双子の出産費用・方法・準備品を解説!帝王切開のリスクや管理入院についても

双子の出産は単胎児の出産とくらべて、どんな違いがあるのでしょうか。また、自然分娩や帝王切開といった出産方法は自分で選べるのでしょうか。ここでは双子の出産を控えているママに向けて、双子の出産方法や費用、準備品と準備のタイミング、帝王切開のリスクや管理入院について助産師がわかりやすく解説していきます。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 双子の出産準備はどうする?
  2. 双子出産前の管理入院とは?
  3. 双子出産の時期・週数
  4. 双子の出産方法:自然分娩の場合
  5. 双子の出産方法:帝王切開の場合
  6. 双子の出産費用
  7. 双子の出産後の過ごし方は?
  8. 双子の出産に関する体験談
  9. ママと赤ちゃんにとって安全で満足できる出産を迎えるために
  10. あわせて読みたい

双子の出産準備はどうする?

出産準備をするタイミング

双子の出産準備を始める時期は、いつがベストなのでしょうか。「妊娠○週から管理入院してください」と医師から指示が出ていて、焦っているママもいるかもしれませんね。

双子の出産準備を始めるタイミングは、妊娠6ヶ月頃が目安となります。妊娠20週を過ぎたら少しずつ準備を始めて、妊娠28週頃にはいつでも病院に入院できるようにしておきましょう。妊婦健診で医師から入院の可能性が説明されている場合は、早めに準備を整えておくと良いですね。

双子の出産準備品

双子の出産準備品は、産後3ヶ月頃までに使うものを必要最低限数、準備しましょう。病院で準備されているものもあるため、出産する病院に確認した上で準備を進めると良いですね。出産準備品はママが入院するときに使うものと、退院後に自宅で使うものにわけておきます。

ママが入院するときに使うものはひとつにまとめておき、家族に置き場所を共有しておくと良いでしょう。緊急入院になった場合でも、入院に必要なものを家族にすぐに持ってきてもらえます。

ママが入院中に使うもの、必要なものの一例です。病院によっては不要なものや、必要な数が異なるかもしれませんが、参考にしてみてくださいね。

・パジャマ:2組
・前開きショーツ:3〜4枚
・授乳用ブラジャー:2〜3枚
・腹帯または骨盤ベルト:1枚
・洗面用具
・シャンプー、コンディショナー、ボディソープ
・スリッパ
・箸、スプーン、マグカップ
・バスタオル、フェイスタオル:各2〜3枚
・ティッシュ:1箱
・授乳クッション:1つ
・円座クッション:1つ
・筆記用具、印鑑
・赤ちゃんの退院時の衣類:2組
・おくるみ:2枚

退院後に、自宅で使う双子の準備品の一例です。病院で用意されているものや、試供品としてもらえるものもあるため、あくまで参考例としましょう。

・おむつ:2~3パック
・おしりふき:2〜3パック
・上着(ベビードレス):4着
・中着:4着
・肌着:5〜6枚
・ガーゼハンカチ:5〜6枚
・バスタオル、沐浴布:各2〜3枚
・ベビー用石鹸:1個
・沐浴槽、洗面器:各1個
・綿棒:1パック
・爪切りはさみ:1個
・哺乳瓶:2〜3個
・哺乳瓶用消毒剤、消毒容器:各1個
・ふとんセット:2組
・防水シーツ:3〜4枚

なお、退院後に病院から自家用車で移動する場合には、赤ちゃんの人数分のチャイルドシートも必要です。忘れずに用意をしておきましょう。

双子出産前の管理入院とは?

双子の妊娠は単胎妊娠に比べて、切迫流産、切迫早産、妊娠高血圧症候群、胎児発育不全などの合併症が起こりやすく、妊娠20週を越えるとさらに起こるリスクが高くなります。

そのため多くの病院では、双子出産前のママに管理入院を指示します。管理入院の時期は妊娠30~34週が目安となります。ママと赤ちゃんの健康状態によっては、妊娠30週以前に管理入院となる場合もあります。

管理入院のメリットとして、病院がわがママと赤ちゃんの健康状態を把握することで、異常症状や合併症の予防・治療などに早く対処できることがあげられます。双子出産前のママが管理入院となると、出産するまで継続して入院することがほとんどです。仮に妊娠30週前後に管理入院が指示され、妊娠37週で出産した場合の入院期間は約2ヶ月となります。

双子出産の時期・週数

双子の出産は妊娠37~38週が適切とされており、単胎妊娠のように分娩予定日を目安とはしません。理由は妊娠37~38週での出産が、最も双子の赤ちゃんの死亡率が低く、安全なお産を目指せるからです。

単胎妊娠の場合は、妊娠37~妊娠42週未満での出産が適切とされています。双子の出産に適切な時期は、単胎妊娠の場合よりも少し早めです。

双子の出産は、赤ちゃんの死亡率のリスクが低い時期を選択します。実際には双子の妊娠の種類、ママと赤ちゃんの健康状態によって医師が総合的に判断し、出産週数を決めていくことになります。

双子の出産方法:自然分娩の場合

自然分娩で双子を出産する流れ

双子を自然分娩で出産する場合、自然に陣痛を待つ方法と医師が決めた適切な妊娠週数に人工的に陣痛を起こす方法があります。陣痛が始まると、初産婦のママより経産婦のママのほうが分娩の進行は早くなることが多いです。

第一子(子宮口に近い位置にいる赤ちゃん)が生まれると、超音波検査で第二子の子宮内での姿勢を確認して生まれてくるのを待ちます。第一子誕生から30分ほどで第二子が生まれる場合もあれば、1時間以上かかる場合もあります。

自然分娩を選択できる条件

双子を帝王切開ではなく、自然分娩で出産したいと考えているママもいるのではないでしょうか。双子を自然分娩で出産するためには、病院によってさまざまな条件が存在します。また、双子の出産方法として自然分娩は行わず帝王切開のみと決めている病院もあります。

自然分娩を選択するにしても、緊急の帝王切開に備えておくことが大切です。帝王切開のための検査(採血や胸のX線写真など)は、双子を妊娠しているママ全員が事前に受けます。

条件その1:赤ちゃんの子宮内での姿勢

双子の自然分娩を目指すためには第一子が頭位(頭から生まれる姿勢)であることを条件としている施設が多いです。

第二子は頭位、骨盤位(お尻から生まれる姿勢)どちらでも自然分娩を目指すことができますが、骨盤位の場合は帝王切開を選択する場合があります。

条件その2:赤ちゃんの体重

赤ちゃんの体重は自然分娩を選択できる条件のひとつになります。赤ちゃんの発育が順調で、体重に問題がない場合は自然分娩を目指すことができますが、発育が遅れていて赤ちゃんが小さい場合は帝王切開を選択することがあります。

自然分娩は陣痛によって、腟の中を通って赤ちゃんが生まれてくるため、狭い産道を通るときに赤ちゃんに負荷がかかります。そのため陣痛や狭い産道を通るときの負荷に耐えられるかどうかが、赤ちゃんの体重と関わっているのです。

条件その3:ママの合併症の有無

双子の妊娠は単胎妊娠に比べて合併症が起こりやすい状態です。ママに合併症がなく、陣痛によって健康状態が悪くならない場合は自然分娩を目指すことができますが、ママに合併症がある場合は帝王切開を選択する場合があります。

双子の出産方法:帝王切開の場合

予定帝王切開と緊急帝王切開

双子の帝王切開には、事前に医師が適切な出産日を決めて行う予定帝王切開と緊急で行う帝王切開があります。帝王切開は腰に麻酔薬を入れて、お腹から足まで麻酔をかける腰椎麻酔を行う病院が多いです。医師が麻酔の効果を確認したら手術を開始し、帝王切開開始後15分ほどで赤ちゃんが生まれます。第一子が生まれてから数分も経たないうちに第二子が生まれるでしょう。

腰椎麻酔での帝王切開はママの意識がある中での手術となるため、赤ちゃんが生まれてすぐに対面することが可能です。一般的に帝王切開の手術は1時間~1時間半ほどで終わります。

帝王切開のリスク

帝王切開は自然分娩よりもリスクが高くなります。どんなリスクが存在するか詳しくみていきましょう。

・出血
 帝王切開は経腟分娩よりも出血量が多いです。

・深部静脈血栓症
 足の静脈に血栓(血のかたまり)ができる病気です。
 血栓が肺に移動して呼吸困難を引き起こす可能性があります。
 予防のために帝王切開の前には弾性ストッキングを着用したり、空気で足を
 圧迫できる間欠的空気圧迫装置をつけたりします。

・臓器の損傷
 手術操作によって子宮に近い膀胱、尿管、腸管を傷つけることがあります。

帝王切開の前には必ず医師より手術やリスクに関する説明があるので、説明を聞いて不安な点は事前に質問をして回答を聞いておくようにしましょう。

双子の出産費用

双子の出産費用の目安

双子の出産費用は1週間の入院と仮定すると、分娩料金や投薬料・入院料・給食費・新生児管理料・出生証明書発行料などがかかり、費用の合計は産院によってさまざまです。出産育児一時金ではまかなえないこともあります。管理入院をしていた場合は管理入院分の費用が加算されます。また、入院先の部屋が個室の場合は、その分の費用も負担する必要があります。

帝王切開は保険診療となり、予定帝王切開は201,400円となります。予定帝王切開の診療報酬点数は20,140点で、1点10円として計算します。(※1)社会保険加入者であれば3割負担となるため、予定帝王切開は60,420円です。これに投薬料、入院料などを加えると出産費用は約310,000円となります。

公的補助や保険の給付金

健康保険から給付される出産育児一時金を申請すると、生まれた赤ちゃんひとりにつき420,000円支給されるので、双子では840,000円支給されます。出産育児一時金の直接支払制度や代理受取制度を導入している病院であれば、出産育児一時金で直接出産費用を支払うことができるため、退院時に支払う負担額は減るでしょう。仮に双子の出産費用が700,000円だった場合、差額の140,000円が戻ってきます。

また帝王切開や吸引分娩・鉗子分娩(経腟分娩の場合)は産科手術に分類されるため、生命保険・医療保険が適応するケースがあります。加入している保険会社に確認して、適応になる場合は病院で診断書を発行してもらいましょう。

給食費や差額ベッド代は保険の対象外となりますので、注意が必要です。

双子の出産費用は単胎児の出産とくらべて高額なイメージがあるかもしれません。しかし、公的な制度の利用や、加入している生命保険・医療保険によっては給付金が受け取れ、費用の負担が軽くなることがあります。

双子の出産後の過ごし方は?

双子の出産は単胎の出産にくらべると出血量が多くなる傾向があります。そのため双子を出産したママは貧血になりやすい状態です。また、ママに合併症がある場合は産後まで症状が続く場合もあります。

まずはママ自身の身体の回復を優先させて、ゆっくりとふたりの赤ちゃんの育児に慣れていくと良いでしょう。ふたりの赤ちゃんに育児に慣れてきたら、同時授乳の練習をしてみましょう。同時授乳は、左右のおっぱいをふたりの赤ちゃんが同時に飲む方法です。一度にふたりの授乳ができるメリットがあります。

双子の出産に関する体験談

双子を出産した経産婦のママのケース

妊娠経過に問題なく、自然分娩で双子を出産したママのケースです。ママの出産経験は今回で2回目で、双子の赤ちゃんの育児を上の子どもと同じようにやってみたいという希望がありました。そのため、産後1日目からふたりの赤ちゃんのお世話を同時に始めました。

産後1日目は眠っている時間が多かった赤ちゃんたちですが、産後2日目になると昼夜問わず泣いて起きるようになりました。ふたり同時に泣くと、2回目の出産といえどもママはどのようにお世話をしたら良いのか困惑している様子です。そこで助産師や看護師が、まずはひとりずつ育児を始め、慣れてきたらふたり同時にお世話をすることをママに提案しました。

ひとりずつ育児をやってみることで、それぞれの赤ちゃんの特徴がわかるようになってきたママは心に余裕ができたようです。退院するころにはふたりの赤ちゃんの育児に、しっかり取り組めるようになっていましたよ。

双子出産を控えているママへ助産師からのアドバイス

初産婦のママであっても経産婦のママであっても、双子の育児は最初のうちは慣れないものです。

産後間もないころは分娩による疲労が回復していないため、同時にふたりの赤ちゃんの世話をするとママの身体と心に大きな負担がかかります。一度にふたりの育児をやろうとせず、まずは赤ちゃんひとりずつに向き合って赤ちゃんのことを知っていきましょう。

ママが焦る必要はありません。病院では助産師や看護師が育児のサポートをします。無理をせずにゆっくりとできることを増やしていきましょう。

ママと赤ちゃんにとって安全で満足できる出産を迎えるために

双子の出産を控えてるママは、準備品、出産方法や費用について心配に思うこともありますよね。急な入院指示が出されてもあわてないよう、余裕をもって出産準備を始めていきましょう。加入している生命保険・医療保険によっては、帝王切開で給付金を受け取れるケースがあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

単胎児の出産とくらべて双子の出産にはリスクがともないます。医師・看護師・助産師から十分な説明を受け、不明点がない状態で、安心して出産を迎えられると良いですね。

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