【産婦人科医監修】高温期14日目で体温は下がる?上がる?妊娠の可能性は?
妊娠を希望している場合、高温期14日目に基礎体温が下がるか、高温のままか気になる人は多いことでしょう。高温期14日目に体温が下がる場合に妊娠していたということはあるのでしょうか。高温期14日目に基礎体温が上がる・下がる可能性、妊娠初期症状とPMSの違い、フライング検査の精度、出血やおりものの変化などを解説します。
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目次
生理や妊娠の目安としても活用できる「基礎体温」
妊娠を希望している人たちのあいだでは妊活のひとつとして使われることが多いのが、「基礎体温」と呼ばれる体温を活用して女性の身体のリズムを把握する方法です。基礎体温は、人間のもっとも安静な状態の体温を指した言葉です。寝起きの状態で身体をあまり動かさずに、専用の基礎体温計(婦人体温計)を使い舌の下で体温を測ります。
基礎体温は、体温が低い「低温期」と体温が高い「高温期」の二相となり、生理が始まってから次の生理が始まるまでの「生理周期」という期間のあいだで変動します。基礎体温が低温期から高温期に移行するとき、一般的には「排卵」が起こっていると考えられます。
基礎体温が変動するのは「女性ホルモン」の影響によるものです。低温期には「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が多く分泌され、高温期には妊娠を助けるという「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌が増加します。プロゲステロンの分泌が減ると高温期が終わり、次の生理が来ます。妊娠が成立したときはプロゲステロンの分泌が維持され、高温期が続きます。
このように、基礎体温に影響およぼす女性ホルモンは、生理や妊娠といった女性の身体の変化を助ける働きを持っています。女性ホルモンと基礎体温、女性の身体の変化は連動しているのです。
高温期はおおよそ14日前後
生理周期のうち、低温期の日数は人によって異なりますが、高温期はほぼ一定で約14日間だといわれています。このため、高温期何日目なのかがわかれば、いつごろ生理が来るのかを予測をすることができます。
高温期が14日目を過ぎても続く場合には、妊娠の可能性を考えても良いかもしれません。実際に妊娠していれば、そのまま高温期が続き、妊娠初期症状(兆候)や生理の遅れが確認できるでしょう。
ただし、生理周期を正確に把握できていないと、高温期の日数を間違う可能性があるので注意が必要です。また、生理不順の場合、基礎体温に影響与える薬を飲んでいる場合には、高温期が続くケースがあります。妊娠初期症状は個人差が大きいため、妊娠の兆候をまったく感じなかったのに妊娠していたケースも珍しくありません。
高温期14日目に体温が上がる・下がる原因
高温期は、プロゲステロンが多く分泌される時期です。この女性ホルモンは、基礎体温を上昇させ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を維持するという働きをしています。さらに、生理前に体調や精神が不安定になったり、腹痛や頭痛、肌荒れが気になったりする症状が現れるのは、プロゲステロンが関係しているのではないかと言われています。
正常な生理周期では、高温期14日目に体温が下がり、生理がはじまります。この変化はプロゲステロンの分泌が少なくなることで起こります。高温期14日目に基礎体温が低くならず高温が続くようであれば、妊娠の可能性があるでしょう。
ただし、基礎体温はあくまでも身体の変化を読み取る目安となるものです。妊娠の可能性があれば「生理が何日ぐらい遅れているのか」「妊娠初期症状にあたるような兆候はあるか」といったことをあわせて確認しましょう。
基礎体温は細かな0.00℃の温度差から身体の変化を読み取るため、発熱や室温などの影響を受けることもあります。高温期14日目に基礎体温が上がった場合、この状態が続くのかどうかに注目することが大切かもしれません。
妊娠検査薬はいつから使える?フライング検査してもOK?
生理予定日の1週間後からが多い
妊娠の可能性がある場合には、市販の妊娠検査薬を試す人が多いでしょう。薬局などで買うことができる妊娠検査薬は、近年技術の向上によりおおよそ信頼できる判定が得られることが多いといわれています。
メーカーにもよりますが、市販の妊娠検査薬はおよそ生理予定日の1週間後から使えるものが多いようです。これは妊娠検査薬の陽性・陰性を判定する仕組みが大きく関わっています。
市販の妊娠検査薬は妊娠すると分泌が始まるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)が尿から検出されるかどうかで陽性・陰性を判断します。hCGは妊娠が成立すると分泌が始まりますが、検出できるような量の分泌が始まるのが生理予定日の1週間後あたりになります。
メーカーの推奨時期に使用がおすすめ
市販の妊娠検査薬は精度が高いといわれていますが、使用時期をふくめ想定された使い方以外での使用に関しては、信頼できる結果が得られるかどうかについて保証はしていません。
高温期14日目に生理がこないと、気持ちが落ち着きませんね。しかし、フライング検査と呼ばれる使用推奨時期よりも前に妊娠検査薬を試す方法の結果について100%信頼できるかは難しいかもしれません。
不妊治療の薬の投与を受けている場合や閉経期でhCGに似たような物質が分泌されている場合には、妊娠していなくても陽性になる場合があるようです。また生理不純や生理予定日までの日数が間違っている場合、妊娠初期でhCGの分泌量が少ない場合、正常な妊娠でない場合には陰性になることがあります。妊娠は必ず病院を受診して正常な妊娠かどうかを確認してもらいましょう。
下腹部痛などのPMSと妊娠初期症状は似ている
高温期と呼ばれる生理前には、さまざまな身体の変化を感じることがあります。イライラする・腹痛・眠気・頭痛・胸の痛み・微熱・食欲の低下・なかなか眠れないといった症状があれば「PMS(生理前症候群)」を疑ってみても良いかもしれません。PMSは生理が始まると症状が緩和され、毎月おおよそ同じ頃に似たような不快な症状が起こります。
一方で、PMSの症状と似ている「妊娠初期症状」は、人によってさまざまな変化を感じるようです。代表的なものとしては微熱・だるい・眠い・胸が張る・吐き気・食欲がなくなる・においに敏感になるといったものがあげられるでしょう。妊娠初期症状であれば生理がこないことが最大の特徴です。生理が遅れている上で、このような症状を感じるのであれば市販の妊娠検査薬を試し、陽性が出たら病院を受診してくださいね。
おりものも女性ホルモンで変化する?
腟や子宮などの分泌液が混じった液体である「おりもの」も女性ホルモンの分泌量の変化によって、生理周期に応じて変化していきます。おりものは色・量・におい・粘度などが人によって異なりますが、おおよその生理周期に応じた変化傾向は決まっています。
細菌などが子宮に侵入するのを防ぐ役割もあるおりものですが、排卵期に着床しやすいような粘り気のある状態に変化し、妊娠を助けます。このため、排卵期におりものの分泌は最も多くなります。排卵後の生理が始まるまでの「高温期」の時期には、生理が近くにつれて少しずつおりものの量が減り、粘り気のある白から黄色に近い色に変化するでしょう。おりものの量が少なくなってきたら生理が近づいている兆候ととらえても良いかもしれません。妊娠するとおりものは増えるといわれています。
出血で妊娠・生理の判別はできる?
月経以外の出血はすべて「不正出血」と呼ばれます。不正出血のすべてが心配すべき出血ではありませんが、中には病気が原因になっているものや腟・外陰部などに傷が付いている可能性もあるでしょう。一方で、「中間期出血(排卵出血)」と呼ばれる排卵期になると出血するケース、妊娠初期に少量の出血が起こるケースなどもあります。あまりにも長いあいだ出血が続く、大量の出血がある、痛みがあるといった場合であればすぐに病院を受診しましょう。
それ以外の場合ではホルモンバランスにより出血した可能性も考えても良いかもしれません。また生理予定日の近くになると、おりものに少量の血が混じり茶色(褐色)に近いようなおりものになる人もいます。
不正出血のみでは、妊娠と生理の区別をつけることは難しいかもしれません。基礎体温やさまざまな身体の変化、市販の妊娠検査薬の判定などさまざまなものを総合して、妊娠の可能性を検討してみましょう。最終的には正常な妊娠であることを確認するためにも、必ず病院を受診してくださいね。
普段から自分の身体の状態を観察しておくことも大切
高温期14日目ともなると、妊娠を希望している場合には、「現在の状況」に集中してしまう人が多いかもしれません。生理や妊娠といった女性特有の身体の変化は個人差も大きいことに注意が必要でしょう。おりもの、基礎体温、出血の有無などは、普段の自分と比較してどうなのかを確認することが大切かもしれません。
基礎体温やおりものなど生理周期で変わるものは、生理前後や排卵前後などの各時期のおおまかな変化を観察しておくと良いでしょう。妊娠を希望している場合には、どうしても基礎体温ばかりに注目してしまう人もいますが、さまざまな点から自分の身体の変化を確認してみてくださいね。
※この記事は2023年10月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。