【産婦人科医監修】微弱陣痛って何?微弱陣痛の原因と予防法、前駆陣痛や本陣痛との違い

出産予定日が近づくと、いつ陣痛がくるのか気になるものですね。教科書通り、規則的に痛みが強くなれば良いのですが、「陣痛がきた」と思ってもなかなか生まれず、微弱陣痛が続く妊婦さんも多いようです。微弱陣痛とはどのような痛みなのでしょうか。微弱陣痛と前駆陣痛の違いや見極め方、微弱陣痛の予防と対処法について解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 微弱陣痛とは
  2. 微弱陣痛と前駆陣痛、本陣痛との違い
  3. 微弱陣痛はどうやって見分ける?
  4. 微弱陣痛の原因
  5. 微弱陣痛の対処法
  6. 微弱陣痛の予防法
  7. 微弱陣痛に関する体験談
  8. 微弱陣痛か本陣痛か判断できなかったら病院へ
  9. あわせて読みたい

微弱陣痛とは

臨月になり出産予定日が近くなると、お腹が張って出産をするための準備が始まっていきます。通常のお産では、陣痛が始まってからどんどん痛みが強くなり、陣痛の間隔も短くなって本陣痛になります。陣痛の強さは子宮内圧によって評価されますが、一般的には陣痛と陣痛の間隔(周期)と陣痛発作の持続時間で判断します(※1、※2)。

微弱陣痛の定義は、分娩が開始したのにもかかわらず、痛みが弱く、発作の継続時間が短い状態が持続し、なおかつ陣痛の間隔が長いまま縮まらずにお産が進行しないことです。微弱陣痛は子宮口が十分に開ききっていない状態で起こるため、妊婦さんによっては数日間微弱陣痛が続くことも珍しくありません。

微弱陣痛にはふたつのタイプがあり、陣痛が始まったときから弱い陣痛が続く「原発性微弱陣痛」と、何か別の原因があって途中で陣痛が弱まる「続発性微弱陣痛」があります(※3)。

微弱陣痛と前駆陣痛、本陣痛との違い

陣痛には、微弱陣痛の他に「前駆陣痛」と「本陣痛」があります。微弱陣痛と前駆陣痛の違い、本陣痛との違いを知っておくことで、陣痛がきても冷静に対処できるでしょう。

微弱陣痛と前駆陣痛との違い

前駆陣痛は本陣痛の前兆ともいわれるもので、妊娠中期から後期にかけて感じる陣痛のような痛みです。前駆陣痛は痛みが不規則という特徴があり、痛みだけでなく圧迫感があったりお腹の張りを感じたりすることがあります。

前駆陣痛は微弱陣痛と違い、出産予定日より前から徐々に感じられ、出産までには期間が空くことが多いです。自宅で日常生活できる程度の痛みで、まだ本陣痛には少し早い段階で前駆陣痛を感じる妊婦さんもいるようです。

本陣痛との違い

本陣痛は、微弱陣痛の痛みとは明らかに違う強い痛みを感じるものです。身動きが取れない程の痛みが数分ごとに起き、徐々に短くなっていきます。今までに感じたことのないような強い痛みを感じたら、本陣痛である可能性が高いです。

微弱陣痛はどうやって見分ける?

出産予定日近くに、お腹の張りや痛みを感じると落ち着かないものですね。前駆陣痛なのかそれとも本陣痛につながる痛みなのか、見極めに神経を使うことでしょう。

分娩の始まりは、陣痛が10分間隔もしくは1時間に6回以上の頻度で起こった時点をいいます。微弱陣痛は、この「分娩開始」を迎えたあとに陣痛が弱い状態が続きます。前駆陣痛と微弱陣痛の違いは、分娩が開始しているかどうかが大きなポイントです。

陣痛を感じ始めてから10分間隔になる以前の段階では、前駆陣痛なのかそれとも本陣痛につながる痛みなのか、違いはわかりにくいものです。前駆陣痛の場合は痛みが不規則でしばらくするとおさまるため、本陣痛につながるかどうか見極めるにはしばらく様子を見る必要があります。いつでも産院に行けるよう準備をしつつ、あまり心配しすぎず過ごすようにしましょう。

ただし、陣痛が10分以内の間隔になっているものの痛みが強くならない、弱い陣痛がずっと続くなどいつもと違うとことがあれば、我慢せずに病院に相談してください。

微弱陣痛の原因

子宮筋が伸びている

羊水過多・多胎妊娠などが原因で子宮筋が伸びてしまい、収縮力が弱まって微弱陣痛を引き起こすことがあります。子宮筋が伸びる原因になり得るのは、赤ちゃんの頭が大きいことなどです。

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骨盤の形

骨盤の形は人によって違います。骨盤が赤ちゃんが下りにくい形状である場合、微弱陣痛が起こって出産までに時間がかかることがあります。

太りすぎ

太りすぎると子宮の周りにも余分な脂肪がついてしまうため、微弱陣痛を引き起こす原因になります。赤ちゃんを押し出す筋肉の動きが鈍くなりやすいので、お産に時間がかかるといわれています。

疲労・睡眠不足

初産婦さんの場合、初めての出産に対する不安などで睡眠不足になりやすいものです。二人目・三人目を出産予定の経産婦さんの場合は、上の子の育児で知らないあいだに疲労が蓄積していることがあるかもしれません。体に不調があると強い陣痛が起こりにくくなるため、微弱陣痛が持続しやすい原因になります。

微弱陣痛の対処法

動く

微弱陣痛があっても体を動かす元気がある場合は、軽く歩いて子宮に刺激を与えることで、本陣痛がきやすくなります。お産が進みやすい姿勢などを取り入れても良いですね。

リラックスする

微弱陣痛が続くと、いつお産になるのかわからない不安や緊張などが、微弱陣痛を持続させる原因になってしまいます。肩の力を抜いてリラックスすることで、身体は本陣痛に入りやすくなるでしょう。

陣痛促進剤

陣痛促進剤を使用するのもひとつの方法です。子宮口がある程度開いてきたときに陣痛促進剤を使用すれば、出産に移りやすくなります。浣腸をして腸を刺激することで子宮を動かし、陣痛を促進させる方法もあります。

緊急帝王切開

微弱陣痛が続くことで母体や赤ちゃんに負担がかかってくるので、緊急時には帝王切開で出産することもあります。微弱陣痛から数日経っても陣痛が進まないときは、体力面などを考えて帝王切開の判断をする医師も多いです。

微弱陣痛の予防法

体重管理に気をつける

子宮周りに余分な脂肪をつけないためにも、体重管理に気をつける必要があります。赤ちゃんに十分な栄養を届けるためにも、過度な食事制限はせずにバランスの良い食事を心がけましょう。妊娠時の適正体重を守ることで、微弱陣痛の場合でも本陣痛までの期間が短くなるかもしれません。

体力をつける

お産の体力をつけるためにも、階段昇降などの運動を積極的に行うようにしましょう。赤ちゃんが下りてきやすいように重力の力を加えることで、微弱陣痛の予防につながります。

湯船につかる

妊娠中の冷えは大敵です。湯船につかって体を温めることで血行が良くなり、微弱陣痛の原因となる疲労やストレスが改善されるでしょう。

おっぱいのケアをする

出産予定日が近くなってきたら時々おっぱいのケアをすると、子宮が収縮しやすくなるため、微弱陣痛の予防になります。産後の母乳育児もしやすくなるので、一石二鳥です。

パパとコミュニケーションをとる

ひとりでは出産に対する不安や緊張などのストレスを抱えやすく、微弱陣痛の原因になります。パパに気持ちや不安を聞いてもらうことでリラックスでき、愛情ホルモンである「オキシトシン」の分泌も促せます。オキシトシンは、子宮収縮を促すホルモンであるため、微弱陣痛を予防する効果も期待できます。

微弱陣痛に関する体験談

筆者は出産予定日間近に微弱陣痛になり、出産が近いと判断されて入院していました。人工破膜や促進剤などを試したにも関わらず、4日間も本陣痛がこなくて、不安な気持ちでいっぱいでした。しかし、4日目に体調が良かったため、院内を軽く歩いて体を動かすと、次の日には本陣痛がきて無事出産できました。

微弱陣痛の原因ははっきりしませんでしたが、微弱陣痛があるときに積極的に体を動かして軽い運動をすることで、本陣痛につなげられるのだと実感しました。

微弱陣痛か本陣痛か判断できなかったら病院へ

微弱陣痛は、初産婦・経産婦に関わらず、どの妊婦さんにも起こる可能性があります。最初は前駆陣痛との違いがほとんどないため、おかしいと感じたら病院で医師に子宮口の状態や陣痛の強さなどを確認してもらいましょう。

微弱陣痛が続くと心身ともにつらくなりますが、微弱陣痛を乗り越えると、本陣痛がきて出産できることが多いので、積極的に対処法などを試してみましょう。

※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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