妊婦の逆流性食道炎の対策は?食べ物との関係やつわりとの違い

妊娠中の嘔吐・吐き気・胸焼けといった症状は、つわりなのか逆流性食道炎なのか悩むケースがあります。また、つわりがきっかけとなり逆流性食道炎になる可能性もあります。妊娠中の逆流性食道炎の薬などによる治療法、食事や寝方などの対処法、つわりとの違いを解説します。

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この記事の監修

池田 貴子
産婦人科医
池田 貴子

目次

  1. 逆流性食道炎とは?検査方法は?
  2. 逆流性食道炎とつわりの違い
  3. 逆流性食道炎の原因と治療法
  4. 逆流性食道炎と食事の関係
  5. 妊婦が逆流性食道炎になりやすい時期はある?何科を受診する?
  6. 逆流性食道炎に市販薬や漢方、ツボは効果が期待できる?
  7. 逆流性食道炎で寝られないときの寝方におすすめはある?
  8. つわりとの区別が難しい逆流性食道炎!無理は禁物
  9. あわせて読みたい

逆流性食道炎とは?検査方法は?

口から取り入れた食べ物は、食道と呼ばれる器官を通り、胃に送られて消化されます。「逆流性食道炎」になると、胃の中の食べ物と胃液が食道に逆流し、胃液の強い酸性によって炎症や胸やけなどの症状が現れます。逆流性食道炎は西洋人に多い病気でしたが、脂肪の多い食事、肥満の増加、生活習慣の悪化などにより日本でも増加傾向にあります。

逆流性食道炎の主な症状としては、胸焼け・呑酸(どんさん:酸っぱい液体が口まで上がってくること、ゲップを伴うこともある)・胸の痛み・咳・喘息・喉の違和感・声がれなどがあります。人によっては炎症が起こっていても自覚症状がない場合や嘔吐を伴う場合もあります。妊婦が逆流性食道炎になった場合、つわりとの違いに悩む方が多いかもしれません。逆流性食道炎の診断では問診、内視鏡検査、組織の検査や薬による診断といった検査を行われます。

逆流性食道炎とつわりの違い

妊娠中に胸焼け、吐き気、ゲップなどがあった場合、つわりの症状なのか逆流性食道炎の症状なのかという判断に迷う方もいるでしょう。つわりの症状として嘔吐があるのは有名ですが、吐くことにより逆流性食道炎の症状と似た、喉が痛くなる、痰が出る、胃が痛くなるということが起こることもあります。

つわりは妊娠初期に起こる嘔吐や胃のむかつきなどの症状を指し、逆流性食道炎は胃液や食べ物が食道まで逆流することで食道に炎症などが起こることを指します。違いとしては定義の他にも、個人差はあるものの、つわりは空腹時に吐き気が強くなることが多いといわれています。また、吐き気などの症状がいつまで続くのかという点では、逆流性食道炎は治療などの経過によって症状が改善し、つわりは一般的に妊娠中期ごろに症状が落ち着くことが多いといわれています。

逆流性食道炎と妊娠中のつわりの違いを素人が判断するのは難しいため、気になるようであれば病院に相談し、検査してもらいましょう。ひとりで思い悩むよりは専門医に相談し適切な判断・対処をしてもらうことで、精神的ストレスも軽減できるかもしれません。あまりにもつらい症状が続く、血を吐いたというようなことがあれば、他の病気の可能性もあるため早めに病院に行きましょう。

逆流性食道炎の原因と治療法

逆流性食道炎はもともと西洋人に多い病気で、近年の日本人の食習慣・生活習慣の変化から増加傾向にあるといわれています。脂肪分の多い食事、食べ過ぎ、たんぱく質の多い食事、加齢、肥満、他の病気に使用する薬の影響などが逆流性食道炎の原因として指摘されており、年齢に関わらず発症する可能性があるため注意が必要です。治療法としては生活習慣の改善、薬物療法が中心となります。妊婦は薬の使用に制限があるため、逆流性食道炎の治療を行う必要がないように心がけたいですね。

逆流性食道炎と食事の関係

逆流性食道炎は食生活と深い関わりがある病気です。脂肪分の多いもの食べると分泌されるホルモンの働き、胃酸の増加により胃液の逆流が起こりやすくなるといわれています。また、たんぱく質の多い食事は消化に時間がかかることで胃の内容物の逆流が起こることがあります。

食事での逆流性食道炎の予防法としては、たんぱく質や脂肪分の多い食事を控える、胃酸を増やしたり胸焼けを起こしたりする甘いもの・香辛料・酸味の強いもの消化の悪いものを控えると良いでしょう。食べ物だけでなく、飲み物では胃酸の分泌を増やすアルコール飲料・コーヒー・緑茶なども控えましょう。

逆流性食道炎により嘔吐がある場合、水分は意識的にとる必要があります。電解質バランス飲料・栄養バランス飲料・ジュースなどは、食事ができない場合の体力保持にも効果が期待できます。嘔吐がある場合の食事としては刺激が少なく消化が良いヨーグルトやうどんなどが良いでしょう。

妊婦が逆流性食道炎になりやすい時期はある?何科を受診する?

妊娠中は、つわりがある妊娠初期から中期ごろにかけて逆流性食道炎に注意が必要かもしれません。つわりの症状には個人差がありますが、食べづわりで過食になる、甘いものや消化の悪いものを食べすぎるといったことがあれば逆流性食道炎になる可能性はあるでしょう。つわりは人によって妊娠後期や臨月まで続く人がいたり、妊娠中の食事制限の反動で産後に過食になる人もいたりするため、時期や昼夜問わず、食べ過ぎには注意すると良いでしょう。

逆流性食道炎の疑いがある場合には病院を受診し、必要であれば検査してもらいましょう。一般的には逆流性食道炎であれば内科や胃腸科になりますが、妊婦には薬の制限などがあるため、まず産婦人科で相談してみると良いでしょう。かかりつけの内科などがある場合には妊婦である旨を明確に担当医に告げて診察を受けましょう。

逆流性食道炎に市販薬や漢方、ツボは効果が期待できる?

近年、日本でも増えつつある逆流性食道炎ですが、対処法としては生活習慣の改善と薬物療法、手術療法があります。市販薬にも胸焼けなどの症状を改善するためのものがありますが、市販薬は一部の症状に対して一時的な効果が期待できるものが多く、根本的な改善としての利用は難しいかもしれません。改善を目指すのであれば病院を受診し、適切な治療を受けましょう。

また妊娠中は胎児への影響などから服用できる薬が限定されます。妊娠中に飲めるとされる市販薬であったとしても、妊娠中は普段とは身体の状態が異なるため、まずは医師に相談・報告してから服用することが大切です。

薬のほかには、東洋医学の観点からツボ・漢方を活用することで改善を目指す方法もあるそうです。

逆流性食道炎で寝られないときの寝方におすすめはある?

逆流性食道炎により吐き気・胸焼けなどがある場合、食べ物や唾液が気管に入らないように原則、姿勢は横向きにしましょう。あおむけの姿勢しかとれない場合には顔だけでも横向きにするようにしましょう。逆流性食道炎の症状の影響により眠れない場合でも、安静を心がけましょう。嘔吐や吐き気・胸焼けは身体的につらいだけでなく、長引くことで精神的にもつらくなる場合があります。室内は静かで暗い状態に保ち、ときどき空気を入れ換えましょう。

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つわりとの区別が難しい逆流性食道炎!無理は禁物

逆流性食道炎と妊娠中のつわりは胸焼け・嘔吐といった症状が共通しており、自分で判断するのは難しいかもしれません。嘔吐や吐き気は身体的にも精神的にもつらい状況が続くことがあるため、まず無理をしないことが重要です。特に妊娠中はさまざまな変化から不安になることが多いものです。症状が長引く、症状がひどいといったことがあれば、はやめに病院に相談することで、不安を少しでも軽減し、ストレスを和らげましょう。

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