【産婦人科医監修】妊娠後期の下痢の原因とは…?正しい対策方法についてもご紹介!
妊娠後期に下痢や便秘の症状に悩む妊婦さんは多いようです。お腹も急激にふくらみ始め、身体も心も変化が続く妊娠後期。何日も下痢が続くと、下痢が原因で流産しないかなんてことも不安になるかもしれません。今回は、妊娠後期の下痢の原因と対策について解説します。
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妊娠後期の下痢、流産の原因になりませんか?
妊娠後期に下痢の症状に悩む人はとても多いものです。腹痛を伴う下痢だと余計に赤ちゃんの状態が気になってしまいますよね。下痢が長引くと流産の原因にならないか不安になることもあるでしょう。
結果からお話しすると、妊娠後期の下痢が流産の原因になることはほぼないといわれています。妊娠初期であれば、下痢が続くと腸の蠕動に伴って子宮も収縮することがあり、ひどい下痢の場合は多少の注意が必要といわれていますが、妊娠後期に下痢が原因で流産になることは少ないようです。さほど気にしなくても赤ちゃんに問題はありません。
しかしそうはいっても、赤ちゃんに近いデリケートな場所ですから気になってしまうものだし、当然改善したい不快なものですよね。では、実際にどのような原因が妊娠後期の下痢には潜んでいるのか、原因を探っていきましょう。
原因その1 腸の圧迫による下痢
妊娠後期の妊婦さんの腹部は、大部分を子宮が占め、他の臓器は位置や形が変わっていきます。お腹が大きくなってくると、何を食べても上のほうに食べ物があるなぁと感じることがあるかもしれません。この変化も、子宮が大きくなったことによるものです。
このように妊娠後期には通常あるべきところに内臓がいられなくなります。特に子宮と隣りあわせの腸はとても圧迫され、正常な働きが十分にできなくなってしまいます。腸が圧迫されて消化が上手にできなくなり、妊娠後期に下痢になってしまうことがあるのです。逆に、子宮に腸が圧迫されて便がうまく通過できず、便秘になることもあります。
原因その2 胃腸が弱ることによる下痢
原因1に加えてさらに、胃腸が弱ってきたための下痢も考えられます。妊娠後期の妊婦さんは、つわりや息切れ、動悸が起こりやすく、身体を休めることが増えたり、過激な運動の制限があったりと、体力が低下しているかもしれません。急激な身体の変化による身体の負担も計り知れないでしょう。こうした身体の負担は胃腸の機能を低下させ、妊娠後期に下痢を引き起こすことがあるのです。
食の好みも変わって「これが食べたい」と新たに思い始める物もでてくるかもしれません。ただ、妊娠前より消化がよく身体に良いものを摂ることを心がけてくださいね。
原因その3 冷えによる下痢
妊婦さんは、比較的普通の人より冷えやすいです。特に妊娠後期は子宮の圧迫や十分な運動が難しいことから、血行不良になりやすいです。そのような血のめぐりの悪さが、下痢の原因となることもあります。
冷えは女性の敵といいますが、妊娠中はとにかく身体を温めるように心がけましょう。冷えた身体は下痢だけでなく、難産の原因にもなってしまいます。これは冬だけでなく夏の妊婦さんにも気をつけてほしいことですね。
身体を温める食事メニューを考えたり、できる範囲で運動をしたり、ゆっくり湯船につかったり、腹巻や靴下などの衣類にも気をつけたりすることも良いでしょう。この先どんどんお腹は大きくなっていきます。今から自分なりの「冷え対策のコツ」をしっかりと身につけておきましょう。
原因その4 食べすぎによる下痢
つわりが終わり食欲が出てくると、だんだんマタニティライフを楽しめるようになっていきます。特に妊娠後期には、「出産前の今しかできないことをやっておきたい」と、おいしいものを食べすぎてしまうこともあります。「食べすぎ」は胃腸に負担をかけます。その自覚がないまま、妊娠後期の下痢に悩む人もいるようですね。
筆者も長男の妊娠後期にシュークリームにはまり、食べ比べと称して買い込んで1日中食べたせいで、翌日胃痛と下痢に苦しんだ情けない過去があります。これは極端ですが、妊婦さんにありがちなマクドナルドのポテトにはまり、3食食べて下痢になった友人も知っています。皆さんも、食べすぎには十分注意が必要ですね。
原因その5 飲みすぎによる下痢
食べすぎもそうですが、飲みすぎにも注意してください。水分の摂りすぎで下痢になる人も多くいます。水分を摂りすぎて便が緩くなることと、冷たいものを飲みすぎてお腹が緩くなることの両方が考えられますね。
特に妊娠後期には「胃腸や喉の不快感から炭酸飲料を好む」という人も多くいるようです。冷たくてのどごしの良いものを求めてしまう気持ちはよくわかりますが、できるだけ温かい飲み物を選びましょう。それができないときは、氷を入れない、常温で飲むなど、少しでも「身体を冷やさない」ことに注意しましょう。
原因その5 自律神経の乱れによる下痢
ホルモンバランスの崩れにより、自律神経の乱れも生じます。その乱れから、上手に便意をコントロールできなくなり、下痢になってしまうこともあります。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあります。このどちらかが過剰に活発になってしまうことで、下痢または便秘になってしまうのです。交感神経の過剰な興奮によって便秘になりやすく、副交感神経の過剰な興奮によって下痢になりやすくなります。
ホルモンバランスが崩れてしまうのは仕方のないことです。ママたちにできるのは、できるだけストレスのないような生活を心がけていくことです。
原因その6 鉄剤の副作用による下痢
貧血気味で鉄剤を処方してもらっている妊婦さんはとても多いものです。普段から貧血がある人はもちろん、そうでない人も妊娠後期には鉄分不足になる人がたくさんいます。その薬の副作用に胃腸障害があり、下痢、便秘、吐き気に悩むことが多くあります。
あまりに症状がひどいようなら医師に相談することをおすすめします。また、すべてを補うことはなかなか大変ですが、普段の生活で少しでも鉄分を多く摂れるような食事を心がけてくださいね。サプリメントの摂取も効果的です。
こんな下痢には注意して
下痢だけの症状なら、赤ちゃんについてはさほど気にしなくても大丈夫です。しかし、吐き気を伴うなど下痢以外の症状もあるときは、急性胃腸炎など何か感染症の疑いを持って一度病院を受診することをおすすめします。
抵抗力の弱まっている妊娠後期には、普段ならうつらないような状況でもウイルスや細菌に感染して悪化してしまうことがあります。筆者も下の子の妊娠後期に上の子の幼稚園で流行っていたインフルエンザとロタウイルスに感染し、親子で苦しんだことがあります。いつもよりも身体が弱っていることを頭に置いておくことは、大事なことです。
臨月の下痢は出産間近のサインかも
さて、妊娠後期の下痢についていろいろと原因を探ってきましたが、最後に臨月の下痢についても考えていきましょう。
臨月の下痢は、出産が近いサインでもあります。妊娠中は、流産を防ぐためにプロゲステロンという女性ホルモンが分泌されているのですが、そろそろ出産しても良いかなという時期になると、急に減少します。これが下痢の原因になるのです。お腹の中をきれいにすることは、出産にむけて身体が起こす反応です。
もちろん、出産の兆候は下痢だけではありませんが、ひとつの目安として覚えておくと良いですね。「それまで便秘気味だったのに、最近お腹が緩くなってきた…」そう思ったら、もうすぐ赤ちゃんに会えるかもしれません。
妊娠後期の下痢を予防しよう
妊娠後期はいろいろな理由で下痢になりやすいです。その反対に便秘になりやすい人もいて、普段の体質によって体調は変わってくるようです。薬にも安易に頼れない時期ですから、ママたちにできることは健康な生活を心がけることが一番です。原因ごとの対策をとり、妊娠後期の下痢を予防しましょう。
下痢や腹痛が続くようなときは、医師に相談してください。身体の自由も減ってきてつらい時期ですが、少しでも快適に過ごせる工夫をしていきましょう。
※この記事は2024年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。