【産婦人科医監修】妊娠中期の腹痛の原因と予防法は?危険な腹痛の見分け方

つわりがやっと治まったと思ったら、妊娠中期に入り腹痛を感じる妊婦さんもたくさんいます。妊娠中は、ちょっとした体調不良も不安に思うものです。妊娠中期に起こりがちな腹痛は、どのような判断基準で病院に行くべきなのでしょうか。ここでは、妊娠中期の腹痛の原因と予防法、危険な腹痛の見分け方について産婦人科医監修で解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠中期の腹痛とは
  2. 心配のいらない腹痛の特徴は?
  3. 心配のいらない腹痛の原因は?
  4. 危険な腹痛の特徴は?
  5. 危険な腹痛の原因は?
  6. その他の腹痛の原因は?
  7. 腹痛の予防法
  8. 判断できない場合は病院へ相談しよう
  9. 妊娠中は自分の身体を第一に考えて
  10. 妊娠中におすすめの商品
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妊娠中期の腹痛とは

妊娠中期に腹痛を感じる人は多い

妊娠中期になると、安定期に入ります。お腹の赤ちゃんの性別が判明してくる時期でもあるので、初めての妊娠でも2人目以降の妊娠でも、赤ちゃんの成長が待ち遠しく感じるでしょう。

このころには胎盤も完成し、お腹の赤ちゃんは栄養をどんどん吸収して成長します。ママのお腹は大きくなり始め、身体の変化も目立つようになるでしょう。こうして起こる生理的な変化が要因となり、妊娠中期に腹痛を感じるママは多いのです。

妊娠中期の腹痛の感じ方はさまざま

妊娠中期の腹痛は、人によって感じ方に違いがあります。お腹の右下がチクチク痛むという人もいれば、脇腹付近がキューっと痛むという人もいます。朝や食後にお腹が痛む、腹痛とともに腰痛を感じるなど、場所や程度もさまざまです。

妊娠中期は安定期でもあるため、体調さえ問題なければやりたいことが多い人も少なくないでしょう。そのような時期に腹痛があると、不安になってしまうかもしれません。妊娠中期の腹痛は個人差があるため、無理せずに必要であれば病院の先生に相談してくださいね。

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心配のいらない腹痛の特徴は?

妊娠中期に入り頻繁に感じる腹痛が、以下のものであれば心配ありません。まずは腹痛の状態を観察し、腹痛が治まるまで安静にして、様子をみてみましょう。

・痛みが不規則
・痛みを感じる場所が限定的
・しばらくして痛みが治まる
・便秘による下腹部痛

不規則に痛みを感じるのは妊娠中期に起こりがちな腹痛の特徴で、身体の変化やホルモンの変化など、生理的な要因で腹痛が起こっている可能性が高いです。痛みを感じる場所が毎回同じという場合も、まずは横になるなど安静にし、腹痛が治まるかどうかを確認しましょう。妊娠中期以降に腹痛を感じたら「まずは安静にする」という対処法を覚えておきましょう。

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心配のいらない腹痛の原因は?

妊娠中期に腹痛を感じる原因となるのは主に3つあります。それぞれの可能性を理解することで、安心できる腹痛なのかどうかという判断の目安として役立てることができるでしょう。

子宮が大きくなる

妊娠中期に腹痛を感じる場合、急激に大きくなる子宮を支えている「円靭帯」が関係していることが多いです。妊娠していない状態での円靭帯はほんの数cmの長さですが、妊娠中期に入りどんどん子宮が大きくなると、最大で30cmほどのサイズになるといわれています。

妊娠中期を過ぎた辺りからは、赤ちゃんが大きくなるにつれて円靭帯が急激に引き伸ばされる状態を「腹痛」として感じている可能性があります。

前駆陣痛

一般的には臨月頃に感じるといわれている「前駆陣痛」が、妊娠中期以降の腹痛を引き起こしている可能性があります。前駆陣痛は、妊婦さんの身体が出産の練習をしている状態だといわれることもありますが、臨月前の妊娠中期に起こる場合もあります。

生理的な現象のひとつなので、腹痛がすぐに治まり、出血など別の異変がない場合には、妊娠中期に起こる「心配のない腹痛」のひとつといえます。

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便秘や下痢、おならのガス

妊娠中多くの妊婦さんが経験する「便秘」も、妊娠中期に感じる腹痛の原因のひとつである可能性があります。妊娠中期以降は子宮がどんどん大きくなり、妊娠後期に近づくほど子宮周辺にある腸を圧迫し、便秘になる妊婦さんが多いです。便秘の影響でおならのガスがお腹にたまったり、下痢(水様便)になったりする人もいます。

便秘や下痢が原因で妊娠中期の腹痛が引き起こされている場合には、トイレに行くと腹痛が緩和されているかもしれません。痛みが和らぐタイミングに注意してみてくださいね。快便の場合には、おならが出た前後に注目してみましょう。

妊娠前から便秘や下痢が続いていた場合には、過敏性腸症候群の可能性もあります。妊娠中は自己流に対処するのではなく、かかりつけの産婦人科医と相談して改善を目指してくださいね。

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危険な腹痛の特徴は?

妊娠中期に腹痛がある場合、心配のいらない腹痛と注意すべき腹痛があります。以下のような症状があるときは注意が必要です。

・出血がある
・休んでも痛みが続く
・痛みが強くなる
・動けないほどの痛みがある
・痛みが規則的に起こる
・お腹の張りがある
・おりものの異常、下痢・嘔吐などがある

痛みが強く規則的であったり、痛みが増してきたりすると切迫流産や切迫早産となる可能性があります。すぐに病院に連絡し、医師による診察を受けましょう。

また、おりものの異常や下痢・嘔吐の症状はなんらかの感染症によるものかもしれません。感染症の原因によっては赤ちゃんに影響が出ることもあるため、医師に相談してみましょう。感染症が疑われる場合は、受診前にかかりつけ医に連絡してから受診することが大切です

危険な腹痛の原因は?

妊娠中期以降に感じる腹痛の中でも早産につながる可能性があるのは、子宮収縮が促進される可能性があるものが原因となっている場合です。

子宮頸管無力症

出産時に赤ちゃんが通る「産道」と呼ばれる部分が「子宮頸管」です。この子宮頸管にある筋肉が、体質的に緩みやすい妊婦さんは、妊娠中期であっても子宮口が開きやすい傾向があるため、早産の可能性が高くなります。

子宮頸管無力症は、子宮頸管の筋肉が緩みやすい体質のため、予防することはできません。自覚症状が無いため、陣痛と判断できる腹痛が妊娠中期にあった際には、子宮口が開かないように子宮頸管を縛る手術が必要になります。妊娠中期、後期と時期に関係なく、心配な腹痛があった場合は、まず医師に相談してみてください。

子宮収縮

子宮収縮は、出産を促してしまうことが多いため、妊娠中期以降に子宮収縮と判断できる腹痛が起こった場合には対処が必要です。初産の妊婦さんが子宮収縮による腹痛を見分けるのは難しいことです。お腹全体が痛む腹痛で、15分間隔といった規則的な腹痛が起こっている場合には、子宮収縮が原因である可能性が高いので、妊娠中期であっても早急に病院を受診しましょう。

感染症

妊娠中、常に注意が必要なのが「感染症」です。妊娠中にウイルスや細菌に感染してしまうと、おりものに異変を感じるケースが多いですが、妊娠初期の段階では自覚できない場合もあります。感染症の症状に気づかず、子宮内部や羊水まで感染してしまうと、早産を引き起こす原因になります。妊娠中期以降の腹痛で、お腹全体に痛みがあり、痛みが長時間続く場合には、病院を受診しましょう。

ストレス

妊婦にとってストレスはさまざまな不調を引き起こす原因になります。妊娠中期以降にストレスが多いと、腹痛が起こる可能性があります。お腹の上部が痛い場合や腹痛とともに吐き気を感じる場合には、胃痛の可能性も検討しましょう。

最近では妊娠後も仕事を続ける妊婦さんが多いのですが、自覚がないままストレスを抱え込んでいる場合があります。妊娠が判明した後には、自分とお腹の赤ちゃんを第一に考え、体調を考慮した仕事への取り組み方について上司とよく相談し、ときには周囲の助けを借りてストレスと上手に付き合っていきましょう。

その他の腹痛の原因は?

風邪

妊娠中期の腹痛で寒気を感じたり熱があったりする場合、風邪の可能性も検討してみましょう。自分が風邪をひいたときに現れる症状を参考にしてみてくださいね。いつもの風邪とは違う症状があったり、違和感や心配事があったりする場合には病院に相談しましょう。

また下痢や嘔吐を伴う場合には食中毒の可能性もあります。特にナチュラルチーズ、生ハムなどの加熱処理をしていない肉・魚といった食品はリステリア菌やトキソプラズマに感染する可能性があるため注意が必要です。胎盤を通して母子感染した場合、重大な結果につながる恐れがあるため、妊娠中の食事にも注意してみてくださいね。

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動きすぎ

妊娠中期(安定期)に入り、ウォーキングやマタニティスイミングなどで汗を流すことを楽しんでいる妊婦さんも少なくないかもしれません。たくさん動いた日に急にお腹が痛くなることが多い場合、動きすぎが腹痛の原因かもしれません。腹痛だけでなく、お腹が張ったり足の付け根や股関節が痛んだりする人もいるようです。

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腹痛の予防法

妊娠中期に感じやすい腹痛を予防するなら、生理的な要因を引き起こさないための工夫と、妊娠中の身体をいたわる配慮が必要です。

・お腹を支える
・お腹を冷やさない
・ストレスをためない
・無理をしない

上記にあげた4点は、妊娠が判明した後から意識することで、妊娠中期の腹痛予防につながります。

特に「冷え」は、妊娠中だけでなく母乳育児や産後の体力回復時にも対策が必要なので、妊娠中からしっかりと身体を温める生活習慣を身につけましょう。妊娠中期以降は、どんどんお腹が大きくなり、身体への負担も増えます。無理しない程度で、予防に取り組んでくださいね。

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判断できない場合は病院へ相談しよう

妊娠中期以降に感じる腹痛は、原因の可能性になるものを把握することで、ある程度は心配のない腹痛なのかどうかを見極めることができるでしょう。ただし、初めての妊娠の場合には、お腹全体の痛みなのか、一部のみの痛みなのかという判断が難しい場合もあります。

妊娠中はちょっとした体調の変化を見逃さないことが大切になるため、判断が難しいようであれば、まずは病院に電話で相談してみましょう。受診が必要なのかどうかの判断を仰ぎ、必要であれば病院を受診してください。

妊娠中は自分の身体を第一に考えて

個人差はありますが、妊娠初期から始まるつわり、妊娠中期以降に感じる腹痛・腰痛・肩こり・頭痛など、さまざまな不調に悩む妊婦さんがいます。仕事や親としての責任を果たしたい気持ちはわかりますが、何よりもまずは自分の身体を第一に考えてくださいね。自分でどうすれば良いのかわからないときは、ひとりで悩まず、不安を取り除くためにも病院へ相談しましょう。

※この記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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