リスクの高い分娩からママと胎児を守る!周産期母子医療センターとは?特徴や一般病院との違い|産婦人科医監修

出産前は、分娩のリスクや赤ちゃんの健康など心配に思うことがあるでしょう。各都道府県では、分娩のリスクに対応するため、ママと赤ちゃんの命を守る周産期母子医療センターを整備しています。ここでは、どのような設備を備えどのようなリスクに対応しているのか、総合・地域の役割や一般病院との違い、東京都独自の取り組みなどを解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 周産期医療とは?
  2. 周産期母子医療センターとは?
  3. 一般病院や助産所との違いは?
  4. 東京都では周産期連携病院も
  5. 整備が進む周産期母子医療センター
  6. あわせて読みたい

周産期医療とは?

周産期とは出産の周辺の時期つまり出産前後の時期を指し、世界保健機関(WHO)では妊娠22週から出生後7日未満までの期間と定義しています。この時期は妊娠・分娩・産褥(さんじょく)・新生児管理が混在し、母子ともに突発的な異常が起こりやすい時期でもあります。

緊急事態が起こったときに、ママと赤ちゃんに対して同時に高度な医療を提供するのが周産期医療です。周産期医療では産婦人科と小児科が連携し、絶え間なく総合的な医療を提供しています。

周産期母子医療センターとは?

妊娠・出産にいたる経過は人それぞれですが、合併症妊娠、切迫早産、高齢出産などはハイリスク妊娠といわれます。このようなハイリスク妊娠での分娩や胎児異常が起こった場合に、高度な周産期医療・新生児医療に対応する施設が周産期母子医療センターです。

周産期母子医療センターは各都道府県が指定しており、施設基準により「総合周産期母子医療センター」と「地域周産期母子医療センター」に分けられます。令和4年4月1日時点で全国で指定されている施設は、総合周産期母子医療センターが112ヶ所、地域周産期母子医療センターが296ヶ所です。(※1)

総合周産期母子医療センター

総合周産期母子医療センターは、地域の周産期医療システムの中核を担う施設です。産科に母体・胎児集中治療管理室(MFICU)、小児科に新生児集中治療管理室(NICU)を有する医療機関が認定されており、麻酔科やそのほかに関係する診療科目と連携しながら治療にあたります。

地域周産期母子医療センター

地域周産期母子医療センターは、産科や小児科(新生児)を備えていて周産期の比較的高度な医療行為を担う施設です。総合周産期母子医療センター1ヶ所につき数ヶ所の割合で整備されており、地域の医療機関と連携をとりながら24時間体制で周産期の救急医療に対応しています。(※2)

一般病院や助産所との違いは?

妊娠が判明してから出産までは地域のクリニックや助産所、一般病院をかかりつけ医とすることが多いでしょう。これらの施設は、正常分娩や予定帝王切開など、リスクが低い分娩を行っています。

一般病院や助産所にかかっていても、高度な医療が必要とされる状況になったときは周産期母子医療センターに紹介もしくは搬送となります。

一方で、周産期母子医療センターに指定された施設でも通常の産科診療を行っており、リスクの低い分娩も受け入れています。周産期母子医療センターに指定された施設の産科で出産を希望する場合は、分娩予約が可能か問い合わせてみると安心です。

東京都では周産期連携病院も

東京都での例をご紹介します。東京都は独自の取り組みとして、周産期連携病院を指定しています。ミドルリスクの妊産婦に対応するための施設で、自院のかかりつけではないミドルリスク妊産婦の搬送を24時間体制で受け入れています。

地域の診療所からの紹介や周産期母子医療センターからの逆紹介もあり、必要な人に必要な医療が届けられるよう体制を強化しています。

整備が進む周産期母子医療センター

高齢出産の増加などを背景に、出生数に見る低出生体重児の割合は1980年代から2000年代初頭にかけて増加傾向にありました。現在は9.4%ほどで推移しています。

ハイリスク妊娠や集中治療室での治療と聞くとポジティブなイメージがわかないかもしれません。しかし、周産期母子医療センターの整備は着々と進められており、ママと赤ちゃんを守る体制は整えられています。ママと赤ちゃん、そして医療の力を信じ、必要以上にストレスをためないよう心穏やかに過ごしたいですね。

※この記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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