妊婦のお腹がつる・筋肉痛になる原因と予防法!腹筋を鍛えても大丈夫?
妊娠中はさまざまなマイナートラブルに見舞われますが、腹筋が痛くなったりお腹がつるような感覚になったりするのも体験談が多く寄せられる症状の1つです。どうしてお腹が痛むのでしょうか。赤ちゃんに影響がないのかも気になります。ここでは腹筋の痛みに注目して、痛みの原因や予防法、病院にかかるときの注意点などを解説します。
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目次
妊娠中にお腹がつる・腹筋が痛むのはなぜ?
子宮を支える筋肉の圧迫
筋肉が「つる」ような状態とは、筋肉がけいれんして過剰に収縮し、硬直を起こして激しく痛む状態を指します。一般的につりやすい筋肉は足のふくらはぎですが、妊娠すると腹筋がつったように硬く張った状態となることがあり、ときに痛みで動くのがつらいという声が聞かれます。
妊娠初期にみられる腹筋や下腹部の痛みは、大きくなってきた子宮に周囲の内臓が押されることで起こると推測されています。また骨盤や内臓の位置がずれることで、坐骨神経が圧迫されることも要因とみられます。
痛みの特徴は、圧迫感や引っ張られるような感覚があげられます。筋肉痛や生理痛に似ていると感じることもあるようです。
妊娠中に分泌されるホルモンの影響
妊娠中にお腹の筋肉がつったように感じたり、腹筋が筋肉痛のように痛んだりする理由の1つとして、妊娠中に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)やリラキシンといったホルモンの影響が考えられます。
黄体ホルモンは妊娠を維持するために欠かせないホルモンですが、分泌量が増えることで血行が滞ったり筋肉の収縮が抑制されたりという反応がみられます。このような状況下では筋肉が疲れやすくなり、さらに血行が悪くなる悪循環が生まれます。
またリラキシンは子宮や骨盤を支える靭帯を緩ませる作用があるため、リラキシンが分泌されると骨盤の可動域が広がって筋肉が引き伸ばされた状態となります。筋肉が引き伸ばされると、崩れたバランスを補正しようとする力がはたらくため、強い負荷がかかり痛みが生じたり筋肉がつったようになったりするのです。
電解質異常
電解質とは血液中に含まれるカルシウムやマグネシウム、ナトリウムといったミネラル成分を指します。妊娠初期は頻尿になったり、つわりの影響で水分の摂取量が減ったりと、体内の電解質のバランスが崩れる要因がいくつか生じます。
電解質は筋肉や神経のはたらきを維持したり調整したりする作用があるため、電解質異常が起こると筋肉がけいれんしたり、筋肉痛が起こったりとコントロールが効かない状態となります。妊娠後期に多い「こむら返り」は、この電解質異常が原因で起こるともいわれており、お腹の痛みにも通じる部分がありそうです。
妊婦の腹筋の痛み対策・予防法
しっかり休息をとる
筋肉痛は筋肉の使い過ぎで起こるイメージですが、妊娠中の腹筋の痛みは、使いすぎることで起こるわけではありません。妊娠にともなう身体の内部のダイナミックな変化が、痛みを起こしているのです。
ホルモンバランスや血流量が変わるため、身体は疲れやすい状態です。普段より動いていないからと無理はせずに、しっかりと休息をとるようにしましょう。ホルモンのバランスは、胎盤が完成する妊娠16週頃には落ち着いてきます。つわりの時期とも重なってくるので、体調が落ち着くまでは焦らずにゆったりとした気分で過ごせると良いですね。
日中に体調不良を感じたら、できるだけ横になって安静にするようにしましょう。横になるのが難しいときは、椅子に座って15分ほどの休憩をとるように心がけたいものです。
トイレでいきみすぎない
トイレでいきむという動作は、腹直筋(ふくちょくきん)や深部にある側腹筋(そくふくきん)を収縮させて行います。排せつが定期的にあり、スムーズに進行するのであれば筋肉の負担はそれほど大きくありません。
しかし、妊娠の初期症状として便秘が起こると、腹筋に力がこもり筋肉の緊張が高まってしまいます。つわりで食事や飲み物を摂るのが難しくなければ、水分摂取やバランスの良い食事を心がけて、便秘にならないように工夫していきたいですね。
無理な姿勢をとらない
筋肉が引き延ばされる姿勢をとると、元に戻そうとする力がはたらくため無理な態勢にならないように注意しましょう。前かがみになったり、高いところに手を伸ばしたり、日常的に当たり前に行っていた動作でも、妊娠すると負担になることもありますよ。
風邪を予防する
呼吸は主に横隔膜と肋間筋(ろっかんきん)によって行われますが、咳やくしゃみは突発的に腹筋や背筋を使います。咳やくしゃみが続くと筋肉に大きな負荷がかかり、腰痛や腹痛を引き起こすことがあります。
お腹や背中の筋肉は腰から足にかけて続く筋肉とつながっているため、下肢の違和感につながることも珍しくありません。妊娠中は免疫が低下し、風邪などのウイルスに感染しやすくなっています。うがい、手洗いをしっかりと行い感染予防につとめましょう。
栄養バランスに気を配る
血中の電解質のバランスを考え、カルシウムやナトリウムといったミネラル分を摂取するように心がけましょう。電解質の吸収を助けるため、ビタミンを意識して摂ることも大切です。
ただしつわりで食事がとれないときは、栄養バランスよりも食べられるものを食べられるときに食べるということを第一に考えれば十分です。無理をする必要はありませんよ。
妊娠中にお腹がつった・腹筋が痛んだ体験談
筆者が妊娠中は、妊娠初期よりも中期から後期にかけてお腹がひきつれたような状態になりました。大きくなっていく子宮を筋肉では支えきれず、皮膚だけで維持しているのではないかという感覚です。
なにか動作をするときは、お腹を手で支えたり、骨盤ベルトをしたりして補助をすると、痛みが緩和された気がします。妊娠中期以降のお腹の痛みには、骨盤ベルトによるサポートもおすすめです。
妊婦が腹筋を鍛えても大丈夫?
妊娠中に適度な運動を行い、筋力を維持することは、分娩時に骨盤周りの筋肉の緊張をゆるめるために効果的だといわれています。そのため、腹筋や骨盤底筋を鍛えることは望ましいといえます。
しかし胎盤が完成する15~16週頃までは、運動は控えたいものです。運動をはじめるときは妊娠経過に異常がないかを確認し、医師の指導のもと取り組むようにしましょう。
妊娠中の運動には、有酸素運動が適しています。ウォーキングや水泳など、大きな負荷がかからない方法で身体を鍛えることがポイントです。妊娠中の運動は、筋肉が盛り上がるほど鍛えるのではなく、分娩に必要な体力を維持することが目的です。決して無理をせず、リラックスしながら行ってくださいね。
病院に行くべきお腹の痛み
激痛
寝ている状態から起き上がれない、どのような姿勢になってもお腹がひきつれて痛みが治まらないというようなときは定期健診を待たずに医師の診察を受けるようにしましょう。一日中痛みが治まらないときや、日常生活に困難をきたすときも早めに受診するようにしてくださいね。
何日も続く
ホルモンバランスが落ち着いてくる16週以降もお腹の痛みが続くときや、違和感が何日もとれないときはなんらかの異常が起こっている可能性があります。以前の妊娠で切迫早産や流産の既往があったり、子宮筋腫などの婦人科系疾患がみとめられていたりするときは注意が必要です。
出血を伴う
妊娠初期は出血が起こることがありますが、お腹の痛みがともなうときは切迫流産や切迫早産などのリスクを考慮しなければなりません。まずはかかりつけ医に連絡をして状況を説明し、対応を指示してもらいましょう。出血や痛みがあると心配になりますが、焦らずに気持ちを落ち着けて行動してくださいね。
心配なことは医師に確認して身体の変化に対処しよう
妊娠中の身体は、妊娠前と大きく変わっています。出現する痛みの種類や場所、程度も個人差が大きいため、治療が必要なものかどうか明確な判断は難しいものです。心配なことがあれば、我慢せずに医師に確認してみましょう。病院に行くべきか判断がつかないときは、一度電話で相談してみるとスムーズですよ。
痛みが頻回にあるようなら、痛みの場所や時間、どのようなときに痛むのかを記録しておくと診察の際の参考になります。特に治療の必要がない場合でも、妊娠のマイナートラブルは気持ちに影響するものです。ひとりで抱え込まず、パートナーの理解を得ながら不安を乗り越えていきたいですね。