いといわれています。

帝王切開の回数が増えると胎盤癒着のリスクが増えます。家族計画がすでにある場合には、リスクも踏まえた上で医師や家族とよく相談しましょう。不正出血は病気が隠れている可能性があるため、これも放置せずに医師に相談することが重要です。

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帝王切開の悪露は自然分娩と少し違うケースも

自然分娩と比べて、帝王切開の悪露は長引いたり量が少なかったりといった違いがあるようです。個人差もあるため、一般論よりも自分の悪露の状態に問題はないのかを把握することが大切かもしれません。産後の育児が大変な時期とも重なるため、つい放置してしまったり適切なケアを怠ってしまったりする人もいますが、悪露は細菌による感染を引き起こすケースもあります。大切な時期だからこそ、気になる点があれば医師に相談しましょう。

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