【産婦人科医監修】つわりを軽減したい!つらいつわりを和らげる方法とは?
妊娠初期は身体が急激に変化する時期で、多くの妊婦さんがこの時期に何かしらのつわりの症状に悩まされているのではないでしょうか。安定期に入るとつわりはらぐことが多いのですが、今このときのつらさを少しでも軽減する方法が知りたいですよね。つらいつわりを和らげる方法について、つわりの種類別の対策を体験談も交え解説します。
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目次
つわりとは
つわりは、妊娠初期にあらわれる不快な症状のことで、多くの妊婦さんが経験しています。
ままのて編集部がままのてユーザー426人に、妊娠中つわりがあったかどうかアンケートしたところ、85%が「ある」と回答しました。また、21%の人が「かなりひどかった」と答えています。
つわりの出方には個人差があるものの、つらいつわりに悩む妊婦さんは決して少なくないようです。
つわりの原因
つわりの原因は、実はまだよく解明されていません。人によって症状に違いもあり、なかにはまったくつわりがないまま出産する人もいます。つわりの原因として考えられているのものは以下の通りです。
□妊娠による自律神経の乱れ
□hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の急激な分泌によって脳の嘔吐中枢が刺激される
□身体が赤ちゃんを異物とみなすためのアレルギー反応
つわりはいくつかの要因が組み合わさって起こるという考えもあり、「つわりはこれをしたら和らぐ」という方法が確定的に示されていないのが現状です。しかし、つわりをコントロールするための対処法がまったくないわけではありません。いくつかの方法を試しながら、自分にあった対策をみつけて、つわりを軽減していきたいですね。
つわりはいつからいつまで続く?
多くの人が妊娠5週目あたりからつわりを感じ始め、妊娠8~11週あたりをピークとし、妊娠16週目以降におさまっていくと感じていました。これは、妊娠中期になって胎盤が完成することで身体が安定することも関係しているようです。
しかし、なかには妊娠超初期の着床時からつわりが始まる人や、出産までつわりが続いていた人もいます。つわりが長く続いていると、いつ終わるのか予想もできなくてつらくなってしまいますが、絶対に終わりが来るものなので、前向きに乗り切ってくださいね。
種類
つわりの種類は人それぞれで、症状の度合いもさまざまです。多くの妊婦さんに起こるつわりとしては、吐き気を感じたり嘔吐したりする「吐きつわり」があります。その他、お腹がすくと吐き気がひどくなる「食べつわり」、特定のにおいに敏感になる「においつわり」、よだれが過剰に出る「よだれつわり」といった症状も一般的です。
また、「眠りつわり」「痰つわり」「げっぷつわり」「胃痛」「肌荒れ」「鼻炎」などに悩む人もいます。妊娠前に弱かった身体の部分でつわりの症状が強く出たという人も多いようです。
少数派のつわりは周りに理解されにくく、余計につらく感じてしまうこともあるかもしれませんね。
つわりが悪化すると妊娠悪阻
つわりの症状が悪化すると「妊娠悪阻(おそ)」と呼ばれる治療が必要な状態になってしまいます。つわりと妊娠悪阻を明確に分ける基準はありませんが、一般的に「1日中嘔吐を繰り返す」「何も食べられなくなる」など、日常生活を送ることが困難なほどであれば、妊娠悪阻を疑いましょう。
妊娠悪阻を放置すると、摂食障害や脱水症状を起こし、母子の命に関わることもあるため、「つわりくらいで」と思わずに、すぐに受診してくださいね。
吐きつわりの軽減方法
食べられるときに食べられるものを食べる
つわりを感じる妊娠初期は、母体の栄養が胎児の成長に関わることはあまりないため、食べないと赤ちゃんが育たないと心配し過ぎる必要はありません。この時期だけは栄養が偏ることを考えず、食べられるときに食べられるものを口にすることがつわり軽減のポイントです。
「トマトしか食べられなかった」「○○のお店のスープが食べたい」など、極端なこだわりが出てくることもあるでしょう。体調にあわせて少しずつ食べてみてくださいね。
こまめに水分補給をする
吐きつわりがひどいと、食べ物だけでなく水を飲んでも吐き気を感じてしまうという人もいます。一度にたくさん飲む必要はないので、気が付いたときに少しだけ飲んでみたり、氷を舐めたり、フルーツを食べたりと、水分をとることを心がけてみてください。
あまりに吐き続けてしまうと、脱水症状になる危険もあるので気を付けましょう。口が渇く、肌が乾燥する、トイレの回数が減るなどの症状は、脱水の初期症状かもしれません。妊娠悪阻の可能性もあるので、医師に相談しましょう。
炭酸飲料を飲む
炭酸飲料はつわり軽減の方法のひとつとしてよくあげられます。炭酸飲料で口の中はさっぱりするので、一時的につわりが軽減されるようです。ただし、甘い炭酸飲料を飲み過ぎると、糖分のとりすぎになってしまうので気を付けましょう。
生姜を食べる
生姜は吐き気を和らげるともいわれており、吐きつわりを軽減する効果が期待できます。生姜には、吐き気を引き起こす神経伝達物質の「セロトニン」の働きを妨げる「ジンゲロール」という成分が含まれています。生姜は身体を温めたいときや、胃腸の調子を整えたいときにも向いているので、つわりの時期の強い味方になりそうです。
料理はもちろん飲み物に加えてもおいしくいただくことができます。一度に生姜をたくさんすりおろして板状に冷凍しておくと、使いたいだけ折って使えるのでおすすめです。
ビタミンB6を含む食べ物を食べる
妊娠悪阻の治療に使う点滴にはビタミンB6が含まれていますが、普段からビタミンB6を含む食べ物を積極的に食べて、吐きつわりを軽減しましょう。妊娠中の吐き気は、「トリプトファン」というアミノ酸の一種が代謝不良を起こすことで悪化するとされています。ビタミンB6はアミノ質の分解と合成をサポートするとされており、吐きつわりを和らげるのに効果的です。
ビタミンB6などのビタミンB群は、どれか一種類だけ摂っても効果があらわれにくく、複数を一緒に摂ることで体内で効率的に働くとされています。ビタミンB6はビタミンB2と一緒に摂取することで、効果をより発揮しやすくなります。
ビタミンB6が多く含まれる食品は、「ピスタチオ」「バナナ」「カブ」「鶏肉」などです。「まぐろの刺身」にも多く含まれているようですが、メチル水銀という有害物質が胎盤を通して胎児の成長に悪影響を与えるため、食べ過ぎに気をつけましょう。また、ビタミンB2を多く含む食品は「レバー」「納豆」「牛乳」などです。
食べつわりの軽減方法
少量ずつ小分けにして食べる
食べつわりの人が気にしたいのはやはり体重増加です。普段と同じ量の食事を食べ続けてしまうと、妊娠後期の体重管理がとても大変です。お腹が空くと気分が悪くなるので、1日5食にするなどして、少量を少しずつ食べていきましょう。
飴やガム、氷など、口の中に長く入れておける食べ物も、食べつわりの人に好まれています。
すぐに食べられるものを常備しておく
食べつわりの人は空腹になることを避けるのがつわりの軽減になります。おにぎりやパン、クッキーなどすぐに食べられるものを常に持っておくと安心ですね。特に、寝起きすぐの空腹はつらいものです。枕元に、目覚めてすぐに口に入れられるようなミニおにぎりなどを用意しておくと安心です。
脂肪の多い食事やカフェインは避ける
食べつわりで食べ過ぎると、かえってつわりを悪化させてしまうのは、脂肪分の多い食事や刺激物、カフェインです。特にカフェインは妊娠中の過剰摂取に気を付けましょう。
食べ過ぎによるカロリーオーバーや、のちの体重増加も考慮する必要があるので、できるだけヘルシーな食べ物の摂取を心がけておくと良いですね。野菜スティックやローカロリーのゼリーなどを食べていたという声もありました。
においつわりの軽減方法
苦手なにおいを把握する
人によって苦手になるにおいは違います。どんなにおいがつわりを引き起こすかをまず把握し、できるだけ関わらない生活をすることがつわり軽減のポイントです。においつわりの人が苦手なにおいワースト3は「タバコ」「キッチン関係」「生鮮食品」でした。皆さんはいかがでしょうか。
しかし、料理をするときや、スーパーの生鮮売り場を通るときなど避けられないこともあるかもしれません。どうしてもつわりを引き起こすにおいのある場所に行かなければならないときは、マスクをするなどの対処をしましょう。
筆者はにおいつわりで苦しみましたが、すっきりした好みの香りのアロマオイルをマスクに垂らす方法でつわりの症状が和らぎました。
食事は冷ましてから食べる
ごはんの炊けるにおいがつらいという話はよく聞きますね。食事は温かいほうがにおいが強いので、冷ましてから食べるとつわりの軽減になります。ざるうどんなどの冷たい麺類など、においの少ないものを選んで食べることもおすすめです。
筆者はめんつゆのにおいもダメだったので、野菜サンドをよく食べていました。サンドイッチはにおいが少なくて食べやすいですよ。
アロマオイルを活用する
苦手なにおいを軽減するためにアロマオイルを使うことも、においつわりに効果的です。専用のアロマグッズがない場合でも、マグカップにお湯とオイルを入れるだけでも十分に香りを楽しめます。お風呂に入れてリフレッシュするのも良いですね。
ただし、アロマオイルの中には妊婦さんが使えないものもあるので、選ぶときに注意してくださいね。
よだれつわりの軽減方法
さっぱり味の飴や飲み物を常備する
よだれつわりを和らげるために、飴やガム、飲み物を使うのは手軽にできる方法です。さっぱりした味のものを選ぶと口の中もすっきりしますよ。ジュースはカロリーオーバーにならないようなものを選んでくださいね。
また、身体を温めるとよだれが減るという意見もありました。もし温かい食事のにおいが気にならないつわりなら、身体を温める食事をとるとよだれも軽減されるかもしれません。
たまった唾液を吐きだせるペットボトルを持ち歩く
よだれが多くなってくると、家の中はもちろん外出時や仕事中はとても大変です。ホルダーなどに入れて中身を隠したペットボトルを持ち歩き、よだれを出せるようにしておくと安心です。
家の中限定になりますが、チラシで折った紙袋にティッシュを詰め、よだれをしみこませて捨てているという声もありました。そばに常に吐き出せる容器を置いて対処していきましょう。
こんなつわり軽減法も試してみて
その他にもつわりを軽減させるいろいろな方法があります。自分のつわりの症状にあわせて試してみてくださいね。
ハーブティーを飲む
つわり軽減にすっきりとしたハーブティーを飲んでみませんか。つわりを和らげてくれるといわれているのが「ミント」「ローズヒップ」「レモンバーム」「ジンジャー」などです。
つわり軽減のマタニティブレンドの商品もたくさん販売されています。好みにあったハーブティーを見つけられると良いですね。
英国ハーバリストと妊産婦ケアの専門家が開発した、ノンカフェインの英国オーガニック認証のハーブを使用したマタニティブレンドです。ティーバッグタイプで持ち運びが便利なので、自宅でも職場でも楽しむことができますよ。日本国内の工場でブレンド・製造されている点も心強いですね。 ハイビスカス、ネトル、ローズヒップなどの8種類のこだわりの英国オーガニック認証のハーブを使用しています。そのまま飲んでもおいしいですが、豆乳を入れるとまろやかな味が楽しめますよ。
休めるときはきちんと休む
当然のことですが、無理をしないで休むことはとても大切です。安定期に入るまで周りに妊娠したことを黙っておきたいという人もいるでしょうが、頑張りすぎると、つわりはもちろん切迫流産の危険もあります。
つわりがきついときは、早めに妊娠を公表するのも良いのではないでしょうか。理解して協力してもらえるようお願いし、いつもの半分という気持ちで過ごして頑張りすぎないようにしてくださいね。
仕事のやり方や勤務形態を工夫する
ストレスはつわりの原因のひとつともいわれています。そこで、仕事上でストレスや緊張を感じることが多い場合は、仕事内容を調整したり、勤務時間を工夫したりすることが大切になります。つわりの症状によっては、医師に「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を記載してもらうと良いでしょう。
母健連絡カードは、「つわりの症状が重く勤務時間を短縮したほうが良い」「においがきつい、換気が悪いなど、つわりの症状を悪化させる作業を制限したほうが良い」といった必要な措置を会社に伝えるために利用する書類です。この指導内容に沿って、会社は対応しなければなりません。きついつわりで仕事中もつらさが続くときは、医師に相談してみましょう。
ゆったりとした服装を心がける
身体を締め付ける服装もつわりを悪化させやすいものです。身体を楽にできる服装を心がけるのもつわり軽減につながります。特にお腹周りをゆったりさせることを意識してみてください。
お腹が出ていないからまだ早いと思わずに、マタニティウェアやインナーも早めに着てみてはいかがでしょうか。インナーを妊婦用のものに替えるだけでも、ずいぶんと楽になりますよ。
適度な運動をする
家にこもっていると体調とともに気持ちまで下向きになりがちです。適度に動いてみることで、つわりも軽くなることがありますよ。
ツボを押す
手の内側、手首のしわの部分から指三本分下がったあたりに、つわりを和らげるとされる「内関(ないかん)」というツボがあります。つわりや吐き気が気になるときに試してみるのも良いかもしれません。
足湯をする
冷えがつわりを悪化させ、身体を温めるとつわりが軽減するといわれているので、身体を温めることを心がけてみてください。とはいえ、吐きつわりやにおいつわりで温かい食事を避けたいという人もいるでしょう。
つわり軽減のために温かい食事は避けたいという人には、少し熱めのお湯での足湯がおすすめです。また、普段からレッグウォーマーや靴下などで足元を温めると良いですね。
気を紛らわせる
つわりに悩んだ多くの先輩ママが「つわりに一番効いた」というのが、「気を紛らわせること」です。ゲームや映画にはまっているあいだは気分も良かったという声がとても多いです。
趣味に没頭したり好きなことをしたりして、つわりを忘れてしまいましょう。今だけだと思って、存分に趣味を満喫して過ごしてくださいね。
つわり軽減に関する体験談
筆者は3回妊娠・出産しましたが、それぞれ異なるつわりの症状が出ました。1人目妊娠中のつわりは食べつわりです。カレーライスにはまって毎食カレーを食べていたせいで、体重がものすごく増えてしまい、妊娠後期の体重管理がとても大変でした。
2人目の妊娠では、上の子のお世話をしながらのにおいつわりがありました。子どもには、独特のにおいがありますよね。食事の片付けやよだれやおむつの処理がとてもつらく、吐きながらマスクをして行なっていました。
3人目の妊娠では食がとても偏ってしまい、ずっとサンドイッチを食べていました。カレーに比べてヘルシーだったのは良いのですが、ごはんを食べたくなかったので、子どものお弁当までサンドイッチでした。
そして、3人とも共通して痰つわりで非常に悩みました。痰つわりはあまり多くの妊婦さんにないつわりだと思います。理解されにくい上に出産まで続き、人前でも常に咳払いばかりしているのが気になってとても嫌でした。病院に行っても妊婦なので診られないと言われてつらかったです。
ただ、どれも時期がきたら不思議と忘れてしまうし、いつのまにかなくなるものなので、皆さんも安心してください。
自分のつわりのタイプを知って対策をとろう
つわりの軽減方法に効果があるかは、個人差が大きいところです。つわりの症状は人それぞれで、重い人にとっては本当に先の見えない闇だと感じる時間だといえます。経験者でなければ理解されにくいことも多く、気分も憂鬱になってしまいますよね。心ない言葉に傷つくこともあるかもしれません。
つわりは時期がきたら必ず終わるものですが、無理やりに終わらせることはできません。自分にどんなつわりが出るかを早めに見極め、自分にあった対策を見つけることが一番の軽減方法になるでしょう。
つわりが終わっても、妊娠生活はまだまだ続きます。無理をしないで自分の身体と向き合っていきましょう。
※この記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。