【体験談】つわりに点滴は効果がある?つわり中の点滴の成分と効果とは|産婦人科医監修
つわりの症状に悩まされている妊婦さんは多く、日常生活に支障をきたしてしまうケースも少なくありません。つわりが重症化してしまったときには、点滴をしてもらえることがあります。つわりに点滴は効果があるのか気になりますよね。ここでは、つわりの際の点滴の成分と効果、気になる費用について体験談を交えて産婦人科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
「つわり」の症状や原因は?ピークの週は?
つわりの症状はさまざま
つわりは、多くの妊婦さんが妊娠初期のときに体験するものですが、症状は人によってさまざまです。まずは代表的なつわりをいくつかご紹介します。
■吐きつわり
つわりのなかでも多くの妊婦さんが経験するのが吐きつわりです。吐き気を覚える程度のこともあれば、吐き気がのど元までこみあげることが続いたり、寝ているとき以外はずっと吐いていたりという状態になることもあります。
■食べつわり
常に何かを食べていたいのが食べつわりです。空腹になると特に吐き気を感じやすく、寝起きは空腹感から吐き気が強くなる傾向にあります。しかし、満腹を感じないのかというとそうではありません。お腹いっぱいになるまで食べると、かえって気分が悪くなることもあります。
■においつわり
嗅覚が敏感になって、あらゆるにおいを受け付けなくなるのがにおいつわりです。においをきっかけにそのまま吐いてしまう、吐きつわりとの合併型の人もいます。
■よだれつわり
たえず口の中が唾液でいっぱいになってしまうのがよだれつわりです。唾液の分泌が盛んになる一方で、自分の唾液が苦く感じたり不快感があったりして飲み込めないという症状に見舞われます。
■眠りつわり
胃腸症状以外のつわりとして、悩んでいる声が多く聞かれるのが眠りつわりです。医学的な用語ではありませんが、一日中眠気がつきまとい、強い倦怠感や集中力の低下などをもたらすため、精神的・身体的につらいつわりのひとつと言えます。
つわりの原因
つわりの原因はまだはっきりと解明されていません。しかし、つわりの時期にはhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が大量に分泌されています。そのため、hCGホルモンが大量に分泌されることによって卵巣でのエストロゲンの分泌が増え、つわりを引き起こしているのではないかと考えられているのです。また、精神的なストレスやビタミンB6欠乏もつわりの原因になるといわれています。
つわりのピークは8~9週
つわりは、早い方では妊娠4~6週頃に始まり、妊娠8~9週頃にピークを迎えることが多いです。つわりの症状が長く続く妊婦さんも少なくありませんが、ピークの状態がずっと継続するということはあまりありません。
つわりが終わる時期は個人差が大きい
妊娠12~16週頃にはつわりが治まってくる妊婦さんが多いでしょう。この時期になると胎盤が完成し、hCGホルモンの分泌が減少するからではないかといわれています。ただし、つわりの終わる時期は個人差が大きく、早い時期に終わる人もいれば、出産するまで続くという人もいます。
つわりで点滴を打つ目安
水分すら摂れない
つわりによって点滴を打つときのひとつの目安は、きちんと水分が摂れているかどうかです。つわりのせいで1日中吐いてしまい水分すら受け付けなくなると、脱水症状を引き起こす危険があります。中には、軽く吐血をしてしまう人もいるようです。
また、トイレの回数の減少も脱水症状を見極めるポイントとなります。つわりのときは、脱水症状のサインも見逃さないようにしたいところです。
日常生活が困難
つわりのせいでふらふらしてしまい、日常生活に支障が出るときも、点滴を受ける対象になることがあります。「つわりなのだから仕方ない」と我慢せず、医師に相談してみてくださいね。
体重減少
つわりの最中に体重が減少してしまう妊婦さんも少なくありませんが、3kg以上減ってしまったときには注意が必要です。つわりの症状が持続し、脱水や代謝異常がひどくなると「妊娠悪阻」という病気となり、入院治療が必要となることも珍しくないのです。脱水が進むと「深部静脈血栓症」となり、命にかかわることもあります。
つわり中の点滴の成分とは
基本の成分
以下は、つわりのときに打たれる点滴の基本的な成分です。
・水分
・ブドウ糖
・電解質(特にカリウムとクロール)
・ビタミン(特にビタミンB1、ビタミンB6)
赤ちゃんへの影響は気にしなくて大丈夫
点滴を受けるときにどうしても気になってしまうのが、お腹の中の赤ちゃんへの影響です。しかし、つわりの際の点滴には、身体に害のあるものは含まれていないので、安心してくださいね。
医師の判断によって吐き気止めを投入されることも
つわりによって吐き気があまりにも強い場合は、吐き気止めが加えられることもあります。もちろん、お腹の中の赤ちゃんに影響はない成分なので、心配し過ぎる必要はありません。
ただし、吐き気止めを入れてもらったからといって、吐き気がまったくなくなるというわけではないようです。つわりの最中の点滴は、つわりの症状を抑えるためではなく、脱水症状や代謝異常を改善するために行うということを頭に入れておきましょう。
つわり中の点滴は保険がきくの?
基本的には全額自己負担
つわりは病気ではないため、健康保険の対象外で、全額自己負担です。病院によって費用は異なりますが、1,000円程度というところが多いようです。
妊娠悪阻と診断されると保険が適用される
つわりは健康保険対象外ですが、症状が悪化して「妊娠悪阻」と診断されると、病気とみなされて保険の対象となります。
妊娠悪阻と診断されるのは、以下のような場合です。
・悪心が持続して頻繁に嘔吐し、高度の体重減少と脱水をきたす
・乏尿
・血液濃縮
・便秘
・尿の状態が悪い(ケトン尿、低カリウム、低クロール性アルカローシス)
入院が必要となるような妊娠悪阻と診断される妊婦さんは、全体の1~2%といわれています。
つわり中の点滴に関する体験談
つわり中に点滴を打ってもらえる目安は、病院によって異なります。そのため「このくらいのつわりの症状なら点滴は打ってもらえないかな」と我慢せずに、自分がつらければ一度医師に相談してみてください。
妊娠が判明したころからひどいつわりがありました。一日中船酔いのような状態が続き、仕事も休むことになりました。いよいよ水分も摂れなくなり、産婦人科で点滴をしてもらうことに。
つわりがひどいころは思うように身体が動かず自己嫌悪におちいり毎日泣いていました。しかし、妊娠週数が順調に進むにつれて徐々に回復し、安定期に入ったころは仕事も復帰できました。
上の子のときもとてもひどいつわりがありました。しかし二人目の妊娠中はさらにつわりがひどく、水分を飲んでも吐いていたため点滴を打つことになりました。点滴を打つと少し気分が楽になりましたが、それでもつわりのつらさは変わりません。結局、体重が7kg減りました。
しかし、安定期に入ってからつわりがぴたりと止まり、食欲も旺盛に。あれだけつらかったつわりですが、いつか終わりがくるというのは間違いではないなと感じています。
妊娠中、1日に何度も吐いてしまい、つわりがつらくて仕方がありませんでした。しかし、つわりがどの程度のつらさなのかわからなかったので「みんなこのくらいのつわりの症状を耐えているんだ」と思い込んで医師に相談しませんでした。
今振りかえってみると、かたくなに我慢せず医師に相談だけでもしてみれば良かったかもしれません。そうすれば、もう少し余裕をもってつわりの時期を過ごせたかもしれないなと思います。
つわり中の点滴は、量が多いこともあって時間がかかってしまいます。人によっては、点滴の最中にもつわりの症状に苦しめられてしまうことがあります。
つわりの点滴自体が苦痛に感じる人もいます。また、抹消の静脈からの点滴では水分は補えても、栄養はまだまだ足りません。どうしてもつわりの点滴がつらい場合は、医師に相談し、入院させてもらえないか聞いてみても良いでしょう。精神的なストレスからつわりの症状が悪化している場合は、入院して環境が変わるだけでも良くなることもあるようです。
脱水症状を引き起こす前に、病院に相談を
特に初めての妊娠の場合、つわりの症状がどういうものなのかがわからず、ついつい我慢をしてしまいがちです。ただし、つわりの症状を我慢し続けると代謝異常を引き起こし、母子ともに命の危険にさらされてしまうことも考えられます。
「この程度で点滴なんて受けられないだろう」と自己判断してしまわず、まずは医師につわりの症状を相談しましょう。また、1日の嘔吐の回数やトイレの回数、体重の変化をあらかじめメモしておくと役立ちますよ。
※この記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。