インプランテーションディップとは?着床すると基礎体温が下がる?高温期はいつ起こる?

インプランテーションディップは、着床時期に基礎体温が一時的に低下する現象で、妊娠兆候のひとつとされています。同時に着床出血や着床痛の症状があらわれます。いつごろ見られる現象なのか、何日間続くのか、なくても妊娠している可能性はあるのか、妊娠検査薬はいつから使えるのかなど知りたいポイントを解説します。【グラフで解説】

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. インプランテーションディップとは?
  2. インプランテーションディップはいつから・何日間起こる?何度下がる?
  3. インプランテーションディップは着床完了のサインなの?
  4. インプランテーションディップと同時にあらわれる症状は?
  5. インプランテーションディップの何日後に妊娠検査薬を使える?
  6. 高温期に基礎体温が下がる他の原因は?
  7. インプランテーションディップ以外の兆候を確認しよう
  8. あわせて読みたい

インプランテーションディップとは?

妊娠の兆候のひとつ

インプランテーションディップとは、「Implantation(着床)」と「dip(下がる)」というふたつの単語を組み合わせた言葉です。使われている言葉の通り、着床のタイミングで基礎体温が一時的に下がる現象を指します。

着床出血や着床痛と同じように妊娠兆候のひとつと考えられていますが、妊娠していても必ずしもインプランテーションディップが起こるわけではありません。

なぜ起こるのかメカニズムはわかっていない

インプランテーションディップがなぜ起こるのかは医学的に解明されておらず、一般的な俗称として使われています。体温が何度変動するかなど、特定の定義はありません。

着床の時期に見られる現象ではありますが、実際に着床が基礎体温にどのように影響しているのか、基礎体温が下がるメカニズムはわかっていないものなのです。

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インプランテーションディップはいつから・何日間起こる?何度下がる?

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基礎体温は生理周期によって低温期と高温期にわかれる

基礎体温でインプランテーションディップをとらえるには、「基礎体温グラフ」の記録が欠かせません。基礎体温を計測して、生理周期に合わせた周期的な変動を把握することがインプランテーションディップの手がかりとなります。

基礎体温を毎日計測していると、低温相と高温相の二相を示すことがわかります。この変化は女性ホルモンの分泌によるものです。女性ホルモンは排卵日を境にホルモンバランスが変わります。

生理後から排卵日までは「卵胞期」といい、「卵子」を包んでいる「卵胞」から子宮内膜を育てるためのエストロゲンが多く分泌される時期です。月経期から卵胞期にかけての基礎体温は低温となります。

排卵日を過ぎると卵子が飛び出した後の卵胞は「黄体」へと変化し、プロゲステロンを分泌します。この時期を「黄体期」といいます。排卵期から黄体期にかけては、プロゲステロンの作用で基礎体温は高温へと移行します。低温相と高温相の体温差は、0.3~0.5℃あるのが理想です。

インプランテーションディップは高温期の途中に起こる

排卵で卵子は卵胞の殻を破り、卵巣を飛び出します。排卵が起こると基礎体温は高温期に移行します。飛び出した卵子が「卵管膨大部」で精子と融合すると「受精卵」が誕生します。受精卵は分割を繰り返しながら卵管をたどり、4~6日ほどかけて子宮へと運ばれます。

受精から約7日目となり、分割が進んで「胚盤胞」と呼ばれる状態になると、受精卵は発達した子宮内膜の絨毛に取り込まれ着床を開始し、約5日間かけて表面が完全に覆われた状態となり着床を完了します。

インプランテーションディップが起こるとされているのは排卵から約7日目頃で、約14日間続く高温期の半ばになります。着床時期としっかりマッチするため、インプランテーションディップが着床の兆候ではないかと考えられているのです。

受精から着床までは受精卵と子宮内膜の相互関係で成り立っており、お互いの準備がちょうど良いタイミングで整っていることが重要となります。このタイミングにずれがあると着床は難しく、着床が排卵から何日目に開始するのかはほぼ決まっています。

1~2日間続く 3日間以上続くと低温期

インプランテーションディップは通常1~2日ほどの短い間隔で終わり、一時的に体温が低下した後は、再び高温期に戻ります。低温が3日間以上続いたときは、インプランテーションディップではなく低温期に入ったのだと考えられます。

高温期は10~14日間続くのが正常です。これはプロゲステロンを分泌する黄体の寿命が約14日間であるためです。もしも高温期が9日よりも短い場合、黄体機能が低下し基礎体温が安定していないのかもしれません。

0.2℃ほど下がることが多い

インプランテーションディップがみられたケースでは、基礎体温が0.2℃ほど下がるといわれています。しかし、0.2℃以上下がったという体験談もあり、一概に「何度下がれば着床した」とはいいきれません。

インプランテーションディップは着床完了のサインなの?

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すべての妊娠で起こるわけではない

インプランテーションディップは、すべての妊娠で起こるわけではありません。基礎体温の低下が受精から約7日目に起こっているというのは事実ですが、それが着床に由来するものかどうかは、まだ解明されていない状況です。

インプランテーションディップがなくても妊娠していた事例も多く存在します。インプランテーションディップがないからといって「妊娠していない」とは限らないので、排卵日前後に性交があったときは、基礎体温やそのほかの妊娠の兆候について気にかけておくと良いでしょう。

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妊娠していなくても体温低下がみられることがある

基礎体温は非常にデリケートなもので、体調の変化や測り方が基礎体温に影響することがあります。前日の夜ふかしや飲酒などでも基礎体温は乱れるため、妊娠していなくても高温期の途中で基礎体温の低下が見られることがあります。

また、海外で発表されている文献では、排卵から約1週間後に基礎体温の低下が見られると、たとえ妊娠していてもその後の妊娠継続に問題が発生する可能性が示されています。これらのことから妊娠の成立や今後の経過は基礎体温だけで判断することは難しく、妊娠検査薬を使って調べることが大切です。

妊娠を望んでいると少しでも早く兆候をつかみたいものですが、基礎体温はあくまでも目安として考え、焦らずに生理予定日が過ぎるのを待ちましょう。

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インプランテーションディップの確率や割合は明らかではない

インプランテーションディップはすべての妊娠で見られるわけではなく、医学的な解明がなされていない現象です。インプランテーションディップが起こる確率や、妊娠に占める割合などは明らかにされていません。今後の解明が待たれますね。

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インプランテーションディップと同時にあらわれる症状は?

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インプランテーションディップと同様に、着床の時期と同じタイミングであらわれる現象に「着床出血」や「着床痛」があります。いずれも受精卵が子宮内膜に潜り込むことに起因して起こると考えられています。

着床出血は生理予定日前後に見られる少量の出血です。生理の出血より少なく、茶おり(茶色いおりもの)のような状態のこともあります。着床痛は着床時期から生理予定日頃に起こる腹痛のことを指し、チクチクした痛みやズーンと響くような痛みを感じます。

しかし、着床出血や着床痛は妊娠していても見られないケースがあること、医学的な解明がなされた現象ではないことをあらかじめ理解しておきましょう。

インプランテーションディップの何日後に妊娠検査薬を使える?

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日本で市販されている妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後から使えるものがほとんどです。インプランテーションディップが排卵日から7日目頃の着床時期に起こることを考えると、インプランテーションディップから約7日後が生理予定日となり、そこからさらに7日たつと妊娠検査薬での検査が可能となります。

妊娠検査薬で陽性反応が出れば妊娠の可能性が高くなります。医療機関を受診し、確定診断を受けましょう。陰性の反応でも生理の遅れが続くようであれば、生理周期がずれている可能性があります。もう1週間待って改めて検査をしてみてください。

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高温期に基礎体温が下がる他の原因は?

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測り間違い

部屋の気温が低かったり、クーラーが効いていたりすると基礎体温は低くなることがあります。基礎体温を正確に測ることは難しく、インプランテーションディップと思っていた体温の低下は、測り間違えということも考えられます。

基礎体温の計測はできるだけ同じ条件で、同じ時間帯に測ることが望ましいものです。もしも計測日の環境や体調がいつもと違うようであれば、その内容も基礎体温グラフに記録しておくと、情報がより正確になります。

黄体機能不全

基礎体温の高温期は、黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で10~14日間維持されるのが正常です。しかし基礎体温が9日以下で基礎体温が低下した場合、黄体機能が低下しているのかもしれません。

黄体機能不全は不妊の原因となることがある症状です。基礎体温を続けて計測し、高温期が短い状態が2~3周期続くようであれば、一度医師に相談してみると安心です。

ホルモンバランスの乱れ

女性の生理周期は視床下部、脳下垂体、卵巣のネットワークがホルモンをコントロールすることで成り立っています。身体の疲れ、体調不良、精神的なストレスを抱えていると、このネットワークに問題が発生し、ホルモンバランスは乱れやすくなります。

ホルモンバランスが乱れると基礎体温にも影響が生じ、低温と高温を行ったり来たりしてグラフがガタガタします。このような場合、インプランテーションディップが起こったように見えるため、その後の経過もしっかりと観察するようにしましょう。

インプランテーションディップ以外の兆候を確認しよう

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妊娠を望んでいる女性にとって、早い段階で妊娠の兆候をつかめるのはうれしいものですね。インプランテーションディップなら、妊娠検査薬が反応しない段階でも妊娠の可能性を探れるため、体温が一時的に低下するのは好ましい現象なのではないでしょうか。

しかし、インプランテーションディップは着床との因果関係が証明されているものではなく、妊娠していてもインプランテーションディップが起こらないこともあります。基礎体温は自分の身体の状態を知るうえでとても参考になるものですが、測り間違えや体調の変化も反映されてしまうため、基礎体温だけで妊娠の可能性を知ることはできません。

着床出血、着床痛に加え、身体のだるさ、胃の不快感、胸の張りなどほかの妊娠初期症状がないかもあわせて確認してくださいね。妊娠したかどうかは、妊娠検査薬で検査をするまでわかりません。生理予定日が過ぎるまでは焦らずに、穏やかな気持ちで過ごしたいですね。

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