ついに「つわり」の原因が解明!ホルモンが関係していた?最新の研究発表の内容とは

多くの妊婦さんが経験している「つわり」ですが、その原因は長いこと不明とされてきました。しかし、つわりの重症度につながるホルモンが特定されたという研究成果が海外で報告され、話題となっています。つわりの症状改善につながるかもしれない今回の発表について解説します。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. つわりに関する新たな研究結果が発表
  2. 成長分化因子15 (GDF 15)とは?
  3. つわりの重症化を予防できる可能性も
  4. つわり対策の前進に期待しよう
  5. あわせて読みたい

つわりに関する新たな研究結果が発表

2023年12月、国際的な総合科学ジャーナル「Nature」に、つわりの原因について興味深い研究成果が発表されました。

この研究はイギリスのケンブリッジ大学の研究チームが主導したもので、妊娠中の女性の70~90%(※1)が経験する吐き気や嘔吐といったつわり症状に、GDF15(成長分化因子15)というホルモンの値が関連していることを示す研究論文が掲載されています(※2)。

原因となるGDF15がどのように身体に影響しているのか、つわり対策がどのように変わる可能性があるのかをみていきましょう。

成長分化因子15 (GDF 15)とは?

成長分化因子15(Growth Differentiation Factor 15;GDF 15)は、妊娠中に限らず産生されているたんぱく質の一種で、食欲や吐き気などを制御している「脳幹」に作用するホルモンです。

今回の研究で妊娠初期から妊娠13週6日までの妊婦さんを対象にGDF15の値を調べたところ、吐き気や嘔吐の症状が強い人ほどGDF15値が高いことがわかりました。

さらに胎盤やママの血液を分析した結果、そこに含まれるGDF15はそのほとんどが胎盤を通じて胎児からママに送られた胎児由来のものであることが判明しています。

つわりの重症化を予防できる可能性も

妊娠期間を通じて、妊婦さんの血液に含まれる胎児由来のGDF15は増加します。このとき、妊婦さんの身体がGDF15に敏感に反応すると、吐き気や嘔吐のつわり症状が強く出ます。

GDF15に対して反応しやすいことを「感受性が高い」といいます。そして、妊娠前のGDF15値が低いほど、胎児由来のGDF15に対する感受性が高くなり、吐き気や嘔吐の症状が強く出ることが今回の報告で示されました。

妊娠前のGDF15の値が低いと、妊娠悪阻のリスクも高まるとされています。反対に、妊娠前からGDF15値が高い人は、妊娠中に吐き気や嘔吐があるとする報告の頻度が非常に低かったといいます。

GDF15は加齢やがん、炎症、喫煙などの後に上昇します。これに加えて、糖尿病の治療薬である「メトホルミン」など、一部薬剤により上昇することが知られており、投薬により妊娠前からGDF15値をコントロールすることでつわりの重症化が避けられると期待されています。

つわり対策の前進に期待しよう

妊娠中に吐き気や嘔吐が続くと、とてもつらいですね。しかし、つわりは原因が不明とされていたことから、「気持ちの問題」などといわれてしまうこともありました。

吐き気や嘔吐の原因にGDF15の値が関係している可能性を示唆した今回の研究成果は、妊婦さんや妊娠を望む人にとって朗報といえるのではないでしょうか。今後つわり対策が進み、妊娠初期から安定して生活できることを期待したいですね。

※この記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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