経産婦の陣痛は初産と違う?間隔や始まりは?遠のく・こないこともある?

妊娠37週を迎えるといつ陣痛が起こってもおかしくありません。臨月の経産婦は、初産婦のときとは違った不安や緊張感があることも。初産婦と経産婦では、陣痛の始まりや間隔、痛みの種類に違いはあるのでしょうか。ここでは経産婦の陣痛に関して知っておきたいことを解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 経産婦とは?
  2. 経産婦と初産婦は陣痛の始まり・兆候が違う?
  3. 経産婦と初産婦の陣痛の間隔と平均時間
  4. 経産婦は陣痛が遠のく・こないことが多い?
  5. 経産婦は初産婦より陣痛の痛みを感じにくい?
  6. 経産婦と初産婦の陣痛に関する体験談
  7. 経産婦の陣痛が初産のときと違ってもあわてないで
  8. あわせて読みたい

経産婦とは?

初めて出産する妊婦さんのことを「初産婦」と呼ぶのに対し、過去に出産の経験がある妊婦さんのことを「経産婦」と呼びます。一般的に、お産にかかる全体的な時間は経産婦のほうが初産婦よりも短い傾向があるといわれています。

しかし分娩時間は個人差が大きく、出産のたびにママや赤ちゃんの状態も異なるため、必ずしも一度目より短くなるわけではありません。お産は「娩出力」「産道」「娩出物」が複雑に絡み合って進行具合が変わります。

経産婦は、初産婦よりも産道が広がりやすい場合があり、陣痛や腹圧などの娩出力もスムーズな場合があるため、分娩所要時間が短くなる可能性があるのです。経産婦は、上の子のお世話などお産の環境も変わってくることが多いようです。

経産婦と初産婦は陣痛の始まり・兆候が違う?

個人差はありますが、陣痛の始まり方やお産の兆候は初産婦と経産婦で大きな違いはないといわれています。お産が近づいていることを知らせる兆候には、お腹の張りや生理痛のような不規則な痛み、破水、おしるしなどがあります。おしるしは産兆ともよばれ、卵膜と子宮壁がはがれ、出血が起こることです。

出血はピンクだったり、鮮血だったり、茶色が混じっていたりと人それぞれです。少量がおりものに混ざっていることもありますし、生理時のように出血することもあります。おしるしがあると、その日のうちにお産が始まることが多いようですが、数日から1週間かかるケースもあるようです。なかにはおしるしがないママもいますし、1度目はあったのに2度目はない場合、またはその逆の場合もありえます。

陣痛の始まり方や感じ方は、毎回同じとはかぎりません。初産では軽い生理痛のような痛みだったのに、次の出産では激しい腰痛を感じたというケースもあります。何度目の出産においても、徐々に痛みが規則的になり、間隔が短くなっていくのは同じといえます。しかし、子宮口の開きや陣痛周期の変化などは、経産婦は早くなる傾向があるようです。

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経産婦と初産婦の陣痛の間隔と平均時間

陣痛の間隔と病院に行くタイミング

日本産科婦人科学会では、陣痛の周期が10分以内または1時間に6回となった時点を分娩の始まりと定義しています。(※1)たとえ10分間隔になっても、その後で間隔がバラバラになったり痛みが遠のいてしまったりする「前駆陣痛」ならば病院に行く必要はありません。

初産婦の場合、陣痛が規則的に10分間隔になった時点で連絡し、産院に向かうように指示されるのが一般的です。初産婦であれば、5分間隔~7分間隔の時点で病院に連絡しても十分間に合うといわれることもあるでしょう。

経産婦は、陣痛の開始から分娩までの時間が短くなる可能性が高くなります。産院によりますが、陣痛の間隔が15分間隔になった時点、あるいは陣痛が規則的になった時点で病院に連絡するように指示されることもあります。「経験があるから大丈夫」と油断せず、初産婦以上にしっかりと陣痛周期を測り、連絡のタイミングに注意しましょう。

陣痛から出産までの平均時間

お産は、3つの時期に分かれています。規則的な陣痛が起こってから子宮口が全開大になるまでを分娩第一期(開口期)とよび、初産婦では10~12時間、経産婦では5~6時間ほどといわれています。分娩第一期では陣痛が始まってから子宮口3cm程度に開くまでの時間が長く、子宮口が4~6cm程度に開いてからは急速に進むのが一般的です。

子宮口が全開大になってから赤ちゃん誕生までを分娩第二期(娩出期)とよび、初産婦では平均1~2 時間、経産婦では平均30分~1時間ほどかかるといわれています。赤ちゃんが生まれてから胎盤が出てくるまでのあいだもお産の一部であり、分娩第三期(後産期)とよばれ、初産婦では15~30分、経産婦では10分~20分ほどとされます。

陣痛の始まりから胎盤娩出までには、初産婦は平均的に11~15時間、経産婦は6~8時間ほどかかるとされています。個人差がありますが、経産婦は初産婦の2倍近いスピードでお産が進む可能性があるということになりますね。

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経産婦は陣痛が遠のく・こないことが多い?

経産婦は初産婦よりも分娩所要時間が短くなることがありますが、陣痛が遠のいたり、こなかったりする可能性が高まるわけではありません。下腹部の痛みやお腹の張りが不規則に起こり、時間が経つと遠のいていくものを「前駆陣痛」と呼ぶことがあります。

前駆陣痛は初産婦、経産婦に関係なく、どのママにも起こる可能性があります。初産では前駆陣痛を感じたのに二度目では最初から本陣痛のように強く規則的な痛みが起こるなど、さまざまなケースがあるようです。出産予定日を超えても前駆陣痛のみでなかなかお産につながらないときは、リスクが高い42週以降の「過期産」を防ぐために陣痛促進剤を使用することもあります。

本陣痛が始まっていても陣痛が弱い場合、間隔が長く痛みがわからないという場合は「微弱陣痛」の可能性もあります。微弱陣痛が続くと、お産が長引く「分娩遷延(ぶんべんせんえん)」のリスクが上がるため、ママの状態に応じた処置がとられます。緊張を解いたり、陣痛促進剤を使ったり、帝王切開分娩に切り替えたりすることもあるでしょう。微弱陣痛の原因は、子宮や産道の異常、羊水過多、不安などさまざまで、初産婦・経産婦に関係なく起こる可能性があります。



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経産婦は初産婦より陣痛の痛みを感じにくい?

一度陣痛を経験しているため身体が慣れていて、二度目以降は痛みを感じにくかったと言うママもいますが、医学的な根拠はないようです。なかには二人目の出産のほうが痛かったというママもいます。経産婦は陣痛の緩和方法を知っていたり、精神的に余裕があったり、上手にリラックスできたりするので、結果的に前回より陣痛を軽く感じる可能性はありますね。

また、陣痛の始まり方も初産とまったく同じとは限りません。同じママでも、生理痛のような痛みだったり、鈍い腰痛だったり、激しい胎動のような痛みだったりと、痛みの種類が変わる可能性があります。「前とは痛み方が違うから陣痛ではない」と決めつけず、間隔を測るように心がけましょう。

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経産婦と初産婦の陣痛に関する体験談

初産とは違う状況になることも

筆者はふたりの出産経験があります。一人目のときは出産予定日ぴったりに陣痛が始まり、子宮口が全開大になるまで20時間近くかかりました。とても長く感じましたが子宮口が開いてからはするするとお産が進み、「産道が柔らかいようだから、二人目を産むときは気をつけたほうが良いかも」と助産師さんにアドバイスをもらいました。

二人目妊娠中、前の陣痛時と似た軽い生理痛のような痛みを感じましたが、予定日より2週間以上も前だったため「前駆陣痛だろうな」と決めつけてしまいました。一人目と同じように、予定日付近で産まれるだろうと思い込んでいたのです。しかし結果的には本陣痛であり「前駆陣痛かな、違うかな」と悩んでいるうちに立てないほど痛みが強くなってしまいました。

なんとか支えられて病院についてからは「二度目だから前よりずっと進行は早いはず」と期待していましたが、それでも子宮が全開大になるまで10時間ほどかかりました。想像よりも長い時間でしたが、初産に比べると半分近くに縮まっているのでやはり産道は柔らかくなっていたのかもしれません。

「一度経験しているから大丈夫」と自信を持ちすぎると、まったく違う状況になったときにパニックになる可能性もあります。緊張しすぎるのは良くありませんが、前回とは違うことが起こる可能性は十分にあると思っておくほうが良いかもしれませんね。

経産婦の陣痛が初産のときと違ってもあわてないで

経産婦は初産婦よりも早いスピードでお産が進むこともありますが、個人差があります。初産と陣痛の始まり方が違ったり、痛みの種類が変わっていたりしてもあわてずに、陣痛の間隔を測ってみましょう。規則的で徐々に強くなっていくようなら、産院に指示されたタイミングで連絡するように心がけましょうね。

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