帝王切開の麻酔、痛みや副作用はある?薬の種類や影響は?
帝王切開を予定している人や緊急で帝王切開になったことを考える機会がある人は、手術の痛みや麻酔薬の種類、赤ちゃんや自分への影響などが気になるかもしれません。麻酔が効かないことはあるのか、注意点はあるのかなどを知ることで、少しでも怖い気持ちが和らぐと良いですね。体験談を交えながら帝王切開の麻酔について解説します。
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目次
帝王切開は費用や麻酔、痛さや傷跡などが気になる
現在日本では、自然分娩ではなく子宮を切開することで胎児を取り出す「帝王切開手術」が増えており、妊婦の4〜5人にひとりは帝王切開手術を受けているといわれています。
帝王切開を予定している妊婦の中には「麻酔が効かないことや手術の失敗やトラブルが起こることはあるのか」「帝王切開後の傷はどのくらいの痛さなのか」「手術に使う麻酔薬で自分やお腹の胎児に影響が出ることはあるのか」といった不安を抱え、出産が怖いと感じている人もいるかもしれません。せっかくの出産がトラウマにならないよう、できれば安心してお産に臨みたいですよね。
帝王切開に対してさまざまな不安を抱えている人がいるかもしれませんが、なかには疑問を解消することで不安が軽減することがあります。
たとえば費用に関しては帝王切開手術は保険の対象となり、入院費も高額療養費の対象となるため、手当を活用することで普通分娩と同じくらいか、少し負担が軽いくらいの金額になるでしょう。任意の医療保険でも帝王切開手術の補償がある場合もあります。帝王切開手術が決まったら加入している健康保険組合(国民健康保険の場合は役所の担当窓口)や医療保険会社に問合せをしましょう。
一般的に日本では麻酔なしでの帝王切開手術はありません。手術の前に、帝王切開で使われる麻酔の影響や副作用などをあらかじめ医師に確認できる場があるので、不安なことはしっかり確認しましょう。
逆子や妊娠高血圧症、低置胎盤、帝王切開になるケース
帝王切開には「緊急帝王切開」と「予定帝王切開」の2種類あります。予定帝王切開は逆子や双子以上の妊娠、前置胎盤や低置胎盤、すでに帝王切開で出産したことがある人の2回目以降の出産、高度肥満、妊娠高血圧症など自然分娩が難しいと判断された場合に実施されます。緊急帝王切開はお産がうまく進まない、大量出血したなど分娩中に母子の状況に問題があった場合などに必要に応じて実施されます。予定帝王切開は妊娠後期ごろに経過を見て適応が判断され、正期産である妊娠37週以降に予定されることが多いです。
帝王切開手術の流れ、傷跡の処置や術後の過ごし方
帝王切開を行う場合の手順は、予定帝王切開・緊急帝王切開のどちらか、病院や医師の方針、麻酔の方法や他の手術箇所があるかなどで変わります。帝王切開の場合には担当医から説明がありますが、自分の分娩ではどのような流れになるのかを必ず確認しておきましょう。
一般的な手術までの過ごし方と手術の流れ
予定帝王切開では前日から入院し、麻酔科医や主治医から手術の説明を受け、胎児の心音を確認するなどして当日に備えるケースが多いでしょう。当日は食事ができず点滴になります。トイレは手術前にすませ、手術後は尿道カテーテルと呼ばれるチューブをいれて導尿を行います。手術前に妊娠の経過や妊婦の状態を考慮し注射などで麻酔を行い、お腹にメスをいれます。胎児を取り出したら医療用の糸・ステープラー(ホチキス)・テープなどで縫合を行います。手術自体は特別な処置がなく、経過にも問題がなければ1時間前後のケースが多いようです。
一般的な傷跡の処置や術後の過ごし方
帝王切開手術の翌日にはカテーテルが外され歩けるようになり、食事も始まります。しばらくはシャワーを浴びることはできませんが身体を拭くことはできます。順調に回復していれば赤ちゃんのお世話が始まる人もいます。数日後にはシャワーを浴びることができ、退院前には抜糸などが行われます。帝王切開の傷跡は医師の指導の下、適宜ケアが行われます。退院後も継続的に適切な傷跡ケアを行い、ケロイドを予防することで、目立たない傷跡になる可能性が高くなります。
帝王切開の麻酔の種類はどう決まる?それぞれの特徴や利点
帝王切開で使われる麻酔方法には、身体の一部の痛みをなくす「局所麻酔法」と手術中に眠ることで痛みを感じさせない「全身麻酔法」の2種類があります。局所麻酔に比べて全身麻酔は血液中の麻酔が多く、胎盤を通じてお腹の赤ちゃんにも届きます。このため、帝王切開では基本的に母子への影響が少ない局所麻酔で行われますが、緊急帝王切開で一刻を争うときなどには全身麻酔が用いられることもあります。
麻酔の種類によって麻酔の投与方法や効果が現れる範囲などが異なります。帝王切開で用いられることが多い「局所麻酔」は、背中や腰から注射で薬を投与します。わずかな量で効果があり、胸から足先まで痛みを感じなくなりますが、脳には作用せず意識ははっきりとしています。首の方まで麻酔の効果が現れると息苦しさを感じることがあります。
全身麻酔では点滴や肺から吸い込む形で麻酔が投与され、局所麻酔に比べると量は多くなりますが効果が現れるまでの時間は短くなります。脳に作用するため呼吸の補助が必要で、赤ちゃんも母体同様に眠くなったり呼吸が弱くなったりすることがありますが、薬の効き目が切れれば元に戻ります。
帝王切開で使われる麻酔薬はどんなもの?量や影響は?
帝王切開で使われる麻酔薬は、麻酔の方法・種類によって異なります。帝王切開では妊婦と胎児への影響を考慮し局所麻酔を用いるケースが多いです。帝王切開で行われる局所麻酔の方法は脊髄クモ膜下麻酔・硬膜外麻酔・脊髄クモ膜下硬膜外併用麻酔(せきずいくもまっかこうまくがいへいようますい)の3種類あり、それぞれ使用する薬は一部異なります。いずれの薬でも、妊娠中は通常よりも少ない麻酔量しか必要としないなどの特殊な状況であることやお腹の赤ちゃんへの影響を考慮して投与されます。
全身に効果が出る量の投与が必要な全身麻酔よりも、脊髄の神経の近くに麻酔を注入する局所麻酔の方が、比較的少ない量で麻酔を行うことができます。手術中に完全に寝る形になる全身麻酔では母体には呼吸の補助が必要になり、赤ちゃんも麻酔の影響が残っているあいだは眠そうにしていたり呼吸が弱くなったりすることがあります。意識が完全にある状態になる局所麻酔では赤ちゃんへの影響はほとんどないといわれています。
麻酔が効かない・使えない?体質が原因?
帝王切開手術の麻酔に対する不安として「麻酔が使えない・効かない・途中で切れるというケースはあるのか」という点をあげる人は少なくありません。まず「麻酔が使えない」ケースですが、日本では麻酔をせずに手術を行うことはありません。ただし、帝王切開で用いられることが多い局所麻酔ができないことはありますが、その際には全身麻酔を行います。局所麻酔ができない原因としては、大量出血などで一刻を争う・血液が固まりにくい・顕著な脱水・背骨の変形がある・局所麻酔アレルギーなどがあります。
「麻酔が効かない・途中で切れる」ケースですが、痛みは個人差が大きいことが原因のひとつかもしれません。母子の安全を考慮した麻酔量で投与は行われますが、局所麻酔の場合は痛みを感じるようであればその旨を伝えましょう。麻酔薬の種類によってはアルコール、不安、うつといったものが麻酔薬の作用に影響を与えるという説もあるようです。
帝王切開の麻酔での注意点は?副作用や後遺症はある?
帝王切開における麻酔による副作用は、使用する麻酔の種類によって異なります。局所麻酔では低血圧・嘔吐・吐き気・頭痛・足のしびれ・尿が出しにくい・かゆみ、全身麻酔では食べ物などの異物が気管に入る誤嚥(ごえん)・赤ちゃんにも麻酔が効いてしまうスリーピングベビー・出血などの副作用がある場合があります。
帝王切開の手術で注意しなければならないのが「塞栓症(そくせんしょう)」と呼ばれる、血液が固まって詰まる病気です。塞栓症予防として帝王切開手術後に着圧ストッキングのようなものを履く場合もあるようです。帝王切開後は、麻酔の効果がなくなった後のことを考慮して痛み止めを処方するケースが多いです。痛み止めの種類は手術の方法や経過によって異なります。帝王切開後は子宮破裂を避けるために次のお産は約1年後からといわれています。
筆者の帝王切開に関する体験談
筆者は2回帝王切開を経験しました。筆者が2回出産したクリニックでは帝王切開で出産する方がとても多く、筆者のまわりでも帝王切開で出産をしママが想像以上に多くて驚きました。
筆者は局所麻酔でしたが、麻酔前に細い針で皮膚の痛み止めをしてから麻酔の針を刺したので、麻酔注射自体の痛みは感じませんでした。一方で手術台の上でお腹が大きい状態で背中を丸くしエビのような体勢で麻酔を打ってもらったのがつらかったです。麻酔がききはじめると急に気分が悪くなり、吐き気と寒気を感じました。
産後は、手術をした翌日あたりから1日半くらい頭が割れるような頭痛に悩まされました。あれほどひどい頭痛を経験したのは人生であのときだけです。帝王切開の麻酔の副作用で、頭痛が起こるとは聞いていなかったので驚きました。目を開けると頭がガンガンし、頭痛のせいで赤ちゃんのお世話が1日半くらいまったくできませんでした。ただし2回目の帝王切開後では頭痛はほとんどありませんでした。足がジンジンしているような変な感覚もありましたが入院中には元に戻りました。
帝王切開の疑問とともに不安も減らそう
帝王切開は手術であるため、不安を抱えている人は多いでしょう。不明点・疑問点をそのままにしてしまうと、不安が大きくなる、次第に恐怖に変わるといったケースもあるようです。専門的なすべてのことを理解する必要はありませんが、痛みや傷といった身近なことに関しては、納得がいくまで質問するのも良いでしょう。医療技術の進歩により、出産が命に関わるケースは少なくなってはいますが、出産に向けて少しずつ不明点を減らしていくのも良いかもしれませんね。