【管理栄養士監修】妊娠中にチーズは食べてOK?プロセスチーズとナチュラルチーズの違いは?食べてはいけない種類や注意点について解説
妊娠中は食べるのを控える食材があり、選ぶときに気をつかいますよね。種類が豊富で小腹が空いたときや朝食にもぴったりのチーズも、妊婦さんは注意が必要です。粉チーズやプロセスチーズ、クリームチーズ、チェダーチーズなどチーズを用いた料理の具体例とともに、先輩ママの体験談を加え妊娠中にチーズを食べるときの注意点を解説します。
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目次
妊娠してからチーズが無性に食べたい?
妊娠してから食べ物・飲み物の好みが変わったという妊婦さんは、少なくないでしょう。無性にチーズが食べたいという妊婦さんもいるかもしれませんね。小分けにされたプロセスチーズは、妊娠初期のつわりで食欲がないときでも、食べやすいので便利だという意見もあるようです。コンビニやスーパーでも比較的入手しやすいのが嬉しいですよね。
チーズは、妊娠中に注意しなければならない食べ物のひとつです。妊婦さんがチーズを食べる際には、加熱処理されていないチーズに気をつけなければいけません。市販のチーズには、原材料名や内容量の表示とともに種類別の表示があります。種類別が「ナチュラルチーズ」となっているものは非加熱のチーズのため、避けたほうが安心です。
妊婦さんが食べられるもの・食べてはいけないもの
飲酒・喫煙を控えることは、広く認識されている妊娠中の注意事項ですよね。妊娠中の食べ物や飲み物に関しても、同様に注意しなければいけないものがいくつかあります。妊婦さんが注意すべき食べ物としては、「食中毒を引き起こす可能性がある食べ物」「ビタミンAが多い食べ物」「水銀が多い魚」などがあげられるでしょう。
食中毒を引き起こす可能性がある食べ物は、十分な加熱殺菌が行われていないものが多いです。生の肉や魚、卵をはじめ、生ハム、スモークサーモン、ナチュラルチーズなどに注意しましょう。
妊婦さんはチーズを食べても大丈夫?リステリア菌に注意?
妊婦さんがチーズを食べる際には、注意が必要です。チーズの種類によっては、食中毒を引き起こし、お腹の胎児に影響を与える可能性があるためです。加熱殺菌されていないチーズには、リステリア菌と呼ばれる食中毒菌がいる場合があります。一方で加熱殺菌されているチーズであれば、妊娠中に食べていたとしても基本的には問題ありません。
リステリア菌は、さまざまなところにいる細菌です。加熱殺菌されていないナチュラルチーズなどの食べ物を介して体内に侵入し、食中毒などの症状を引き起こす場合があります。妊娠中は通常時よりも免疫力が低下しているため、妊婦さんは重症化の恐れもあります。
妊婦さんがリステリア菌に感染すると、胎盤を通じてお腹の胎児がリステリアに感染し、流産や早産、新生児疾患の原因になるといわれています。
チーズは妊婦さんに必要な「カルシウム」が豊富
チーズには妊婦さんにとって欠かせない栄養素であるカルシウムが豊富に含まれています。加熱殺菌されている、妊婦さんが食べてもいいプロセスチーズの中には、鉄分や葉酸などの栄養素が摂れる商品もあります。
一日に摂取する食事やおやつの栄養バランスを考えて、チーズを活用してみるのも良いですよね。ただし、チーズは塩分やカロリーも比較的高いため、食べすぎには注意しましょう。
妊婦さんは要注意!チーズの種類には気をつけよう
チーズは、非常に多くの種類が存在します。食べてもいいチーズと食べてはいけないチーズを個別に覚えるのは大変ですよね。市販のチーズには「チーズの種類」が表示されています。妊婦さんがチーズを購入する場合には、この表示を参考にしてみてくださいね。
プロセスチーズとナチュラルチーズの違い
プロセスチーズとナチュラルチーズは、製造方法が異なります。妊婦さんにとっては、加熱したものかどうかが大きなポイントになりますよ。
種別 | 製造方法 | 例 |
プロセスチーズ | 1種類から数種類のナチュラルチーズを混ぜて加熱したもの | スライスチーズ、6Pチーズ、ベビーチーズなど |
ナチュラルチーズ | 牛や山羊の乳などに乳酸菌と酵素を加えて固め、発酵・熟成させたもの | カマンベールチーズ、モッツアレラチーズ、チェダーチーズなど |
※ただし商品によっては、クリームチーズという商品名のプロセスチーズもあります。購入時にはパッケージを確認するのがおすすめですよ。
プロセスチーズの種類
プロセスチーズは、加熱加工されているチーズです。馴染み深いスライスチーズやキャンディチーズの他にも、ナチュラルチーズ風味の商品が販売されています。
ナチュラルチーズの種類
ナチュラルチーズは、加熱加工されていないチーズです。食べても害はないカビで発酵させたブルーチーズやカマンベール、細菌で発酵させたゴルゴンゾーラ、発酵させないクリームチーズやモッツアレラといったものが有名です。
妊娠中に食べてもいいチーズ
プロセスチーズ
加熱処理されているプロセスチーズは、妊婦さんが食べてもいいチーズです。いつでもどこでも食べられる小分けタイプも多く、種類が豊富なので、妊娠中の間食としても利用できそうですね。ただし塩分やカロリー、ビタミンAが多く含まれているため、食べすぎには注意が必要です。
妊娠中はあまりチーズを食べてはいけないと知っていたのですが、小腹が空いたときに軽くつまめるのでプロセスチーズをよく食べていました。
特につわり中は食べづわりだったこともあり、何かを食べていないと気持ち悪くなってしまうことが多かったです。プロセスチーズは大きさがちょうど良く、味もこってりしているので満足感があり、とても重宝していました。ただあまり食べすぎると栄養を摂りすぎているかなと考え、多くても1日2個までにしていました。
(あめにゃん/出産当時26歳)
妊娠中はカルシウムを普段より意識的に摂ろうと考え、小魚、乳製品などを食べるようにしていました。妊娠前からチーズが好きだったのでよく食べていましたが、ナチュラルチーズは避け、妊娠中でも大丈夫だとされるプロセスチーズを食べていました。
妊娠中は食事内容の制限がありストレスがたまりますが、食べてから後悔するよりは、食べないほうが良いと考え、避けていました。
(たつママ/出産当時37歳)
妊婦はチーズを食べてはいけない、という噂は耳にしたことがありました。よく調べてみると、絶対に食べてはいけないわけではなく、プロセスチーズは大丈夫で、ブルーチーズなどカビのあるものやナチュラルチーズは食中毒の可能性があるから避けるということを知りました。
確かに妊娠中は抵抗力が低下しているため、風邪をひきやすかったり体調を崩しやすかったりします。そのため、チーズを食べる際にはプロセスチーズを選び、加熱するようにしていました。
(らぶ/出産当時30歳)
加熱されたチーズ
リステリア菌は、加熱すれば死滅します。このため、リステリア菌対策としてチーズを加熱すれば、妊婦さんも安心して食べることができます。食中毒予防としての加熱の目安は、「中心部の温度を75℃で1分以上(※1)」といわれています。
妊娠中にナチュラルチーズは良くないと聞いたのは、一人目を妊娠中の31歳のときでした。普段からチーズが大好きで、毎日のように食べていたので、つらかったです。しかし、二人目を妊娠したときには、どうしてもチーズが食べたくなり、妊娠中のチーズについて調べ、さまざまなことを学びました。
火を通して、たまに食べていましたが、やはり生のチーズが恋しかったのを覚えています。
(とも/出産当時36歳)
味の濃いものが欲しくなり、食パンにチーズをのせて、トーストにして食べていました。ピザが食べたいときには、チーズがたっぷりのったピザトーストにして食べていました。
使っていたのはとろけるスライスチーズと、グラタンなどに使うミックスチーズです。妊婦にチーズは良くないといわれていることは、出産後に知りました。チーズは加熱して食べていれば大丈夫だという話を聞いて、ほっとしたのを覚えています。
(hhh.e/出産当時27歳)
妊婦さんは避けた方が良いチーズ
加熱殺菌されていないナチュラルチーズ
加熱殺菌されていないチーズは、リステリア菌による食中毒を引き起こす可能性があります。妊婦さんは特に免疫力が低下しており、少量のリステリア菌でも発症する可能性が指摘されています。
ナチュラルチーズを未加熱のまま用いた料理
風味豊かなナチュラルチーズは、さまざまな料理に使われています。十分に加熱されているピザやパスタ、チーズが練りこまれたパン、クッキーといった料理は問題ありませんが、未加熱のまま使用する料理は避けたほうが安心です。
ディップ用のソースやドレッシング、レアチーズケーキ、ティラミスなどの料理には、未加熱のナチュラルチーズが使われている場合があります。
外国産のナチュラルチーズ
国産のチーズは、必ず加熱殺菌された乳から作られています。一方で、海外では食品衛生基準が異なるため、加熱殺菌されてない乳から作られた製品も存在します。念のため、妊娠中は避けたほうが安全かもしれませんね。
妊娠中も市販の人気チーズや外食のチーズを食べてもいい?
人気のチーズ商品が食べたい
明治のチーズや雪印メグミルクのチーズは、どの家庭でも一度は使ったことがあるかもしれません。森永KRAFTのフィラデルフィアクリームチーズやベルジャポンのkiriクリームチーズも、女性からの支持は高いですよね。
妊娠中に定番の人気チーズ商品が食べたい場合には、「商品パッケージを確認」しましょう。チーズの商品パッケージには、景品表示法に基づき、必ずチーズの種類別表示があります。同じシリーズの商品でも、ナチュラルチーズとプロセスチーズが混在している場合もあるので注意しましょう。
スライスされたチーズや人気のクリームチーズ、普段からよく使う粉チーズ、調理に便利なとろけるチーズを選ぶ際には、プロセスチーズと種別に書いてあるものを選んでくださいね。
外食でチーズ入りメニューが食べたい
妊娠中でも、マックやモスバーガー、すき家などのファーストフードチェーン店で、チーズ入りメニューが食べたい場合もありますよね。まずは食べたいメニューに含まれているチーズが、「加熱された状態かどうか」を確認すると良いでしょう。加熱状況がわからなければ、チーズの種類をお店の公式webサイトもしくは店員さんに確認しましょう。
加熱すれば大丈夫?妊娠中にチーズを食べる際の注意点
食中毒予防として、妊娠中はナチュラルチーズを未加熱のまま食べるのは控えたほうが良いとされています。妊婦さんがチーズを食べる際に注意が必要なのは、チーズの種類と加熱の有無だけなのでしょうか。
カロリーや塩分に注意し、食べ過ぎない
チーズは、カルシウムが豊富なため、上手に活用したい食材です。一方で、妊婦さんはカロリー(エネルギー)や塩分、ビタミンAが比較的多い点に注意が必要です。
妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると、胎児の発育に影響を与える可能性があります。また妊娠中の適切な体重管理も、お腹の胎児のために大切です。妊婦さんが毎日チーズを食べるのは問題ありませんが、食べる量や頻度を決めて食べてくださいね。
加熱しても油断しない
食中毒予防では、食材にしっかりと火を通すことが大切です。一部でも生の部分があれば、食中毒になる可能性は否定できません。また、加熱以外でも、妊娠中は食中毒予防を怠らないようにしましょう。賞味期限の確認や食材の保存方法、調理器具の洗浄などにも、気をつけましょう。
妊婦さんは粉チーズやチーズのお菓子、加工品にも注意
粉チーズ
粉チーズ(チーズパウダー)は、ナチュラルチーズの一種であるパルメザンチーズを乾燥させて、粉末状にしたものが主流です。このため、妊娠中は控えたほうが安心です。ただし、プロセスチーズを原料としているものもあるため、商品によって個別に検討してみてくださいね。
チーズを使った料理
チーズインハンバーグやパン、トースト、リゾットなどのチーズを用いた料理は、チーズも加熱されているのであれば、妊婦さんが食べても問題ないでしょう。ハンバーグやチーズパンなどでは、加熱していないチーズを添えている場合もあります。チーズフォンデュは加熱されていますが、白ワインを使ったレシピもある点に注意しましょう。
チーズを使用したサラダやサンドイッチなどの加熱しない料理に関しては、原材料を確認して判断しましょう。わからない場合には避けたほうが安心ですよ。
おつまみ・おやつのチーズ
おつまみやおやつとしてのチーズ商品も多く販売されていますよね。さけるタイプのチーズ(ストリングチーズ)やキャンディチーズなどは、形はさまざまなものの加工品ではない場合が多いです。妊婦さんが食べる場合には、パッケージの種類別表示を参考にしてくださいね。
チーズかまぼこ、チーズ鱈といったおつまみは加熱して加工されているものが多いでしょう。原材料などを確認してもわからない場合には、レンジなどで加熱してから食べたほうが安全かもしれませんね。
チーズ入りのお菓子
チーズ入りのお菓子では、チーズ自体が加熱されているかどうかに注目しましょう。チーズケーキやタルト、スフレでは、焼いたチーズを使用しているものもあれば、ナチュラルチーズを添えているだけのものもあります。カールやチーズ味のおかきなどの加工途中でチーズを加熱しているものは、妊婦さんも安心して食べることができるでしょう。
商品によっては加工工程が異なる場合があるため、不安であればメーカーに問い合わせてくださいね。
その他の乳製品やチーズに合うもの
ヨーグルトや牛乳などのチーズではない乳製品は、賞味期限など衛生面に注意していれば、妊婦さんも安心して楽しむことができます。チーズに合う生ハムは、残念ながら妊婦さんは控えたほうが安心です。妊娠中も、チーズに合う納豆やカレー、キムチといった組み合わせを楽しみたいなら、プロセスチーズを利用するか、加熱してから使用しましょう。
避けたチーズ製品は、チーズケーキです。生っぽいチーズケーキは避けて、食べないようにはしていました。一応加熱してあるものをと当時は思っていたので加熱処理していれば良いのかなと思います。
(hhh.e/出産当時27歳)
妊娠中にチーズを食べると子どもがアレルギーになる?
妊娠中にチーズを食べると、子どもがアレルギーになるのではないかと心配する妊婦さんがいます。
妊娠中の食事と子どもの食物アレルギーとの関係は、まだ明確になっていない部分もあります。一方で、2019年に厚生労働省から発表された「授乳・離乳の支援ガイド」では、妊婦さんが食物アレルギーの原因になる食べ物を控えた場合でも、子どものアレルギー発症率は低下しなかったという結果が出ているようです。
自己判断で特定の食べ物を避けてしまうのは、栄養バランス面では好ましくありません。妊婦さん自身や家族に食物アレルギーがある場合には、かかりつけの産婦人科医と相談しましょう。
海外の妊婦さんのチーズ事情
海外の妊婦さんのチーズ事情が気になる方もいるかもしれません。欧米では、ナチュラルチーズなどの食べ物を介したリステリア菌による集団食中毒が実際に起こっているようです。
日本では、食品衛生法によってリステリアに汚染されないような対策をとることが事業者側に義務化されています。また、賞味期限内でも早めの消費が推奨されていたり、保管方法についての注意喚起がされていたりもしますよね。必要以上に心配することはありませんが、妊娠中の食の安全を守るためにも、さまざまな注意喚起を見逃さないようにしたいですね。
妊娠中のチーズに関する体験談
夫がカナダ人というお国柄、チーズをこよなく愛していて、ナチュラルチーズがいつも冷蔵庫に入っていました。チーズが妊婦にとって危険な食中毒の原因になる場合があり、子どもにも影響が出るかもしれないということは、妊娠中は知りませんでした。妊娠中はなぜか好んでナチュラルチーズを食べることはなく、今思えば、ママにはそんなに必要ないよ、とお腹の赤ちゃんが伝えていたのかもしれません。
特にゴルゴンゾーラなどのカビ系のチーズは食あたりが怖かったので避けていました。妊娠中期以降はカロリーが気になってあまりチーズを食べることはなかったですが、妊娠初期のつわり中は、カルシウムが入ったものや鉄分が入ったチーズを選んでよく食べていた時期もありました。
(あめにゃん/出産当時26歳)
妊娠中も注意点を守ってチーズを楽しもう
チーズの種類や食べる量などの注意点はありますが、妊娠中もチーズを食べることができます。また、厚生労働省の「リステリアによる食中毒」の説明では、日本では現在までリステリア菌による食中毒の報告例はないと書かれています。
もしも妊娠中にクリームチーズやカマンベールチーズなど、ナチュラルチーズを食べてしまった場合でも、必要以上に心配することはないでしょう。必要に応じてかかりつけの産婦人科医に相談してくださいね。
※この記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。