基礎体温が低温期なのに生理がこない!妊娠の可能性はある?|産婦人科医監修
妊娠を希望している場合、「基礎体温」を毎日測って活用している方が多いかもしれません。基礎体温は生理や排卵といった女性特有の身体の変化とともに変動しますが、いつもと違う動きをすると心配になりますよね。基礎体温が低くなると生理が始まるサインだといわれていますが、生理がこない場合には身体に何が起こっているのでしょうか。
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目次
妊娠・避妊、美容や健康に役立つ「基礎体温」
基礎体温は、「妊娠や避妊のために測るもの」といったイメージがある方も多いかもしれません。生理が始まった日から次の生理が始まる前日までを指す、約1ヶ月の「月経周期」の中で、女性ホルモンの影響によって基礎体温は変化します。女性ホルモンには、女性らしさを作る「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と妊娠をコントロールする「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2種類があります。
基礎体温では、妊娠しやすい時期や次の生理開始日を予測することもできますが、代謝が良くなる時期やむくみ・イライラが出やすい時期などを知ることもできます。妊娠や避妊だけではなく、代謝が良くなる時期にダイエットを計画したり、むくみやすい時期には食事などの対策を取ったり、といった活用をすることができます。
基礎体温と生理の関係
約1ヶ月の生理周期の中で、基礎体温は変化します。生理周期は「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の4つの時期に分けられます。女性ホルモンの影響により、月経期・卵胞期は基礎体温が低くなる「低温期」、黄体期は基礎体温が高くなる「高温期」になります。「低温期何日目に生理になるか」は個人差があるため、一概には言えないでしょう。排卵期には、低温期から高温期へ徐々に移行します。
生理周期の4つの「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」には、それぞれの名前通り身体に変化が起こっています。月経期には生理(月経)が起こり、卵胞期には卵胞が育ちます。基礎体温の変化により女性ホルモンが正常に機能しているかを確認することができ、女性ホルモンが正常に働いていれば、各時期に排卵や生理が起こります。
生理前後の基礎体温の変化
基礎体温は、生理前と生理中・生理後で大きく変化します。生理前の「黄体期」には、女性ホルモンの一種である黄体ホルモンの影響で、基礎体温が高い状態が約2週間続きます。生理が始まる「月経期」から生理後の「卵胞期」までは、黄体ホルモンの分泌量が減少し、基礎体温が低い状態が約2週間続きます。基礎体温を上下させる女性ホルモンですが、黄体ホルモンの分泌量が増えると基礎体温は上昇します。
低温期なのに生理がこない!考えられる原因は?
個人差はありますが、高温期を経て基礎体温が下がると生理が始まります。高温期が終わり低温期になっても生理がこない場合、どのような可能性があるのでしょうか。低温期になってからの日数にもよりますが、生理不順による「生理の遅れ」が考えられるでしょう。妊娠や更年期、病気の可能性もあります。基礎体温だけでなく、いろいろな視点から検討することで、さまざまな可能性を探っていきましょう。
生理不順の場合、基礎体温はどのように変化する?
過度なダイエットやストレス、服用している薬の影響などにより、生理がなくなったり、大幅に遅れたりする場合があります。生理不順に対して危機感がない人もいますが、子宮や卵巣に異常がある可能性もあるため、注意が必要です。生理があっても排卵がない場合には、高温期と低温期の差異が小さくなり、低温期が続いているような基礎体温グラフになることがあります。生理不順が続くようであれば病気の可能性も考えて、病院で検査をしてもらうと良いでしょう。
基礎体温が低い状態でも、妊娠の可能性はある
基礎体温は、専用の基礎体温計を用いて、寝起きの最も安静な状態の体温の変化を測るものです。0.01℃といった小さな変化を参考にするため、測る方法や時間がいつもと異なれば、誤差が出る場合があります。
妊娠している場合には、女性ホルモンの影響で基礎体温が高い状態が16日以上続きます。ただし、基礎体温の計測方法に誤りがある場合などには、この限りではありません。妊娠の可能性がある場合には、生理予定日からの経過日数や微熱などの妊娠初期症状、市販の妊娠検査薬を用いた検査などを確認してみましょう。妊娠検査薬の陽性・陰性はあくまでも目安のため、最終的には病院で検査して診断してもらってくださいね。
病気や更年期によって基礎体温・生理に影響は出る?
生理はあるが、高温期が短い場合
生理があっても、ホルモンバランスや子宮・卵巣に異常があるケースもあります。基礎体温の高温期が9日以内の場合には、生理があったとしても卵巣の働きが低下している「黄体機能不全」が起こっているかもしれません。黄体機能不全では、排卵は起こっていますが、女性ホルモンの分泌量が少ない場合があります。不妊につながるといわれている症状のひとつのため、早めに病院で詳しく調べてもらいましょう。
頻繁に生理になる場合
低温期が短くなる・高温期が短くなるといった生理周期の乱れに加えて、頻繁に生理になるようであれば、更年期の初期症状である可能性があります。更年期には、閉経前後に女性ホルモンが乱れ、減少することでさまざまな症状を引き起こすことがあります。更年期の症状はさまざまであり個人差が大きいですが、早い時点で兆候に気づくことができれば、症状がつらくなる前に対応していくことができるかもしれません。更年期には、足りないホルモンを補う治療法や漢方薬の処方などが症状によって受けられるので、病院で相談してみると良いでしょう。
生理不順は異変のサイン
基礎体温の状態にかかわらず、生理が遅れる・生理がないといった状態は、身体からの異変を知らせるサインだと考えて良いでしょう。妊娠した場合にも生理はなくなりますが、妊娠以外であれば病気やストレスが引き金になっている恐れがあります。
生理が遅れるといった「周期の異常」に加えて、生理期間が短い・長いといった「日数の異常」、生理の血が多い・少ないといった「量の異常」など、いつもと違う気になる点があれば早めに病院に相談しましょう。特に妊娠を希望している、将来的に妊娠を考えているのであれば、病気の可能性を早めに検査し、確認しておくと良いでしょう。
身体の変化をいち早く察知しよう
基礎体温は、女性特有の身体の変化に影響を受けて変動することが多いです。妊娠や排卵、生理といった目に見えない変化をいち早く察知するためには、目安として基礎体温の変化を利用すると良いでしょう。
基礎体温は身体の変化と連動しているからこそ、「おかしいな」と思うことがあれば早めに病院に相談すると良いかもしれません。妊娠や出産に関わることだけではなく、病気の早期発見や事前の対処として基礎体温を活用していきたいですね。