受精日はどう計算する?いつの性行為で妊娠したかわかる?

妊娠の成立には欠かせない「受精」。しかし、受精日のチェック方法がよくわからないという人は意外と多いのではないでしょうか。受精から着床までの流れや日数の計算の仕方、そしてそのあいだに女性の身体の中でどのようなことが起こり、どのような症状が出るのかについて詳しく確認していきましょう。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 「受精日=性交日」ではない
  2. 受精日の計算方法
  3. 受精日に誤差が出る理由
  4. 受精から着床までの流れ
  5. 受精から着床までにみられる症状
  6. 受精から妊娠までの過程は奇跡の連続!
  7. あわせて読みたい

「受精日=性交日」ではない

受精日は最終排卵日

そもそも「受精日」とはいつのことを指すのでしょうか。受精日を「セックスをした日」と考えている人もいるかもしれません。しかし受精日はセックスをした日ではなく、卵子と精子が受精した日で、最後の排卵日と同日と考えて良いでしょう。排卵した日を受精した日として計算することになります。排卵後の卵子の寿命は約24時間であることから、排卵日と受精のタイミングはほぼ同じと考えられるためです。

受精日は妊娠2週0日目にあたる

一方で妊娠0日目は最後の月経が始まった日です。実際には生理中なのでぴんと来ない人もいるかもしれませんが、妊娠週数のカウントはこの日から行われるので、知っておくと良いでしょう。最終月経の開始後2週0日目が排卵日であり、受精日にあたることになります。

受精日の計算方法

最後の月経開始日を確認する

受精日を計算するとき、そして妊娠週数について考えるとき、まずは最後の月経開始日を確認してください。妊活中に限らず、月経開始日は自分の生理周期や体調の変化を把握するための重要な手がかりになります。普段から記録しておくと良いでしょう。

最後の排卵日を確認する

排卵日は、生理の約2週間後と考えられています。これは大まかな数字なので、いつ排卵されるかを見極めるのは難しいところです。妊活中でタイミングを見計らっている人は、とくに排卵日の計算には気を遣いますよね。

排卵日を把握するためには、普段から基礎体温を記録して自分の低温期・高温期の長さの傾向や排卵のタイミングを把握しておくと役に立つかもしれません。排卵後およそ24時間以内に受精が行われるので、排卵日を知ることで受精日のめどをつけることができますね。

妊娠週数を数える

妊娠週数について考えるときは、最終月経の開始日からどのくらいの日数が経過したかを確認しましょう。最後の月経が始まった日を0日と数えます。生理周期が安定している場合、排卵日(すなわち受精日とする)はおよそ妊娠2週0日目にあたるので、妊娠週数を数えることでおのずと受精日の検討をつけることができますね。

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受精日自動計算サイトやアプリを使う

最終月経の開始日と生理周期を入力すると排卵日を予測したり、出産予定日から排卵日を逆算したりしてくれる自動計算サイトやアプリもあります。手軽に計算できるので、利用してみると良いかもしれません。

受精日に誤差が出る理由

生理不順

受精日の計算に誤差が出る理由のひとつに「生理不順」があります。正常な生理周期は25日~38日とされており、生理周期が24日以下の場合を「頻発月経(ひんぱつげっけい)」、39日以上の場合を「稀発月経(きはつげっけい)」と呼びます。こうした生理不順の場合は基礎体温に乱れがあり、通常通りの計算をしても正確な排卵日を予測することが難しいケースがあります。

不正出血

月経以外で性器から出血がみられることを「不正出血」と呼びます。不正出血と月経とが判別しづらい場合には最終月経の開始日も確認しづらいため、不正出血のある人は受精日を計算することが難しい場合があるかもしれません。

体調不良や生活習慣の影響によるホルモンバランスの乱れや腟・子宮の炎症など、不正出血はさまざまな原因によって起こります。妊活のハードルになるケースもあるので、不正出血がある人は早めに医師に相談することをおすすめします。

排卵日のズレ

排卵日は受精日とほぼ同じものとしてとらえられる日ですが、生理周期の微妙なズレや体調に左右されることがあるため必ずしも正しい日が計算できるとは限りません。

より正確な排卵日を知るために、検査薬を利用するという方法があります。「排卵検査薬」を使用すれば、自分で手軽に排卵日を把握することができますよ。

排卵検査薬の使い方は妊娠検査薬とほぼ同じでとても簡単です。排卵検査薬に尿をかけると、排卵にどの程度近づいているのかを段階的に示してくれるタイプもあります。妊活中の人はこの方法を用いてチェックすることも検討してみると良いかもしれませんね。

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受精から着床までの流れ

1.精子と卵子の形成

男性の精巣の中では精子が、女性の卵巣の中では卵子が作られています。精子は1日あたり5,000万~1憶個程度産生されるといわれますが、卵子は1生理周期につき1個しか産生されません。

精子と卵子では寿命においても大きな差があります。女性の体内における精子の寿命は約72時間であるのに対して、排卵後の卵子の寿命は約24時間です。受精が成立するためには精子と卵子の両方が活動している状態で出会う必要があるため、性交のタイミングをはかることが妊娠を成立させるための大きなポイントとなるのです。

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2.受精

卵巣から排卵された卵子は、卵管采と呼ばれる卵管の先端部分によって「卵管膨大部」という部分に取り入れられます。ここに精子が到達し、卵子と精子が結合・融合して受精卵が生まれると「受精」が成立します。

性行為において腟の中に射精された精子は子宮腔と卵管を通過し、卵子がいる卵管膨大部に進みます。射精の直後は2~4億個あった精子は、子宮腔では1~2万個、卵管では400~600個と数が減っていき、卵管膨大部で卵子の周囲にたどり着くのは60個程度であるといわれています。

精子は腟の中では前進する能力しかありませんが、子宮腔を進むにつれて卵子の中に進入するための能力(受精能)を獲得していき、卵管膨大部にたどり着くころには活発に運動するようになります。最終的には、卵子の周囲に到達できた約60個の活発な精子のうちひとつだけが卵子と結びつくことができます。

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3.受精卵の分裂と移動

受精によって生じた「受精卵」は、細胞分裂を繰り返しながら子宮腔に向かって移動します。受精卵は受精後3~4日で「桑実胚」という状態になり、子宮腔に到達します。その後さらに分裂し、受精後4~6日には「胚盤胞」という状態で子宮内膜に着床することになります。

4.受精卵の着床

受精卵が子宮内膜に接着してもぐりこむことを「着床」と呼び、一般に「着床」=「妊娠成立」ととらえられています。

受精後6~7日経過すると受精卵が子宮内膜に接着し始め(着床開始)、その後約5日間で子宮内膜にもぐりこみ、埋没します(着床完了)。着床しているあいだも受精卵は分化を続けており、着床完了の時点では「二層性胚盤」という状態に進んでいます。その後さらに分化して三層性胚盤→胎芽となり、身体の各器官が形成され始めます。

着床後は妊娠状態を維持するために母体内が変化します。具体的には、「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」や「エストロゲン」、「プロゲステロン」といった女性ホルモンの分泌量の増加や、お腹の赤ちゃんが異物として攻撃されないようにする免疫機構の作用などがあげられます。


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受精から着床までにみられる症状

受精卵が子宮内膜にもぐりこむことを「着床」と呼びます。着床前後にはさまざまな妊娠初期症状がみられることがあるため、症状を確認することで妊娠しているかどうかを見極めやすくなるかもしれません。具体的には次のような症状がみられるといわれます。

おりものの変化

生理予定日1週間前くらいから、おりものの量が増える、色が変わる、においが強くなる、あるいはにおいがなくなる、さらさらになる、水っぽくなるなど、おりものの状態がいつもと違うことに気づくかもしれません。このようなおりものの変化が妊娠の兆候となることがあります。

おりものは女性ホルモンの作用によって分泌されているため、妊娠によるホルモンバランスの変化がおりものに影響を与え、量や色、におい、状態が変化しやすくなるのです。

また受精卵が着床すると、おりものに混じる程度の少量の出血(着床出血)や下腹部痛(着床痛)をともなうこともあります。着床出血や着床痛はすべての人に起こるわけではありませんが、妊娠の兆候のひとつとして覚えておくと良いでしょう。

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風邪のような症状

生理前に風邪っぽいと感じたことはありませんか。妊娠した場合にも、風邪のような症状が出ることがあります。生理前よりも症状が顕著に感じられる人もいることでしょう。

日常の家事をするのがつらく、ずっと寝ていたい、少しでも横になりたいなど、いつも以上に身体のだるさや眠気を感じた場合には、妊娠初期症状を疑ってみても良いかもしれませんね。

胸の張りや痛み

胸の張りや痛みが生理開始予定日を数日~1週間過ぎても続いている場合や、より強く張りを感じる場合は妊娠超初期症状かもしれません。乳首にチリチリとした痛みを感じる人もいるようです。

下痢や便秘・吐き気など

妊娠すると、消化器官に変化をきたすこともあります。頻尿でトイレが近くなったり、便秘や下痢になったり、吐き気をもよおしたり、症状はさまざまです。こうした症状は妊娠中期の安定期ごろまで続くケースも多く、つわりと重なってつらいと感じる人もいるでしょう。

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イライラ・憂鬱

妊娠すると、女性ホルモンの変化や体調の変化、これからの妊娠生活や出産への不安などの影響で情緒が不安定になる人もいます。妊娠前よりもイライラしやすくなったり、ささいなことで泣いたり怒ったりするようになったりするかもしれません。

自分ではどうにもできない身体の変化が精神状態を変化させるため、イライラや憂鬱を簡単に解消することは難しいですが、できるだけ無理をせず、思いつめないように過ごしていきたいですね。

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受精から妊娠までの過程は奇跡の連続!

性交から受精、着床にいたるまでには多くの過程があり、すべての過程を乗り越えてやっと妊娠が成立します。お腹の中の赤ちゃんは、まさに奇跡の連続によって誕生すると言っても過言ではありません。

最終的に卵子と結合できる精子は腟内に入った精子の数億分の1です。性交のタイミングや精子・卵子の質、相性によってはそもそも両者が出会えなかったり、結合が上手くいかなかったりする場合も考えられます。また受精したとしても、分裂しながら子宮内膜まで到達し、無事着床して妊娠が維持されるためには、さまざまな要素が噛み合う必要があるでしょう。

こうした要素のすべてを自分でコントロールすることはできませんが、排卵日を把握する方法や排卵日から受精日を割り出す計算方法を知っておけば、妊活をより効率的に進められるかもしれません。まずは妊娠の仕組みについて正しい知識を得て、妊娠しやすい性交のタイミングを計るところから始めてみてはいかがでしょうか。

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