産院はいつまでに決めればいい?後悔しない出産のための選び方とポイント!

産院を選ぶときは、出産までの10ヶ月間に無理なく通えるか、快適な入院生活が送れるかが気になるものです。具体的にどのような点を考えながら産院を選ぶと良いのでしょうか。ここでは、産院の種類から距離やサービス、設備など、産院の選び方で押さえておきたいポイントを助産師監修で解説します。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 産院はいつまでに決めればいい?
  2. 産院の種類
  3. 産院を選ぶポイントは?
  4. 途中で転院するのはあり?
  5. 産院選びのポイントを知って理想のお産を目指そう
  6. あわせて読みたい

産院はいつまでに決めればいい?

早い段階で分娩予約が必要か確認

多くの産院では分娩を予約制にしています。これは妊婦さんや赤ちゃんに十分なケアを提供するためです。スタッフの人数やベッド数などにより施設ごとに対応できる分娩数が限られているので、妊娠が判明したらできるだけ早い段階で分娩予約が必要かを確認すると良いでしょう。

妊婦さんの中には初診の段階で分娩したい産院を決めており、心拍が確認できる妊娠5週から8週頃までには分娩予約を済ませる人もいるようです。地域によっては、人気の産院はすぐに予約が埋まってしまうことがあるため、いくつか候補をあげておくと安心です。

里帰り出産の場合

里帰り出産の場合、分娩予約の際にその産院での受診を求められるケースもあります。分娩予約のために里帰りが必要になることも想定し、スケジュールに余裕をもって手続きを進めていきましょう。

産院の種類

個人病院

個人病院には病床数が20床以上の病院と、病床数が19床以下の診療所(クリニック)があります。いずれも産婦人科をメインの診療科目としており、一般外来で産婦人科以外の感染症の疑いがある患者さんと一緒になる心配は少ないでしょう。

個人病院は妊娠の判定から妊婦健診、出産までを継続して同じ医師・スタッフに対応してもらえるケースが多く、質問がしやすいという安心感があります。産院ごとに独自のサービスが充実しているのも特徴です。母親学級やマタニティヨガなどを開催している産院もありますよ。

細やかな対応が期待できる反面、スタッフ数が限られている施設では急なお産対応のために外来がストップする場合もでてきます。ハイリスクな妊婦さんには対応できないこともあり、他院へ転院となるケースもあるでしょう。

総合病院

総合病院は病床数が20床以上ある一般病院で、産婦人科以外の診療科目も扱っています。科目を横断した連携がとりやすく、トラブルが起こったときもスムーズな対応が可能です。産科と小児科を備え都道府県から地域周産期母子医療センターに認定されている施設では、比較的高度な医療行為を担っている場合もあります。

多胎妊娠、帝王切開、妊娠合併症などのリスクがある妊婦さんにも対応できるため、個人病院から総合病院へと転院となるケースもあるでしょう。総合病院は規模が大きくスタッフが充実していることから、無痛分娩や産後ケア入院を積極的に取り入れている施設が多いのが特徴です。

周産期母子医療センター…母体・胎児集中治療管理室(M-FICU)を含む、産科病棟・新生児集中治療管理室(NICU)を備えた医療機関

大学病院

大学病院は医学部や歯学部を持つ大学に付設された病院で、高度な医療を提供できる施設です。総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターに認定されていることが多く、新生児集中治療管理室(NICU)での新生児医療を担うこともあります。

研究機関としての側面があるため、健診などの際に学生や研修医の立ち合いを求められたり多くの医師がかかわったりすることもあるでしょう。

ハイリスクの妊婦さんだけなくローリスクの妊婦さんも受け入れており、総合病院同様に無痛分娩や和痛分娩など多様なニーズに対応しているのも特徴です。

助産院(助産所)

助産院は助産師が開設した施設で、一度の入所者数は10人未満に限られています。助産師による細やかなケアが受けられ、アットホームな雰囲気の中、自分の希望にあった方法で分娩できるという利点があります。

助産院では医療行為が行えないため、正常分娩であることが分娩の条件となります。会陰切開や緊急帝王切開などにも対応していません。多胎妊娠や妊娠経過に異常がある場合は、医師のいる病院での分娩が求められます。

出産を行っている助産院は医師がいる病院と連携しています。気になる場合は、どこの病院と連携しているか確認しておくと良いでしょう。

(※)オンライン助産院サービス「エミリオット助産院」は当記事の監修者、河井恵美先生が運営する助産院です。

産院を選ぶポイントは?

赤ちゃんを迎えるにあたりどのようなお産をしたいか、陣痛がはじまってから退院するまでをどう過ごしたいか、まずはママの理想を書き出してみましょう。産院選びは希望する出産を思い描くことから始まります。ママとパパが意見を出し合って、希望がかなえられる産院を探せると良いですね。

産院までの距離、通いやすさ

妊娠中は妊婦健診のため、定期的な通院が欠かせません。妊婦健診の標準的な回数は14回で、妊娠初期から23週まではおおよそ4週間に1回、24週から35週までが2週間に1回、36週以降では1週間に1回という受診頻度になります。大きなお腹で毎週通院することを考えると、ママにかかる負担ができるだけ少ないことが望ましいでしょう。

陣痛がはじまってから分娩にいたるまで、平均で初産婦が13時間29分、経産婦では5時間16分の時間がかかります(※1)。特に初産の場合は陣痛がはじまってもただちに分娩にいたるケースはまれですが、妊娠中は切迫流産・早産、陣痛前の破水など予想外のことが起こる可能性があります。万が一に備え、交通手段がすぐに確保でき自宅から移動しやすい産院を選ぶと安心です。

希望の分娩方法に対応しているか

一般的な分娩方法としては、陣痛がはじまってから子宮口が開くまでは陣痛室で過ごし、子宮口が開大したら分娩室に移動して分娩台の上で出産するという流れが知られています。しかし、分娩方法はほかにもさまざまな種類があるのです。

最近増えてきているのが、麻酔を用いて計画的に出産する無痛分娩・和痛分娩です。座位分娩やフリースタイル分娩など、分娩台で出産する方法とは別の分娩スタイルも提供されています。ラマーズ法のほかに、ソフロロジー法の呼吸法を取り入れている産院もありますよ。

特徴的な分娩方法は、すべての産院で取り入れているわけではありません。希望の分娩方法から産院を選択するのも良いでしょう。

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施設の環境

旅行のとき泊まるホテルや旅館にこだわるように、産院の設備や環境も気にしておきたいポイントといえるでしょう。たとえば、産後に過ごす部屋が個室か大部屋か選べる場合、ゆっくりと過ごしたいママには個室がある産院がおすすめです。洗面台やトイレが室内にあると移動が楽ですね。

個室であってもシャワーやトイレは共同という場合もあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。パパやきょうだいが利用しやすい設備があったり、院内Wi-Fiが利用できたりすると便利ですよ。最新の設備を備えている施設では、空気清浄機を設置したり抗ウイルス対策が施されていたりと、安全面への配慮も期待できます。

分娩・入院にかかる費用

分娩・入院にかかる費用には入院料、室料、分娩料、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、産科医療補償制度掛金があり、施設や分娩の状況によって費用が異なります。厚生労働省の集計によると、公立病院、私立病院、助産院を含む診療所のうち、出産費用がもっとも高いのは私立病院でした(※2)。

健康保険や国民保険に加入している場合、原則として42万円の出産育児一時金が支給されます。2023年度からは50万円へと引き上げることが決定しました。しかし、出産費用の相場は平均で約52万円となっており、出産育児一時金で賄えない分は自己負担で支払う必要がでてきます。産院の公式サイトやパンフレットに掲載されている費用を確認しておきましょう。

また、産院が出産育児一時金の直接支払制度に対応しているかも、事前に調べておきたいポイントです。直接支払制度に対応している産院では、退院時の請求額は実際の費用から出産育児一時金を差し引いた金額となり、支払い時に手元に用意すべき額を抑えられます。

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産院の方針

産院での過ごし方には、その施設の出産や育児に対する考え方が反映されています。たとえば立ち会い出産は夫のみ可能な場合と上の子どもも可能な場合など、病院によって対応がわかれます。

産後はママと赤ちゃんが一緒に過ごす母子同室が主流となっていますが、ママの身体を休めるために夜だけ母子別室とする産院もあります。母乳育児についての考え方も産院の方針が出やすいポイントです。ママやパパの考え方に合っているか、あらかじめ確認しておくと安心ですね。

食事やサービスの内容

体力を消耗した産後のママにとって、食事や産後のケアの内容は気になるところではないでしょうか。最近では一流のシェフが腕を振るったお祝い膳や、お部屋への軽食サービスを提供している産院が増えています。

産後のフットケアマッサージやエステ、ヘッドスパも人気のサービスです。シャンプー・リンスやマッサージジェルなど、ホテルのようなアメニティーに力を入れている産院もありますよ。

こうしたサービスは入院料として算出されるため、費用を抑えたい場合はサービスが控えめな産院を選ぶと良いでしょう。

リスクへの対応

万が一に備えたリスク対応がとれることも、産院選びのポイントとなるでしょう。高齢出産の場合や高血圧症などの持病があるママは、自分のリスクレベルを知っておくことが大切です。医師の人数や他院との連携状況、過去の実績は、その施設がリスクに対応できるかの目安となります。公表されている情報をもとに、安全性がしっかりと管理されているか確認しておきたいですね。

先生やスタッフとの相性

ママとお腹の赤ちゃんにとって一度しかない妊娠・出産期間を安心して過ごすためにも、相性の良い先生やスタッフのもとで出産に臨みたいですね。

自分に合う人・合わない人は人それぞれですが、質問がしづらい、指導がわかりづらいなど信頼関係の構築に不安がある場合は、担当医の変更や転院の打診など早めの対策を検討しましょう。

途中で転院するのはあり?

通院してみると想像以上に負担が大きかったり、サポートしてくれる家族の都合に合わせたりと、里帰りや転勤以外でも転院が必要となるケースはでてきます。先生やスタッフとの相性が合わない場合も、転院を選択する理由となるでしょう。

転院する場合は、転院先の分娩予約が可能かを確認し分娩予約を取ったうえで、通院中の産院で紹介状を書いてもらいます。診察時に伝えづらい場合は受付で伝えたり、電話で連絡したりする方法もあります。途中で転院する理由を聞かれた場合にあわてないよう、答えを用意しておくとスムーズです。

産院選びのポイントを知って理想のお産を目指そう

ママと赤ちゃんが命がけで臨む妊娠・出産は、安心してお産ができる産院を選びたいですね。最近は産科自体が減少傾向にある反面、サービスや設備をグレードアップする施設が増えています。

すべての希望を満たすことは難しいかもしれませんが、ママとパパの意見を出し合いながら、ポイントの優先順位をつけて理想のお産を目指しましょう。

※この記事は2023年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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