産婦人科医監修|妊娠中の夫婦生活はいつからいつまで?なしの人・したくない人も?夫婦関係は変化する?
妊娠中には、夫婦関係に変化が訪れ、夫婦生活についても妊娠前と同じようにはいかないかもしれません。妊娠中の夫婦生活には、さまざまな意見があります。お腹の赤ちゃんへの影響を考え、できればセックスしたくないという妊婦さんもいるでしょう。妊娠中の夫婦生活が妊娠に与える影響、いつからいつまで可能か、方法や注意点などを解説します。
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目次
妊娠によって夫婦関係は変化する?
妊娠は、さまざまな変化をもたらすものです。妊婦さんの心や身体、家族との関係、社会的役割など多岐に渡り変化が訪れるでしょう。夫やパートナー、上の子との関係も変わる部分はあるかもしれません。
第一子であれば、妻や夫、パートナーといったふたりの関係性だけでなく、父と母という子どもを含めた新たな関係性を手に入れることになります。出産に向けて期待と不安が入り混じるのは、ママだけではないでしょう。夫やパートナー、上の子にも心理的な変化は訪れているはずです。
妊娠中の夫婦生活はあり?なし?
妊娠中は、夫婦生活にも変化があるでしょう。妊娠中の夫婦の性生活については、さまざまな意見があるようです。妊婦さん側の意見としては、消極的なものが多いかもしれません。
妊婦さんの場合、お腹の赤ちゃんや妊娠への影響を懸念して、「セックスは嫌、したくない」といった否定的な意見を持つ人も多いでしょう。また妊娠による心身の変化から、実際の行為が「痛い」という肉体的な問題で拒否することもあれば、「苦痛である」というように精神面を理由として拒否することもあるようです。このため、妊娠中は夫婦生活なしだったという人も珍しくないでしょう。
夫婦生活については個人差があるため、すべての夫婦・パートナーの性生活が消極的になるわけではないでしょう。妊娠前と変わらない場合やより積極的になる人もいるかもしれません。夫婦生活は頻度のみを基準とするのではなく、お互いの気持ちや妊婦さん自身の体調を尊重することも大切ですよ。
妊娠中の夫婦生活はお腹の赤ちゃんに影響を与えない?
妊娠中の夫婦生活について、妊婦さんにとっては「お腹の赤ちゃんに影響を与えないか」がもっとも心配なことのひとつではないでしょうか。妊娠中の夫婦生活については、現在も研究が進められているところで明確な結論は出ていません。
一般的には、妊娠の経過に問題がなければ、夫婦生活を禁止されることはないようです。ただし、性行為をする際に腹部を圧迫しない、体液による感染症の予防に努める、お腹の張りや出血があればすぐに中止するといった注意点は存在します。切迫早産や前置胎盤などの指摘を受けている場合には、夫婦生活を見送る指示が出ることもあるでしょう。
妊娠中の夫婦生活はいつからいつまでできる?
妊娠中の夫婦生活についてはさまざまな見解があり、妊婦さんそれぞれの経過にもよるでしょう。日本医科大学多摩永山病院のホームページに掲載されている、「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」からの抜粋では、以下のような意見があげられています。
引用元:www2.nms.ac.jpまた、妊娠初期は流産率が高く、性交渉が直接の原因にならなくとも、流産後の心因性セックスレスに関連する可能性があり性行為は控えるようアドバイスする。妊娠末期については賛否両論あるが、子宮口が軟化し開大傾向があれば、破水や感染のリスクが高く、初期同様性行為は控えるべきとされている。
妊娠初期の流産は、夫婦生活のみが原因になり得るわけではありませんが、念のため控えると安心かもしれませんね。いつからいつまで夫婦生活が続けられるかについては、素人が判断するのは難しいですよね。不明点があれば、かかりつけ産婦人科医に相談するのが安全でしょう。
妊娠中の夫婦生活の頻度は?
妊娠中の夫婦生活の頻度について、気になる人もいるかもしれません。夫婦生活の頻度には、個人差があります。このため、妊娠中の夫婦生活の頻度はこのくらいでなければならない、というようにルールを設定するのは難しいでしょう。夫婦生活の頻度を重視してしまうと、お互いに義務感から「今日はしたくない」と断りづらくなってしまうこともあるかもしれません。
夫婦生活の頻度を基準にするのではなく、お互いの気持ちと妊婦さん自身の体調に配慮した上で検討しましょう。今までと同じ方法でも、妊娠中は身体に変化が起こることもあるため、「嫌だ」「苦しい」といったことがあれば、我慢せず素直に夫やパートナーに伝えましょう。
妊娠中の夫婦生活の方法は?
妊娠中は、夫婦生活によってお腹の赤ちゃんに影響が出るのではないかと不安になる人もいるかもしれません。妊娠前と同じやり方で夫婦生活を行うのは、問題ないのでしょうか。
すべての人に共通するのは、お腹を圧迫せず、激しい行為は控える必要があるという点でしょう。女性が下になる体位よりも、女性が上になる体位で性交を行ったほうがお腹の圧迫は避けられるでしょう。また強い刺激にならないように、深く挿入しないことも大切です。
お腹への影響が気になる場合には、「口腔性交(オーラルセックス)」を考える妊婦さんもいるでしょう。口で相手の性器を刺激する口腔性交をすると、体液により感染症にかかる可能性があります。母子の感染症予防のためにコンドームをきちんと着用し、念のため妊娠中は口腔性交も避けてくださいね。
また、感染症予防の観点では、夫婦生活を持つ際には、清潔にすることも大切です。性行為が終わったらシャワーで陰部を洗い流すことを徹底するなど、衛生面に注意しましょう。
妊娠中の夫婦生活に注意点はある?避妊は必要?
妊娠中の夫婦生活は、無理しないことが大切です。お腹が張るときや出血したときには、すぐに中止しましょう。お腹を圧迫しないように、体位も夫やパートナーと相談してくださいね。強い刺激にならないように深い挿入も控えましょう。
感染症予防としてコンドームの着用が必要です。精液をふくめたさまざまな体液によって感染症を引き起こすことがあります。妊婦さんだけでなく赤ちゃんも感染する可能性があるため、注意が必要です。感染症予防の観点から、コンドームを着用しましょう。
また、精液に含まれる成分や一般的に「いく」と呼ばれるオーガズムは、子宮収縮を招く可能性があるといわれています。そのため妊娠の経過によっては、早産などのリスクがないとは言い切れません。感染症予防以外の目的でもコンドームの着用は不可欠です。
妊娠中の夫婦生活で気をつけたい感染症
妊娠中は、感染症に注意が必要です。風邪やインフルエンザなどの感染症はもちろんのこと、性行為で感染する可能性があるものにも注意しましょう。一部の感染症は赤ちゃんに深刻な影響を与える場合もあります。性行為で感染する可能性があるものとしては、クラミジア感染症、HIV感染症、HTLV-1感染症などがあります。
夫婦生活での感染症予防としては、コンドームの着用が有効です。また、口腔性交(オーラルセックス)も念のため避けると良いでしょう。
夫婦生活への意見が言い出せず、夫婦喧嘩になる場合も
妊娠中は、妊婦さんのみならず夫やパートナー、家族にも心理的な変化が訪れます。しかし新しい家族が増えることの認識・実感や妊婦の妻をどこまで思いやれるかについては、個人差があります。うまく夫婦間で意思疎通ができず、夫婦喧嘩が絶えない家庭もあるでしょう。
妊娠中の夫婦生活について譲れないポイントがあるなら、我慢せずに気持ちを伝えることが大切です。なぜ性行為をしたくないのか、どこまでならOKなのか、安定期のみなどいつからいつまでなら大丈夫なのか、まずは意思表示をすることから始めてみると良いでしょう。
妊娠中にしっかりとお互いの気持ちを共有しておくことで、夫婦生活のみならず産後の夫婦関係もスムーズにいくかもしれませんね。
妊娠中は夫婦喧嘩になりやすい?
妊娠中は、夫婦生活以外にも夫婦喧嘩の原因になりやすいものがいくつかあります。夫やパートナーが飲み会や仕事で帰りが遅くなるのが気になる人もいるでしょう。妊娠中の浮気が心配な人もいますよね。家事を手伝ってくれない、気遣ってくれないといった不満がある人もいるかもしれません。
妊娠中は、将来のことやお金のことなど多くの不安やストレスを抱えている人が多いといわれています。これは妊婦さんだけでなく、妊婦さんの家族に関しても同様でしょう。漠然とした不安やストレスは心に大きな負担がかかり、余裕がなくなってしまうこともあります。
夫婦生活の問題でも、仕事や飲み会の問題でも、具体的に何が嫌なのか、どこまでなら許せるのかといった具体的な条件を考えてみるのも良いでしょう。より具体的に問題に対して向き合っていくことで、解決の糸口や妥協案が見つかるかもしれません。
妊娠中の夫婦関係を良好に保つには?
妊娠中の夫婦関係を良好に保つ方法に、正解はないかもしれません。それまでの夫婦の関係や、妊婦さん自身やパートナーの性格による部分もあるでしょう。ただ、「適度なスキンシップ」や「自分の考えをきちんと伝える」といった基本的な部分は、どの夫婦にとっても大切であることに変わりありません。夫婦喧嘩になってしまうこともあるかもしれませんが、自分たちなりのペースで変化に対応していけると良いですね。
妊娠中の夫婦生活にも思いやりが大切
妊娠中の夫婦生活について、夫やパートナーと話し合うことに抵抗がある妊婦さんは少なくないでしょう。あまり身構えずに、まずは自分の気持ちを伝える、もしくは相手の意見を聞いてみるだけでも良いでしょう。妊娠中だけでなく、産後にも夫婦関係をはじめさまざまな変化が訪れます。産後も見据えて、妊娠中からお互いの気持ちを素直に話せるような関係にしていけると良いですね。