妊娠中期のお腹の張りの原因と受診の目安は?痛みと出血がある場合は?
比較的体調が安定している妊娠中期は、無理をしてしまうママが多く、お腹の張りに悩まされることがあります。妊娠中期のお腹の張りは何が原因で起こるのか、考えられる可能性や受診の目安、お腹の張りが見られる病気を解説します。お腹の張りがどういう感覚かわからない人も参考にしてみてください。
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目次
妊娠中のお腹の張りとは
お腹の張りの原因
妊娠中期とは、妊娠16週~27週を言います。安定期に入りホッとする時期ですが、妊娠中期にお腹の張りに悩まされるという人もいるようです。この時期のお腹の張りにはどういう理由が考えられるのでしょうか。
一般的にお腹の張りは子宮収縮が原因のことが多く、ほとんどのママが経験するようです。子宮は筋肉でできており、緊張したり刺激を受けたりするとギュッと縮んで硬くなります。子宮が収縮するとママは下腹部がカチカチになったり、お腹の皮が突っ張ったりして、お腹が張っている感覚になります。
子宮自体の増大もお腹の張りにつながります。赤ちゃんができたころは鶏の卵ぐらいの大きさだった子宮は、妊娠中期では長さが20cmを超えるようになります。子宮と子宮を包む膜が日々ふくらむ感覚や、子宮を支えるじん帯が引っ張られる感覚をお腹の張りとして感じる人もいるようです。
内部だけが原因ではありません。妊娠中期に入ると、妊娠初期では感じられなかったお腹のふくらみが目で見て感じられるころです。皮膚の表面が少しずつ引き伸ばされていくので、これをお腹の張りとして感じることもあります。
お腹の張りの感じ方
お腹の張りの感じ方は人によってさまざまです。妊娠中期から後期にかけて、多くの人が体験しますが、なかにはお腹の張りがどのような感覚なのか、まったくわからないという人もいます。お腹の張りを言葉で表現すると以下のようになります。
・お腹の皮膚がぐっと引っ張られるような感覚
・お腹が空気をパンパンに入れた風船のようになる
・下腹部が硬くてカチカチになる
・お腹が重くて苦しくなる
・ぎゅっと子宮が締め付けられるような感覚
表現方法はいろいろありますが、上記のようなことを感じるママが多いようですね。
お腹の張りがわからない人も
お腹の張りがわからないという場合もあります。張りの感覚がわからない、張っていても気づかない、張りがそもそも存在しないという人もいるようです。妊娠中期の症状は人それぞれなので、張りがないからといって心配する必要はありません。
後期になってから張りを感じる人も多いようです。お腹の張りがわからなくても、担当の医師から注意や指示がないようであれば、安心してマタニティライフを楽しみましょう。どうしても張りを自覚したい場合は、通常のお腹の感覚を覚え、それより硬くなっていないかどうかを定期的に確認してみるのもひとつの手です。
妊娠中期のお腹の張りはなぜ起こる?
疲れ
一般的に、妊娠中期は安定期に入るころであり、お腹の張りは多くはないといわれています。しかし、妊娠中期は体調が良くなりママの行動範囲が広がるため、無理をしやすい時期です。何気ない日常行動でも、妊娠中は疲れにつながります。
入浴やエクササイズ、外出などは、子宮収縮を増加させる原因になることがあるといわれています。ママは疲れを感じていなくても、夜に頻繁にお腹の張りを感じるという人は、少し動きすぎかもしれません。仕事や家事に忙しいママは、お腹の張りを疲れのバロメーターにしてみても良いですね。
長時間同じ姿勢が続く
長時間同じ姿勢でいると、子宮収縮が多くなるといわれています。働いているママは、デスクワークなどでずっと座っていることがありますよね。ずっと立ち仕事をしているママも同様です。同じ姿勢が続くと、子宮の血液の流れが悪くなり、お腹の張りにつながるようです。
長時間の車の運転や、飛行機での移動もお腹の張りを促す可能性があります。疲れない程度に身体を軽く動かして、血流を良くしてあげましょう。
便秘
妊娠中は便秘に悩むママも多いのではないでしょうか。妊娠中の便秘には、女性ホルモンのひとつである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌増加が影響しているといわれています。プロゲステロンは妊娠の維持に重要な役割をもちますが、腸の動きを鈍らせる作用もあります。また、大きくなった子宮が腸を圧迫することも、便秘になる原因のようです。
便秘がちになると、悪玉菌が増えて腸内環境が悪くなり、腸内ガスがたまりだします。これが、お腹の張りにつながることもあるようです。妊娠中におならやげっぷが多くなった場合は、注意しましょう。
冷え
身体の冷えは、妊娠中のさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。身体が冷えて血行が悪くなると、栄養やホルモンが全身に行き渡りにくくなり、疲れや便秘につながるといわれています。また、身体の冷えにより子宮の血流が悪くなり、お腹の張りが起こりやすくなることもあるようです。
過度に身体を温める必要はありませんが、腰周りはなるべく冷やさないように気をつけましょう。冷房の効いた場所に長居するときはブランケットを持ち歩くなど、身体を冷やさない対策を心がけたいものです。
締め付け
身体を締め付けることは、血流を悪くしたり、身体を緊張状態にしたりするため、お腹の張りを増やすことがあるようです。とくにパンツやガードル、タイツやスパッツなど、下半身にフィットしたものは注意が必要です。
妊娠中期では、お腹のふくらみも目立ってきます。そのことに気づかないまま以前と同じ洋服や下着を身に付けていると、身体を締め付けていることになり、身体はリラックスできていないかもしれません。ゴムの跡が以前よりくっきりと付くようであれば、マタニティ用の下着や衣類を検討してみても良いでしょう。
細菌への感染
妊娠中は腟の自浄作用が低下し、さまざまな細菌に感染しやすくなるので注意が必要です。腟の感染症としては、「トリコモナス腟炎」や「カンジダ腟炎」などがあります。おもな感染源は性行為といわれ、おりものの増加や強いかゆみが特徴です。
腟炎になると病原菌に感染しやすくなるため、「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」になりやすくなるといわれています。絨毛膜羊膜炎は赤ちゃんを包んでいる膜に炎症が起こる病気で、前期破水や子宮収縮を引き起こし、早産の原因となるようです。
細菌に感染すると自覚症状がまったくないこともありますが、お腹の張りを感じることもあります。絨毛膜羊膜炎は赤ちゃんに影響をおよぼすこともあるため、早めの治療が必要です。気になるときは医師に相談してみましょう。
胎動
早いママでは、赤ちゃんの動きが活発になってくる妊娠18週~20週ごろから胎動を感じることもあるようです。胎動の感じ方や感じる時期には個人差があり、人それぞれ違います。すぐに胎動がわかるママもいれば、妊娠後期まで胎動に気づかないママもいます。
胎動は、お腹の中でぴょこぴょこ動く感覚がするという人が多いようですが、なかにはお腹の張りに近い感じ方をするママもいるようです。赤ちゃんがお腹の中でぐーっと足や手を伸ばしたり、伸びをしたりすると、お腹の皮が引っ張られるような感じになります。お腹の張りが胎動かどうか、最初は判別が難しいですが、少しずつ違いがわかるママも多いようですよ。
妊娠中期のお腹の張りの頻度
妊娠中期の張りは生理的なものがほとんどのため、それほど頻度は高くありません。いつもより身体を動かしたり、冷えたりするときに感じることが多いようです。
お腹の張りの頻度は個人差が大きく、1日に数回感じる人や、1週間に1回ぐらいの人までさまざまです。1時間に何度もお腹の張りがある場合や、1日に10回以上の張りがある場合、また強い痛みが伴う場合は病院で診てもらいましょう。
妊娠中期のお腹の張りの解消法
お腹の張りを感じたら、まずはゆっくりと椅子やソファに腰掛け、安静にしましょう。なるべく横になって休める状態がベストです。車で移動するときに張りを感じた場合は、安全な場所でシートを倒して休みましょう。できるだけ、いつでもどこでもリラックスできるようにしておけると良いですね。
冷えやストレスも張りの原因になることがあります。毛布などでお腹を温め、温かいお茶を飲んだり音楽を聞いたりしてみましょう。ゆっくりと腹式呼吸をして、緊張状態から抜け出します。お腹の張りは身体の緊張や動きすぎから来ることがあるため、身体を休めることが大切です。
休息すると張りが治まるのであれば、危険な兆候の可能性は低いといわれています。心と身体がゆっくりでき、のんびりと過ごせる時間をなるべく持つようにしましょう。
妊娠中期のお腹の張りの病院受診の目安
1時間以内に何度も痛みがある
安静にするとお腹の張りが治まるのであれば経過観察でも問題ありませんが、病院で診てもらったほうが良い場合があります。受診の目安としては、妊娠中期のママであれば、1時間に3回以上お腹の張りがあるかどうかです。
お腹の張りが規則的に起こり、時間の経過とともに間隔が短くなっていく場合は、切迫早産の可能性もあります。気になる人はお腹の張りのチェックシートを作り、回数や時間を記入すると良いでしょう。
長時間安静にしても収まらない
横になって安静にしても、長時間お腹の張りが治まる気配がないときは、病院を受診してみましょう。また、痛みが徐々に強くなるときも注意が必要です。切迫早産の兆候や、他の病気の可能性もあります。病院に電話などで相談し、なるべく早く受診しましょう。
妊娠中期のお腹の張りで痛みや出血を伴う場合は?
お腹の張りだけではなく、痛みや出血を伴うときは以下の病気の可能性もあります。できるだけ早く産婦人科を受診しましょう。
常位胎盤早期剥離
常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)は、妊娠中に胎盤が子宮からはがれてしまう状態のことを言います。胎盤は、赤ちゃんに酸素や栄養を送っているとても重要な器官です。胎盤がはがれると赤ちゃんに栄養が届かず、ママは子宮内で大出血するため、母子ともに危険です。
原因は明らかではありませんが、胎盤がきちんと完成していない状態や、外部からの強い衝撃で起こることがあります。自覚症状としては、出血やお腹の痛み、お腹の張りがあります。出血の量が多くなくても、お腹の張りと同時に起こるようであれば早急に病院を受診しましょう。
切迫早産
切迫早産とは、妊娠22週以降に早産の兆候があり、安静と治療によって妊娠が継続できる状態を言います。症状はさまざまで、子宮口が開いてきたり、子宮頸管が短くなったりします。自覚症状がないこともありますが、お腹の張りや痛み、出血などがある人もいます。
妊娠高血圧症候群や子宮に問題がある場合、絨毛膜羊膜炎を起こした場合には切迫早産のリスクが上がるといわれています。治療の程度は個人差があり、自宅での安静を指示されることもあれば、入院が必要なこともあります。適切な処置を行えば早産を防ぐことも可能なので、自覚症状がある場合はすぐに医師に相談しましょう。
妊娠中期のお腹の張りは注意が必要
妊娠中期は安定期に入るころですが、頑張りすぎてお腹の張りを感じてしまうママもいるようです。お腹の張りは安静にすれば治まることがほとんどです。お腹の赤ちゃんからの「少し休んで」というサインかもしれませんね。
1時間に3回以上お腹の張りを感じたり、痛みや出血があったりしたときは、切迫早産の可能性もあります。我慢せず、なるべく早く医師に相談してみましょう。