生理前のおりものの特徴!多い?少ない?においや色、妊娠初期のおりものとの違いも解説|産婦人科医監修
生理前におりものが増えたり白いおりものが出たりして、いつもと違う、と戸惑ったことはないでしょうか。ここでは生理前のおりものの量やにおい、色の特徴や、妊娠初期のおりものとの違いについて産婦人科医監修で解説します。生理前のおりものの特徴を知り、異常なおりものや妊娠初期の変化にすぐに気づけるようになると良いですね。
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この記事の監修
目次
おりものとは?2つの重要な役割
「おりもの」というと、どのようなイメージがありますか。おりものは下着について汚いというイメージを持つ人も少なくないのではないでしょうか。実はおりものには、女性にとって重要な役割があるのです。
腟の自浄作用を助け潤いを保つ
おりものは女性ホルモンのはたらきによって子宮や腟、汗腺などから分泌される液体で、腟の「自浄作用」を助ける働きがあります。おりものの中にいる善玉菌が細菌の侵入や増殖を防ぎ、分泌物による潤いが腟の乾燥を防いで女性の健康を守っています。
受精を助ける
排卵期にはおりものの量が多くなる傾向があり、糸を引くようなさらさらしたおりものが子宮の出口から分泌されます。子宮頸管粘液と呼ばれるこのおりものが、腟内から子宮内へと精子が移動するのを助け、このはたらきによりスムーズな受精が促されます。
おりものは生理周期や年齢でどう変化する?
おりものは生理周期とともに日々変化する
女性ホルモンのはたらきにより、おりものは日々変化しています。生理後は女性ホルモンが増加するにつれておりものも増加し、排卵期にはおりものの量がもっとも多くなります。排卵期のおりものは、ゼリーや卵白のように伸びやすくなる場合が多いでしょう。
生理開始1~2週間前の「黄体期」という期間には、おりものの量が減って白く濁るようになり、生理前には再び量が増えてにおいが強くなる傾向があります。
おりものは年齢の影響も受ける
おりものは年齢によっても変化します。初経~10代にかけてはホルモンの分泌量が不安定なため、おりものも変化しやすく、量も安定しません。20代~30代は女性の身体が成熟し、女性ホルモンの分泌量がもっとも多くなります。おりものの量も多くなると同時に安定するでしょう。その後閉経期に向けておりものの量が減り、閉経後2~3年経つとおりものはほとんど分泌されなくなります。
体調不良がおりものを変化させることも
体調不良が続いている時におりものが増えたり臭いが強くなったりすることがあります。これは、免疫力の低下によって普段は自力で洗い流せている弱い雑菌が増殖してしまい、カンジダ腟炎や細菌性腟炎を引き起こしやすくなるからです。
また、女性ホルモンが正常に分泌されなくなると、腟内の「自浄作用」が弱まり、性器に細菌が繁殖しやすくなる恐れがあります。細菌が繁殖するとおりものから悪臭がするようになったり、普段より濃い色のおりものが増えたりします。
生理前のおりものの特徴は?量が増える?
おりものが増える
生理直前になるとおりものが増える傾向があります。おりものの量は生理後、卵胞期に少しずつ増えていき、生理と生理の中間にある排卵期にピークに達します。その後黄体期になると量が減り、生理前に再び増えるというサイクルを繰り返しています。
においが強くなる
生理前におりもののにおいが強くなる人もいます。通常のおりものは少し酸味のあるにおいがする場合が多いですが、卵胞期や排卵期にはにおいがほとんどしないことがあります。生理前になるとおりものの量が増えると同時ににおいが強く感じられる場合があるでしょう。
粘り気がある場合も
生理前のおりものは、粘り気が強いと感じる人もいるかもしれません。黄体期には、おりものが白く濁ると同時におりものの粘り気が強くなる傾向があるためです。なお、生理後~排卵期のおりものは水っぽくてさらさらしていたり、ゼリーのようにとろみがあって糸をひいたりするような形状になります。
血が混じることも
生理開始の数日前からは、おりものに血が混じることがあります。生理が本格的にはじまっていなくても、微量の経血が出てくる可能性があるためです。経血のにおいによっておりものが臭く感じられる場合があるでしょう。
生理前と妊娠初期のおもりものは違う?
妊娠初期のおりものの特徴は?
妊娠すると、女性ホルモンの分泌量が増えるため、おりものの量も増えやすいと考えられます。排卵期から引き続き水っぽいおりものやゼリー状のおりものが続く場合もあるでしょう。女性ホルモンの分泌量が変化するため、色が濃くなったり、においがきつくなったりする人もいるかもしれません。
着床時の出血でおりものが茶色になる場合もある
妊娠初期には、着床によって子宮内膜が傷つき、少量の出血がある場合があります。体内で出血した後、血液が酸化しておりものに混ざると茶色や赤褐色のおりものが出てくるかもしれません。この出血は生理予定日ごろに起こる場合もあるため、生理の開始と区別がつきにくい場合があります。
おりもの以外の妊娠初期症状も確認しよう
生理前の兆候と妊娠初期の兆候を見分けるためには、おりものの変化以外にも注目することが大切です。おりもの以外の妊娠初期症状には、息切れ、乳房の痛み、疲労感、吐き気、頭痛、腰痛、頻尿、下腹部のけいれん、食べ物の好みの変化、気分の浮き沈みが激しくなる、基礎体温の上昇、めまいや失神、生理の遅れなどがあります。
生理前に白いおりものや茶色のおりものが出るのは病気?
生理前に白いおりものが出ることがある
生理前に白いおりものが出たとしても、色以外の変化や腹痛、陰部のかゆみといった症状を伴わない場合は気にする必要はないでしょう。おりものの色は女性ホルモンの影響を受けて透明~白、クリーム色に変化しており、生理前の黄体期には白く濁る場合もあるためです。
経血の影響でおりものが茶色になることも
生理前におりものが茶色になって不安になったことはないでしょうか。おりものが茶色くなる場合は、経血の影響を受けている可能性があります。本格的に生理がはじまるサインなので、1~2日で生理がはじまった場合は心配する必要はないでしょう。ただし、月経3日以上前から少量の出血が見られたり、月経期とは無関係に茶色いおりものがある場合は、異常な出血がおこっている可能性がありますので受診が必要です。
こんなおりものが出たら要注意!
白く濁ってカッテージチーズのようにボロボロしたおりもの
正常なおりものも白っぽくなることがありますがカッテージチーズや豆腐、酒かす、ヨーグルトのようにボロボロしている場合には、「カンジダ腟炎」という病気の症状かもしれません。
カンジダ腟炎は、腟内にカビが繁殖することによって陰部のかゆみや刺激感、おりものの変化があらわれる病気です。免疫力の低下によってカビが繁殖しやすくなるため、体調不良が続いたときには注意が必要です。風邪などで抗生物質を服用しても腟の善玉菌が減ってカビが繁殖しやすくなります。
黄緑や鮮明な黄色、灰色のおりもの
トリコモナス腟炎や淋菌感染症(淋病)、性器クラミジア感染症といった性感染症、細菌性腟症(非特異性腟炎)の可能性があるでしょう。病気によっては下腹部痛や性交時痛、不正出血、発熱を伴い、不妊につながることもあります。
普段と明らかに違うにおいがするおりもの
においの変化から病気がわかる場合があります。子宮がんや子宮頸管ポリープは不正出血を伴うことがあるため、おりものがピンク色や茶色に変化したり血液のにおいが混ざったりすることがあります。
萎縮性腟炎、細菌性腟症、トリコモナス腟炎、淋菌感染症になると、おりものから魚が腐ったような悪臭がしたり、生臭さがきつく感じられたりするかもしれません。
泡状や膿状のおりもの、水っぽいおりもの
おりものの状態の変化にも目を向けましょう。泡状のおりものはトリコモナス腟炎、膿状のおりものは淋菌感染症や子宮体がん、水っぽいおりものは性器クラミジア感染症の症状のひとつです。ほかの症状もあるかどうか確認すると良いでしょう。
ただし、性感染症の6~7割は無症状のため、おりものの異常を自覚していないからと言って安心はできません。性行為の機会がある人は、年に1回またはパートナーが変わるごとに性感染症の検査が必要です。
長期間続く茶色やピンクのおりもの
茶色やピンクのおりものは、生理の経血や排卵期の出血の影響を受けているときは問題がない場合が多いですが、長期間続く場合、大量に出る場合、下腹部痛といったおりもの以外の症状を伴う場合には注意が必要です。子宮の病気や腟の炎症、性感染症の可能性があります。
また、生理不順や基礎体温の異常がみられる場合には、女性ホルモンが正常に分泌されなくなる「黄体機能不全」や排卵が起こらずに出血してしまう「無排卵月経」かもしれません。
生理前のおりものの悩みを解決するには?
デリケートゾーンを清潔に保つ
デリケートゾーンに雑菌が付着すると、おりものが臭くなったり病気の原因になったりする可能性があります。おりものシートの使用は避け、通気性の良い下着をつけてデリケートゾーンを清潔に保ちましょう。性交前にシャワーを浴びることも大切です。
洗いすぎには注意
おりものが多くなったりにおいが強くなったりすると、デリケートゾーンをごしごし洗ってしまう人がいるかもしれません。腟内まで洗いすぎると正常な善玉菌まで必要以上に洗い流してしまい、「自浄作用」が弱まってしまう可能性があります。
腟が乾燥して傷つきやすくなったり細菌が繁殖しやすくなってしまうおそれがあるため、腟内の洗浄は控えましょう。外陰部の石鹸の使用も控えると良いでしょう。
通気性の良い服装をする
おりものが多いと下着の中が蒸れてかゆくなったり、においが気になったりすることがありますよね。ピッタリとしたズボンなど通気性の悪い格好をすると余計に蒸れやすくなり、細菌が繁殖してしまう可能性があります。ゆとりのあるズボンやスカートを履き、蒸れを防ぐと良いでしょう。
ストレスをためず、体調管理に気をつける
疲れやストレス、体調不良はホルモンバランスに影響を与えます。女性ホルモンが正常に分泌されなくなったり、免疫力が低下するとおりものの自浄作用が弱まり、性器が細菌に感染しやすくなったりおりものが臭くなったりしてしまうかもしれません。ストレスをためすぎず、疲れたときはしっかり休んで体調を整えましょう。
生理前のおりものをチェックして身体の変化を知ろう
生理前には普段と違うおりものが出る場合があるため、多少の変化で慌てる必要はありません。焦らずに量や色、状態をチェックして、病気や妊娠の兆候でないかを確かめましょう。
生理前はホルモンバランスが変化しやすく、体調が悪くなったり精神状態が不安定になったりしやすい時期です。生理前のおりものを上手にケアし、できるだけ快適に過ごしたいですね。