妊婦さんに腹筋トレーニングがおすすめ?筋トレのやり方や注意点
お産の際には「腹筋」が必要になります。一般的な腹筋トレーニングというと、お腹に力を入れて身体を起こすやり方が有名ですが、妊娠中にもできるのでしょうか。妊娠中の腹筋の変化や腹筋トレーニングができる時期、期待できる効果、鍛え方、注意点などを紹介します。
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目次
妊婦さんも腹筋を鍛えたほうが良い?
妊娠の経過とともに、妊婦さんのお腹は少しずつ大きくなっていきます。赤ちゃんが大きくなるにつれて体重も増えていき、身体が重いなと感じている妊婦さんもいるかもしれませんね。医師の許可が得られているのであれば、健康維持や体力づくりの一貫として、妊娠中も適度な運動が推奨されています。
せっかく運動するのであれば、身体のパーツごとにトレーニングしたいと考える妊婦さんもいるでしょう。上半身ではお腹に負荷がかかりにくいイメージがある二の腕や背中、下半身では座って鍛えることもできそうな太ももやふくらはぎの筋肉トレーニングを考える人もいるかもしれませんね。
お腹の赤ちゃんのことを考えて見落としてしまいがちなのが、お腹の筋肉です。お産のときにいきむときには、腹筋が必要になります。また腹筋は骨盤や臓器を支える役目もあるため、妊娠中の腹筋の衰えは、腰痛などのトラブルを引き起こす場合もあります。無理をしない範囲で、腹筋の維持を目指したいですね。
妊婦さんの腹筋はどこにある?
個人差はありますが、妊娠中期にあたる安定期以降になると、次第にお腹がふくらみ始める妊婦さんが増えていきます。お腹が大きくなると、腹筋がないように見えて不思議に感じる人もいるかもしれません。妊娠中に腹筋がなくなることはありませんが、多くの妊婦さんの腹筋の位置が見えにくくなるでしょう。
ケビン・ラウ博士著の「脊椎側湾症の方のための、健康的な妊娠・出産完全ガイド」では、妊婦さんの腹筋の変化を以下のように説明しています。
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妊娠中、成長する赤ちゃんによってお腹が大きくなるのに合わせ、腹筋は大きく伸ばされていきます。リラキシンもこの腹筋を伸ばす作用に影響しています。
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一方で、妊娠前からトレーニングしていた妊婦さんの中には、妊娠中も無理のない範囲で腹筋を保つように心がけている人もいるようです。強い腹筋を保ったまま出産した海外の下着モデルさんが話題になったこともあります。妊娠中も腹筋が割れている妊婦さんは少ないでしょうが、筋肉の状況や体質によっては、腹筋があることでお腹があまり出ない妊婦さんもいるそうです。
妊婦さんはいつからいつまで腹筋を鍛えられる?
時期を問わず、妊娠中の運動は自己判断で行わないようにしましょう。腹筋のトレーニングだけでなく、運動すると少なからず身体に負荷がかかるものです。運動を始める前に必ず医師に相談し、許可を得てから実施しましょう。
妊娠初期は避ける
妊娠初期(妊娠15週目まで)は、つわりを始めとしたさまざまな体調不良に悩まされる妊婦さんが多い時期です。無理せず、安定期に入るまで運動は控えたほうが安心でしょう。
安定期に入る16週目以降の開始が目安
医師の許可があれば、妊娠16週目以降の安定期に入ってから少しずつ腹筋トレーニング効果に期待ができる運動を試してみましょう。安定期とはいえ、お腹の赤ちゃんのことを考えながら、無理のない範囲で腹筋を鍛えてくださいね。
妊娠後期から臨月は状況に合わせて
運動の種類や妊婦さんの体調によって、妊娠後期の運動の可否は変わります。特に臨月は、出産に向けて積極的に運動するように指示がある妊婦さんもいれば、安静を指示される妊婦さんもいるようです。自分で判断せず、随時医師と相談しながら様子を見てくださいね。
なぜ妊娠中の腹筋トレーニングがおすすめ?
筋力の衰えを防ぐ
妊娠するとお腹が大きくなることで動きにくくなり、運動不足になってしまう妊婦さんが多いかもしれません。筋力の衰えは妊娠中の身体にさまざまな負担がかかるだけでなく、産後の体型にも影響を与えるでしょう。産後になかなか筋力が戻らず、ぽっこりとしたお腹になってしまうこともあります。
腰痛・股関節痛などのトラブルを防ぐ
妊娠中に腹筋が衰えると、腰痛や股関節痛といったトラブルを引き起こす原因のひとつになる可能性があります。腹筋を鍛えれば、大きくなったお腹を支えながら、背中や腰、股関節の痛みを防ぐことができるかもしれません。ただし腰痛や背中痛といった身体の痛みは、腹筋の衰え以外にも原因になり得るものがあります。
出産時の「いきみ」がしやすくなる
分娩のときは、赤ちゃんが身体の外へ出るように、お腹に力を入れていきむ必要があります。いきむ力のことを娩出力(べんしゅつりょく)と呼びます。娩出力が足りないと赤ちゃんが外へ出るのに時間がかかり、お産が長時間にわたることもあるようです。腹筋は、お産のためにも必要になる筋肉です。
体重管理・健康維持の一環として
妊娠中の体重管理は本当に大変ですよね。妊娠中にダイエットするのは難しいため、体重管理の一貫として軽い運動をするのがおすすめです。体重管理に役立つとともに、腹筋を鍛えられるトレーニングを取り入れれば、一石二鳥ですね。
妊婦さんの腹筋の鍛え方にはどんなものがある?
腹筋の鍛える方法はさまざまです。一般的には、腹筋トレーニングや体操、ヨガ、ストレッチといった腹筋の鍛え方をイメージする人が多いかもしれませんね。妊婦さんができる運動の中で、腹筋を鍛えることができる運動には、どのようなものがあるのでしょうか。
妊婦さんが行うヨガや妊婦体操、マタニティビクス、マタニティアクアといった運動は、指導方法によって期待できる効果が異なります。腹筋を鍛えられるメニューがあるかどうかを確認してから、それぞれの運動を行いましょう。
またジムや自宅で、ダンベルや腹筋ローラーのようなトレーニング機器を使用する際にも、妊婦さんが安全に腹筋を鍛えられるのかどうかを確認してからチャレンジしましょう。必ず医師の許可を得て、安全な方法で行ってくださいね。
妊婦さんにおすすめの腹筋トレーニング
身体ひねり
ひざを曲げて足の裏を床につけた状態で、体育座りのような体勢で座ります。右ひじを左ひざにつけたら、最初の体勢に戻ります。同様に左ひじを右ひざにつけたら、最初の体勢に戻ります。左右非対称でひじとひざをつけることで、身体が自然とがひねられて腹筋が鍛えられます。お腹への圧迫が強い場合には中止しましょう。
屈伸
立った状態で両手を頭の後ろで組み、肩幅と同じくらいの幅に足を開きます。この姿勢を保ちながら、ゆっくりと身体をかがめましょう。両手を後ろに組むのが苦しければ、手をひざに置いても大丈夫です。かがめた身体はゆっくりと元の状態に戻して、何度かチャレンジしてみましょう。深呼吸しながら、リラックスした状態で行いましょう。
寝たままできる足伸ばし
仰向けに近い状態になります。足の裏を床につけた状態でひざを立てます。腰の後ろ側を床につけたまま、片足をゆっくりと伸ばし、再びひざを立てた状態に戻しましょう。足をすべらせるようにしてみてくださいね。お腹が大きくなると仰向けは苦しくなるため、無理せず背中側にクッションなどを置きましょう。
起き上がるときや咳、カラオケで腹筋を使うのはOK?
日常生活でも、無意識のうちに腹筋を使っているケースは多くあります。背筋を伸ばして姿勢良く座ると、少しではありますが腹筋を使います。他にも朝起き上がるとき、風邪で咳が出るとき、寝返りをするとき、カラオケで歌うときには、少なからずお腹に力を入れることがあるかもしれません。
お産のときには、お腹に力をいれる「腹圧」が必要になります。このことから、お腹に力が入ることで、赤ちゃんに何か影響が出るのではないかと怖がる妊婦さんも多いようです。しかし、日常生活で無意識のうちにお腹に力が入る程度であれば、一般的には問題ないとされています。
ただし、切迫流産・切迫早産の可能性がある場合、重いものを頻繁に持つ機会がある場合などには、注意が必要でしょう。咳などの日常生活の何気ない動作であっても、お腹が張る機会が増えたり不正出血があったりする場合には、必ず医師に相談しましょう。
妊娠中の腹筋運動の注意点
お腹が張るときや身体が痛いときは中止する
腹筋トレーニングを始める前に、まずは自分の体調を確認しておきましょう。また、腹筋トレーニングの途中で腹痛やお腹の張りを感じたら、すぐに運動を中止します。お腹の痛みがあるときだけでなく、気分が悪いときやお腹以外のどこかに痛みを感じる場合には、運動は控えたほうが良いでしょう。
無理をしない
安産を目指し、運動不足を解消するためにも、妊娠中に腹筋を鍛えようと考える妊婦さんもいるかもしれません。無理しない範囲で、行うことが大切ですよ。腹筋トレーニングを続けることも大切ですが、無理なノルマを課したりかえってストレスになったりしないようにしましょう。
妊婦さん向けの腹筋運動を選ぶ
一般的な腹筋トレーニングとしては、仰向けになって上半身を起こす方法や仰向けのまま両足を持ち上げて上半身に近づける方法があります。一般的な腹筋トレーニングに馴染みがある妊婦さんも多いでしょうが、妊娠中にはお腹が張る原因になる可能性があります。必ず妊婦さんも安心して実施できる腹筋トレーニングを選んで行いましょう。
お腹が裂ける・腹筋がつる・筋肉痛になることがある?
個人差はありますが、妊娠中にはホルモンの影響などで、腹筋あたりがつったり筋肉痛になったりすることがあるようです。このため、筋肉を使っていない場合でもお腹がつる・筋肉痛のような痛みがある場合には、注意が必要です。腹筋トレーニングをしていないのに筋肉痛のような痛みがあるなら、念のため医師に一度相談するのが良いでしょう。
また、お腹が大きくなるにつれて「お腹が裂ける」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。これは「腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)」と呼ばれる肉離れを指している場合が多いようです。腹直筋離開は、腹筋トレーニングの有無に関わらず、一定数の妊婦さんに起こるものです。
お腹が裂ける、腹筋がつる・筋肉痛になることがある場合、安易に「運動をしたからだ」と判断しないことが大切です。原因によって、対処すべき方法は異なります。気になることがあれば、自己判断で対処せずに、かかりつけの医師に相談しましょう。
自分に合ったレベルの腹筋トレーニングにチャレンジ
医師の許可が下りているなら、安定期に入ったら適度な運動にチャレンジしてみましょう。必ず腹筋トレーニングをしなければいけないわけではありませんが、自分に合うようであれば続けてみてはいかがでしょうか。
何をすれば良いかわからないという妊婦さんやひとりで行うのは心細い妊婦さんは、マタニティビスクやマタニティヨガ、マタニティスイミングといった妊婦さん向けの教室に参加するのもおすすめですよ。安産に向けて、体重管理の一環として、また背中の痛みなどのトラブル緩和対策として、腹筋トレーニングを検討してみてくださいね。