妊婦さんはいつまで仕事ができる?休む際の注意点やそれぞれの事情
仕事を続けている妊婦さんの中には、「いつまで仕事ができるのか」「休むのは周囲に迷惑ではないか」といった疑問や悩みを抱えている人が多いかもしれません。妊娠と仕事の両立は、難しい部分もあります。妊娠と仕事にまつわる法律や休むとき、退職するときの注意点を知り、うまく仕事と付き合っていきたいですね。
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目次
- 仕事を続ける妊婦さんは増えている
- つらい、不安、集中できない、妊婦さんと仕事の変化
- 妊婦さんが仕事を続けられるのはいつまで?
- 妊婦さんが仕事について悩むきっかけとなる、家庭・職場の事情
- 妊婦さんの仕事の悩みは職種によっても違う
- つわり・腰痛・お腹の張り、仕事で気になる妊娠の症状
- 妊娠中に仕事でストレスがたまると影響がある?
- 妊婦さんの仕事に対して周囲の理解が得づらいことも
- 妊婦が仕事をする際に気をつけることは?
- 「仕事を休む」ことをためらう妊婦さんも
- 妊婦さんが仕事を辞める際の注意点
- 妊婦さんが知っておきたい仕事に関する法律
- 妊婦さんが始められる仕事は?
- 妊婦さんが仕事と家事を両立する方法はある?
- 妊婦さんは仕事着をどうしている?
- 妊娠中は無理せず仕事と向き合っていこう
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仕事を続ける妊婦さんは増えている
内閣府の調査(※1)によると、第一子を出産した前後で退職せずに仕事を続ける女性が近年増えているようです。平成28年には男女雇用機会均等法が改正され、平成29年から妊娠・出産に関するハラスメント防止措置が義務化されています。こうした政府の方針や各家庭の経済的な事情が、仕事を続ける選択をする人が増えている要因のひとつかもしれません。
一方で、業務内容や妊娠の経過、家庭の事情で仕事をセーブしなければならない人もいます。業務内容の変更や出勤時間の緩和、休職や退職、転職といった対応をとる人もいるでしょう。
転職や退職は、生活に大きく影響を与えるものです。妊婦さんが仕事を続けるにあたっての問題点を明確にし、どのような対応方法があり、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを確認しましょう。その上で、妊婦として仕事を続けるかどうかを慎重に検討して判断したいですね。
つらい、不安、集中できない、妊婦さんと仕事の変化
妊娠による心や身体の変化は、妊婦さんの仕事に影響を与える場合があります。つわりや貧血などの体調不良で仕事がきつい、睡眠不足が続き仕事に対して無気力になった・集中力が低下したというケースが考えられるでしょう。また仕事が憂鬱だったりイライラしたりするのも、妊娠・出産に対しての不安やストレスが原因かもしれません。
また妊娠は妊婦さんだけでなく、周囲の人にも変化をもたらすことがあります。妊婦さんへの対応に不慣れな職場であれば、妊婦さんへの接し方にぎこちなさがあったり配慮が足りなかったりすることもあるでしょう。妊婦さんが職場で疎外感を抱いている場合、周囲の気遣いと妊婦さん側がしてほしいことが噛み合っていないケースもあるかもしれません。
自分の変化も周囲の変化も、何が原因でどう対応すればうまくいくのか、自分なりに一度考えてみることから始めると良いかもしれません。原因に合わせて、どのような選択肢があるのかを検討してみましょう。
妊婦さんが仕事を続けられるのはいつまで?
働いている妊婦さんであれば、「いつまで仕事を続けられるのか」「産休はいつからになるのか」といったことが気になりますよね。妊婦さんが仕事を続けられる期間については、明確なルールはありません。妊婦さん本人の体調や考えによるでしょう。
産休(産前産後休業)は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合に14週間前)から本人の請求によって休暇を取得できる制度です。育児休業は条件を満たした人のみ取得が可能ですが、産休は正社員・パート社員・派遣社員・契約社員といった雇用形態に関わらず、誰でも取得できます。
仕事を継続する場合には、産休が取得できるようになる妊娠9ヶ月の妊娠34週以降は、無理に仕事を続けない人が多いようです。一方で、大事をとって安定期ごろまでには退職する人や、職場や家庭の事情で臨月まで仕事を続ける人もいます。「いつまで仕事を続けるか」は、家族やパートナーとよく相談しつつ、妊婦さん自身の体調を考慮しながら検討してくださいね。
妊婦さんが仕事について悩むきっかけとなる、家庭・職場の事情
家庭の事情
家族構成や家族関係、家事・育児の負担状況など、家庭の事情によって仕事を続けるかどうか悩む妊婦さんもいます。続けるとしたらいつまで続けるのか、どのような形態・時間帯で働くのか、働き方について考える人も多いことでしょう。
たとえば二人目以降の妊娠の場合には、妊娠中の心と身体の変化に加えて子育てや家事、仕事に追われて大変ですよね。妊娠中に離婚したケースや未婚で出産する場合も、悩みは多いでしょう。
特に高齢出産や持病がある人の出産は、一般的な妊婦よりもリスクが上がるといわれており、仕事の継続や働き方について慎重に検討する必要があります。また、双子以上の妊娠(多胎妊娠)の場合も、一般的な妊婦さんよりも動きづらかったり合併症になったりするリスクが高まるといわれています。それぞれの妊娠の経過や体調、家庭の事情は異なりますが、とりわけリスクがある場合には、仕事をセーブする方法を検討してみることが大切かもしれません。
職場の事情
残業が多い業界や人手不足の会社で働いている場合や、タバコの副流煙にさらされる場所で仕事をしている場合など、職場の事情に悩む妊婦さんもいます。シフト制の仕事で遅番・深夜勤務になる機会がある人や、勤務時間の長さによっては休憩なしの人もいるでしょう。労働基準法では、以下のように休憩時間を定めています。
引用元:elaws.e-gov.go.jp第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
2・3(略)
職種や業界にもよりますが、妊娠中だけでなく産後も考えると、今の状態で仕事を続けるのは難しいと判断する人もいるかもしれません。仕事を続けたいと考えている場合には、まずは職場にどういう条件でなら働くことができるのかを説明することから始めると良いでしょう。
仕事も大切ですが、妊婦さんにとってもお腹の赤ちゃんにとっても、大切な時期であることは心に留めておきたいですね。
妊婦さんの仕事の悩みは職種によっても違う
業界や職種、仕事の内容によっても、妊婦さんの仕事に対する悩みや不安は異なりますよね。どのようなものが考えられるのでしょうか。
体力が必要な仕事
重いものを持つ機会がある看護師や引越し業、走ることもある保育士や外回りが多い営業職の場合、体力面に不安を抱える妊婦さんもいるかもしれません。スーパーやレストランなどの接客業や介護職をはじめ、走る・歩くといった動作を繰り返さなければならない仕事は、少なくありませんね。
妊婦さんの体調にもよりますが、立つ・座る・走るなどつらい作業がある場合には、負担を軽減できるかどうか職場に相談することから始めてみてくださいね。
ストレスがたまりやすい仕事
コールセンターをはじめ、接客業など顧客と直接関わる機会がある仕事では、クレーム処理によるストレスを抱えている妊婦さんもいるでしょう。仕事内容だけでなく、職場の人間関係やハラスメントに悩む妊婦さんも多いかもしれません。お腹の赤ちゃんのためにも無理しないことも大切です。
特殊な環境
シンナーなどの有機溶剤が気になるネイリストやレントゲン撮影による放射線が気になる医療従事者の方もいるでしょう。職場によって、有機溶剤や放射線といったリスクのあるものに触れる時間は異なります。自分の状況をかかりつけの産婦人科医に伝え、指示を受けた場合にはできる限り従うようにしてくださいね。
また一部の有害物質に関わる仕事は、女性が担当してはいけないと法律で定められています。妊娠・出産・授乳に影響を与えるとされるものもあるため、十分に気をつけてくださいね。
運転や危険な作業を要する仕事
通勤時や勤務中に車を運転しなければならない人や、仕事中に重いものを持ったり脚立で高いところに登ったりする必要がある人も、安全面で悩むかもしれません。また海外や国内への出張が多く、飛行機に乗る機会が多い人は、体力面やお腹の赤ちゃんへの影響、緊急時の対応などが気になるのではないでしょうか。
業界や会社の規模によっては、配置換えをしてもらい、一時的に事務作業などの比較的リスクの少ない仕事を任せてもらえる場合があります。ただ、すべての職場でそのような環境が整っているわけではないため、やむを得ず休職や退職、転職に踏み切る妊婦さんもいるでしょう。妊娠の経過や体調、家庭の事情、職場環境などさまざまな要素を考慮しながら、できるだけ後悔のない選択ができると良いですね。
つわり・腰痛・お腹の張り、仕事で気になる妊娠の症状
職場や職種、家庭の事情に不安がなくても、妊婦さん自身の体調に不安がある場合には、仕事をどうすべきか考える人もいるでしょう。ひどいつわりが続いていたり、腰痛や恥骨痛であまり動けかったりする場合もあります。寝不足が続いて日中眠いため、作業に集中できないという悩みを抱える人も多いようです。その他にも、貧血や腹痛・吐き気といった症状で悩む妊婦さんは多いかもしれません。
妊娠していなくてもかかる風邪などの体調不良による休みを含めると、休む日数が多くなる妊婦さんもいます。しかし周囲の目が気になる場合でも、無理をしすぎないことが重要です。もちろん、仕事で無理をするとただちに切迫流産・切迫早産・合併症のリスクが高まるというわけではありませんが、可能性がまったくないとは言い切れないことは知っておきましょう。
また入院や安静指示が出た場合も、仕事についてどうすべきか悩む妊婦さんもいるでしょう。妊娠中は突然の入院や安静指示が出るケースが珍しくないため、まずは職場に事情を説明し、よく話し合いましょう。長期間の入院や安静指示が出た場合には、退職だけではなく、休職や有休消化も検討してみてくださいね。
妊娠中に仕事でストレスがたまると影響がある?
妊婦さんの不安・ストレスの影響はまだ研究段階
妊婦さんはさまざまな不安を抱え、ストレスがたまりやすくなるといわれています。妊娠中のストレスが胎児や母体にどのような影響を与えるかについては、研究が進められている段階です。一方で、妊娠中・産後はホルモンバランスの影響で情緒不安定やうつの傾向が強くなるなど、明らかになっている部分もあります。
うわさに惑わされずストレス発散法を考えよう
妊娠中に過度なストレスを抱えていると夜泣きが多い子どもが生まれる、逆子になるといった真偽が定かでない話もあるようです。こうしたうわさを耳にすると心配になってしまうかもしれませんが、できるだけ惑わされず、適切な対処をすることが大切です。産後も見通し、手軽にできるストレス発散方法を見つけておくと良いかもしれません。
ひとりで抱え込まずに相談することも大事
本当につらい場合にはストレスをひとりで抱え込まず、相談することも検討してみましょう。相談相手は家族や友人に限らず、かかりつけの産婦人科医や専門医、助産師、行政や妊娠・子育ての支援団体の窓口など、幅広く探してみると良いでしょう。地域の保健師は無料で相談ができます。小さなことでも、専門家に気軽に相談してください。
医師の指示を職場に伝える方法も
仕事によるストレスや妊娠中の変化によって、妊婦さんが体調不良になったときは、母性健康管理指導事項連絡カードや診断書を医師に書いてもらえる場合があります。仕事や行動に関する制限など、医師からの指示があった場合には、こうした書類を用いて職場に相談してみるという方法もあるでしょう。
妊婦さんの仕事に対して周囲の理解が得づらいことも
妊婦さんが仕事を続ける際に気になるのが、職場における周りの目かもしれません。「周囲から迷惑だと思われていないか」「体調不良で仕事を休むことをさぼりだと思われていないか」など、気になることは多いでしょう。残念ながら妊婦さんが仕事を続けることに、理解を得るのが難しい職場もあります。
妊娠・出産を理由に辞めるようにと言われたり、妊婦健診に行かせてもらえなかったりすることは、「マタニティハラスメント」に該当します。男女雇用機会均等法においては、事業主にマタニティハラスメントの防止措置をとることを義務付けるとともに、相談窓口を設置しています。こうした制度を知っておき、いざというときには活用できるかどうか検討してみると良いでしょう。
ただし、妊婦さんの勤務時間が減ったり業務内容が変更になったりすることで、誰かに影響をおよぼすことはあります。妊婦さんの状況がわからないため、迷惑だと思ってしまう人もいるかもしれません。自分の体調や妊娠の経過について周囲に状況をきちんと伝え、フォローしてくれる仲間に感謝することは忘れないようにしたいです。
企業によっては、社内の制度が十分に整っていない部分もあるため、妊婦さんへの理解がないところもありますが、一方で、きちんと話すことで理解をしてもらい、社内の制度が改善されていく事例もあります。社会で女性が働きやすい環境を作るために、女性側からの発信も大切です。長期的な視点で見た時に、自分たちで制度を整えていくことで、今後同じように働く女性たちが、より働きやすい環境を作るきっかけにもなります。
妊婦が仕事をする際に気をつけることは?
通勤には注意が必要
妊婦さんが通勤する際、満員電車や自動車・自転車の利用には注意が必要です。乗車する時間や距離にもよりますが、具合が悪くなった場合や怪我をするリスクは考慮する必要があるでしょう。つわりがひどい妊婦さんや流産・早産のリスクを医師から指摘されている妊婦さんは、特に注意したほうが良いでしょう。必要であれば医師の指示をもらい、勤務先に通勤時間の変更を相談してみると良いかもしれません。
感染症対策も万全に
妊婦さんが細菌やウイルスによる感染症にかかると、赤ちゃんも感染する場合があります。風疹、B型・C型肝炎ウイルスなどは特に注意が必要です。また比較的一般的な感染症であるインフルエンザや風邪でも、重症化するケースがあります。普段から手洗い・うがいといった予防を心がけましょう。
無理をしない
つわりや腹痛、めまいなどのつらい症状があれば、無理をせず休むことも大切です。体調不良で1日休むのが難しい場合であれば、半休や早退、遅刻を検討してみても良いかもしれません。
重いものを運ぶことや高い場所にあるものを取ることも、可能な限り他の人にお願いしましょう。寝不足が続き眠い場合には、昼休みに仮眠をとるのも良いですね。
周囲への配慮を忘れない
妊婦さんでも、仕事に対して責任がないわけではありません。どうしても体調不良で業務を替わってほしい場合や仕事の依頼を断りたい場合には、きちんと理由を説明し、お願いするようにしましょう。
断り方やお願いの仕方を工夫するだけでも、職場の人間関係は変わるかもしれません。また長時間仕事ができない場合には作業効率をアップさせる方法を考えるなど、足りない業務をカバーするために何ができるか検討しましょう。
外での食事には気配りを
妊婦さんが妊娠中に苦労することのひとつに、「体重管理」があげられることは多いです。仕事で外にいると、お昼に外食したりコンビニでお弁当を買ったりする機会も多いですよね。お店にもよりますが、外食はカロリーが高かったり塩分や油分が多かったりする傾向があります。できるだけ栄養バランスのとれたメニューを頼むように心がけましょう。
「仕事を休む」ことをためらう妊婦さんも
妊娠初期のひどいつわり、つらい貧血やめまい、腰痛や恥骨痛といった症状に悩む妊婦さんは、少なくありません。あまりにもひどい症状が続く日には、仕事を休みたいと考える妊婦さんもいるでしょう。
「他の妊婦さんに比べて休みがちだ」といった指摘をされると、休みにくくなってしまう人もいるかもしれません。しかし、つわりをはじめとした妊娠に伴うつらい症状の有無や程度には、個人差があるため、他人と比べる必要はありません。我慢せず、必要であれば「母性健康管理指導事項連絡カード」を用いて、休みたい理由と医師からの指示を明確に会社に伝えるのも良いかもしれませんね。
仕事が忙しくて、なかなか休めない妊婦さんもいるでしょう。妊娠中に無理をすると、ケースによっては切迫早産などのリスクが高まることがあります。出勤するとしても、こまめに休憩したり、昼休憩にしっかり休んだりして、できるだけ身体をいたわりましょう。様子を見て早退や遅刻、有給を検討するのも良いでしょう。
妊婦さんが仕事を辞める際の注意点
妊娠をきっかけに、仕事を辞めたいと考えることもありますよね。産後しばらくは育児に専念したいケースや、もともと退職を検討していたケースもあるでしょう。妊婦さんが退職する場合には、いくつかの注意点があります。注意点を確認し、仕事を辞めるか続けるか、転職や休職といった方法を選ぶかを検討してみてくださいね。
妊娠・出産を理由とした解雇は違法
妊娠や出産を理由に、会社や上司から「仕事を辞めてほしい」と告げられた場合には注意が必要です。妊娠や出産を理由とした退職勧告やパートなどの非正規社員への転換は、法律で禁じられています。必要であれば専門の窓口に相談しましょう。
退職で手当金がもらえなくなる場合がある
出産にはたくさんのお金がかかるため、手当金が支給される場合があります。出産のために会社を休んだ期間の手当がもらえる「出産手当金」は、社会保険に加入している働く妊婦さんを対象とした制度です。
ただし、条件を満たせば退職後でも手当が支払われる場合もあります。保険組合によって支給条件は異なるため、加入している保険組合に確認してみてくださいね。
必要であれば失業給付の延長を
妊娠・出産で退職するものの、育児がひと段落したら再就職を考えている妊婦さんもいますよね。就職の意思がある場合には、ハローワークで雇用保険の受給期間の延長手続きをしておくと良いでしょう。
雇用保険の基本手当に関しては、条件によって支給額や手続きが異なるため、不明点があれば最寄りのハローワークに問い合わせましょう。
妊婦さんが知っておきたい仕事に関する法律
妊娠中の仕事で困ることがあったとき、法律上の制度が使えないか検討する人もいるかもしれません。働く妊婦さんが知っておきたい法律には、「労働基準法」と「男女雇用機会均等法」があります。
労働基準法
産休(産前産後休業)や妊婦さんの仕事の負担軽減と深い関わりがあるのが「労働基準法」です。本人の請求があれば、産休を取ることができること、負担があまりかからない業務に変更することができることなどを定めている法律です。他にも休日・深夜業務の制限、危険な業務の制限があります。本人が請求しない限り適用されないものもある点には、注意しましょう。
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法
マタハラ(マタニティハラスメント)と深い関わりがあるのが「男女雇用機会均等法」と「育児・介護休業法」です。企業側は、妊婦さんが妊婦健診に行く時間を確保する義務があり、必要であれば妊婦さんの通勤時間帯や労働時間、休憩について柔軟に対応しなければいけません。また妊娠・出産を理由とした解雇や非正規社員への契約変更の強要を禁止しています。
平成29年の法改正により、企業はマタハラ防止対策を行う義務が生じるようになりました。法律で定められた制度を利用することに対する嫌がらせも対象となります。マタハラかなと思うことがあれば、会社の窓口もしくは最寄りの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談しましょう。
妊婦さんが始められる仕事は?
出産・育児にはまとまったお金が必要になります。「お金が足りない状態になるのでは」と心配になる人もいるかもしれません。出産をきっかけに退職した人でも専業主婦の人でも、妊娠中にできる仕事を探す人は少なくありません。お金の問題だけでなく、時間を有効活用したいから仕事を探しているという人もいるでしょう。
妊娠中の就職・転職は難しい部分もある
妊娠中の就職・転職は、妊娠していない人と比べるとどうしても不利になることはあります。出産が近づけば休みに入ってしまうため、どのような業務を担当してもらうべきか判断が難しいという事情もあるでしょう。条件さえ合えば採用されるケースもありますが、現実的にはなかなか仕事が決まらないケースが多いようです。
在宅ワークは人気がある
妊婦さんでも始められる在宅ワークは昨今人気を集めています。パソコンやスマートフォンとインターネット接続環境さえあれば、仕事を始められる点が魅力的ですね。在宅ワークには、インターネット上に公開される記事を書く仕事や経験をいかしてデザインや開発を行う仕事など幅広い業務があります。
在宅ワークであれば、妊婦さんでも雇ってもらえる場合があります。興味があれば専門の在宅ワーク募集サイトをチェックしましょう。
妊婦さんが仕事と家事を両立する方法はある?
妊婦さんが仕事を続ける場合、悩ましいのが「家事との両立」かもしれません。ひとり暮らしでも家族やパートナーと暮らしている場合でも、洗濯・掃除・料理の必要はありますよね。妊娠中も家事をやらなければいけないとはいえ、妊娠前と同じようにする必要はないかもしれません。出産後のことも考えて、どうすれば乗り切ることができるのかを考えておくと良いでしょう。
食事は作り置きや惣菜、デリバリーを活用
食事は土日に少しだけ作り置きをしておき、あとはお惣菜や冷凍食品を利用する方法もあります。最近では一人前からデリバリーしてくれるサービスもあるので、検討してみても良いでしょう。
掃除や洗濯は機械を頼って楽に
掃除は、思い切ってロボット掃除機の導入を検討し、掃除の回数を最低限まで減らしても大丈夫かもしれません。洗濯も乾燥機能付きの洗濯機を取り入れたり、適度にクリーニングやコインランドリーを利用したりする方法もあるでしょう。「無理せず乗り切ること」を目標にすると良いかもしれませんね。
夫やパートナー、家族の家事分担を見直す
可能であれば夫やパートナー、家族に頼り、自分ひとりで抱え込まないように工夫することも大切です。妊婦さんがどれだけ大変かを完全に理解してもらうことは難しいかもしれませんが、しっかり状況や思いを伝えることで、サポートを得られるようになるかもしれません。もともと家事を分担している場合は相手の分担を増やす、ほとんど家事をやったことがない場合はやり方をしっかり教えた上で簡単なことから手伝ってもらうなど、状況に応じて方法を検討しましょう。
妊婦さんは仕事着をどうしている?
妊婦さんが仕事で悩むことのひとつに「仕事に着て行く洋服」があります。次第に大きくなるお腹で、以前に着ていた服が着られなくなる人は珍しくありません。
仕事着や制服が決められている職場
仕事着・制服が決められている職場では、事情を話してどうすべきか会社とよく相談しましょう。大きめの仕事着を期間限定で支給してもらう、妊娠中だけ支障が出ない程度の普段着で過ごすといった方法を検討してもらいましょう。
スーツやオフィスカジュアル中心の職場
仕事着が決められていない職場でも、スーツやオフィスカジュアル中心の職場では仕事服に悩む人もいますよね。オフィス用のマタニティ服も最近では多いようです。マタニティスーツやマタニティ用の通勤服は、しめつけがなく妊婦さんも快適に着られるように作られているのが魅力的ですよ。
仕事服の決まりがない職場
最近では仕事服の決まりがなく、自由な着こなしができる職場も増えていますよね。仕事服が自由に選べる職場では、手持ちの服に少し買い足しするだけで過ごせる可能性が高いでしょう。伸縮性のあるワンピースや足元が安定するスニーカー、寒さ対策のカーディガンなど、好みに合わせて仕事服を組み合わせてみてくださいね。
妊娠中は無理せず仕事と向き合っていこう
妊娠・出産という人生における大きなイベントに際して、これからの生活と仕事をどのように両立していくかついて考える女性は多いかもしれません。妊娠による身体の変化や心の変化、環境や人間関係の変化は、仕事においてもさまざまな部分に影響を与えるでしょう。
いつまで仕事を続けたいか、正社員・パート・在宅などどのような形態で働きたいか、産後も見据えて一度検討してみるのも良いかもしれませんね。
妊婦さんひとりで悩まず、家族やパートナー、職場の上司・同僚、医師や専門窓口への相談を検討してみることも大切です。「相談するのは迷惑なのでは」とためらう必要はありません。話をするだけでも心が軽くなったり、自分の考えがまとまったりする場合もあります。体調面でも精神面でも、無理せずに仕事と向き合っていきましょう。