破水と尿漏れの違いは?わからないときの見分け方はある?|産婦人科医監修
産婦人科医監修|初産婦のママは破水がどのように起こって、どんな感覚なのか気になるところですよね。尿漏れと区別がつくのか不安だったり、破水だと気づかなかったらどうしようと思ったりすることもあるかもしれません。ここでは破水のメカニズムや尿漏れとの見分け方について解説します。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
破水とは
胎児を包んでいる卵膜が破れ、子宮内の羊水がママの体外に流れ出ることを「破水」と言います。自然分娩では赤ちゃんが産まれる前に必ず起こります。一般的には陣痛が始まった後、子宮口が全開大になった時点で起こり、これを「適時破水」と呼びます。
しかし、破水が起こるタイミングには個人差があり、陣痛前に破水することも珍しくはありません。陣痛が始まってから子宮口が全開大になるまでに破水が起こることを「早期破水」、陣痛が始まる前に破水が起こることを「前期破水」と呼びます。
前期破水が起こると、24時間以内に陣痛が始まるといわれています。感染などのリスクがあるため、医師の管理の下、病院で陣痛を待ちますが、場合によっては陣痛促進剤を用いて陣痛を促すことがあります。
破水の特徴
破水が起こると、生温かい液体が腟から流れ出る感覚があります。流れ出る羊水の量は個人差があり、ブチっと音がして大量に流れ出る人や、少しずつ漏れてくる人、出血を伴う人などさまざまです。
卵膜の破れる位置によっても、羊水の流れ出る量は変わります。通常は、子宮口近くの卵膜が破れ、栓が抜けたように一気に多くの羊水が流れ出ます。これは「完全破水(低位破水)」と呼ばれています。
しかし、子宮の高い位置が破れた場合は「高位破水」と呼ばれ、小さな穴からチョロチョロ少量ずつ羊水が流れ出ます。高位破水は量が少ないため尿漏れと見分けがつきにくく、ママが破水だと気づかない可能性もあります。
尿漏れの特徴
破水は、流れ出る量を自分の意志でコントロールできないことが多いですが、尿漏れは少量出て止まったり、自分の意志で止めたりできるケースがあります。
流れ出た液体の色や、においの特徴で尿漏れだと気づくママもいます。尿漏れの場合、色は黄色みを帯びていて、においはアンモニア臭を感じることが多いでしょう。しかし、排出された液体の量が少ないと尿漏れの特徴に気づきにくいかもしれません。気になる場合は、かかりつけの病院で相談してみましょう。
破水と尿漏れの違い・見分け方は?
色、におい
一般的に、羊水は無色透明か、ほんの少しだけ白っぽい色であることが多いです。おしるしが混ざっているときはピンクや薄い茶色に見えることもあります。尿は黄色っぽい色をしているので、色の違いで見分けることができるかもしれません。
ただし、透明に近い尿もありますし、羊水が黄色や緑に近い色になる「羊水混濁」が起こることもあるので、色だけで判断するのは難しいこともあるでしょう。
においで区別したい場合は、尿はツンとしたアンモニア臭、羊水は少し生臭いにおいが特徴的であることを覚えておくと良いでしょう。しかし、においの感じ方は個人差が大きいので、判断しづらいこともあります。
量
妊娠22週~39週のママの羊水量は、平均777mL程度といわれています。500mLペットボトルより少し多いぐらいの量ですね。しかし、どのくらいの量が流れ出るかは個人差があり、生理用ナプキンで対処できるママもいれば、床がビショビショになったというママもいます。
破水は流れ方にも個人差があります。一気に大量の羊水がドバっと出ることもありますし、少量の羊水がチョロチョロと流れることもあります。
尿漏れの場合は肛門付近に力を入れると止まることもありますが、破水は自分で止めるのが難しいといわれています。また、動くたびに生温かい液体が出てくるようであれば破水の可能性があるでしょう。
BTB試験紙
流れ出てきたものが尿なのか羊水なのかをリトマス試験紙で調べる人もいるようです。羊水はpH7.6~7.7の弱アルカリ性で、正常な尿はpH6.0の弱酸性です。アルカリ性なら赤いリトマス紙が青になり、酸性なら青いリトマス紙は赤になります。
しかし、おりものや腟内の分泌液の影響を受けることもあり、自分で確認するのは難しいかもしれません。病院では、pHを測定できるBTB試験紙を用いて腟内のpH変化を測定することがあります。自分だけで判断するのは避けて、不安なときは病院で検査してもらいましょう。
判断できないときは病院へ
出産が近くなると胎動が減ることがあります。しかし、胎動の増減には個人差があり、赤ちゃんが生まれるギリギリまで強い胎動を感じる人もいるので、胎動の有無で破水かどうかを判断するのは避けたほうが良いでしょう。
また、液体が止まらず流れ出続ける状態であれば破水、そうでなければ大丈夫と考えてしまうのも危険です。赤ちゃんの頭が蓋になり、破水をした後でもママの身体の外に羊水が排出されない可能性があるからです。
尿漏れか破水か判断できず気になったときは、遠慮せずに病院に相談してみましょう。きちんと検査を受けておけば安心ですよ。
尿漏れしやすい傾向の人は?
骨盤底筋が緩んでいる人
骨盤底筋は子宮や膀胱を支えている筋肉です。尿や便の排泄に大きく関わっています。この骨盤底筋で尿道を閉めたり開いたりするので、筋力が弱くなると尿漏れが起こりやすいといわれています。
咳やくしゃみをすると、瞬間的に腹圧が高くなります。腹圧がかかると、本来は骨盤底筋が膀胱と尿道を支え、尿道が閉まって尿漏れを防いでくれます。しかし骨盤底筋が弱まっていたり緩んでいたりすると、とっさに尿道を閉められない場合があるのです。
骨盤底筋群が緩む原因のひとつは、出産といわれています。妊娠中に緩んだ骨盤底筋は、出産後にゆっくりと元に戻っていきますが、難産で骨盤底筋に負担がかかったり、修復が間に合わなかったりする場合もあります。
経産婦は、尿漏れのリスクが比較的高いといえるでしょう。また、加齢や女性ホルモン濃度の低下、肥満などが骨盤底筋の緩みにつながることもあります。骨盤底筋は、体操やストレッチで鍛えることが可能なので、気になる方はそうしたトレーニングを日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
妊娠中の人
妊娠すると、さまざまなホルモン分泌が変化します。そのなかでも、黄体ホルモン(プロゲステロン)には、分娩に備えて骨盤を広げ、骨盤底筋を柔らかくする働きがあるといわれています。
ホルモンの影響で妊娠中は骨盤底筋が緩みやすく、子宮などの内臓が下がり、膀胱が圧迫されて尿漏れが起こりやすくなることがあります。また、週数が進むにつれ、子宮が大きくなるため、膀胱を強く圧迫して尿漏れにつながることもあるようです。
尿漏れだけではなく、妊娠中は膀胱が刺激され、頻尿になる可能性もあります。トイレが近かったり、何度トイレに行っても残尿感があったりする症状です。尿漏れや頻尿が気になるときは担当の医師に相談してみても良いですね。
破水や尿漏れに関する体験談
筆者は妊娠中の尿漏れに苦しみました。一人目のときも尿漏れがありましたが、やはり二人目のときのほうがひどかったです。ちょっとした咳やくしゃみでチョロっと漏れてしまうので、薄めのナプキンは常につけていました。蒸れが気になるときは布ナプキンを試したこともあります。使い心地が良かったので、産後も布ナプキンは愛用しました。
陣痛より先に破水が起こるケースを考えて、臨月に入ってからは、厚めのナプキンや尿漏れパッドをカバンに入れていつも持ち歩いていました。結局、陣痛が先になったので、破水は分娩台の上で起こりました。いきんだ瞬間ブチっと音がして、水風船が破裂したときのようにバシャっと羊水が出て股間が温かくなったのを覚えています。買いそろえたナプキンやパッドは、産後の悪露(おろ)用に使用したので、無駄にはなりませんでしたよ。
破水や尿漏れに備えるためのおすすめグッズ
尿漏れパッド
臨月に入ると、いつ破水や尿漏れが起こるかわかりません。とくに破水の際は薄めのナプキンでは対処しきれない可能性があります。破水が起こった後は清潔なナプキンをつけて病院に向かうようにしますが、羊水の量が多いと横漏れして車のシートを汚す可能性があります。
そんなときに安心のアイテムが、尿漏れ用のパッドです。パンツタイプは、ごわごわするとともに持ち運びにくいので、おすすめはパンツにつけるタイプです。ひとつ備えておけば、急な破水や移動でも安心ですよ。
●内容量:24枚入り
防水シーツ
破水に備えて、出産準備品のひとつとして防水シーツを用意しておくと安心です。防水シーツはカバーする範囲が広いため、病院へ向かうときの車やタクシー乗車時に使うことができます。
産後も、赤ちゃんのおむつ替えのときなどに利用できるので、無駄にはなりませんよ。ペットシーツが余っているようなら、それでも代用可能です。
●内容量:8枚入り
●サイズ:約120×120cm
破水か尿漏れかわからない場合は?
トイレで排尿をしていて自分の意志で止められなくなった、歩いているといつの間にか下着が濡れていたなど、破水か尿漏れかわからない状況があるかもしれません。その場合は、迷わずに病院に連絡し、速やかに診てもらったほうが良いでしょう。新しい清潔なナプキンをつけて、念のために濡れた下着などはビニール袋に入れて持っていくと良いですね。
検査の結果、勘違いや間違いであっても構いません。病院側も温かく励ましてくれるはずですよ。不安な気持ちはストレスにつながります。リラックスしてお産に臨むためにも、わからないことや不安なことは産院に確認するようにしておきましょう。
破水や尿もれのおすすめグッズを楽天・Amazonでチェック!
楽天・Amazonで他の破水や尿もれにおすすめのグッズを探したい方は、以下のリンクを参考にしてください。
破水だと思ったらすぐに産院に連絡を
破水が起こるタイミングは人それぞれです。尿漏れと区別がつかないこともありますが、迷ったときは病院に連絡して指示を仰ぎましょう。事前に防水シートなどを用意しておけば、いざというときも冷静に対処できるかもしれませんね。