妊婦の腰痛対策!ストレッチ、マッサージ、体操が効果的?妊娠初期のひどい腰痛は切迫流産の症状?|産婦人科医監修

妊婦の悩みで特に多い腰痛。腰痛の原因は一般的には血行不良や運動不足とされますが、妊婦の場合はある特有のホルモンが主な原因であり、人によっては激痛に悩まされることも。妊婦の腰痛対策に効果が期待できるストレッチ・マッサージのほか、湿布を利用する際の注意点や病院の受診について産婦人科医監修で解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠中の腰痛はいつから?
  2. 妊婦の腰痛の原因
  3. 妊婦の腰痛対策は?
  4. 妊婦の腰痛に湿布を使っても大丈夫?整体は?
  5. 妊婦の腰痛はどの病院を受診する?産科?整形外科?
  6. 妊娠初期に腰痛がひどいと流産の可能性がある?
  7. 腰痛は適度なストレッチや骨盤ベルトで解決しよう
  8. あわせて読みたい

妊娠中の腰痛はいつから?

妊娠中の腰痛が始まる時期は個人差があり、一概には言えません。早い人では、受精卵が着床する妊娠3週頃に始まることがあります。受精卵が着床して妊娠が成立することで、腰痛の原因となるホルモンが分泌されるようになるからです。

そのため、もし生理予定日になっても生理が来ず、腰痛があれば、妊娠初期症状の可能性があります。ただし、腰痛は生理前にも起こることがあり、妊娠初期症状かどうか判別するのは困難です。「妊娠したかもしれない」というときは、生理開始予定日の一週間後以降に妊娠検査薬などでチェックされることをおすすめします。

妊婦の腰痛は、早ければ妊娠初期に始まり、妊娠中期から後期にかけてお腹が大きくなるとともに症状が強まり、出産直前まで続く場合が多いようです。

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妊婦の腰痛の原因

リラキシンの分泌

妊婦の腰痛の主な原因は、「リラキシン」というホルモンの分泌が増えることです。「リラキシン」とは、妊娠が成立してから出産直後にかけて分泌されるホルモンの一種で、主に赤ちゃんが産道を通りやすくする働き、つまり、骨盤のじん帯をゆるめる役割を果たします。

「リラキシン」は骨盤のじん帯をゆるめるのは良いのですが、「恥骨結合」という部分までゆるめてしまいます。「恥骨」は、ちょうど女性の股の部分にあたります。この部分がゆるむと、身体を支える力が弱くなり、腰に負担がかかります。これが、妊婦の腰痛の原因なのです。

お腹のふくらみによる姿勢の変化

妊娠中期以降、お腹がどんどん大きくなって前にせり出すようになると、身体がバランスをとろうとして後ろに反り気味になってきます。身体を反らせると腰の周りの筋肉に負担が集中して、腰痛がひどくなります。

前駆陣痛

前駆陣痛とは、子宮の収縮によって不規則に起こるお腹の痛みで、本陣痛のリハーサルのようなものだといわれています。人によっては、前駆陣痛の症状として腹痛だけでなく腰痛があらわれることもあるようです。

また、臨月になるとお産に向けて子宮がだんだんと下がってきて、腰を圧迫するようになることから、腰痛を感じやすくなります。臨月に入ってからの腰痛は、出産が近づいているサインかもしれません。

妊婦の腰痛対策は?

姿勢に気をつける

妊婦の腰痛対策として、まずは姿勢を良くすることを心がけましょう。

立つときは、首を伸ばして下腹部を引っ込めるようにして、お尻の筋肉に力を入れて骨盤が上を向くように意識します。

椅子に座るときは、できるだけ深く腰かけて、背筋を伸ばすような座り方をすると腰に負担がかかりません。背もたれが倒れるようなソファは、深く腰掛けると腰が丸まり、逆に腰に負担をかけてしまいますので気をつけましょう。また、骨盤が歪んで腰痛が悪化するため、足を組むのも控えるようにします。

寝るときの姿勢にもコツがあります。仰向けで寝るとお腹の重みが直接腰にかかり、腰痛がひどくなりかねません。お腹が大きくなってくると、横向きの姿勢のほうがお腹の重みを感じにくいのでおすすめです。

抱き枕のようなクッションを使うと、腰への負担が少ない状態で睡眠できるでしょう。抱き枕の選び方としては、自分の気に入ったものを使うのが一番ですが、何よりも自分の身体にフィットするものを選びましょう。産後に授乳クッションとして使えるタイプなら、より便利ですね。

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ストレッチ・体操

ストレッチや体操も効果が期待できます。筋肉を意識的に伸ばすことにより、腰痛が緩和されやすくなりでしょう。胎盤が完成して流産の心配が少なくなる安定期に入ったら、自分のペースで身体を動かしてみましょう。ただし、途中でお腹が張ったり、体調が悪くなったりしたときは、無理をせずにすぐにやめるようにしてください。

以下に腰痛改善が期待できるストレッチや体操をいくつかご紹介するので、ぜひ試してみてくださいね。

□四つん這い(よつんばい)のポーズ
1. 手足を床につき、四つん這いのポーズになります。
2. ひじを伸ばしたまま手を肩幅に開き、足は骨盤の幅と同じ程度に開きます。
3. 腰、背中、首の順に背中を丸めましょう。

□椅子を使ってできるストレッチ
1. 椅子の背もたれをしっかりとつかみ、肩幅程度に手足を広げます。
2. 腕を伸ばしながら、肩が椅子の背もたれと同じ高さになるまで頭を下げます。
3. 椅子の背もたれ、頭、お尻が一直線になったまま、息を吐き背骨を伸ばします。
4. 2〜3を3回程度繰り返します。

□下半身ひねり
1. 仰向けになり、手足をまっすぐ伸ばします。
2. 上体はそのままに、腰をひねるように左足を曲げながら身体の右側につけ、10秒間キープします。
3. 左足を戻し、右足も同様に身体の左側につけ、10秒間キープします。

ツボ

腰痛の改善に効果があるといわれているツボを刺激してみましょう。ただし、ツボによっては子宮収縮効果があるものもあるので、注意しながら行いましょう。特に、足の裏はツボが集中しているため、むやみに刺激しないようにします。

□腎兪(じんゆ)
背中側のおへそのあたり、背骨から指2本分外側を押します

□委中(いちゅう)
膝の真後ろで、膝を曲げたときにできるシワの真ん中のあたりを押します

マッサージ

腰痛に効くといわれているマッサージとして、テニスボールを使ったものがあります。テニスボールを壁や床につけて、そこに腰を当て、ぐりぐりとマッサージしましょう。もしくは、妊婦でも安心して使えるオーガニックのマッサージオイルでパートナーにマッサージをお願いしてみましょう。妊娠中の貴重なスキンシップにもつながります。

骨盤ベルト

みなさんは骨盤ベルトをご存知でしょうか。有名な「トコちゃんベルト」にはじまり、たくさんの種類があります。なぜ骨盤ベルトが良いのかというと、妊娠中はリラキシンが原因で恥骨結合がゆるみ、腰痛が起こりやすいのですが、ベルトを巻くことで恥骨結合がしっかり支えられ、腰への負担が軽くなるからです。

骨盤ベルトはインナー一体型や有名タレントプロデュースのものなどがあるので、チェックしてみてくださいね。

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妊婦の腰痛に湿布を使っても大丈夫?整体は?

湿布

普段腰痛を感じると、つい湿布を貼ってしまいたくなりますよね。ただし妊娠中については要注意です。まず、湿布のパッケージなどに書いてある「使用上の注意」をよく読みましょう。また、医薬品の部類によっては使えるもの、使えないものの明確な区別があります。

まず、第1類医薬品は、妊娠中には使えません。第2類医薬品は、使用上の注意があり、産婦人科医や薬剤師に相談が必要です。ただし、ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)、インドメタシン、ケトプロフェンが含まれているものについては、お腹の赤ちゃんに悪影響をおよぼす可能性があるとされているため、使用は避けましょう。

第3類医薬品に関しては、基本的には使用してもよいとされています。どうしても湿布を使いたいという場合は、医師や薬剤師に相談をしてから使用することをおすすめします。

整体

基本的に、安定期に入る前の整体は避けましょう。それ以外の期間については特に制限はないようですが、安定期だからといって油断は禁物です。整体院に、妊婦でも施術可能かを事前に問い合わせることも必要です。

最近ではマタニティ整体といって、妊婦向けに整体を行っているところも増えています。妊婦はうつ伏せになるとお腹に負担がかかるので、診療台にクッションを使うなど工夫をしているところもあるとのこと。費用はだいたい5,000円〜6,000円が相場のようです。検討してみてはいかがでしょうか。

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妊婦の腰痛はどの病院を受診する?産科?整形外科?

どうしても我慢できない腰痛があるとき、妊婦はどの病院を受診したら良いのでしょうか。

普段なら整形外科に真っ先に向かうところですが、妊婦はまず産科を受診しましょう。病院によっては、症状が軽いものならその場で処置をしてくれる場合もあります。もし産科で対応できない場合は整形外科の受診を勧められるでしょう。予想外の原因によって腰痛が起こっているケースもありますし、不測の事態を避けるためにも、まずは産科を受診しましょう。

妊娠初期に腰痛がひどいと流産の可能性がある?

妊娠初期にあまりに腰痛がひどいと、「もしかして流産かも」と思うママもいるかもしれませんね。しかし、現時点では医学的に妊婦の腰痛と流産の直接の関係はないといわれています。

ただし、下腹部痛や出血をともなう腰痛は、切迫流産の症状である可能性もあり、注意が必要です。このような場合は迅速に産科を受診しましょう。

腰痛は適度なストレッチや骨盤ベルトで解決しよう

腰痛を感じたら、湿布や薬に頼らず、まずは自分でできるストレッチや骨盤ベルトで対策をとりましょう。それでも効果がなかったり、解決しなかったりする場合は産科の先生に相談をしてみましょう。抱き枕など、あなたに合った解決方法が見つかると良いですね。

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