前期破水とは?原因や症状、早期破水との違いや陣痛までの流れは?

前期破水とは、陣痛がくる前に破水してしまうことを言います。前期破水が起こると、妊婦さんは突然のことでびっくりしてしまうかもしれません。しかし、出産では予期せぬことが起こるものです。ここでは前期破水の定義や症状、原因、リスク、対処法、予防法、そして早期破水との違いについて解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 前期破水とは?定義と症状
  2. 前期破水と早期破水の違いは?
  3. 前期破水の原因と確率は?
  4. 前期破水のリスクは?
  5. 前期破水から陣痛・出産までの流れ
  6. 前期破水は保険適用される?費用はどのくらい?
  7. 慌てないで冷静に対処を
  8. あわせて読みたい

前期破水とは?定義と症状

定義

破水とは、胎児を包んでいる卵膜が破れ、子宮内にあった羊水が体外に流れ出る状態を言います。子宮口に近い部分が破れる「完全破水」が一般的ですが、場合によっては子宮の上方で卵膜が破れる「高位破水」が起こることもあります。

破水が起こるタイミングの多くは、陣痛が始まって子宮口が全開大になった時点となります。これを「適時破水」と呼びます。なかには、陣痛が始まった後、子宮口が全開大になるまでのあいだに起こる破水もあり、これを「早期破水」と呼びます。

適時破水や早期破水とは違い、陣痛が始まっていない状態で破水が起こることを「前期破水」と呼びます。日本産科婦人科学会の定義では「分娩が開始する前に卵膜の破綻をきたしたもの」が前期破水です。前期破水が起こってから24時間以内に陣痛が始まることが多いようです。

症状 

前期破水は、陣痛が始まっていない段階で卵膜が破れ、羊水が腟から漏れ出る状態をさします。破水時の羊水のにおいは、少し生臭いのが一般的ですが、無臭と感じることもあります。羊水ではなく尿であればアンモニア臭がする可能性がありますね。

また、破水によって流れ出る羊水は、透明か、白っぽく濁った色をしています。おしるしなどが混ざっているときは、薄いピンクか茶色になることもあります。羊水が黄緑色か緑色に近い場合は、胎児の便が羊水と混ざる「羊水混濁」という症状の可能性もありますが、早産や妊娠38週以前では少ないとされています。

破水は一気に大量の羊水が流れ出ることもあれば、チョロチョロと少量ずつ漏れてくることもあり、尿漏れと区別がしにくいこともあります。破水は尿とは違い、自分でコントロールできないことが多いようです。

におい・色・量から、破水か尿漏れか判断がつかない場合も多いでしょう。迷ったときは、かかりつけの医師に相談するようにしてくださいね。

前期破水と早期破水の違いは?

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子宮口が全開大になったときに起こる「適時破水」よりも、早くに起こるのが「前期破水」と「早期破水」です。言葉は似ていますが、タイミングには大きな違いがあります。

覚え方としては、陣痛の後に起こるのが「早期破水」、陣痛の前に起こるのが「前期破水」です。陣痛が始まっているので、早期破水の場合は助産師や医師の管理の下、そのまま出産となることが一般的です。

陣痛前に起こる前期破水は、病院外で起こることも多く、医師の管理の下で起こった適時破水や早期破水よりも感染リスクは高いといえます。前期破水が起こった場合は、新しいナプキンなどをあてて、なるべく速やかに病院に連絡して診てもらうようにしましょう。




前期破水の原因と確率は?

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前期破水は、すべての妊娠のうち5~10%の確率で生じるといわれています。そのうち、約4割は妊娠36週以前、約6割は妊娠37週以降で破水が起こっています。何が原因で起こるのでしょうか。

卵膜の異常

前期破水の原因のひとつに、卵膜の異常が考えられます。細菌の感染などで卵膜の一部に炎症が起こると、卵膜のコラーゲンが脆弱化し、前期破水につながることがあります。卵膜異常に多いケースが、絨毛膜羊膜炎です。

絨毛膜羊膜炎は、腟からの細菌感染が広がり、お腹の赤ちゃんを包む卵膜にまで炎症が到達してしまう病気です。発熱、下腹部痛などの症状がある場合もありますが、自覚症状がまったくない場合もあります。胎児に感染してしまうリスクがあるため注意が必要です。

子宮内圧の上昇

子宮内圧が急激に上がることで前期破水につながることもあります。たとえば多胎妊娠(双子や三つ子)では、単体妊娠よりも子宮内圧が高い状態にあります。また、羊水量が800mLを超える状態は「羊水過多」とよばれ、子宮内圧上昇の一因となります。

他にも、子宮の奇形が前期破水の原因となることもあります。子宮の形によっては、胎児の大きさに比例して子宮が大きくなることが阻まれ、子宮内圧が上がることがあります。内圧が上昇しているときに、咳などで腹圧がかかると前期破水が起こる場合もあるようです。

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子宮頸管の状態

病気や手術で子宮頸管が弱まっている場合、前期破水が起こることもあります。陣痛前に子宮口が開いてしまう「子宮頸管無力症」も前期破水の原因になります。また、子宮頸がんなどで子宮頸部の手術や生検を受けた場合も、前期破水のリスクが高まるといわれています。

その他

前期破水は、ほとんどの場合が原因不明といわれています。しかし、喫煙者や以前の妊娠で前期破水を起こしている人、また、羊水検査時の羊水穿刺(せんし)などで卵膜の損傷をきたしている人は、前期破水が起こるリスクが高いといえるかもしれません。

前期破水のリスクは?

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前期破水が起こると、腟や子宮頸管から細菌が感染し、子宮内感染を起こすリスクがあります。これまで子宮と胎児を守っていた羊水や卵膜がなくなるため、子宮内が菌に感染しやすくなるためです。赤ちゃんにまで感染がおよぶ可能性もまったくないとは言い切れません。

前期破水が起こることで子宮収縮が促され、早産につながることも考えられます。また、羊水が減ることで胎盤が子宮の壁からはがれやすくなり「常位胎盤早期剥離」のリスクも上がります。

赤ちゃん側も、羊水というクッションがなくなるため、へその緒を圧迫されるなど、うまく酸素が供給できなくなる可能性があるでしょう。また赤ちゃんの呼吸や循環機能が阻害される「胎児ジストレス」のリスクも出てきます。

そのため、前期破水が起こったらできるだけ早く病院に相談することが大切です。病院に行くまでは、お風呂には入らないようにするなど、感染症に注意して過ごしましょう。ただし、すべての場合において深刻な状態になるわけではありません。速やかに対応し、少しでもリスクを減らせるようにしたいですね。

前期破水から陣痛・出産までの流れ

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37週未満の場合

妊娠34週以前に前期破水が起こった場合は、赤ちゃんが母体の外で生活するには未熟な状態のため、できるだけ妊娠を継続して子宮内にとどめるように管理するのが一般的です。基本的には入院して治療を進めます。

入院中は骨盤高位の状態で安静にして、看護師や助産師に日常生活のサポートをしてもらいます。妊娠継続のために子宮収縮抑制剤を使ったり、感染症を防ぐために抗生剤を投与したりします。しかし、ママの身体や赤ちゃんの状態によっては赤ちゃんを娩出する方針をとることもあります。

妊娠35週~妊娠36週で、破水後24時間経過しても陣痛が始まらない場合は分娩誘発することもあります。まだ正産期ではありませんが、感染や死産のリスクを考えると、数週間早く生まれたほうが安全であると考えることが多いようです。

37週以降の場合

妊娠37週以降は正産期に入っているため、そのまま病院で分娩待機となるのが一般的です。清潔なナプキンをつけて、速やかに産院に連絡しましょう。連絡の際は、破水した時間や羊水の色などを伝えるようにしましょう。感染防止のため、シャワーや入浴は避けたほうが良いですね。

妊娠37週以降に前期破水が起こったママの約8割が、破水後24時間以内に陣痛が始まっています。陣痛が始まるまでの時間が長くなるほど胎児感染のリスクが上がるため、早めに分娩誘発を行うこともあります。

時間が経過しても陣痛が起こらないときや、ママや赤ちゃんの状態によっては帝王切開分娩となることもあるようです。正産期であれば、前期破水が起こっても無事出産できる可能性はあがります。

前期破水は保険適用される?費用はどのくらい?

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「前期破水」と医師に診断された場合、治療費や検査の費用、お薬などは健康保険適用の対象となります。また、前期破水でそのまま入院となった場合も、分娩までは保険適用になることが一般的です。

入院費は産院によって差がありますが、1日1万円~3万円ほどが一般的です。保険適用となると、その3割が自己負担となります。前期破水による入院費や手術費は、民間の生命保険の特約や医療保険でも、支払い対象となる可能性があります。もし保険に加入している人は確認してみると良いでしょう。

また、赤ちゃんの状態や陣痛の程度によっては、前期破水から帝王切開となることもあります。帝王切開の場合、普通分娩より医療費がかかりますが、原則的に健康保険の適用が認められます。保険適用後は普通分娩と近い費用になることもあるようです。

慌てないで冷静に対処を

前期破水が起こる原因やタイミングは、不明であることも多いようです。また、尿漏れと破水は区別がつかないこともあります。何か気になる症状があるときは、迷わず病院に連絡して相談してみましょう。慌てず冷静に行動するためにも、妊娠後期に入ったら早めに入院の準備をしておくと良いですね。

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