妊婦は生卵を食べたらダメ?温泉卵は?妊娠中の影響や注意点

妊娠中は、さまざまなリスクを考えて、控えたほうが良いとされる食材があります。妊婦さんが生卵や温泉卵を食べるのはダメなのでしょうか。妊娠中に生卵を食べたときのリスクや影響、生卵の代用方法、注意点、温泉卵や半熟卵のケースなどについて解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠中も生卵を食べたい!食べても大丈夫?
  2. なぜ妊娠中の生卵はダメなの?
  3. 妊娠中の生卵で注意したい「サルモネラ食中毒」
  4. 妊娠中の生卵と赤ちゃんのアレルギー
  5. 妊娠中の生卵はトキソプラズマにも注意が必要?
  6. 妊婦さんはいつからいつまでなら生卵を食べられる?
  7. すき焼き、卵かけご飯、生卵を食べたいときの工夫
  8. 妊娠中に注意したい!卵の取り扱い方法
  9. 妊娠中に温泉卵、煮卵は食べてもいい?
  10. 生卵以外でも注意したい、妊娠中の食べ物
  11. 生卵を食べていた、食べてしまった場合も慌てずに
  12. あわせて読みたい

妊娠中も生卵を食べたい!食べても大丈夫?

食事に関連した悩みを持つ妊婦さんは、多いかもしれません。つわりで食事がとれない妊婦さんや体重管理のための食事メニューに悩んでいる妊婦さんもいるでしょう。妊娠中は食の好みが変わる人もいるため、今まで食べていたものが急に食べられなかったり、逆にあまり食べていなかったものが無性に食べたくなったりする人もいるかもしれません。

妊婦さんの食事は、さまざまな点で注意が必要です。食べられるものと可能な限り控えたほうが良い食べ物を知っておくと安心です。生卵は、下痢や嘔吐を引き起こす食中毒のリスクを考慮すると、妊娠中は控えたほうが良いという意見があるようです。

妊娠が判明する前に、可能な限り控えたほうが良いとされる食べ物を食べてしまったという妊婦さんもいるでしょうが、過度に心配することはありません。食べ物に対しての疑問や不安は、ひとりで抱え込まず、医師や管理栄養士などの専門家に相談してみてくださいね。

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なぜ妊娠中の生卵はダメなの?

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卵かけご飯、納豆、すき焼き、半熟の温泉卵やオムレツなど、生卵や半熟卵を用いた料理は、馴染み深いものも多いですよね。外国では生卵を食べる習慣はなく、料理に生卵を用いる方法は、日本独自の食習慣といえるでしょう。一方で、妊娠中は生卵を食べるのは避けたほうが良いといわれているのは、なぜなのでしょうか。

妊娠中の生卵は「禁止」ではない

妊娠中の生卵は「絶対にダメ」と禁止されているわけではありません。ただし、生卵を食べると食中毒になる危険性があることから、妊娠中は控えたほうが良いとされています。

サルモネラ食中毒の危険性

生卵の殻や中身には、サルモネラ菌が付着している可能性があります。もちろんすべての生卵がサルモネラ菌を持っているわけではありません。妊婦さんが食中毒になると、嘔吐が続いて食事がとれなくなったり、お腹の胎児に影響が出たりする可能性が指摘されています。このため、食中毒を避けるという理由から、妊娠中の生卵は推奨されていないようです。

妊娠中の生卵で注意したい「サルモネラ食中毒」

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潜伏期間・症状

食後6~48時間(※1)で食中毒の症状が表れます。主な症状としては、嘔吐、腹痛、下痢、発熱があります。症状が表れるまでの時間や症状の程度には、個人差があるようです。乳幼児や老人では重症化することもあるため、免疫力が低下している妊婦さんにも注意喚起が行われているようです。

対処法

下痢や発熱、嘔吐といった症状が出たら、医療機関を受診し、「妊娠中であること」と「生卵を食べたこと」を話しましょう。可能であれば食事をした時間、異変を感じた時間、症状が表れた時間などをメモして、医師に伝えると良いでしょう。妊娠中という特別な状況下でもあるため、おかしいなと感じたら医師に相談してくださいね。

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妊娠中の生卵と赤ちゃんのアレルギー

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妊婦さんが卵を食べることで、お腹の赤ちゃんが卵アレルギーになるのではないかと考える妊婦さんもいます。妊娠中の食事と食物アレルギーの関係については、現在も研究が進められている分野です。

平成19年に厚生労働省から発表された「授乳・離乳の支援ガイド」によると、妊娠後期に卵を食べない場合でも、子どものアレルギー発症率が下がることはなかったようです。ただし妊婦さん自身や家族に食物アレルギーがある場合には、かかりつけ医に相談してみましょう。自己判断で特定の食べ物を食べないようにするのは、栄養面でのリスクがあるため、注意が必要です。

妊娠中の生卵はトキソプラズマにも注意が必要?

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サルモネラ菌によって食中毒のリスクが引き起こされる可能性があるため、妊婦さんが生卵を食べるのは控えたほうが良いといわれています。妊娠中には、お腹の胎児をリスクから守るためにも、さまざまな食中毒や感染症に注意が必要です。サルモネラ菌と同じように注意が必要なもののひとつとして、「トキソプラズマ」と呼ばれる寄生虫によって引き起こされる感染症があります。

トキソプラズマとは?

トキソプラズマは、加熱の不十分な肉や猫の糞便から感染します。猫の糞便によって水や土が汚染され、そこから人間に感染するケースもあるようです。妊娠中に生卵を食べることで感染するものではありませんが、猫を飼っている人や猫が頻繁に出入りしている場所が近くにある人は注意が必要です。また加熱不足の肉は、食中毒を起こす可能性もあるため、妊娠中は避けましょう。

トキソプラズマは、妊婦さんが感染することでお腹の胎児も感染する場合があります。お腹の胎児が感染すると、流産や死産、精神や運動機能に障害が出るといったリスクが指摘されています。国立感染研究所のwebサイトでは、対処法のひとつとして、トキソプラズマの抗体検査を紹介しています。気になる人は、かかりつけの医師に相談してみてくださいね。

妊婦さんはいつからいつまでなら生卵を食べられる?

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「妊娠が判明する前に生卵を食べてしまった」という妊婦さんは、少なくないかもしれません。妊婦さんは、いつからいつまで生卵を食べることができるのでしょうか。

妊娠の有無や年齢に関わらず、生卵を食べることでサルモネラ菌による食中毒が起こる可能性は、誰にでもあります。このため、妊娠初期から妊娠後期の臨月までは、生卵をはじめ温泉卵や半熟卵を避けたほうが、食中毒になる可能性は下がるでしょう。妊娠中に生卵を食べてしまった場合には、下痢や嘔吐といった食中毒の症状が出ないか様子を見ましょう。

すき焼き、卵かけご飯、生卵を食べたいときの工夫

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日本の卵は、洗浄や消毒をした上でパック詰めされて販売されています。食品安全委員会による平成22年の調査でも、10万個の卵のうち汚染されていたのは3検体だけだったようです(※2)。ただし絶対に汚染はないと断言はできないため、できるだけ完全に加熱していない卵は避けたほうが安全です。

一方で、日本の卵は生食を前提としています。健康に問題がない妊婦さんで、賞味期限内の新鮮な卵であれば、食べても問題ないという意見もあるようです。判断が難しいようであれば、医師に相談してみても良いかもしれませんね。またどうしても生卵が食べたいときには、他のもので代用してみるのも良いでしょう。

納豆は代用アレンジで楽しむ

妊娠中だけでも、納豆を生卵以外のものでアレンジしてみてはいかがでしょうか。納豆は、さまざまなものと組み合わせやすい食材です。大根おろし、しょうが、からし、わさびといった薬味と組み合わせる方法もあります。海苔、にんにく、キムチ、ごま油、チーズ、マヨネーズなど、好みの味を探してみましょう。

すき焼きは味を薄める

すき焼きは、生卵が欠かせない料理のひとつかもしれませんが、妊娠中は生卵を避けたほうが良いでしょう。すき焼きに生卵をつける理由のひとつは、味を薄めるためです。妊婦さんがそのままでも食べられるように、薄味で作るのも良いでしょう。また完全に加熱した状態の卵とじにしたり、生卵の代わりに大根おろしにつけて食べたりする方法もありますよ。

食べたいメニューと一緒にゆで卵を食べる

味や食感は変わりますが、生卵ではなくゆで卵を一緒に食べることで、満足感を得ている人もいるようです。たとえば釜玉うどんの代わりに、うどんとゆで卵のセットで食べたり、オムライスの代わりにケチャップライスとゆで卵を一緒に食べたりする方法もあるでしょう。

卵なしレシピを探す

アレルギーのある人やベジタリアンの人向けに作られた、卵なしアレンジのレシピもあります。卵の代わりに生クリームや豆乳でコクを出すカルボナーラのレシピもありますよ。また、ご飯に亜麻仁油やごま油と醤油をかけて、卵かけご飯風に食べる人もいるようです。

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妊娠中に注意したい!卵の取り扱い方法

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卵の取り扱いにも注意しましょう。卵以外の食材を食べるときも含めて、食中毒予防を日ごろから心がけたいですね。

冷蔵庫で保管する

生卵は常温で売られていることもありますが、家庭では必ず冷蔵庫に入れておきましょう。また、冷蔵庫で保存している場合でも、賞味期限内のできるだけ新鮮なうちに使用するのが安心です。

卵を調理で使った際は手洗いを行う

卵や肉、魚介類を触ったあとには、他の食材を触る前に必ず手を洗いましょう。卵の殻にサルモネラ菌が付いている場合もあるため、冷蔵庫にしまうときや取り出したあとも手を洗うように心がけましょう。

調理には、殻にヒビが入っていない新鮮な卵を使う

殻にひびが入っていないことをしっかりと確認しましょう。ひびが入っている場合は、菌の混入を考え、食べずに捨てたほうが安全です。また、卵を割ったあとにはすぐに調理するようにし、放置したり、再度保存したりするのはやめましょう。

十分に加熱する場合の目安

一般的にゆで卵であれば、沸騰したお湯で5分以上ゆでることが望ましいといわれています。また、冷たい水から卵をゆでる場合であれば、20分以上はゆでたほうが良いとする意見もあるようです。黄身も白身も、完全に固くなっていることを目安にするのが良いかもしれませんね。

妊娠中に温泉卵、煮卵は食べてもいい?

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温泉卵や煮卵、半熟卵が使われている料理も多いですよね。食中毒予防の観点では、妊婦さんは十分に加熱して卵を食べたほうが良いとされています。温泉卵や半熟卵は、黄身と白身が完全に固くなっている状態ではないため、妊婦さんは控えたほうが安全でしょう。煮卵に関しては、固ゆでした煮卵もあれば、半熟の煮卵もある点に注意が必要です。

また、自家製のマヨネーズは、加熱が足らずに食中毒につながるケースがあります。妊婦さんは、自家製のマヨネーズは控え、食品衛生法に基づいて安全に加工されている市販品を利用しましょう。

生卵以外でも注意したい、妊娠中の食べ物

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リステリア食中毒の恐れがある食材

ナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモン、未殺菌乳といった加熱処理されていない食品では、リステリアと呼ばれる菌による食中毒に注意しましょう。低温にも濃い塩分にも強い菌で、妊婦さんに感染すると胎児も感染する可能性があります。

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水銀を含む食材

本マグロやインドマグロなど一部の大型の魚は、水銀量が比較的多いといわれています。ツナ缶やブリ、カツオなどの魚は問題ありません。このため妊婦さんは、水銀量を考えながら魚を食べることが大切です。妊婦さんが過度に水銀を取り込んでしまうと、胎盤を通じて胎児に影響を与える可能性が指摘されています。

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子宮収縮を促す恐れがある食材

シナモンやタイム、セージ、バジルといった食材は、子宮収縮作用が指摘されています。できれば、妊婦さんは控えたほうが良いでしょう。

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ヨウ素を含む食材

ひじきやわかめ、海苔などの海藻類は、和食で多く使われていますよね。妊娠中は、特定の栄養素や一部の食品ばかり食べるのは良くありません。ヨウ素を過剰摂取すると、胎児に甲状腺の病気をきたす可能性があります。妊婦さんの摂取推奨量を守るようにしましょう。

ビタミンAを多く含む動物性の食材

レバーや鮎、ウナギといった食材には、ビタミンAが多く含まれています。レバーは、貧血対策に食べたいと考える妊婦さんもいますよね。普通に食べる分には問題ありませんが、極端な食べすぎやサプリメントによるビタミンAの過剰摂取はやめましょう。

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生卵を食べていた、食べてしまった場合も慌てずに

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妊婦さんが生卵を食べるのは、禁止ではありませんが控えたほうが安全でしょう。生卵を知らずに食べていた妊婦さんや気にせず食べてしまっていた妊婦さんもいるかもしれません。生卵を避けていたのに、半熟卵や温泉卵を食べた妊婦さんもいるでしょう。

まずは慌てず、今後のリスクを下げていきましょう。また、生卵を食べてから2日以内に下痢や嘔吐といった体調の変化があれば、すぐに病院を受診してくださいね。

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